このページのまとめ
- アンラーニングとは、不要な知識を捨てて新たな知識を取り入れる学習方法のこと
- アンラーニングを行うことでスキルアップや業務の効率化が期待できる
- アンラーニングでは、「成長のために不要な知識を手放す」という意識が大切
従業員を成長させる方法として、アンラーニングがあります。従来の学習とは異なり、持っている知識を一度捨てる方法です。古い知識を捨て、新しいアイデアを取り込みやすくする目的で利用されています。今回は、アンラーニングを導入するメリットや実施手順について解説します。組織に新しい変化を取り入れたいと考えている方は参考にしてみてください。
アンラーニングとは
アンラーニングとは、自分が持っている知識を捨て、新しい知識を学び直すことです。学習棄却とも呼ばれます。社会の変化や新しい出来事に対応するためには、新しい考え方が必要です。その際、昔の考え方が邪魔になってしまうと考え、知識を入れ替えることがアンラーニングです。
アンラーニングが必要な理由
アンラーニングが必要な理由は、新しい知識を取り入れ、従業員と組織の成長を促進するためです。成長には新しい知識や考え方が必要です。古い考え方を残していては、新しい知識を取り入れることに抵抗感が生じる可能性があります。古くなった知識を思い切って手放すことで、新たなチャレンジができるようになるのです。
リスキリングとの違い
リスキリングとは、社会変化や組織の変化に対応するために新しい知識を習得する・させることを指します。
アンラーニングとの違いは、持っている知識を忘れる必要がない点です。リスキリングは、社会の変化に対応するために新しい知識を覚えることが目的です。古い知識を忘れようとするアンラーニングとは、既存知識の扱い方が違うといえます。
参照元:経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」
アンラーニング導入のメリット
アンラーニング導入にあたって、どのようなメリットがあるかを知っておきましょう。ここでは、アンラーニングの導入で期待できるメリットを3つ紹介します。
業務の効率化
アンラーニングで新しい知識を取り入れることにより、業務の効率化が期待できます。
既存のルールを変えることに対して、「これまで問題なく運用していたルールを変える必要はない」と考える従業員がいるかもしれません。しかし、これまで問題なく運用していたルールでも、既存の枠組みを外してゼロからルールを考えることでより良い運用体制が生まれる可能性があります。
ルールの見直しができれば、さらなる業務の効率化にもつながるでしょう。
従業員のスキルアップ
新しい知識を増やすことは、従業員のスキルアップにつながります。
これまでのやり方に固執していると、新しい知識を学んだりチャレンジしたりする機会がなくなってしまいます。アンラーニングで一度身に付けた知識を手放すことを決めれば、新しい情報を取り入れようとする気持ちが生まれるはずです。
アンラーニング導入時の注意点
アンラーニングを導入する際には、以下の点に注意しましょう。
チーム全体で行う
アンラーニングを実施する際は、チーム全体で行うようにしましょう。
一人の従業員のみがアンラーニングで業務への取り組み方を変えた場合、考え方の違いによってほかの従業員とトラブルになる可能性があります。周りのメンバーと業務の進め方を統一するために、チーム全体で実施しましょう。
モチベーション低下
これまでの考え方を大きく変えることにより、従業員のモチベーションが下がってしまう可能性があります。アンラーニングで新しいことを取り入れた場合、慣れるまでは効率が悪くなったり、失敗してしまう可能性があります。成果が出ないとモチベーションは下がりやすくなるため注意しましょう。
反省を行わない
アンラーニングで既存の知識を捨てる際に、自分は必要のない知識を覚えてしまったと反省してしまうケースがあります。しかし、アンラーニングで捨てる知識は、不要な知識ではありません。あくまでも、新しい知識を覚えるため、固定概念をなくすためだと意識させるようにしましょう。アンラーニングは、成長のために実施する前向きな取り組みであることを伝えるようにしましょう。
アンラーニングの実施手順
最後に、アンラーニングの実施手順を紹介します。代表的な実施手順は次のとおりです。
必要な知識を整理する
まずは、自分の持つ知識や経験を振り返り、新しいものと古いものに分類します。
一つひとつの知識と経験を時間をかけて分類することが大切です。自分が必要だと思っていても、業務では使わない知識は不要になります。一方で、自分が不要だと思う知識でも、これから取り組む業務に活かせるケースがあるでしょう。分類作業は難しいため、周囲がサポートしながら時間をかけて整理しましょう。
新しい知識を習得する
不要な知識を捨てたら、新しい知識を習得しましょう。
研修に参加したり、本を読んだりして知識を取り入れます。
職場外の交流会に参加し、普段はあまり関わることのない人からの話を聞くのも良いでしょう。
フィードバックを行う
アンラーニングでは、覚えた知識に対するフィードバックを実施しましょう。
新しい知識を学んでも、正しく理解して実践できなければ意味がありません。新しい知識をどの程度理解しているか、実務でどの程度活用できているかを確認する機会を設けて、従業員同士でフィードバックを行いましょう。
まとめ
アンラーニングは、企業が新しいステージに進むために重要な学習方法です。これまで常識としてきた知識やルールを一度に捨て切るのは難しいため、時間をかけて繰り返しチャレンジすることが大切です。新しい知識を取り入れて組織を成長させていくために活用すると良いでしょう。