このページのまとめ

  • LMSとは教育や研修が行える学習管理システムのこと
  • LMSは管理者の負担軽減や学習効率を高めるメリットがある
  • LMSの種類は豊富なため、事前に運用目的を定めることが大切

従業員の学習や研修を効率化させるシステムとして、LMSを導入する企業が増えています。LMSを導入することで、従業員の学習状況が一元化できるようになります。LMSと似た言葉に、オンライン学習を可能にするシステムである「e-ラーニング」がありますが、LMSと何が違うのでしょうか。このコラムでは、LMSとe-ラーニングの違いや、LMSを導入するメリットについて解説します。

LMSとは

LMSとは、「Learning Management System」の略称であり、従業員の研修などで用いられる学習管理システムのことです。インターネットを使用して学習する「e-ラーニング」のもとになるシステムでもあり、従業員が授業を受ける機能や、従業員の学習機能を管理する機能が使用できます。

e-ラーニングとの違い

e-ラーニングとは、インターネットを使用して学習を行うシステムのことです。スマートフォンやパソコンを用い、どこでも学習できるメリットがあります。
LMSとの違いは、管理機能の有無です。e-ラーニングは学習システムであり、管理機能は含まれていません。一方で、LMSでは学習システムと管理システムが複合しています。つまり、LMSはe-ラーニングと管理機能の両方を持ち合わせたシステムなのです。

LMSに備わる機能

LMSは学習と学習管理を同時に行えるシステムです。どのような機能が備わっているか、知っておきましょう。

受講者の管理

LMSを使用すると、受講者を一括で管理できます。そのため、従業員が多くても管理が簡単です。たとえば、従業員の入社や退社にあわせて、登録と削除が簡単にできる仕組みを設けています。また、所属部署や拠点ごとのグループに分けられるため、異なる研修や教育を行いたい場合にも対応できます。

進捗の管理

従業員の学習状況を進捗管理で把握できます。そのため、管理者は、従業員が研修を受けているか、研修内容を理解できているかなどを容易に把握できるようになります。さらに、進捗状況を一覧にまとめてレポートに出力することもできるので、ほかの担当者への共有・報告も効率化できます。

成績の管理

LMSを使って、従業員にテストを受けさせることもできます。テストの成績にあわせて、今後の学習方針や使用する教材を選ぶためにも活用できます。たとえば、次世代の管理者やリーダーを育成する場合、テストの結果から優秀な人材をピックアップできます。このように、テストの結果を学習方針や経営方針に活用できるメリットがあります。

コミュニケーションツール

LMSでは、チャット機能などのコミュニケーションツールも備えています。そのため、従業員からの質問などを簡単に受け取ることができます。また、管理者や指導側から、従業員に対してメッセージを送ることもできます。遠隔での研修の場合、コミュニケーションを取りづらいため、チャット機能などを有効活用しましょう。

ライブ配信

用意された教材だけではなく、ライブ配信を届けることもできます。そのため、外部講師を呼んでのオンライン研修や、企業全体での研修も実施可能です。また、録画機能を備えたLMSも多く、ライブ内容を繰り返し視聴できます。内容を見返す場合はもちろん、次年度の研修に再度活用するなどの場合にも便利です。

LMSのメリット

LMSの導入には、以下のようなメリットがあります。

管理者の負担軽減

LMSでは、従業員の学習状況を個別で管理することができます。たとえば、従業員がテストを受けた場合、テストの採点が自動で行われます。管理者は個別での採点が不要なため、結果を見て、適切な指導方針を考えることができます。また、情報も一覧で把握できるため、膨大な資料を見比べたり、別のシステムを用いて管理したりする必要もありません。このように、LMSは管理者の負担軽減や業務の効率化を実現させることができるのです。

個別にフォローできる

LMSでは、従業員の進捗状況にあわせた個別フォローが可能です。たとえば、研修の進捗が遅れている従業員には、メッセージを送ってフォローを行います。テストの結果がふるわなかった従業員には、苦手分野を集中的に学習できる教材を送るなどのサポートをします。一人ひとりの従業員に合わせたスキルアップの支援につながるでしょう。

学習効果を高めることができる

LMSの利用は従業員の学習効果を高め、生産性を向上させます。教材が動画中心で理解しやすく、繰り返し学習できるためです。動画は視覚だけでなく聴覚でも情報を伝えられるため、学習内容のスムーズな理解につながりやすい特徴があります。また、動画の再生速度も調整できるため、自分のペースでじっくり学習することも可能です。

LMSのデメリット

LMSの導入を検討する場合は、次のような懸念点があることについても把握しておきましょう。

導入コストがかかる

LMSの導入にはコストが掛かります。コストは従業員の数に応じて金額が高くなる傾向があります。導入を行う場合は、まずは少人数での利用からスタートすることで、費用を抑えながら学習効果を検証することができます。学習効果があると判断できた場合は、少しずつ利用人数を増やしていきましょう。

管理者が必要

LMSを導入する場合、管理者が必要です。従業員の管理はもちろん、教材の選定や質疑応答、導入時のガイダンスといった業務が増加します。管理者としてふさわしい人材はいるか、負担は問題ないか確認しましょう。現状と比較し、LMSとどちらの負担が少ないか確かめてから導入を行うと、導入後の混乱を防ぐことができます。

LMSの活用事例

LMSは、主に次のような用途で活用されています。

面談の資料として使う

LMSでは従業員の受講履歴やテストの結果を確認できるため、蓄積されたデータを個人面談の資料として活用することができます。テストの結果をもとに昇給や昇格について話し合ったり、次回の面談までに学習しておくべき内容を伝えることもできるでしょう。このように、LMSは従業員の学習データを可視化して教育につなげることができるのです。

社内ポータルとして使う

LMSでは登録者全員にメッセージを一斉送信できるため、社内ポータルとして利用することもできます。たとえば、当日の周知事項を送信し、毎朝確認できる仕組みが作れます。あるいは、部署ごとで管理し、必要事項の連絡も可能です。このように、学習に必要な情報発信のツールとしても活用できます。

ライブ配信での研修に使う

LMSのライブ配信機能を使えば、リアルタイムでオンライン研修を行うことができます。たとえば、本社で行う研修の場合でも、ライブ配信を行えば支社の従業員に共有できます。また、録画機能を活用して、事前に予習してもらう際にも活用できます。その場にいない従業員でも研修が行えるため、在宅勤務の多い企業でも活用可能です。

LMS導入時のポイント 

LMSを導入する際は、運用体制や運用目的を明確にしましょう。準備しておくことで、導入後の効果を高めることができます。ここでは、LMS導入時のポイントを解説するため、参考にしてください。

運用体制を整備する

導入後にトラブルが生じても迅速に対処できるように、運用体制を整備しましょう。たとえば、誰がシステムを利用するのか、管理者には誰を任命するのかなどを決めておきます。導入後はさまざまな部署の従業員がかかわることになるため、事前に運用体制を整え、関係者に必要な情報を周知しておくことが大切です。

導入目的を決める

LMCの導入を検討する際には、システムの導入によって自社のどのような課題を解決したいのかを明確にしておきましょう。たとえば、管理業務の効率化を重視する場合は、管理者が使いやすいLMSを選びます。学習効率の向上を重視するのであれば、教材が豊富で従業員のモチベーションの維持につながりやすいLMSが必要です。LMSの種類によって実現できる内容が異なるため、導入目的を明確にし、自社の課題解決に適したLMSを選びましょう。

得られたデータをもとに分析を行う

LMSは学習管理だけではなく、分析にも活用できます。得られたデータをもとに、従業員のスキルアップ支援に役立てましょう。たとえば、学習結果が良い従業員を抜擢し、リーダーや管理者として活躍させることができます。あるいは、自社の強みや弱みを発見し、戦略に活かすこともできるでしょう。LMSは、従業員が学習するシステムとしてだけではなくデータ収集にも活用できます。

まとめ

従業員の学習や研修を効率化するために、LMSが効果的です。学習管理ができていない企業や、研修体制が整備できていない企業は、導入を検討してみると良いでしょう。また、LMSは従業員の学習だけではなく、学習結果の管理やデータ収集にも効果があります。得られた情報をもとに、面談や経営戦略に反映しましょう。導入を行う際には、運用目的と体制を明確にしておくと、スムーズな運用が可能です。研修を効率化させ、業務の効率化に役立てましょう。