このページのまとめ
- 成果主義とは、業務のプロセスや結果をもとに評価する方法
- 成果主義の導入により、従業員のモチベーションや生産性の向上が期待できる
- 成果主義を導入する際には、従業員が自分の成果だけを優先しないように注意する
年功序列に変わる評価制度として、成果主義を導入する企業が増加しています。成果主義の導入により、従業員を正当に評価でき、業績向上にもつながるためです。ただし、成果主義は運用を間違えてしまうと、成果が下がったり、組織の状況が悪化してしまったりする可能性もあります。そこで今回は、成果主義のメリットや、導入した企業の事例を紹介します。トラブルなく導入できるように、参考にしてください。
成果主義とは
成果主義とは、成果を基準に従業員を評価する制度のことです。
年齢や勤続年数にかかわらず、成果を出した分だけ高く評価されます。
成果を上げた従業員に適切な評価を与える方法といえるでしょう。
年功序列との違い
成果主義と比較されやすいものに、年功序列があります。
年功序列とは、年齢や勤続年数に応じて給与や役職が上がっていく制度のことです。
年功序列を採用している企業の場合、若手従業員は成果を出していても成果に見合った評価を受けにくい傾向があります。
現代では評価制度の見直しが進み、年功序列から成果主義・能力主義に移行する企業が増えています。
能力主義との違い
成果主義と混同されやすい言葉に、能力主義があります。
能力主義とは、従業員の成果だけでなく、成果を出すまでのプロセスも含めて評価する考え方です。
成果主義は「結果を評価する考え方」、能力主義は「結果とプロセスの両方を評価する考え方」と覚えておくと良いでしょう。
成果主義のメリット
成果主義の導入には、次のようなメリットがあります。
従業員のモチベーション向上
成果が正当に評価されることで、従業員のモチベーション向上が期待できます。
いくら成果を上げても評価されない環境では、「頑張っても意味がない」と感じてしまう従業員もいるでしょう。頑張った分だけ評価する仕組みを設けることで、従業員の仕事に対するモチベーションと生産性の向上につながります。
人件費の適正化につながる
成果主義を導入することで、人件費の適正化を図れるメリットがあります。
「成果に対して給与が高すぎる従業員」や「成果に対して給与が低すぎる従業員」の給与を見直すことで、成果に見合った給与を支給できるようになります。
なかでも、成果が出ていない従業員への給与の払い過ぎをなくすことで、人件費が削減できる可能性があります。
優秀な人材が集まりやすくなる
成果を出した分だけ評価される環境を整えることで、優秀な人材が集まりやすくなります。
成果を出さないと評価されないという危機感があるため、責任感をもって仕事に取り組んでもらいやすいこともメリットです。
成果主義のデメリット
成果主義の導入には、以下のような懸念点があることも押さえておきましょう。
デメリットになりうる点は以下のとおりです。
評価基準が設定しにくい場合がある
成果主義を導入する場合、すべての従業員が納得できる評価基準を定める必要があります。
営業職の場合は、「契約件数」「売上金額」などを評価基準とすることで成果が可視化しやすくなるでしょう。ただし、総務や労務のように定量的な評価がしにくい職種については、評価基準の設定が難航するケースがあります。
定量的な評価基準を設定するのが難しい場合でも、時間をかけて全員が納得できる評価基準を決めることが大切です。
評価者の負担が増加する
成果主義では、一人の従業員に対してさまざまな角度から評価するケースが多く、評価者の負担が重くなる傾向があります。
年功序列であれば、年齢や勤続年数などの一律の基準で従業員を評価できるでしょう。
しかし、成果主義の場合は「プレイヤーとしての貢献度」「管理職としての貢献度」「チームとしての貢献度」など、さまざまな観点からの評価が必要になるケースがあります。
評価基準を定めることはもちろん、実際に評価を行う際の負担も大きくなることに留意しましょう。
協調性が失われる可能性がある
個人の成果ばかりを追い求めすぎると、従業員の協調性が失われてしまう可能性があります。
自分の目標達成のために仲間が困っていても助けようとしなかったり、同僚の足を引っ張ろうとしたりする従業員が出てくるかもしれません。
チームワークが損なわれないように、チームにおける貢献度も評価基準に入れると良いでしょう。
目先の成果にとらわれやすい
成果主義の場合、従業員が短期的な成果を出すことに固執していないかに注意しましょう。
目先の目標を考えることも大切ですが、中長期的な戦略を立てずに行動しつづけると、数年後に成果が出せなくなってしまうリスクがあります。
従業員が中長期的に成長できるように、目標を達成させるための戦略や行動計画についても評価に入れることをおすすめします。
成果主義の成功事例
ここでは、成果主義を導入した企業の成功事例を3つ紹介します。
自社で成果主義を導入する際の参考にしてみてください。
役割に応じた評価制度を設けたA社
A企業では、「評価のしにくさ」を改善するために、職種や役職ごとの等級制度を導入しました。
たとえば、研究職は成果が出るまで数年近くかかることが多く、成果主義では不当な評価を受けがちでした。そこで、研究職については研究のプロセスも評価対象に含めることを決め、公平な評価制度の実現に成功しています。
評価基準を明確にしたB社
B社では、従業員に成果主義の導入を受け入れてもらうための取り組みを行いました。
成果主義での評価基準を従業員に公表し、評価基準の内容についてのヒアリングを実施しました。
その結果、成果主義の導入が従業員に受け入れられ、売上の向上に結びついています。
挑戦できる環境を整えたC社
成果を出せる環境を整備し、成功した企業もあります。
この企業では、人材育成に関する複数の制度を導入し、従業員の成長をサポートしました。
担当業務の知識やスキルを磨くためのサポートはもちろん、関心のある業務に積極的にチャレンジさせる取り組みも行っています。
その結果、成果を出すために積極的にスキルアップに努める風土が根付き、従業員の成長を促しています。
成果主義を導入する際のポイント
ここでは、成果基準導入に向けてのポイントを紹介します。主なポイントは次のとおりです。
評価基準を明確にする
成果主義を導入する際には、評価基準を明確にしましょう。
職種や役職ごとに明確な評価基準を定めることが大切です。
営業職の場合は「売上金額」や「契約件数」などを評価基準にできるでしょう。
管理職であれば、部下の成長度合いやチームの達成状況などを評価基準にできそうです。
また、評価基準とあわせて個人目標を設定する場合は、一人ひとりのレベルに合わせた目標を設定することが大切です。特に、目標設定が低すぎると最大限のパフォーマンスが発揮されない可能性があるため、頑張れば手が届くレベルの目標を設定すると良いでしょう。
成果が出ていない従業員へのフォローを行う
成果が出ていない従業員に対するフォローを忘れずに行いましょう。
成果が出ていない従業員は精神的に追い込まれ、ますます思うようなパフォーマンスが発揮できなくなってしまうことがあるかもしれません。
従業員が前向きな気持ちで仕事に取り組めるように、メンタル面のフォローも欠かさずに行うことが大切です。
チームへの貢献も評価に入れる
成果主義では従業員が個人プレーに走りやすくなるため、個人の貢献度だけでなくチームへの貢献度も評価基準に入れると良いでしょう。
実際に、評価基準を個人の成績のみに設定したことでチームワークが乱れ、チーム全体の成績が下がってしまった企業もあります。
同じチームの従業員が足を引っ張り合うことがないように、個人の成績とチームの成績の両方をバランス良く評価に取り入れるのがおすすめです。
まとめ
今回は成果主義について解説しました。
成果主義を導入する際には、従業員が納得できる明確な評価基準を設けることが非常に大切です。
また、チームワークが乱れないように、個人の成果とあわせてチームへの貢献度も評価に入れると良いでしょう。明確な評価基準のもとで成果主義を導入することで、企業全体の生産性向上につながります。