このページのまとめ

  • ティール組織とはリーダーの指示を受けずに組織目標を達成できる組織のこと
  • ティール組織の形成に至るまでには5段階のステップがある
  • ティール組織の実現には従業員の個性を尊重する必要がある

ティール組織と呼ばれる、従業員を主体的に行動させることで成果を上げる組織体制が注目されています。ティール組織はリーダーの指示を受けなくても目標を達成できる組織のため、従来の組織よりも柔軟に変化に対応できるからです。ティール組織を実現している企業はまだまだ少ない状況です。このコラムでは、ティール組織に至るまでの5つのステップや、ティール組織を作るために必要なポイントを解説します。

ティール組織とは 

ティール組織とは、組織が発展する段階を示したものです。特徴的な考え方として、「旧来のマネジメント手法は成果が上がっている場合も多く、正解だと思われているが、組織への悪影響を与える可能性を含んでいる」と指摘したことがあげられます。

ティール組織の5段階フェーズ 

ティール組織に至るまでには、以下のように5段階のフェーズがあります。

Red組織

Red組織は、「特定の個人の力で、支配的なマネジメントを行う組織」です。要するに、トップがいなくなるとたちまち崩壊してしまう組織形態を指します。1人のリーダーに権力や発言権が集中しているため、そのほかのメンバーの意見は反映されません。トップのリーダーが組織下のメンバーを圧倒的な力で支配しており、トップがいなくなると崩壊する組織といえます。

Amber組織

Red組織が段階を経ると、Amber組織に進化します。Amber組織は明確に役割が決まっており、忠実に役割を果たすことが求められます。いわゆる、軍隊式と呼ばれる段階です。

Red組織はマネジメントがトップだけで行われていましたが、Amber組織は指揮する人物を増やすことで、トップへの依存度を低下させています。そのため、Red組織と比べて安定的に継続した組織になり得ます。しかし、Amber組織を存続させるためには、環境が変わらないことが前提です。環境が変わると役割も変わりますが、Amber組織の人間は、与えられた役割を果たすことしかできないため、環境変化に対応できない問題を抱えています。

Orange組織

Amber組織が環境の変化に対応できるようになると、Orange組織に進化します。

Orange組織は、階層構造によってヒエラルキーを抱えながらも、成果を出せば昇進できる組織構造を指します。一般的な企業の構造はこのOrange組織に該当します。

Orange組織では時代に合ったスキルを持っている人物が評価されやすく、Amber組織よりも革新が生まれやすくなりました。しかし、変化が起こる環境で、出世のために競争を続けることが求められ、「人間らしさ」を失う可能性にもつながると危惧されています。

Green組織

Orange組織の人間が主体性を発揮し、「人間らしさ」を表現した組織がGreen組織です。

Green組織では、個人の多様性を尊重し、主体性が発揮される環境が求められます。Orange組織までの段階は、組織に焦点が当てられていましたが、Orange組織では個人に焦点を当てています。Green組織の注意点として、組織としてのヒエラルキーが残っていることです。決定権はマネジメント層にあり、メンバーの行動は、リーダーが決定を下します。

Teal組織

Teal組織は、組織を1つの生命体として捉えています。組織は、組織に携わる全員のものであり、メンバーが共鳴しながら行動を起こすことが求められます。Teal組織では、特定の誰かが指示や命令を出すことはせず、メンバーそれぞれが自分たちで考えて行動します。その際、バラバラに行動するわけではなく、組織の目標を実現するために、情報共有や相談をしながら行動するのがTeal組織です。

ティール組織に必要な要素

ティール組織を実現させるためには、セルフマネジメントなどの要素が必要です。要素が欠けてしまうと、ティール組織として成り立たないため、確認しておきましょう。

セルフマネジメント

セルフマネジメントとは、従業員一人ひとりが自分の判断で行動し、成果を上げる方法です。上司の指示を待つのではなく、主体的な行動が求められます。ティール組織では、セルフマネジメントをサポートするために、「助言プロセス」と称される仕組みがあります。助言プロセスでは、専門家と意思決定に影響を与える人物の両方からアドバイスを貰うことができます。その際、あくまでもアドバイスであり、意思決定は本人に任せることが重要です。このように、ティール組織ではアドバイスをもらいながらもセルフマネジメントできる仕組みを整えています。

ホールネス

ホールネスは、個人そのものを尊重し、受け入れることを重視する考え方です。従来の組織では、評価を受けることが前提にあるため、期待された役割を演じる従業員が増加します。すると、本来の能力や個性を隠し、評価のために振る舞い始めるデメリットが生まれます。ティール組織では個人の尊重が前提にあるため、その人自身を受けいれるホールネスが重要視されています。

企業目的の改善

ティール組織では、社会や環境の変化に応じて、企業の目的も変化させる必要があると考えます。

組織の発展には変化が必要であり、目的が同じでは成長が止まってしまうと考えるからです。従来の組織では、社長やリーダーが意思決定を行っており、リーダーが変わらなければ目的も変わらない組織がほとんどでした。ティール組織では、メンバーそれぞれが自分の考えを持って行動しているので、社会の変化に合わせて、目的を柔軟に変化させられるでしょう。

まとめ

組織をより力強く、長期にわたって存続させるためにも、ティール組織が重要です。従業員が主体的に考え、組織として一丸になる姿は、企業の理想になります。しかし、現在では主体的に行動できる従業員は少なく、リーダー層の指示を忠実に果たすことが目的となっていたり、期待される姿を演じている従業員が増加しています。従業員それぞれの個性を尊重し、主体的に行動させるためにも、ティール組織の実現を目指しましょう。