このページのまとめ

  • 適材適所とは、従業員の適性を活かせる部署に配属させること
  • 適材適所のメリットには、従業員のモチベーションの向上や成果向上などがある
  • 適材適所を成功させるためには、従業員の能力や配置希望を確認しておくことが重要

企業が成果を出すためには、従業員を適材適所に配置することが重要です。一人ひとりの適性に合った業務を用意することで、従業員がより高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。今回は、適材適所の人材配置を行うためのポイントや、具体的な実施内容について解説します。従業員の能力を最大限に活かすための参考にしてみてください。

ビジネスでの適材適所とは

適材適所とは、従業員の能力を把握し、力を発揮できる業務や役割を任せることです。従業員のパフォーマンスを向上させるためには、企業が適切な労働環境を用意し、サポートを行うことが大切です。また、従業員のモチベーションを向上させるためにも、適材適所での人材配置が求められています。

適材適所が必要な理由 

適材適所が重要視される理由には、次のようなものがあります。

社会環境の変化

グローバル化やデジタル技術の進化により、社会環境が大きく変化しています。
社会の変化に柔軟に対応するためにも、適材適所の人材配置によって競合優位性を高めていくことが必要です。従業員一人ひとりの得意分野を上手く組み合わせ、企業の発展につなげていきましょう。

人材不足

少子高齢化による人材不足も、適材適所が求められる理由のひとつです。
従業員の適性に合わない業務を任せることで生産性が下がるだけでなく、離職者の増加でさらなる人員不足が生じる可能性があります。
適材適所の人材配置は、限られた人員で効率的に生産性を上げるために非常に重要です。

適材適所を実施するメリット 

適材適所の人材配置を行うメリットには、次のようなものがあります。

生産性が向上する

従業員の得意分野を活かした人材配置を行うことで、業務全体の生産性が向上します。
生産性が向上すれば、業務の効率化によってさまざまなコストの削減が期待できるでしょう。
成果を出すためには、苦手分野の克服に力を入れるよりも、得意分野を伸ばしてもらうほうが効果的です。

従業員の定着率向上

適材適所の人材配置は従業員のモチベーションを高め、定着率を向上させることにつながります。
得意分野を仕事に活かすことで成果が出やすくなり、周囲に認められることで「もっと頑張ろう」というやる気が湧いてきます。
働くモチベーションは従業員の離職率に大きく影響するため、採用コストの軽減が期待できます。

適材適所のデメリット

適材適所の人材配置にはメリットが多い一方で、懸念点もあります。
主な懸念点は以下のとおりです。

ポテンシャルを引き出せない可能性がある

適材適所の人材配置では、従業員の能力や実績などを参考に配属先を決めます。
そのため、本人や周囲が適性を感じていない業務にチャレンジさせることが少なくなり、思わぬ適性を見つける機会を逃してしまう可能性があります。

従業員の希望と適性の不一致が起こる可能性がある

従業員の能力を基準に配属先を決めた結果、配属先が従業員の希望に反しているケースがあります。
たとえば、人事部への配属を希望している従業員に対して、「営業のほうが適性がありそうだから営業部に配属する」という決定をしたとします。すると、営業で結果は出せるかもしれませんが、従業員の不満が募り、離職につながってしまう可能性があります。

適材適所の人材配置を行う際には、従業員の能力と希望の2つを考慮して配属先を調整することが大切です。従業員の希望をすべて反映できない場合でも、配属先について事前に従業員と話し合い、双方が納得した状態で配属先を決定する必要があります。

適材適所を実施するために必要なこと 

適材適所の人材配置を行うために、企業は次のポイントを押さえて行動しましょう。

従業員の能力を把握する

まずは、従業員の能力を把握しましょう。
具体的には、従業員が所持しているスキル・長所短所・これまでの業務での実績などを確認します。
現時点での能力と実績を把握し、どのような業務を任せるべきかを考えてみましょう。

現状の課題を整理する

適材適所の人材配置を行うにあたり、特定の配属先で生じている課題を整理しましょう。
業績を伸ばすためには、目に見える成果を上げるだけでなく、リスクを未然に防ぐ「課題解決能力」も必要です。特定の部署や業務が抱えている問題を解決する能力についても見極めたうえで人材配置を行うと良いでしょう。

従業員の希望を確認する

従業員それぞれの能力を把握できたら、従業員の希望についても確認しましょう。
能力のみで配属先を決めると、従業員のモチベーションが低下してしまう可能性があります。
従業員の能力と希望の両方を踏まえて配属先を決めることで、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。

適材適所のための施策 

ここでは、従業員のスキルの把握や新しいスキルの獲得に効果的な施策を5つ紹介します。

適性検査

従業員のスキルを把握するためには、適性検査が便利です。
スキルだけではなく、性格やストレス耐性もあわせて調査できるでしょう。
主観的な判断ではなく、適性検査のデータをもとに適性を判断できることがメリットです。

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは部署異動を通してさまざまな業務を経験させることです。
ひととおりの業務にチャレンジさせることで、どのような業務に適性があるのかを探ります。
従業員自身も、適性がないと認識していた業務に取り組んでみることで、思わぬポテンシャルに気づくことができるかもしれません。

従業員の情報をデータベース化する

従業員の「スキル」「長所・短所」「経験」などをデータベース化しておくと、適材適所の人材配置に役立ちます。特に、従業員の人数が増えてくると一人ひとりの適性を把握しにくくなります。
従業員の能力を埋もれさせず、必要な能力をもった従業員をすぐに見つけられるように、データベースで情報を管理するのがおすすめです。

副業の解禁

副業を解禁することで、副業で得た知識やスキルを本業に活かせる機会が増えるでしょう。
たとえば、副業先の会社でリーダー経験を積み、自社でもリーダーとして活躍できるケースもあります。また、接客販売のアルバイトを通して営業への適性に気づけることもあるかもしれません。
経験の幅が広がれば、従業員の能力を活かせる機会が広がるでしょう。

適材適所を実施した企業事例 

適材適所の人材配置を実施した企業例をいくつか紹介します。

社内公募の実施

社内公募を実施し、従業員の希望をベースに適材適所を行った企業があります。
この企業では、社内で求人を出し、従業員が自由に立候補できる制度を導入しました。
立候補の際は、上司に許可を得る必要はありません。
自発的に手を挙げることで希望のキャリアを形成できることから、従業員のモチベーションの向上につながっています。

ジョブローテーションの実施

適材適所の人材配置に向けて、新入社員のジョブローテーションを実施している企業もあります。
この企業では、入社後3年間はジョブローテーションを行い、企業の基礎となる業務を経験します。
3年間のジョブローテーションを通じて、従業員が自分に適した業務内容やキャリアを考える機会を与えています。

人事評価の一元管理の実施

ある企業では、従業員の人事評価を一元管理し、グループ全体で適材適所の人員配置を実施しています。
この企業では、人事評価の運用方法がグループごとにバラバラになっていることが課題でした。
そこで従業員の人事評価をグループ全体で一元管理したところ、従業員の能力に応じた人材配置ができるようになりました。さらに、人事評価に対する従業員の納得感が強くなり、円滑な組織運営を実現させています。

まとめ

人材を有効活用するためには、適材適所の人材配置が大切です。
従業員の能力やキャリアの希望などを踏まえて、従業員のモチベーションとパフォーマンスの向上につながる人材配置を行いましょう。従業員の能力を把握するためにデータベースを活用したり、ポテンシャルを引き出すために副業を解禁したりするのが効果的です。