このページのまとめ

  • 1on1とは、上司と部下が1対1でミーティングをすること
  • 1on1は週に1回のペースで実施するのが理想
  • 1on1では上司が部下の話を聞くことが大切

従業員の成長を促す施策として、1on1があります。1on1は部下と上司のミーティングですが、人事評価面談とは異なり、評価を目的としません。部下の主体性を引き出し、成長させるための面談です。このコラムでは、1on1の概要や具体的なメリットなどをご紹介します。部下とのスムーズな信頼関係を築くための方法の一つとしてお役立てください。

1on1とは

1on1とは、上司と部下が1対1で行うミーティングのことです。1on1は週1回のペースで行うのが基本で、少なくとも月1回は実施します。
1on1の目的は、部下の悩みを聞いたり、部下の成長を促したりすることです。

部下の現状を話し合ったり、悩みを聞くための時間になります。面談のように、上司への報告や、部下への指摘を行ってしまえば、1on1の目的から外れてしまうので気を付けましょう。1on1の最終的な目標は、部下に話したいことを話せてよかったと思ってもらうことです。

1on1の流れ 

1on1は週に1回、少なくとも月に1回は行うようにしましょう。また、1回だけ開催するのではなく、定期的に繰り返し行うことが大切です。1on1の流れを紹介するので、参考にしてください。

目的の共有

まずは、1on1の実施目的を部下と共有します。1on1を実施するとだけ伝えてしまえば、面談との違いが共有できないためです。たとえば、部下の成長のため、コミュニケーションを多くするため、などと伝えてあげましょう。また、1on1を行う際には、話す内容を部下が決めます。そのため、事前に話す内容を決めておくように促しましょう。

部下が困らないように、次のような内容の具体例を伝えてあげることも大切です。

  • 業務での気づき
  • 現状の課題や感想
  • 目標達成のために努力している取り組み

日時と場所の決定

1on1を行う際には、日時と場所をあらかじめ決めておきましょう。その際、上司の都合だけで決めるのではなく、部下のスケジュールも確認します。なぜなら、お互いのスケジュールをすり合わせることが、信頼関係の形成に重要だからです。1on1を行う場所は、外部に仕事の情報がもれない場所であれば、自由に選んでかまいません。部下が話しやすい場所を選ぶと良いでしょう。

1on1の実施

1on1の実施日が来たら、事前に決めていた内容をもとに話し合いましょう。話し合う際には、上司は部下の話に素直に耳を傾ける意識が重要です。コーチングの手法を使い、部下の話をしっかりと聞いてあげましょう。注意点としては、部下の話を遮ったり、自分の意見を一方的に伝えたりしないことです。話の主導権を上司が一方的に握ってしまうと、1on1の効果が発揮されないためです。

次回の日時と場所の決定

1on1が終われば、次回の1on1の日時設定をしましょう。開催ペースは週に1回が理想で、あまり期間をあけないようにしましょう。また、次回開催時には、部下の現状をフィードバックしてあげることも重要です。たとえば、成長した部分や、実践できている出来事などを伝えてあげましょう。1on1の目的は部下の成長を促すことです。話し合いのなかで成長を実感させてあげることが大切です。部下もフィードバックを受け、成長を実感することで、1on1の大切さに気づくことができます。

1on1の効果 

部下の成長につながる

1on1は部下の成長促進を目的としたミーティングです。現状の確認とフィードバックを定期的に行うことにより、成長を促します。1on1を実施していない場合、業務を覚えた後は自分だけで勉強を行い、自分で改善を行う場合がほとんどです。そのため、成長できる従業員と、成長できない従業員の差が広がってしまいます。一方で、1on1は、従業員に課題発見と改善を習慣づける場として有効です。1on1が終了した後も、自分で成長できる土台作りの役割を果たしています。

部下との信頼関係が深まる

1on1の実施は、上司と部下の信頼関係構築につながります。仕事以外の場面で、コミュニケーションをとることができるためです。企業のなかには、業務以外の話をする機会がない場合もあるでしょう。すると、信頼関係のない、業務連絡しかできない関係性になってしまいます。部下と信頼関係を深めるためには、プライベートな内容や、部下自身の話を聞くことが大切です。その機会として、1on1を活用しましょう。

部下への理解につながる

部下の話を聞くことが中心の1on1は、部下への理解を深めることにつながります。行動への取り組み方や、考え方を確認できるためです。普段の業務では行動や結果しか見えず、部下のことをあまり理解できていないという方もいるかもしれません。1on1の実施により、部下の話を中心に聴くことができるため、部下の考え方の理解につながるでしょう。

部下が主体性を持つ

1on1は上司が指示を行う場ではなく、部下が自分で考え、話をする場所です。1on1を繰り返すことで、部下の主体性向上につながります。たとえば、自分から話すことが苦手で、主体性を出せない社員もいることでしょう。1on1の実施により、自分から話す練習になるため、繰り返すことで主体的な発言が期待できます。

1on1で話す内容 

1on1で話す内容は決まっておらず、基本的に自由です。何を話せばいいのか分からないという方のために、1on1で話す内容をいくつかご紹介します。

プライベート

趣味や好きなものなど、仕事以外の話をしてコミュニケーションを取りましょう。仕事以外の会話をすることで緊張がほぐれ、コミュニケーションがスムーズになります。また、上司と部下で共通の趣味や話題を見つけることにもつながります。

業務の改善

普段はなかなか言い出せない業務の改善点があれば、1on1で聞いてみましょう。仕事に関わる内容は話題になりやすいですが、職場環境や人間関係の話題は言い出しにくいからです。たとえば、同僚の接し方に問題はないか、働きにくさを感じていないか、などを話題にします。その際、部下が自分の気持ちを正直に伝えられるように、質問の仕方には工夫が必要です。

体調確認

体調が悪くても、なかなか言い出せない部下もいます。年次の浅い従業員であるほど、自分だけで抱えてしまう場合もあるでしょう。業務でストレスは感じていないか、生活環境が変わって大変なことはないか、確認してあげましょう。

モチベーションの向上

1on1は部下のモチベーションを上げる最適なシチュエーションです。できていることを褒めてきちんと評価することで、モチベーションを上げましょう。また、不安に思っていることなど、モチベーションを下げる原因を見つけることも大事です。不安や悩みを解消し、働きやすくなるようなサポートを心掛けましょう。

1on1を効果的に行うコツ

1on1を効果的に行うためには、上司のスキルが重要になります。特に、コーチングスキルとフィードバックスキルは、部下の成長に重要です。上司側もスキルを成長させ、1on1を効果的に実践しましょう。

部下の特徴を把握する

部下ごとに性格や考え方は違います。そのため、一人ひとりに合わせて話し方やアプローチ方法を考えましょう。たとえば、褒めて伸びるタイプもいれば、プレッシャーがモチベーションになる従業員もいます。また、同じ内容でも伝え方によって受け取り方が変わります。部下の特徴を把握して、最適なアプローチ方法を見つけましょう。

コーチングスキルを身につける

コーチングスキルのなかでも特に大切なのが、傾聴です。部下の話を否定せずに最後まで聴き、受け入れる姿勢を取りましょう。あいづちや身振り手振りを上手く活用し、真剣に話を聞いていることが部下に伝わるようにしましょう。

フィードバックスキルを身につける

1on1部下自身に現状の課題を認識させ、改善させることが大切です。改善に向けて部下が前向きに行動できるように、ポジティブな印象を与えるフィードバックを行いましょう。

まとめ

1on1は、部下の成長を促し、主体性を伸ばすために有効です。1on1を行う際には、短いスパンで定期的に行うことが重要です。上司は部下の良い点や改善点を見つけて、教えてあげることが大切です。1on1は、個人の成長だけではなく、チームの成長にも効果的です。企業として1on1の体制を整え、人材育成の一環として役立てましょう。