このページのまとめ

  • メタ認知とは、自分自身の知覚や思考を客観的に認知している状態のこと
  • メタ認知は、メタ認知的知識とメタ認知的技能の2種類に分類される
  • メタ認知力を高めるためには、セルフモニタリングやコーチングが有効

メタ認知が、ビジネスマンの中で注目を集めています。仕事のモチベーションが高い人物や、協調性のある人物の特徴の一つだからです。メタ認知とは、自分の行動や感情を客観視できる能力のことで、人間関係や業務にも良い影響を与えるものです。このコラムでは、メタ認知の概要や、メタ認知力を高めるトレーニング法を解説します。従業員の成長を支える方法の一つとして、メタ認知を学びましょう。

メタ認知とは

メタ認知とは、知覚や思考などの認知を、より高度な視点から認知する様子を指します。自分を客観視している様子をメタ認知と呼ぶ場合もあります。メタ認知には、メタ認知的知識とメタ認知的技能の2種類があります。

メタ認知的知識

メタ認知的知識とは、自分のことに対する知識のことです。他者からの評価ではなく、自分自身で得た知識である点に注意しましょう。たとえば、集中力はあるが周りのことは気にしない、などの特徴を自分で発見し、理解を行うことです。また、メタ認知的知識をもっている人が必ずしもメタ認知力が高いというわけではありません。メタ認知力を高めるためには、苦手分野への対処法を身につける必要があります。

メタ認知的技能

メタ認知的技能とは、メタ認知的知識で自覚した自分の弱点を改善する能力のことです。そのため、メタ認知的知識を得るだけでは、メタ認知的技能は発揮できません。

また、メタ認知的技能は、次の2種類に分類できます。

  • メタ認知的モニタリング
  • メタ認知的コントロール

まず、メタ認知的モニタリングとは、メタ認知的知識を分析し、弱点が改善されているか確認を行うことです。自分の現状を正しく判断できているかが重要視されます。また、メタ認知的コントロールとは、メタ認知的モニタリングで把握した内容を改善する能力のことです。メタ認知的技能では、自分の状況を把握し、改善を行うところまでがセットになります。

メタ認知力が高い人の特徴 

メタ認知力が高い人の特徴としては、客観的な判断に長けていたり、周囲との協調性があげられます。自分を客観視できる能力が高いため、状況に合わせて、適切な対応ができる傾向にあります。メタ認知力を高め、普段の業務にも役立てましょう。

客観的な判断ができる

自分自身を客観視しているため、客観的な判断が行えます。自分の感情ではなく、状況に即した理性的な判断ができるでしょう。たとえば、業務で問題が発生した場合でも、問題の原因を把握し、解決に導くことができます。感情的になったり、焦ることが少ないため、問題解決能力が高い特徴があります。

仕事へのモチベーションが高い

メタ認知力の高い人は、状況を冷静に見定めています。そのため、仕事の将来性や先行きも見据えており、目標達成のモチベーションが高い傾向にあります。また、業務で成功したり、成果を上げられることも多く、成功体験がモチベーションになるケースも報告されています。

対応力が高い

自分の状況を客観視でき、物事への対応力が高い特徴をもちます。環境が変わっても、自分の状況を正しく把握し、必要な行動を選択できるためです。たとえば、取引先の担当者が変わった場合でも、相手に合わせた柔軟な対応ができます。状況の変化が起こりやすい業務の遂行にも適しています。

協調性が高い

メタ認知力の高い人は、相手との距離感を適切に図れる傾向にあります。そのため、協調性が高く、チームでの活動を円滑に進めることができます。また、リーダーにも向いており、自分のことだけではなく、全体をまとめて組織的に動くことも得意です。チームとして事業を行う場合には、メタ認知力の高い人物が欠かせません。

メタ認知力が低い人の特徴 

メタ認知力が低い人は、自己中心的になりやすいため気をつけましょう。客観的に物事を判断できず、自分を優先してしまうためです。また、主観的に物事を見てしまう結果、冷静な判断ができず、自己肯定感が下がる可能性もあります。

感情的になりやすい

メタ認知力が低い場合、感情的になってしまう傾向があります。客観的な判断ができず、自分の感情や考えを優先してしまうためです。たとえば、相手の言っていることが正しい場合でも、納得ができず、感情的に言い返してしまう場合が考えられます。業務中でも、指摘された内容に反論してしまう可能性があるため、注意しましょう。

自己中心的な傾向がある

自己中心的な傾向があるのも、メタ認知力が低い人の特徴です。自分が正しいと思い込み、相手に自分の考えを押し付けてしまう可能性があります。たとえば、具体的な理由や根拠を示さず、自分の考えだけで話す人は、メタ認知力が低い人です。客観的な判断や意見を取り入れることができないため、自己中心的になってしまいます。

自己肯定感が低い

客観的な判断ができないことで、自己肯定感が低くなる場合もあります。自分の考えや感情で思い込みが激しくなってしまうためです。自己肯定感が低くなると、成果をあげても満足できなかったり、成功体験が積めない可能性も生まれます。その場合、仕事のモチベーションが低下してしまう可能性があります。

メタ認知力のトレーニング法 

メタ認知力は、トレーニングを行うことで鍛えることができます。メタ認知力のトレーニングには、以下のような方法があります。

セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自分自身を客観視し、改善を図ることです。自分が考えていることや行動を分析し、短所を長所に変えます。たとえば、感情的になってしまう人は、感情的になる理由や原因を分析し、一つずつ修正していきましょう。このように、セルフモニタリングは自分の行動を振り返ることで客観的な判断を成長させるトレーニングを指します。

コントロール

コントロールとは、セルフモニタリングで収集した情報をもとに、実際に対処を行うことを指します。そのため、セルフモニタリングを先に実施しておきましょう。たとえば、セルフモニタリングを行うことで、自分が人の話を聞いていないことが判明したとします。この場合は、まずは話を聞くところからはじめ、徐々に改善していくことが必要です。このように、セルフモニタリングの結果から、具体的な改善を行うことがコントロールです。メタ認知力を高めるためには、セルフモニタリングとコントロールを繰り返します。

コーチングを受ける

コーチングとは、第三者から自分の行動に対する指摘を受けることです。自分では気づいていない改善点や、自分の特徴を教えてもらえるメリットがあります。自分を客観的に見ることは難しく、最初から完璧にできるわけではありません。第三者の意見を取り入れ、自分を客観視するきっかけにしましょう。

ライティングセラピー

ライティングセラピーとは、自分の課題や悩みを書き出し、客観的に見る方法です。10分から20分かけて、考えていることをすべて紙に書き出します。ポイントとしては、自分が思っていることを正直に、ためらわずに書き出すことです。考えや感情を表に出すことで整理され、冷静に判断できるメリットがあります。

まとめ

メタ認知力は、自分を客観視するための力です。メタ認知力が高い従業員は、冷静な判断ができたり、協調性が高かったりと、業務によい影響を与えることができます。また、メタ認知力はトレーニングで向上させることが可能です。メタ認知力が低い従業員には、繰り返しトレーニングを行うようにしましょう。客観的に自分を見ることは、実生活にも業務にも効果的です。従業員が積極的にメタ認知力を高めることができるように、サポートを行いましょう。