このページのまとめ

  • パルスサーベイとは、従業員の意見を定期的に確認するためのアンケートのこと
  • パルスサーベイは、従業員満足度やメンタルヘルスの確認などに利用できる
  • パルスサーベイの実施時は、結果の分析と対策をセットで行うようにする

従業員満足度や健康状態を確認する手段として、パルスサーベイを実施する企業が増えています。パルスサーベイとは、従業員に対して定期的に行うアンケートのことです。「従業員の考えをリアルタイムで把握したい」「アンケート結果をどのように活用すればいいのか分からない」という担当者の方のために、パルスサーベイのメリットや実施方法を解説します。

パルスサーベイとは

パルスサーベイとは、従業員に実施する意識調査のことです。
5分前後で終わるアンケートに、「週1回」「月1回」のように定期的に回答してもらうことで調査します。
従業員の意見をリアルタイムで確認し、自社が抱えている課題の早期発見と従業員満足度の向上を図ることが主な目的です。

パルスサーベイの活用方法 

ここでは、パルスサーベイの具体的な活用方法を3つ紹介します。

メンタルヘルスケア

パルスサーベイの結果をもとに、従業員のメンタルヘルスケアを実施できます。
産業医や労務担当者との面談を行い、どのような原因でストレスを抱えているのかを確認します。
人間関係や仕事内容にストレスを抱えている場合は、配属先を変えることで解決できるかもしれません。
従業員がメンタルヘルスに問題を抱えている状態を放置してしまうと、休職や退職が相次ぐ要因となります。早い段階で問題の芽を摘み取り、従業員が安心して働ける環境を整えることが大切です。

オンボーディングへの活用

パルスサーベイの結果を、オンボーディングに活用することもできます。
オンボーディングとは、新しく入社した従業員が組織になじめるようにサポートする取り組みのことです。同じチームのメンバーでランチを食べに行ったり、メンターと呼ばれる相談役の従業員をつけたりすることなどが挙げられます。

パルスサーベイの実施結果をもとに、「スキル不足に悩んでいる従業員には個別教育を行う」「人間関係に悩んでいる従業員には個別面談を行う」などの対策をとることができます。

新しい制度を導入する際の参考にする

新しい制度の導入を考えているときも、パルスサーベイの実施が有効です。
「こんな制度ができてほしい」という従業員の意見を参考に、どのような制度をつくるべきかを考えられます。また、現行の制度を見直したい場合にも活用できるでしょう。
このように、パルスサーベイで集めた意見を企業運営に活かすことが可能です。

パルスサーベイを実施するメリット

パルスサーベイを実施するメリットには、次のようなものがあります。

リアルタイムで社内状況を把握できる

パルスサーベイのメリットは、リアルタイムで従業員の意見を確認できる点です。
パルスサーベイを毎日実施する企業は、1日単位で従業員の最新の意見を確認できます。
週1回のペースで実施する企業は、週単位で従業員の意見の変化を確認できるでしょう。
特に、従業員のネガティブな意見にいち早く気づいて対処できれば、さまざまなトラブルを未然に防ぐことにつながります。

低コストで調査を実施できる

低コストで実施できることも、パルスサーベイのメリットです。
アンケートの質問数が少ないため、問題作成から結果の集計までを自社で行いやすい特徴があります。アンケートを実施する労力だけでなく、外注費用を削減できることも大きなポイントです。

企業イメージの向上につながる

パルスサーベイを実施することで、「従業員を大切にしている企業」というイメージを与えられることもメリットの一つです。
従業員の意見を取り入れた企業運営やメンタルヘルス対策の実施をアピールすることで、企業のイメージアップにつながるでしょう。
企業のイメージが向上することで、「取引先との信頼関係が強くなる」「人材採用で応募者が集まりやすくなる」などのメリットを得られる可能性が高くなります。

パルスサーベイの実施手順

ここでは、パルスサーベイを実施する際の手順を説明します。主な手順は以下のとおりです。

実施目的を明確にする

まずは、パルスサーベイの実施目的を明確にしましょう。
「従業員が会社に不満を感じていることが知りたい」「メンタルヘルスの状態を知りたい」など、目的を明確にしたうえで実施することが大切です。
また、「1日1回」「週1回」「月1回」など、実施頻度も決めておくと良いでしょう。

質問内容の検討

目的が明確になったら、質問内容を考えてアンケートを作成します。
従業員満足度を調査したいのであれば、「仕事内容に満足しているか」「周囲から十分なサポートを受けられているか」などを質問項目に設定します。
その際には、質問内容が実施目的からズレないように注意しましょう。

アンケートに回答してもらう

アンケートが作成できたら、実際にアンケートに回答してもらいましょう。
回答方法としては、メールフォームやチャットツールを用いたり、パルスサーベイ専用のツールを利用したりするケースがあります。
どのような回答方法でも問題ありませんが、従業員が負担に感じない方法を選択することが大切です。

調査結果を分析する

アンケートの回答が集まったら、調査結果を分析しましょう。
「仕事にやりがいが感じられない」「周囲から十分なサポートが受けられていない」などの回答が多い場合は、要因を明らかにして解決策を考える必要があります。
対応のスピードが早いほど、従業員にパルスサーベイを実施するメリットを実感してもらえるでしょう。

パルスサーベイを実施する際の注意点 

パルスサーベイを実施する際は、次の注意点を押さえておきましょう。

従業員が真面目に回答しなくなる可能性がある

パルスサーベイの実施回数を重ねるほど、従業員が真面目に回答しなくなる可能性があります。
はじめは真剣に回答していても、3ヶ月から半年ほど経つと、流れ作業のように回答する従業員が増えてしまうかもしれません。
従業員に継続して真剣に回答してもらえるように、状況に応じて質問内容や回答方式を見直すなどの工夫が必要です。

担当者の負担が増える可能性がある

パルスサーベイは「週1回」「月1回」のように短い間隔で行うため、担当者に負担がかかりやすい傾向があります。とりわけ、ほかの業務を行いながらアンケートの集計・分析・解決策の実施までを行うとなると、手が回らなくなってしまうでしょう。
担当者の負担を減らすために、複数の担当者を配置する、パルスサーベイの専用ツールを導入するなどの仕組みを整えることがおすすめです。

まとめ

パルスサーベイの実施は、自社の課題をリアルタイムで把握し、従業員満足度を向上させるために効果的です。パルスサーベイを実施する際には、アンケートをとるだけで終わらせず、結果の分析と解決策の実施までを行うようにしましょう。アンケートの実施が形式的なものにならないように、従業員の意見を企業運営に活かすことが大切です。