このページのまとめ

  • チームビルディングは組織のパフォーマンス向上の取り組み
  • チームビルディングでは目的意識の共有や協力体制を強化する
  • チームビルディングの形成にはタックマンモデルが効果的

チームや組織全体を強化する、チームビルディングが注目を集めています。個人の力だけでは、急激に変化する社会に対応しづらく、強い組織が求められるためです。チームビルディングでは組織のパフォーマンスを向上させ、従業員が主体的に行動できるメリットがあります。チームビルディングの導入を行い、組織として成果を上げる仕組みを作っていきましょう。

チームビルディングとは

チームビルディングとは、組織のパフォーマンスを上昇させるための取り組みです。チームビルディングを通して、チームでの目的意識の共有や協力体制の構築、チーム全体で問題解決できる組織を作ることを目的としています。

チームビルディングには、次の4つのアプローチ方法があります。

  • 目標の調整
  • メンバーの関係性を構築
  • メンバーの役割を明確化する
  • チームが抱える問題への解決策を考える

チームビルディングとは、このようなアプローチを行いながら、組織開発を目的とした取り組みです。

チームビルディングが必要な理由

チームビルディングが必要な理由は、従業員全員がリーダーシップを持ち、社会の変化や技術革新に対応できる従業員を育てるためです。従来の日本企業では、管理職と従業員の役割は区別されており、従業員は個人の目標だけを達成すれば問題ありませんでした。しかし、現在はビジネス体制や市場が複雑化し、変化に対応できる組織が求められています。変化に対応するためにも、各個人が主体性を持ち、協力体制を成長させるチームビルディングが求められています。

チームビルディングの対象者 

チームビルディングの対象者は、全従業員です。新入社員から中堅社員、社長や役員までも含まれます。たとえば、新入社員にチームビルディングを実施する場合は、主体性を持って業務に取り組むなど、社会人としての基本的な心構えを成長させる目的があります。また、社長や役員であれば、組織の目標を従業員に共有し、企業全体で目標に向かって取り組む体制を整える目的があります。このように、チームビルディングでは役割や役職によって目標が異なり、役割に応じて組織改善を行います。

チームビルディングの目的

チームビルディングの目的は、従業員の主体性を促し、チームの協力体制を整えることです。従業員個人の働きに加えて、チームとして協力する姿勢が、現代社会では求められるからです。チームビルディングでは従業員に、チームとして活動するための姿勢や心構えを成長させましょう。

従業員の主体性を促す

自分から進んで業務を行ったり、ほかの従業員をサポートするなど、主体性を成長させる目的があります。指示を待つだけの受動的な従業員では、チームの能力を最大限に発揮できないためです。上司や先輩に質問する、提案を行うなど、コミュニケーションも同時に成長させましょう。

チームパフォーマンスの上昇

従業員それぞれの役割や、チームとしての目標意識を持つことで、チームパフォーマンスの上昇につながります。従業員の役割が明確になることで、チームメンバーにもそれぞれの業務や目的が伝わるからです。また、チームとしての目標を再認識し、足並みをそろえて業務を行うことができます。同じ目標を持つ従業員が集まることで、チームパフォーマンスの上昇が期待できます。

マインドセットの形成

目標を明確にするだけではなく、目標を必ず達成する、などのマインドセット形成も重要です。目標に対するモチベーションがなければ、結果がついてこないからです。チームビルディングを行うことで、チームの仲間意識が芽生え、チームとして目標達成したい気持ちが高まります。そのため、個人での目標よりも、より強くマインドセットができる、チームビルディングが効果的です。

チームビルディングにおける5段階プロセス 

チームビルディングを効果的に行う方法として、タックマンモデルがあります。タックマンモデルでは、チームビルディングを行う際のチーム状況を5段階に分け、順序立ててチームビルディングをすすめることを示しました。タックマンモデルの5段階のプロセスは、次のとおりです。

形成期

チームが始まったばかりの状態を形成期と呼びます。チームができたばかりのため、従業員同士の理解が不十分であったり、目標もまだ定まっていません。そのため、形成期では、従業員がお互いのことを徐々に知っていき、理解していく段階です。次のステップに移行するためには、コミュニケーションを多く取り、お互いのことをよく知ることが大切です。

混乱期

混乱期では、従業員同士の対立や意見の食い違いが起きます。従業員ごとに考え方が違い、それぞれの考えを押し通そうとするためです。その際、混乱期が起こることは問題ではありません。チームとして意思を共有し、次の段階にすすむために重要です。混乱期は、相手との対立を恐れずに話し合いを行い、お互いの考え方を理解し合う時期になります。

統一期

お互いに意見を出し合い、相互理解が深まれば、統一期を迎えます。お互いの考え方を知り、尊重できることで、安定したチームへと成長していくことでしょう。また、統一期を向かえると、従業員ひとりひとりの役割が明確になり、チームで共有できているため、まとまりが生まれます。

次のステップに移行するためには、従業員の個性を活かした役割分担や、従業員自身の主体的な行動が求められます。

機能期

機能期は、チームとして機能している状態です。従業員は自分の役割を果たすだけではなく、チームのサポートも積極的に行えるようになります。チームとしての目的も共有され、同じ方向を向いて働くことができているため、結果も出始める時期です。機能期の効果を向上させるためには、チームワークを高めるワークショップや、リーダーからのサポートが効果的です。

散会期

散会期とは、従業員の異動や退職、プロジェクトの達成などによって、チームとしての行動が終わる状態を指します。チームビルディングの効果が判明するのは、この散会期です。もし、チーム解散時の反応が、解散を残念がるものであったり、従業員同士で称える姿を見ることができれば、チームビルディングは成功です。一方で、解散時にチームの反応があまりない、特に気にしていない様子であれば、上手くいかなかったと判断できます。このように、チームビルディングは形成期から散会期まで5段階のプロセスを踏みます。それぞれの段階に応じて、効果的な施策を行いましょう。

チームビルディングを行うメリット

チームビルディングはコミュニケーションの増加やモチベーションの向上など、従業員とチームの両方にメリットをもたらします。より成果をあげるチームにするためには、チームビルディングが大切です。メリットを確認し、効果的な施策が行えるように準備しておきましょう。

コミュニケーションの増加

意見交換や目的意識の共有による、コミュニケーション増加が期待できます。従業員同士で真剣に話し合うことができ、良いことも悪いことも話し合える環境が生まれるためです。コミュニケーションが増加すると、報連相も活発になるというメリットがあります。また、ノウハウや成功体験の共有も増え、組織としての能力も向上するでしょう。

モチベーション向上

チームビルディングはモチベーションの向上に効果的です。目的意識の共有を行うことで、従業員全体で同じ意識を持って業務に取り組めるからです。また、モチベーションの高いメンバーがいるチームは、成果が上がりやすい傾向にあります。成果が出れば、またモチベーションの上昇につながり、ポジティブなサイクルを生み出すことができるでしょう。

新しい発想が生まれやすい

従業員同士の積極的な意見交換を行うことで、新しい発見が生まれやすくなります。異なる考え方や価値観であっても話し合い、意見をまとめていくからです。たとえば、一部の従業員だけが話してしまうと、偏った意見だけになってしまいます。一方で、チームビルディングでは全員が意見を出し、話し合うことを目的とするため、新しい発想が生まれやすいメリットがあります。

生産性の向上

コミュニケーションの増加やサポートしやすい環境形成によって、生産性の向上が期待できます。従業員同士でサポートしたり、仲の良い従業員と業務を行うことで、前向きに業務に取り組めるためです。また、ほかの従業員や上司からの期待を受けることで、モチベーションが向上する効果も期待できます。

環境変化への適応力が上がる

チームビルディングで組織体制が強くなれば、環境変化への適応力が上昇します。強い組織は外部からの影響を受けづらく、変化があっても自分たちで改善する能力を持つためです。また、目標や目的の共有を行えているため、変化が起きてもぶれない組織に成長します。チームビルディングによって、変化が起きたり、困難な状況でも協力して乗り越えられたりするメリットがあります。

チームビルディングを行う際のポイント

チームビルディングを行う際には、目標を明確にしたり、従業員の価値観を認めることがポイントです。強い組織には、明確な目標の共有が重要だからです。また、お互いの価値観を話し合い、理解を深めることも組織体制の強化につながります。お互いを尊重しながら、チームとして同じ方向を向くように活動しましょう。

チーム目標を明確にする

チーム目標が明確であれば、自分の業務に自信を持って活動できます。目標達成に効果がある、方向性は間違っていないと認識できるためです。一方で、目標が曖昧だったり、従業員が理解できていなければ、チームはバラバラに行動してしまいます。チームを強力な組織にするためにも、目標を明確にして、意識の統一を図りましょう。

メンバーの役割を明確にする

メンバーの役割を明確にし、活躍できる体制を整えましょう。メンバーの特性や能力を活かした役割設定が理想です。また、役割が明確になれば、責任感をもって自分の業務に取り組みます。業務への自覚も芽生え、成果も上がりやすくなるでしょう。

従業員の価値観を認める

リーダーは従業員の考え方や価値観を認め、理解するように努めましょう。リーダーが実践しなければ、ほかの従業員に浸透しないためです。価値観を認めることは、団結力の上昇につながり、コミュニケーションも盛んになります。また、新しいアイデアの登場や、自分の意見を明確に伝えることにもつながります。従業員が主体的に行動し、発言を行うことは成果を上げるために重要です。そのためにも、従業員の価値観を認め、発信しやすい環境を整えましょう。

チームビルディングを行う際の注意点 

チームビルディングを行う際には、以下の点に注意しましょう。

目標設定を強制しない

自分の仕事や目標を「やらされている」と感じてしまえば、モチベーションが低下します。モチベーションが低下すると、パフォーマンスが落ちたり、コミュニケーションが少なくなるため気を付けましょう。目標設定を行う際には、従業員が主体的に取り組み、モチベーションのあがる内容が重要です。従業員の意見を取り入れたり、改善案を聞いてみたりするなど、チーム全体で目標設定に取り組みましょう。

適切なチーム編成を行う

強力なチームを作るためには、適切な役割や関係性が重要です。自分のスキルを最大限に発揮できた従業員は、より協力的にチームに貢献してくれるためです。チーム編成を行う際は、人数だけを揃えないように気を付けましょう。スキル不足の従業員や関係性が悪い従業員を集めてしまうと、チームとしての機能が難しくなります。チーム編成の段階からプランを考え、能力の発揮できるチーム作りを行いましょう。

従業員に丸投げしない

業務をすすめる際に、従業員にすべてを任せるのはやめましょう。仕事を任されているのではなく、命令されていると感じるためです。たとえば、明確な指示もなく業務を言い渡されれば、上司のやる気がなく、適当に命令されただけだと感じてしまいます。従業員に任せる際には、目標や業務の意図を明確に伝え、なぜその従業員に任せているかを教えてあげると良いでしょう。

チームビルディングの研修例 

チームビルディングに関する研修として、ワークショップや社内イベントが適しています。

主にコミュニケーションの促進に役立ち、チームの協力体制を整えることが期待できるでしょう。

ワークショップ

ワークショップはメンバーの交流に効果的です。問題解決のために協力を行うことで、協力の大切さを学ぶことができます。また、問題解決のプロセスや、チーム内での役割も自覚させることにつながります。ワークショップは、メンバーの交流と問題解決のプロセスを同時に学ぶ際に効果的です。

社内イベント

社内イベントを活用すると、コミュニケーション促進に役立ちます。社内イベントを行う際には、仕事とは関係ないイベントを開くと良いでしょう。たとえば、飲み会やレクリエーションなどが効果的です。飲み会などで業務とは違った一面を見ることで、従業員の意外な一面や、考え方を知ることに役立ちます。お互いの理解を深める良いきっかけになるので、社内イベントも活用しましょう。

まとめ

チームビルディングは、組織全体のパフォーマンスを向上させるために重要です。チームビルディングに成功すれば、生産性や業績の向上だけではなく、従業員の成長も期待できるでしょう。チームビルディングを行う際には、従業員ひとりひとりの役割を明確にし、価値観を大切にすることが重要です。なぜなら、主体的な個人が集まる組織こそ、強い組織だからです。チームビルディングを取り入れて、時代の変化にも対応できる組織形成を実現させましょう。