新入社員の配属について、課題感を覚えている企業は少なくありません。日本では「3年以内に3割の新入社員が離職する」という状態がもう何十年も続いていますが、その主な要因が「配属のミスマッチ」と言われています。

なぜ、配属でミスマッチが起きてしまうのか。その理由をひも解いていきたいと思います。

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多くの企業が重視していない「性格」という観点

多くの場合、配属ミスマッチは、配属の際に重視すべき観点が1つ抜けているせいで起こります。

ミスマッチのない配属のためには、3つの観点が重要とされています。1つ目は「能力」、2つ目は「価値観」、そして3つ目が「性格」です。

能力と価値観の2つについては、配属時に多くの会社が重視しています。
配属先の現場がもっとも重視しているのは「能力」。どの部署も「基本的な能力があり、早期に戦力になってくれそうな人を配属してほしい」と望んでおり、人事担当者はそれに応えて「職種への適性があり能力を発揮してくれそうな新人」をあてがおうと努力します。

一方、新入社員が重視しているのは「価値観」です。自身が大事にしているもの、これだけは譲れないというものを実現できる環境で、生き生きと働くことを求めています。新入社員の退職を懸念している人事ほど、能力に加えてこの「価値観」を重視して配属先を決めています。

しかし、どの企業もほとんど見ていないのが3つ目の観点「性格」です。掘り下げていえば、配属先の上司との「性格的な相性」です。

ポジションごとに採用が行われ、採用時にはすでに配属先が決まっている中途採用では、配属先の上司が選考に入ることが多いため、選考過程である程度は性格的相性をチェックされています。そのため、性格のミスマッチは比較的少ないのですが、新卒採用では配属先を考えずに選考する企業が大半であり、性格を考慮しないまま配属が行われています。これが、配属ミスマッチの大きな原因です。

メディアでよく紹介されている「若手社員が会社を辞める理由」の上位は、だいたい「人間関係」です。特に、上司との相性を挙げる人が非常に目立っており、「会社を辞めるのではなく、嫌な上司のもとを去るのだ」と表現する人もいます。配属ミスマッチを課題に感じているのであれば、配属の際に個人の能力、価値観だけでなく、「上司との性格的な相性」を重視するべきでしょう。

次回は、この「性格」の観点を配属にどう取り入れればいいか、具体的に解説します。

【本記事の執筆者】

曽和 利光(そわ・としみつ)

株式会社人材研究所 代表取締役社長

新卒で株式会社リクルートに入社後、ライフネット生命保険株式会社と株式会社オープンハウスを経て、2011年に株式会社人材研究所を設立。「人と、組織の可能性の最大化」をテーマに掲げ、人事、採用にコンサルティング事業などを展開。『人事と採用のセオリー』など、これまで多くの書籍を出版し、いずれも大きな話題を集めている。

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