このページのまとめ
- KJ法とは、アイデアをまとめるブレーンストーミングの一種
- KJ法のメリットは、アイデアを可視化し、具体的に示せる点にある
- KJ法のアイデアは参加者の偏りが出るため、年齢や部署などに差を設ける
会議やミーティングを行う際には、情報の整理が重要です。アイデアを整理できれば、具体的な施策や改善点が明確になります。ビジネスの場面で役立つ情報の整理方法に、KJ法というものがあります。KJ法はアイデアを可視化でき、具体的に示せるため、活用する企業が増加しています。今回は、KJ法のメリット・デメリットや実施方法について解説します。
KJ法とは
KJ法とは、思いついたアイデアをまとめ、言語化する方法のことです。付箋などにアイデアをまとめ、グループ化することにより、データを整理します。ビジネスの場面では、ブレーンストーミングの一つとして活用されています。KJ法では、複数人でアイデアを出し合い、新しいアイデアや方法を見つけることが目的です。そのため、既存の発想にとらわれない柔軟さや、周囲に遠慮せずに意見を出すことが求められます。
そもそもブレーンストーミングとは?
ブレーンストーミングとは、集団でアイデアを出し合う方法のことです。一人でアイデアを出すには限界があり、複数人で話し合うことで、新しいアイデアが生まれるでしょう。自由に、クリエイティブな発想が重要です。ただし、何でも良いわけではなく、ルールに則ってブレーンストーミングを行う必要があります。
ブレーンストーミングの4原則
ブレーンストーミングを実施する際には、以下の4原則を守る必要があります。KJ法を行う場合にも、この4原則を守ることが重要です。
相手のアイデアを批判しない
ブレーンストーミングでは、相手のアイデアを批判しないようにしましょう。ブレーンストーミングの目的は自由にアイデアを出すことです。そのため、ときには常識では考えられないアイデアが出てくることもあるでしょう。しかし、そこで相手のアイデアを否定してしまうと、否定された相手は萎縮し、自由な発言ができなくなります。革新的なアイデアが出てこず、ブレーンストーミングが失敗に終わってしまう可能性もあるでしょう。どのようなアイデアであっても、まずは受け入れることを意識しましょう。
量を重視してアイデアを自由に出す
ブレーンストーミングではさまざまなアイデアを組み合わせて形にするため、質よりも量を重視します。さまざまな意見が出たほうが新しいアイデアの発見につながるため、思いついたことを自由に発信することが大切です。禁止事項を設けてしまうと思考が制限され、自由な発想が出てこなくなります。少し議題から逸れていても思い切って発言してほしいと伝えましょう。
途中で判断しない
ブレーンストーミングでは最後にアイデアをまとめるため、途中で判断を下さないようにしましょう。途中で方向性を決めてしまうと、アイデアの偏りが生まれやすくなります。
アイデアを出している段階では、ほかの人のアイデアに意見を出さないようにしましょう。
KJ法の進め方
この項目では、「人材採用を成功させる方法」というテーマに沿ってKJ法の進め方を解説していきます。
アイデアを紙や付箋に記入する
まずは、アイデアを出すことから始めましょう。参加者は各自、思いついたアイデアを付箋などに記入します。「人材採用を成功させる方法」というテーマに沿って、「リファレンス採用を行う」「採用コストを増やす」「企業の動画チャンネルを開設する」などのアイデアを書き出します。
「新卒の給料を100倍にする」のような実現が難しいアイデアが出てきても否定してはいけません。まずは思いついたアイデアを自由に出しましょう。
アイデアをカテゴリに分類する
アイデアを出し終わったら、出てきたアイデアをカテゴリ別に分類しましょう。人材採用であれば、新卒採用・中途採用・説明会などのカテゴリ分けをします。まずは関連性のあるアイデア同士をまとめてみましょう。
カテゴリをさらに大きなグループにまとめる
次に、カテゴリをさらに大きなグループとしてまとめます。たとえば、新卒採用と中途採用のグループは「雇用形態」としてまとめることができます。給料と有給のカテゴリがあれば、「福利厚生」としてまとめてしまうこともできるでしょう。アイデアやカテゴリをまとめる際の決まりは特にありません。参加者が良いと思ったネーミングを付けましょう。
グループの関係性を見つけ出す
グループ化ができたら、カテゴリやグループごとの関係性を見つけ出し、図解化しましょう。
KJ法の場合は、因果や相互、対立、原因、結果などでまとめる場合が一般的です。たとえば、「大量に採用する」「優秀な人材を1人だけ採用する」という2つのアイデアは「対立」と考えることができます。このように、グループの関係性を見つけ出して図解化してみましょう。
全体を文章化する
最後に、図解化した関係性を文章にしましょう。全体の文章化が難しい場合、グループごとに文章化しても問題ありません。文章化によって、どのようなアイデアが良かったか、何をすると良いのかが分かりやすくなります。文章をもとに、解決策などを話し合うことがKJ法に必要な作業です。
KJ法のメリット
KJ法の主なメリットは次のとおりです。
アイデアが可視化できる
KJ法ではアイデアを紙に書いて発表するため、発表された内容を可視化できます。口頭のみの発表の場合、どのようなアイデアが出たのか分からなくなったり、アイデアをまとめるのが難しくなったりするかもしれません。一つひとつのアイデアを可視化できるのがKJ法の大きなメリットです。
アイデアを論理的にまとめられる
KJ法では、参加者が出したアイデアを論理的に整理することができます。はじめは自由にアイデアを出すことが大切ですが、それだけで終わりにしてしまうとせっかくのアイデアを形にすることができません。KJ法を用いることで、どのようなカテゴリのアイデアが集まったのかがより分かりやすくなります。
課題を発見できる
KJ法では意見がまったく異なるアイデアが出ることもあります。方向性の異なるさまざまなアイデアに触れることで、重要な課題に気づけるケースがあります。
たとえば、「20代がメインユーザーの転職サイトに新しく求人を掲載する」というアイデアに対して、「今年度の採用コストはすでに決定しているため、予算内で求人の掲載先を精査する」というアイデアが出たとします。予算に関する意見が出たことで、「予算内でできる施策を考える」という重要な課題に気づくことができるでしょう。このように、見落としがちな重要ポイントを発見できることもKJ法のメリットの一つです。
KJ法のデメリット
多くのメリットがあるKJ法ですが、考えられる懸念点についてもあわせて押さえておきましょう。
生まれるアイデアは参加者次第
KJ法で生まれるアイデアは、参加者の知識や経験の域を出ません。
たとえば、参加者が営業部しかいない場合と、事務や人事、営業などさまざまな部署が集まった場合では、出てくるアイデアの内容が変わります。同じ属性を持った参加者ばかりが集まると、思いつくアイデアが偏ってしまう可能性があります。さまざまなアイデアが生まれるように、幅広い部署・役職・年齢の従業員を集めることがポイントです。
結論が出るまで時間がかかる
KJ法はアイデア出しから文章化まで、時間がかかります。アイデアが多くなればなるほど、まとめる作業にも時間が掛かることを覚えておきましょう。時間を短く設定してしまうと十分なアイデアが出なかったり、アイデアを整理する時間が取れなかったりします。そうなるとKJ法の効果が発揮されなくなってしまうため、KJ法を実施する際には十分な時間を確保しましょう。
まとめ
KJ法はブレーンストーミングの一種であり、新しいアイデアを出す方法として効果的です。まずはアイデアを自由に出してもらい、出そろったアイデアを整理して企画に落とし込みましょう。「十分な時間を確保すること」「自由にアイデアを出してもらうこと」「部署・役職・年齢など、属性の異なる従業員を集めること」の3点を押さえてKJ法を実施すれば、画期的なアイデアが生まれるかもしれません。