このページのまとめ
- コミュニケーション研修とは、適切な伝え方や傾聴力などを学ぶ研修のこと
- コミュニケーション研修を通して、人間関係の改善や生産性の向上などが期待できる
- コミュニケーション研修を行う場合は、従業員の課題に沿った研修を選ぶことが大切
業務を円滑に進めるためには、従業員のコミュニケーション能力の向上が不可欠です。従業員のコミュニケーション能力を鍛えるために、コミュニケーション研修の実施を考えている企業も多いことでしょう。そこで今回は、コミュニケーション研修を行うメリットや、実施する際のポイントを解説します。従業員のコミュニケーション能力を鍛えたいと考えている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
コミュニケーション研修とは
コミュニケーション研修とは、ビジネスに必要なコミュニケーションスキルを学ぶ研修です。
コミュニケーションスキルには、「伝える力」「聞く力」「会話の進行力」「交渉力」などが含まれます。従業員同士はもちろん、取引先とのやり取りをスムーズに行うためにも、コミュニケーション能力の向上が必要です。
コミュニケーション研修で鍛えるスキル
コミュニケーション研修では、「伝える力」「傾聴力」「非言語コミュニケーション」「ビジネスマナー」について講義を行うことが多い傾向があります。
それぞれのスキルについて、以下で詳しく解説します。
伝える力
ビジネスの場面では、相手に自分の伝えたいことを適切に伝える力が求められます。
伝えたい内容が相手に正しく伝わらない場合、コミュニケーションエラーによるトラブルが起こったり、商談で契約を獲得できなかったりするケースがあります。
コミュニケーション研修では、ワークショップやケーススタディなどを通して、相手に正しい理解と行動を促すための伝え方を指導します。
傾聴力
相手の話を正しく理解するためには、傾聴力を鍛える必要があります。
相手の話に集中して耳を傾けることはもちろん、疑問点があれば相手に質問を投げかけることも大切です。
傾聴を通して相手のニーズを正しく把握することで、顧客の求めるサービスを提案したり、部下の悩みを解決したりすることができるでしょう。
非言語コミュニケーション
コミュニケーションを適切に行うためには、伝える内容だけでなく、表情や身振り手振りなどの非言語コミュニケーションにも気を配る必要があります。
たとえば、楽しい会話をしているときに笑顔を見せることで、相手に親しみやすさを感じてもらいやすくなります。重要な会議の場で真剣な表情を見せれば、相手に誠実な印象を与えられるでしょう。
非言語コミュニケーションによって相手に与える印象が大きく左右されるため、伝える力や傾聴力とあわせて指導することが重要です。
ビジネスマナー
ビジネスマナーを身に付けることも、コミュニケーションの大切な要素です。
身だしなみや言葉遣いなどのマナーが行き届いていると、相手に信頼感を与えることができます。
とりわけ、社外の人とやり取りをする場面では、ビジネスマナーの有無が商談の成功を左右することもあるでしょう。
コミュニケーション能力を最大限に発揮するために、ビジネスマナーを身に付けて相手に好印象を持ってもらうことが重要です。
コミュニケーション能力の不足によって発生する問題
従業員のコミュニケーション能力不足をそのままにしておくと、以下のような問題が生じるケースがあります。
業務でのトラブルが多発する
業務に必要な報告・連絡・相談が適切に行われない場合、思わぬトラブルが発生します。
「部下が自分の指示を誤って解釈していた」「直前になって納期に遅れることが判明した」など、さまざまなトラブルによって生産性の低下を招きます。
社内の業務が滞るだけでなく、取引先との信頼関係に影響を与えてしまう場合もあるでしょう。
こちらの対応の不備によって取引先に損害を与えた場合、損害賠償を請求されるケースも考えられます。
このように、コミュニケーション能力の不足が大小さまざまなトラブルを引き起こす可能性があるのです。
新人教育が上手くいかない
コミュニケーション能力の不足は、新人教育にも大きな影響を与えます。
たとえば、相手に業務の知識が全くないことに配慮せずに専門用語を使って説明しても、こちらの伝えたいことを理解してもらうのは難しいでしょう。また、相手に実務経験がある場合でも、自社での仕事のやり方やルールは説明する必要があります。
新人教育を行う際には、相手が知っていることと知らないことを把握したうえで、相手が理解できるように伝える力が必要です。
従業員の主体性が育たない
自分の考えを伝える力が不足している従業員は、主体性のない指示待ち人間になってしまう可能性があります。「こうしたい」という意見を持っていても、伝え方が分からずにほかの人の意見に従ってしまう従業員もいるかもしれません。
従業員の主体性を育てるためには、自分の意見を適切に伝えるスキルを身に付けてもらうことが重要です。
人間関係にトラブルが生じる
相手の立場を理解しようとせずに自己主張を通そうとすると、人間関係が悪化する可能性があります。人間関係がこじれるとチームワークが機能しなくなり、チーム内で派閥が生まれたり、個人プレーが横行したりするケースがあります。
また、人間関係のトラブルから体調を崩してしまう従業員も出てくるかもしれません。
良好な人間関係を築くためにも、コミュニケーション能力を鍛えることが大切です。
コミュニケーション研修のメリット
コミュニケーション研修を行うことで、次のようなメリットが得られます。
生産性が向上する
報告・連絡・相談がスムーズに行えるようになると、コミュニケーションエラーによる作業のやり直しが発生しにくくなり、生産性が向上します。
さらに、トラブルが起きた時点で速やかに報告することが当たり前になれば、事態が深刻になる前に対処できるでしょう。
必要な情報を「正しく・ゆとりを持って」伝えることでミスやトラブルを防ぎ、生産性の向上につながるのです。
人間関係が良好になる
業務でのコミュニケーションが円滑になると、大きなトラブルが減り、人間関係が良好になります。
また、コミュニケーションの頻度が増えることで従業員同士の仲が深まりやすくなるメリットもあります。
従業員同士の関係性だけでなく、取引先との関係性も良好になるでしょう。
取引先から信頼を得られれば、長期的な契約が見込めるだけでなく、新たな取引先を紹介してもらえる可能性もあるかもしれません。
良好な人間関係は従業員のストレスを軽減させ、業務パフォーマンスの向上につながるでしょう。
コミュニケーション研修を実施する際のポイント
ここでは、コミュニケーション研修を実施する際に押さえておくべきポイントを解説します。
従業員の課題を把握する
まずは、従業員がコミュニケーションに対してどのような課題を抱えているのかを把握しましょう。
「報連相のコツを知りたい」という従業員と「プレゼンの能力を高めたい」という従業員では、コミュニケーション研修に求める内容が異なります。
従業員の多くが挙げている課題を改善するための研修を行うことで、社内全体のコミュニケーション能力を効率的に伸ばすことができるでしょう。
研修の内容を決める
従業員の課題が洗い出せたら、コミュニケーション研修の内容を決めましょう。
「報連相をスムーズに行うコツ」「社外プレゼンのコツ」など、テーマを明確にすると内容を考えやすくなります。
ここで注意しておきたいのが、同じテーマでも従業員の立場によって研修内容が変わる点です。
研修のテーマが「社外プレゼンのコツ」の場合、新入社員であればプレゼンの基本を学びたいという人が多いかもしれません。
一方、中堅以上の社員の場合は、「プレゼンの基本は理解しているので、そのうえで成功率を上げる方法を知りたい」と考えている人のほうが多いケースがあります。
研修の内容を決める際には、研修のテーマとあわせて「どのような立場の従業員を対象とするのか」も明確にしておきましょう。
複数の研修方法を比較する
最後に、コミュニケーション研修の実施方法を決めましょう。
セミナー型やワークショップ型などの中から、従業員が参加しやすい形式を採用することが大切です。研修を外部に依頼する場合は、複数社の研修を比較検討して選ぶと良いでしょう。
まとめ
今回はコミュニケーション研修のメリットや、実施時に押さえておくべきポイントを解説しました。
コミュニケーション研修を行う際には、従業員がコミュニケーションで抱えている課題を把握したうえで研修内容を決めることが大切です。また、従業員の立場によって必要な研修内容は異なるため、「誰に対して研修を行うのか」も明確にしておきましょう。