このページのまとめ

  • ファシリテーションとは、議論や会議を円滑に進めるスキルのこと
  • ファシリテーションにより、活発な意見交換が期待できる
  • ファシリテーションでは、進行役が公平な立場でいることが重要

会議を円滑に進めるためには、ファシリテーションのスキルを持つ人物が必要です。ファシリテーションとは、時間内に会議の目的を達成できるようにサポートするスキルを指します。今回は、ファシリテーションに必要なスキルや、ファシリテーターとして会議を進める手順について解説します。「会議を効率的に進める方法が知りたい」という企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ファシリテーションとは

ファシリテーションとは、会議を滞りなく進行させるためのスキルのことです。
まだ発言していない人物に発言を促したり、脱線した話を元に戻したりするスキルが必要になります。
会議をスムーズに進めるためには、ファシリテーターと呼ばれる人物が必要です。
ファシリテーターが会議の進行を管理することで、限られた時間で会議の目的を達成させることができます。そのため、ファシリテーターには時間を管理しながら会議をゴールに導くスキルが求められます。

ファシリテーションスキルに含まれるもの

ファシリテーションスキルには、具体的に次のようなスキルが含まれます。

時間を管理するスキル

限られた時間で会議を進めるために、時間管理のスキルが求められます。
会議の時間が1時間の場合、「冒頭の5分間で会議の概要を説明する」「前半の20分間で参加者に意見を出してもらい、後半の20分で意見を2~3つに絞ってもらう」「15分間は話し合いが長引いたときの予備時間として確保しておく」などのように、時間配分を決めておくことが大切です。

参加者の意見を引き出すスキル

参加者が遠慮なく意見を出せるように、発言していない人物に意見を求めるスキルも必要です。
周りに遠慮してなかなか発言できない参加者がいれば、「●●さんはどう思いますか?」と発言を促しましょう。
全体の状況を見ながら、参加者全員に発言の機会を与えることが重要です。

情報を整理するスキル

参加者の意見をまとめるためには、情報を整理するスキルが重要です。
3人の発言者が同じ意見を述べていた場合は1つの意見としてまとめ、大枠の意見は同じだけど一部の意見が異なる場合は「どの部分が同じでどの部分が異なるのか」を整理する必要があります。
会議を通して一つの結論を導くためには、参加者の発言内容を正しく理解し、同じ意見と違う意見を区別する能力が必要です。

ファシリテーションスキルを習得するメリット

ファシリテーションのスキルを鍛えるメリットには、次のようなものがあります。

より多くの意見が出せる

発言していない参加者に発言を促すことで、より多くの意見を引き出せるようになります。
発言者が偏っている状況や若手社員が発言しにくい状況では、出てくる意見の数も内容も似通ったものになってしまうでしょう。
参加者一人ひとりに発言の機会を与えることでさまざまな意見が集まりやすくなり、その分だけ選択肢も増えます。質の高いアイデアを生み出すためにも、参加者が活発に意見を出せるように配慮することが非常に重要です。

会議の時間を有効に使える

会議の時間や内容を管理できるようになると、無駄な会議を減らせます。
議題と関係のない話に多くの時間を割いている場合は、会議の時間を短縮できるでしょう。
また、時間が足りなくて意見がまとまらなくなってしまう場合は、結論をまとめる時間を早めに設けることで解決できるかもしれません。
時間内に必要な意見をまとめることができれば、業務時間を有効活用できるようになるでしょう。

会議でファシリテーションを行う手順

ここでは、ファシリテーターが会議を進行する際の手順を説明します。

話しやすい雰囲気をつくる

参加者が集まったら、まず話しやすい雰囲気をつくることが大切です。
雑談を交えたり、「まずは意見を出すことが大切なので、どんな意見でも気にせず発言してくださいね」と伝えたりすることで、参加者がリラックスして会議に臨めるようになるでしょう。

会議のゴールを伝える

効果的なファシリテーションのためには、会議のゴールを決めておくことが重要です。どのような目的で会議を行い、何を話し合うべきなのか明確にしておきましょう。ゴールが決まっていないと、内容がブレてしまったり、参加者が会議の目的を理解しないまま話がすすんでしまいます。会議の目的を理解せずに参加している従業員もいるため、会議のゴールを最初に決めておきましょう。

参加者の意見を引き出す

会議がスタートしたら、まずは参加者に多くの意見を出してもらいます。
長らく発言していない参加者がいたら、「●●さんはいかがですか?」と話を振ってみましょう。
緊張して適切な言葉が浮かんでこなくなっている参加者がいれば、「●●ということですか?」「●●さんの意見は××という内容で問題ないでしょうか?」とサポートしてあげることも大切です。
参加者全員が発言できるように、全体の状況を確認しながら柔軟なサポートを行いましょう。

意見を整理する

意見が出そろったら、意見を整理する時間を設けましょう。
「みなさんの意見をまとめると、現時点でA・B・C・Dの4つの意見が出ています」のように、意見を整理して伝えます。そのうえで、「今から約20分かけて、4つの意見を2つに絞ってください」のように、次に行うべきアクションを伝えましょう。

結論を出す

最後に、会議で決まった結論を伝えます。
「今回の会議で決まったこと」だけでなく、「さらに議論が必要なこと」がある場合はあわせて伝えましょう。結論がまとまらなかった場合でも、次の会議で決めるべきことをしっかり提示することが重要です。

効果的なファシリテーションのコツ 

ここでは、会議をスムーズに進めるためのファシリテーションのポイントを紹介します。

時間配分を意識する

ファシリテーターがタイムキーパーを兼任する場合は、時間配分に気を配りましょう。
参加者は議論が白熱すると時間を忘れてしまう可能性があるため、「意見発表に15分」「意見をまとめるのに20分」のように大枠の時間配分を決めておくと安心です。
ある程度の時間配分を決めておけば、「時間内に意見がまとまらなかった」という事態を避けることができるでしょう。

公平な立場を維持する

ファシリテーションでは、公平な立場を維持することが大切です。
特定の人物だけに話を聞いたり、意図的に話を誘導したりしてしまうと、会議の意味がなくなってしまいます。ファシリテーターは、あくまでも参加者の発言をサポートしたり、意見をまとめたりすることに徹しましょう。

参加者の発言を否定しない

参加者の意見を否定しないことも非常に重要なポイントです。
ファシリテーターの役割は、自分の意見を述べることではなく、会議が円滑に進むようにサポートすることです。参加者が遠慮なく意見を出せるように、発言しやすい環境をつくることを心がけましょう。

まとめ

会議を滞りなく進めるためには、ファシリテーションのスキルが重要です。会議の進行役としてファシリテーターに任命された従業員は、「時間配分を意識する」「参加者が発言しやすい環境をつくる」「意見をまとめて結論を出す」などの役割を押さえて会議を進行しましょう。従業員のファシリテーションスキルを向上させるために、社内で勉強会や研修などを実施してみると良いでしょう。