このページのまとめ

  • ミッション・ビジョン・バリューは企業の経営方針のこと
  • ミッション・ビジョン・バリューは従業員や顧客にも届く内容にするのが大切
  • 成長を続ける企業には、ミッション・ビジョン・バリューのような明確な経営方針がある

ミッション・ビジョン・バリューは、企業が成長を続けていくために必要な経営方針・行動方針のことを指します。実際に、名実ともに評価を得ている企業は、独自のミッション・ビジョン・バリューを掲げていることが多いです。このコラムでは、ミッション・ビジョン・バリューを設定するメリットや、気をつけるポイントについて解説します。

ミッション・ビジョン・バリューとは

ミッション・ビジョン・バリューとは、企業の経営方針のことです。経営方針は会社として方向性を決めるうえでも、従業員の方向性を示すうえでも重要です。特に、環境や社会の変化が激しい現代では、経営方針の重要性が高まっています。その経営方針を示すために重要な要素が、ミッション・ビジョン・バリューになります。

ミッションとは

ミッションは、企業の存在意義、果たすべき使命のことです。企業が大切にしている考え方、価値観でもあります。ミッションの例としては、以下のようなものがあります。

  • 事業を通じて価値観を広げたい
  • 世の中を便利で豊かに変える
  • 社会が抱える課題を解決する

ミッションが明確であれば、従業員もなぜ自分が働くのか、どのような使命を持っているのかを理解できます。また、迷ったことがあっても、ミッションの考え方に立ち返ることができます。従業員に自社の考え方を浸透させるためにも、ミッションの周知が大事です。採用サイトへの掲載やパンフレットの配布などを行い、経営方針・行動指針を明確化しておきましょう。

ビジョンとは

企業が目指す理想の姿がビジョンです。ビジョンがあることで、従業員も将来的な企業像をイメージでき、同じ方向を向いて業務を行うことができます。
また、ビジョンは中期的な目標でも問題ありません。企業が目指す姿は、時間とともに変化する場合もあるからです。ビジョンでは長期的、中期的にかかわらず、企業が目指す姿を具体的に示すと良いでしょう。

バリューとは

バリューは、ミッションやビジョンを実現するために、従業員がとるべき行動目標です。

従業員の行動指針になるため、具体的な内容が求められます。たとえば、介護・福祉業界の企業であれば「すべての地域住民の方を利用者さまとして接する」「自分がしてほしいと思うことを利用者さまに対して行う」といった行動目標が考えられます。

ミッション・ビジョン・バリューが必要な理由 

ミッション・ビジョン・バリューが必要な理由は、以下のとおりです。

顧客に自社の存在意義を理解してもらうため

自社の従業員だけではなく、顧客に自社の存在意義を理解してもらうことも重要です。
何のために事業を行っているのかを、ミッション・ビジョン・バリューで提示しましょう。特に、近年ではサービスの内容だけではなく、企業の考え方に賛同して商品を選ぶ消費者も増えています。顧客から賛同を受けるためにも自社のスタンスを明確に示すことが大切です。

従業員の目指す方向性が伝わる

従業員に自社の目指す方向性を伝え、同じ方向を向いて事業を行うことが大切です。
自分たちの方向性が分からないと、モチベーションを上げて仕事ができないからです。たとえば、企業が目指すべき方向性が不明確だと、従業員のモチベーションの低下につながってしまいます。経営陣の間だけではなく、従業員にも方向性を示すことが大切です。

経営に迷った際の指針になる

経営を行うなかで、方向性に迷うこともあるでしょう。現在の事業は間違っていないか、行動方針はこのままで良いのかと悩みが尽きないのが経営者です。悩んだときにミッション・ビジョン・バリューがあれば、方向性を再確認できるでしょう。経営陣の考えがミッション・ビジョン・バリューに沿っているか、ずれていないかを確認すると、目指す方向性が明らかになります。

ミッション・ビジョン・バリューを掲げるメリット 

ミッション・ビジョン・バリューを掲げることで、以下のようなメリットを受けられます。

従業員が自分の会社に愛着を持つ 

ミッション・ビジョン・バリューを掲げることで、従業員は自分の会社に愛着を抱きやすくなります。企業の目指す姿や価値観が明確になるからです。「理念に基づいて業務を行おう」「企業の目標を実現させるために日々行動しよう」といったモチベーションが生まれます。企業理念と実際の経営方針が一致すると、従業員の企業に対する愛着はさらに増します。掲げたミッション・ビジョン・バリューに忠実に行動することを意識しましょう。

企業の価値観に合う人材が集まる

掲げられた目標や理想が具体的であれば、企業の価値観に共感する人材が集まります。
採用活動でも、ミッション・ビジョン・バリューを確認したうえで応募する求職者が増えるからです。スキルがあっても、考え方の異なる人材は離職につながる可能性もあります。スキルだけではなく、価値観も意識して人材を集めるためにも、ミッション・ビジョン・バリューが有効です。

自社の魅力を具体的にアピールできる

自社の考え方を魅力としてアピールする際にも、ミッション・ビジョン・バリューが使えます。
就職活動では、企業理念や考え方を重視する人材も多いからです。もちろん、休みや給与、ワークライフバランスのアピールも大切ですが、それだけでは魅力に欠ける場合もあるでしょう。
ミッション・ビジョン・バリューを具体的にアピールできれば、自社の考え方に共感した人材が集まります。

ミッション・ビジョン・バリューの設定方法

ミッション・ビジョン・バリューを決める際は、複数人で決めることが一般的です。経営に関わる幹部で決めると良いでしょう。ミッション・ビジョン・バリューの設定方法は、次のとおりです。

定義を決める

まずは、言葉の定義を明確にしましょう。ミッション・ビジョン・バリューそれぞれの定義が重要です。その際、参加者の認識に違いがないように気をつけましょう。言葉の定義や認識が異なると、その後の議論の方向性がブレてしまうからです。

自分たちの考えをアウトプットする

ミッション・ビジョン・バリューの定義が明確になったら、自分たちの考えをアウトプットします。細かい内容を気にせず、思ったことを次々に発表していきましょう。

分かりやすい言葉で表現する

考えがある程度まとまったら、その考えを分かりやすい言葉で表現しましょう。自分たちだけではなく、従業員や顧客にも伝わる具体的な言葉で表すことが大切です。また、自社のWebサイトや採用パンフレットにミッション・ビジョン・バリューを掲載する場合もあります。語呂の良さ、言いやすさも意識して決めましょう。

ミッションとビジョンは起業時に決める

ミッションとビジョンに関しては、起業時のタイミングで決めることが最適です。最初から方向性が決まっている場合、問題が起きても方向性の修正がしやすいためです。すでに起業してしまっている場合は、早い段階で決めておきましょう。

バリューは会社の体制がある程度整ってから決める

バリューは従業員が増えてから決定しましょう。従業員全員の指針になるため、現実的に行動できる目標が重要です。起業時に決めてしまうと、社員が増えることで、会社に合っていないバリューになる可能性もあります。ある程度、組織の体制が固まってから、バリューを決めましょう。

ミッション・ビジョン・バリュー作成時の注意点

ミッション・ビジョン・バリューは、今後の企業方針を定める重要な決定です。経営にも関わるため、以下の点に注意して慎重に決めましょう。

一部のメンバーだけで決めない

一部のメンバーだけで決定してしまうと、後に支障をきたす可能性もあります。
たとえば、ミッション・ビジョン・バリューの決定に参加していなかった幹部から反対意見があがる場合もあります。経営陣での揉め事にも発展しかねないため、一部のメンバーだけではなく、経営陣全体で決めましょう。

対外的なイメージも重視する

経営方針や従業員だけではなく、顧客やクライアントなどの対外的なイメージも重視しましょう。ミッション・ビジョン・バリューは、社外にも知られることになる考えだからです。たとえば、社会問題や環境問題の解決に関する内容を入れておくと、対外的なアピールになります。企業方針としての役割も大切ですが、対外的なイメージも忘れずに決めましょう。

出てきた意見を否定しない

ディスカッション時に出てきた意見を否定しないようにしましょう。正解や不正解はなく、絶対に含めるべき内容もないからです。また、出てきた意見を否定してしまうと、否定された参加者は今後の発言をためらってしまいます。意見が出にくい環境になってしまい、活発なディスカッションは難しくなるでしょう。出てきた意見を否定せず、お互いの尊重が大切です。

具体的にわかりやすく示す

ディスカッションの際に、自分の意見をわかりやすく、具体的に示しましょう。思っていることが伝わらなかったり、難しくとらえられる可能性があるためです。また、ミッション・ビジョン・バリューとして示す際にも、具体的で分かりやすい言葉が求められます。ディスカッション時から意識し、自社の考え、自分の考えを明確にできるようにしましょう。

ミッション・ビジョン・バリューを作るだけで終わらせない

ミッション・ビジョン・バリューは、作ったら終わりではありません。掲げた内容を実践してこそ意味があります。
たとえば、掲げた内容を実現する会社であれば、従業員は企業を信頼し、愛着を持つでしょう。一方で、掲げた内容に反する企業であれば、信頼をなくし、離職につながる可能性もあります。掲げたミッション・ビジョン・バリューを経営陣が自ら実践し、企業として実現できるようにしましょう。

ミッション・ビジョン・バリューを従業員に浸透させよう

ミッション・ビジョン・バリューは、従業員まで浸透させてこそ実現できます。
従業員が理解していなければ、企業として実現するのは難しいでしょう。従業員に浸透させるためには、自分ごととして考えてもらうことが重要です。たとえば、「企業方針を定める会議に従業員を参加させる」「ミッション・ビジョン・バリューを体現化している社員を評価する」などの施策を行うことができます。従業員にミッション・ビジョン・バリューの必要性、重要性を体感してもらうことが、浸透につながります。

まとめ

企業の方針を定め、従業員に行動を促すためにも、ミッション・ビジョン・バリューの設定は重要です。成長を続けている企業の多くは、明確なミッション・ビジョン・バリューを持ち合わせています。また、ミッション・ビジョン・バリューは設定するだけではなく、従業員に浸透してこそ効果を発揮します。自社のWebサイトや採用パンフレットなどに明記し、経営陣が行動で示し、従業員が実践できるようにしましょう。