このページのまとめ
- 人事相談とは、人事担当者が従業員の悩み相談を受けること
- 人事相談では、人間関係や労働環境などの上司に言いにくい相談がくることが多い
- 人事相談を受けた場合は、問題が大きくなる前に早めの対応を心掛ける必要がある
従業員が悩みを気軽に相談できるように、人事相談を受け付けている企業があります。人事相談とは、人事担当者が従業員の悩み相談に応じることです。人事相談の窓口を設けるだけでなく、実際に効果を発揮できるようにしなければなりません。そこで今回は、人事相談で多い内容や、従業員から相談されやすい人事担当者の特徴について解説します。人事管理を円滑にするための参考にしてみてください。
人事相談とは
人事相談とは、人事担当者が従業員の悩み相談にのることを指します。
上司に話しにくいことを相談するための窓口として、人事相談に対応している企業が多いです。
人事相談を行うことでトラブルの目を早めに摘み取り、職場環境を良好に保つ目的があります。
労務相談とは
人事相談と似た言葉に、労務相談があります。
人事相談は人間関係に関する相談を主に受けるのに対して、労務相談では勤怠・社会保険・入退職などの就業規則や法律に基づく相談に対応することが多いという違いがあります。
人事相談でよくある内容
人事相談でよくある内容には、次のようなものがあります。
メンタルヘルスに関する相談
1つ目が、メンタルヘルスに関する相談です。
仕事やプライベートで強いストレスがかかると、体調を崩して業務に支障が出てしまうことがあります。職場の人間関係が問題でメンタルヘルスに問題が生じている場合、従業員から部署異動やチーム異動の相談があるかもしれません。
状況が悪化すると休職や退職につながる可能性があるため、早めの対応が求められます。
人事評価に関する相談
2つ目が、人事評価に不満を持つ従業員からの相談です。
「業務で高い成果を出したのに評価が上がらなかった」「昇給の基準を満たしているのに給与が変わらなかった」など、人事評価の見直しを求める相談を受けることがあります。
このような相談を受けた場合は、従業員から詳しい話を聞き、評価を行った人物に評価基準を確認すると良いでしょう。
評価基準が正当なものであれば、従業員に評価の理由を具体的に説明して納得してもらう必要があります。評価基準が正当性に欠ける場合は、状況に応じて再評価を行うことが非常に重要です。
キャリアに関する相談
3つ目が、キャリアに関する相談です。
「新しい職種にチャレンジしてみたい」「将来的にこのような事業に携われる可能性はあるか」など、従業員のキャリアプランに関する相談を受けることがあります。
キャリアプランは従業員の将来を大きく左右するため、希望のキャリアプランを自社で叶えられないと感じた場合は、従業員が転職を考えてしまうかもしれません。
従業員がどのようなキャリアを実現させたいのかをヒアリングし、自社に叶えられる環境があるかどうかを確認してみましょう。
相談されやすい人事担当者の特徴
従業員から相談を受けるためには、人事担当者が気軽に話しかけられる存在であることが大切です。
ここでは、従業員に相談されやすい人事担当者の特徴を紹介します。
従業員に積極的に話し掛けている
従業員に積極的に声を掛けている人事担当者は、従業員から相談されやすい傾向があります。
すれ違ったときに挨拶をしたり雑談したりすることで、業務で直接関わりのない従業員と顔見知りの関係になれます。上司以外の人に悩みを相談したいときに、「人事担当の●●さんに相談してみよう」と思い浮かべてもらいやすくなるでしょう。
また、いつもより元気がない従業員がいれば、「最近元気がないけど大丈夫?」「悩みがあったらいつでも相談してね」と声を掛けることで相談してもらいやすくなるかもしれません。
従業員から相談されるのを待つだけでなく、自分から積極的に話し掛けることも非常に大切です。
話しやすい雰囲気をつくれる
従業員が気兼ねなく悩みを相談できるように、話しやすい雰囲気をつくることが重要です。
堅苦しい雰囲気だと従業員が話しにくさを感じてしまうため、日常会話の延長のような気持ちで迎え入れると良いでしょう。
従業員が勇気を出して相談に来てくれたことに対して、「相談に来てくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えることも重要です。
本気で話し合うスタンスを持つ
人事担当者には、従業員の相談に真剣に向き合う姿勢が求められます。
また、話を聞くだけで終わらせず、解決策を考えて実行に移すことも非常に大切です。
片手間で話を聞き、解決策も示さない場合は、従業員から二度と相談してもらえなくなるでしょう。
最悪の場合、誰にも相談できずに退職してしまうかもしれません。
どのような相談であっても、真剣に相談にのる姿勢が必要です。
人事相談を実施する際の注意点
人事相談を受ける際には、以下の点に注意しましょう。
相談内容を限定しない
人事相談を実施する際には、どのような相談でも広く受け入れることが大切です。
「具体的な解決を前提としない相談はNG」のように内容を限定してしまうと、相談のハードルが高くなってしまいます。
ちょっとした愚痴程度の内容でも、誰かに話を聞いてもらうだけで不安が和らぐ従業員もいるでしょう。従業員がストレスをため込まないように、どのようなことでも気軽に相談できる受け皿をつくることがおすすめです。
相談を受けたら早めに対応する
従業員から相談を受けたら、早めに話を聞くようにしましょう。
話を聞くまでの期間が長くなるほど、従業員は「本当に相談にのってくれるのだろうか」と不安になってしまいます。相談にのってもらうのを待っている間にメンタルヘルスの状態が悪化し、出勤できなくなってしまうこともあるでしょう。
早めに相談にのることで従業員に安心感を与えられると同時に、問題が深刻化するのを防ぐことができます。
法令違反に注意する
相談内容が法律に関わる内容になっていないかに注意しましょう。
たとえば、従業員から「上司に長時間の残業を強要される」との相談があった場合、法定労働時間を超える残業を指示されているかを確認することが必要です。
法定労働時間を超えて労働させている場合、労働基準法違反で罰則を受ける可能性があります。
従業員の健康面はもちろん、企業の信用にも大きく関わる問題のため、ただちに改善が必要です。
まとめ
人事相談を実施する場合は、従業員がどのようなことでも気軽に相談できる雰囲気をつくることが大切です。悩みを初期段階で解決できれば、大きなトラブルを防ぐことにつながります。従業員が安心して働けるように、気軽に悩みを相談できる窓口を設置してみてください。