内定承諾をしてもらったのに、その後に辞退されてしまった、ということはありませんか?第1回では、学生の内定辞退の多くが「内定ブルー」によるものであり、それを防ぐには内定者同士の交流が有効であるとお伝えしました。
今回は、新卒入社後の早期退職を防ぐために、入社前に行っておくべき取り組みについて解説します。

「RJP」で入社後のリアリティショックを最小限に減らす

内定承諾後の内定ブルーの解消を経て、いよいよ入社という流れですが、その前に、スムーズなスタートが切れるようにやっておくべきなのが「RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)」です。

RJPを直訳すると、「現実的な仕事に関する情報の事前開示」。すなわち、内定者に会社や組織、仕事内容について、良い面も悪い面もリアルに伝えることを指します。
内定者は、新しい環境に対して過度な期待を抱いている可能性があります。それ故に、入社後に現実に直面し、ショックを受けてしまうケースが少なくありません。ある調査によると、7割以上の人が入社時に何らかのショックを受けているという調査もあるほど。それを放置してしまうと、理想と現実のギャップが埋められず、「こんなはずじゃなかった…」と早期離職してしまう恐れがあります。

理想と現実のギャップを最小限にするためには、理想=内定者の認識を変えるしかありません。入社前に、内定者と面談の機会を設け、RJPで期待値調整を行い、ミスマッチの軽減を図ることが大切です。

「良い情報」と「悪い情報」のバランスに注意を

RJPを行うタイミングは「配属ガイダンス」の場が有効です。内定者に配属希望をヒアリングする段階で、各部署の社員に自身の仕事のやりがいや醍醐味、大変なこと、苦労することを包み隠さず、リアルに語ってもらう機会を持つと良いでしょう。

もちろん、これにより理想とのギャップを感じ、入社意欲が減退する人も一定数いるはずなので、ガイダンス終了後には個別面談を行うのがベターです。ガイダンスの感想を聞き、不安点を丁寧に解消したり、内定者の希望や思いとの接続を行ったりするなどして、目線を前に向けてもらえるようサポートしましょう。「腹を割って話す場だから」と、RJPの一環として社内限定の情報を提供するのも一つの方法です。入社直前だからこそ出せる情報を惜しみなく共有し、一体感を醸成していきましょう。

なお、各部署にRJPを行う際に注意してほしいのは、良い情報と悪い情報がトレードオフになっているかどうかです。悪い情報は良い情報よりも早く頭に入りやすく、かつ記憶に残りやすいので、情報のバランスが重要です。「悪い点は確かにあるけれど、良い部分もこんなにある」と、悪い点を上回る情報を提供するのが、離脱を生まないRJPのポイントです。

良い部分を伝える際には、「客観的な情報」を上手く使うのも1つの方法です。社員が自社のことを良く言うよりも、第三者が言ったほうが信ぴょう性が感じられるからです。
例えば、新聞や雑誌、ニュースサイトで報じられた情報などを取り入れたり、会社の人間ではない第三者に語らせたりするのは有効です。私自身、採用サポートを行った会社の内定式や入社式でスピーチを頼まれることがありますが、私の立場からこの会社の魅力を語ると内定者の納得感が違うように思います。「良い会社に入社できて良かったですね」と言うと内定者にとても喜んでもらえるのも、私が社外の人間であるせいだと感じます。

このように、客観的な情報を上手に取り入れ、良い情報・悪い情報のバランスを取ることで、RJPがより効果的なものになります。入社直前の内定辞退を防ぎ、入社後の早期離職を最小限に食い止めるためにも、ぜひ実行してみてください。

【本記事の執筆者】

曽和 利光(そわ・としみつ)

株式会社人材研究所 代表取締役社長
新卒で株式会社リクルートに入社後、ライフネット生命保険株式会社と株式会社オープンハウスを経て、2011年に株式会社人材研究所を設立。「人と、組織の可能性の最大化」をテーマに掲げ、人事、採用にコンサルティング事業などを展開。『人事と採用のセオリー』など、これまで多くの書籍を出版し、いずれも大きな話題を集めている。