このページのまとめ

  • 非上場企業とは、証券取引所に上場せず、株式売買を行わない企業
  • 非上場企業は経営が自由に行え、他社に買収されないメリットがある
  • 非上場企業は株式公開がなく、資金調達が難しい点に気を付ける

近年では、ユニコーン企業と呼ばれる企業など、非上場企業への注目が集まっています。非上場であっても企業価値が高く、優秀な企業が増加しているためです。日本では上場企業が注目されがちですが、実は、日本企業の99%以上が非上場企業に属しています。ここでは、非上場企業が注目される背景やメリットを解説します。

非上場企業とは

非上場企業とは、証券取引所に上場していない企業のことです。未上場企業と呼ばれる場合もあります。日本には、500万社以上の企業がありますが、99%の企業が非上場企業です。非上場企業が多い理由として、日本は中小企業が多い傾向にあるためです。上場を行うためには、営業利益や事業の継続性を認められる必要があり、状況が不透明な中小企業は上場基準を満たしていません。また、上場基準を満たしている企業すべてが上場しているわけではなく、あえて非上場企業を選んでいるケースもあります。

非上場企業が注目される背景

非上場企業が注目される背景には、ユニコーン企業の増加があります。ユニコーン企業とは、未上場のスタートアップ企業であり、評価額10億ドル以上が基準とされています。以前は、ユニコーン企業は珍しく、日本ではほとんどありませんでした。しかし、現在では500社を超えると言われており、投資家の注目を集めるようになっています。このように、これから上場を行う可能性があり、かつ評価の高い企業が増加したことから、非上場企業が注目を集めています。

非上場企業のメリット

非上場企業のメリットは、株主の意見に左右されず、自社の意見で経営を行えることです。上場を行うことでの変化もあるため、覚えておきましょう。ここでは、非上場企業のもつメリットを紹介します。

経営が自由に行える

非上場企業は、証券取引所に上場していません。そのため、株主の意見を取り入れることなく、自社の望む経営を行うことが可能です。近年は、経営に意見を行い、携わろうとする株主が増加しています。そのため、株主の介入を恐れて、わざと非上場企業になる企業もあります。非上場企業の場合、株主総会を開く必要もないため、自由な経営が実施可能です。

他社に買収される可能性がない

非上場企業の場合、他社に買収される可能性がありません。株式を公開しておらず、売買ができないためです。昨今では、TOBのように、敵対する勢力から買収される危険性もあります。非上場企業の場合、買収リスクがないため、安全に経営を行えます。

上場コストが不要

上場を行うためには、莫大なコストが必要です。企業独自で上場を行うことが難しく、証券会社への依頼費なども必要になるためです。加えて、上場では維持費も必要であり、監査法人への報酬など、継続的にコストが求められます。一方で、非上場企業では、上場に関するコストが不要です。そのため、上場を行うコストが維持できない場合、あえて上場を行わない企業もあります。

財務状況の報告が不要

非上場企業では、有価証券報告書のような、財務状況の報告が不要です。そのため、報告費用を抑えるメリットがあります。財務状況の報告には、人件費だけではなく、時間面でのコストも必要です。加えて、財務状況を報告する、株主総会を行うためのコストも求められます。非上場企業の場合、財務状況の報告に関するコストが不要となるメリットがあります。

非上場企業のデメリット

非上場企業の選択には、デメリットもあります。特に、社会的信用の有無は、企業にとって重要なポイントになるでしょう。ここでは、非上場企業のデメリットを解説するため、参考にしてください。

資金調達が難しい

非上場企業の場合、資金調達が難しくなります。非上場で株式を売買するためには、自社で買い手を探す必要があるためです。一方で、上場企業の場合、証券取引所に公開するため、一般の投資家と株式売買が可能です。このように、非上場企業は資金調達が難しいことを覚えておきましょう。

上場企業より社会的信用が劣る

社会的信用を比べた場合、上場企業のほうが信用されます。なぜなら、上場には証券取引所の審査が必要なためです。売上などさまざまな観点から審査を受けるため、上場基準を満たす企業は、社会的信用が高まります。また、上場企業は株式が流通しており、知名度も高まります。このように、非上場企業は上場企業よりも、社会的信用が劣る点に気を付けましょう。

従業員に対する非上場企業のアピールポイント

従業員を採用する際、非上場企業ならではのアピールポイントがあります。上場企業よりも知名度で劣る分、明確なアピールで人材を採用する必要があります。非上場企業の特徴を認識して、採用活動に反映しましょう。

新しい事に挑戦できる

非上場企業は、新しいことに挑戦しやすいメリットがあります。事業に株主の意向を反映させる必要がないためです。求職者のなかには、自分で行動を起こし、新しいチャレンジを希望する場合もあります。その際、チャレンジを肯定する企業だと伝えれば、求職者の印象も良くなるでしょう。非上場企業は自社の意向でチャレンジできるため、求職者へのアピールにつながります。

上場した場合、リターンが大きい

非上場企業も、今後上場する可能性があります。もし、ストックオプションを行っていれば、上場時に利益を獲得できるでしょう。また、非上場企業に就職し、上場企業になるまで勤めていることは、求職者自身の経験になります。このように、非上場企業は上場した場合のリターンが大きいため、アピール材料にしましょう。

長期的な仕事に取り組める

非上場企業の場合、長期的な視点で事業を行ったり、結果を求めることができます。株主がおらず、一時的な成績に惑わされないためです。多少結果が出なくても、長期的な仕事に取り組める環境があります。上場企業の場合には、結果が優先されることが多く、取り組みがすぐに変わってしまう場合もあるでしょう。長期的なプロジェクトで結果を出したい求職者には、有効なアピールポイントです。

まとめ

日本は中小企業が多いこともあり、99%以上が非上場企業です。近年では、ユニコーン企業と呼ばれるように、非上場企業でも力をつける企業が増加してきました。非上場、上場それぞれにメリットがあるため、経営者は自社の状況に応じて選択が必要です。特に、非上場企業から上場企業に変わると、自社に株主が生まれます。株主の意向で事業や経営方針を変えざるを得ない場合もあるため、上場企業を目指す場合には、十分な検討が求められます。