このページのまとめ

  • スペシャリストとは専門的な知識やスキルを持った人材
  • スペシャリストには、「クリエイティブ職」「研究職」「コンサルタント」などがある
  • スペシャリストは業務範囲が狭くなるため、ゼネラリストとのバランスに注意する

高い専門性を持った人材を獲得するため、スペシャリストの採用に力を入れる企業が増えています。スペシャリストとは、特定分野の高い専門スキルを持った人物のことです。自社の技術力を向上させるために、スペシャリストの採用を検討している企業も多いことでしょう。そこで今回は、スペシャリストを採用するメリットや、採用時の注意点について解説します。

スペシャリストとは

スペシャリストとは、専門的なスキルや知識をもった人物のことです。教師・弁護士・医師などがスペシャリストに含まれます。

スペシャリストと比較される言葉に、ゼネラリストがあります。
ゼネラリストとは、分野を限定せず、さまざまな知識やスキルを備えた人物のことです。
スペシャリストが特定分野における深い知見を持つのに対して、ゼネラリストは営業・マーケティング・人事などの幅広い基本知識を持っているという違いがあります。

スペシャリストに注目が集まる背景 

スペシャリストに注目が集まるようになった背景には、次のようなものがあります。

終身雇用制度の衰退

スペシャリストが注目されるようになった背景に、終身雇用制度の衰退があります。
終身雇用が一般的だった時代では、ジョブローテーションでさまざまな業務を経験させながら従業員を育成する方法が主流でした。
しかし、転職する人材が増えて従業員の中長期的な育成が難しくなったことで、特定の分野に精通する即戦力が求められるようになっています。

デジタル技術の進歩

デジタル技術の進歩により、業務の一部がデジタルで代替できるようになったことも一つです。
その結果、デジタル技術で対応できない高い専門性を持った人材のニーズが高まっています。

スペシャリストに含まれる職種

スペシャリストと呼ばれる職種の代表例は、次のとおりです。

研究職

研究職は、新商品の研究開発や品質改善などを行うスペシャリストです。
研究職の場合には、新しい製品を生み出す基礎研究と、既存の製品から応用を目指す応用研究の2つが求められます。

エンジニア・プログラマー

システムエンジニアやプログラマーなど、情報技術を扱う職種もスペシャリストに当たります。
デジタル技術の進化についていけず、システムの導入が遅れている企業も多いため、デジタル技術の知識とスキルを持った人材の需要はますます高くなるでしょう。

クリエイティブ職

クリエイティブ職には、Webデザイナー・ライター・編集者などが含まれます。
いずれの職種もデザインやライティングなどの専門知識が求められることから、スペシャリストと呼ばれることが多い傾向にあります。

スペシャリスト採用のメリット 

スペシャリストを採用するメリットには、次のようなものがあります。

即戦力を採用できる

特定の分野に精通したスペシャリストを採用することで、即戦力としての活躍が期待できます。
経験者採用の場合、基本的な業務の流れを共有したら、すぐに仕事を任せられることもあるでしょう。
また、採用後に任せる業務が明確なため、入社後のミスマッチが起こりにくいことも大きなメリットです。

自社の技術力向上が期待できる

特定分野の専門スキルに長けたスペシャリストを採用できれば、企業全体の技術力の向上につながります。なかでも、社内に知見がない分野のスペシャリストを採用することで、業務の大幅な効率化や新しいサービスの展開が実現できるかもしれません。

専門分野を強化できる

スペシャリストの採用により、自社の専門分野を強化し、他社との差別化が図りやすくなります。
企業が成長を続けるためには、自社の強みをアップグレードしていくことが大切です。
現時点で他社との差別化を図れていることに油断せず、自社の技術を向上させていけば、市場での優位性を維持することができるでしょう。

スペシャリストを採用する際の注意点 

スペシャリスト採用に向けて、注意点も把握しておきましょう。採用基準や評価基準に関して、スペシャリスト専用に準備しておく必要があります。

スペシャリストのキャリアプランを確認する

面接の段階で、求職者がスペシャリストとしてどのようなキャリアを実現していきたいのかを確認しましょう。「定年まで現場で活躍したい」「ある程度の経験を積んだら、専門職のマネージャーになりたい」など、一人ひとりのキャリアの希望は異なるはずです。
早期離職を防ぐためにも、求職者のキャリアプランを自社で叶えられるのかを確かめることが重要です。

従業員のキャリアに対する考えを把握しておく

従業員がどのようなキャリアを希望しているのかを、事前に把握しておきましょう。
スペシャリストを育成したいのであれば、スペシャリスト志向の従業員が適しています。
反対に、ゼネラリスト志向の従業員をスペシャリストとして育てようとしても、本人のモチベーションが下がり、退職につながってしまうかもしれません。

スペシャリストとして育成したい従業員がいる場合は、本人にその意思があるかどうかを確認することが大切です。

人事異動がしにくくなる点を考慮する

スペシャリストを採用する場合、人事異動が難しくなることを認識しておきましょう。
スペシャリストは特定の業務に従事することを前提に入社するケースが多いため、本人から申し出があった場合をのぞき、配属先を変更させるのが難しくなります。
社内にスペシャリストが増えすぎると、柔軟な人事異動が行いにくくなることを押さえておきましょう。

能力に応じた評価基準を作成する

スペシャリストを採用したら、職種に応じた評価基準を作成することが大切です。
スペシャリストの従業員とゼネラリストの従業員に同じ評価基準を適用すると、スペシャリストの能力を適切に評価できなくなる可能性があります。
スペシャリストに求める能力を洗い出し、各職種に適した評価基準を設定しましょう。

自社の人材をスペシャリストとして育成する方法

スペシャリストを採用する方法だけでなく、自社の人材をスペシャリストに育成する方法もあります。ここでは、自社の従業員をスペシャリストに育成する方法をいくつか紹介します。

ジョブローテーションの廃止

社内の人材をスペシャリストとして育成するためには、ジョブローテーションを廃止する必要があります。特定の業務に専念できる体制を整えて経験を積ませることで、スペシャリストを育成できるでしょう。

研修や教育に力を入れる

スペシャリストとしてスキルアップを続けられるように、研修や勉強会を実施しましょう。
自社だけで教育するのが難しい場合は、外部研修に参加させるのも有効です。
また、外部のスペシャリストとの交流機会を設けるのも良いでしょう。
継続して新しい知識を吸収する機会を設けることで、従業員のモチベーションを維持しやすくなります。

スペシャリストのキャリアプラン例 

ここでは、スペシャリストのキャリアプラン例を紹介します。
スペシャリストが長く働ける体制を整えるための参考にしてみてください。

現場で活躍するキャリア

1つ目のキャリアが、現場でそのまま活躍するキャリアです。
従業員のなかには、昇進を好まず、専門知識の獲得に力を入れたいケースもあります。
従業員がその道を希望する場合は問題ありませんが、給与が上がりにくいことが懸念点です。
従業員が待遇面を重視する場合、モチベーションが維持しにくくなる可能性があることに注意しましょう。

プレイングマネージャーとしてのキャリア

2つ目のキャリアが、プレイヤーとマネージャーを兼任するプレイングマネージャーです。
注意点は、プレイヤーとマネージャーのどちらかに業務が偏ってしまう可能性があることです。
部下のマネジメントをしながらプレイヤーとしても成果を出すことが求められるため、2つの業務を両立できる人材かどうかを慎重に見極める必要があります。

マネージャーとしてのキャリア

スペシャリストとしての経験を活かし、専門職のマネージャーにキャリアアップするケースもあります。実務経験を活かしたマネジメントができるため、現場の従業員からの理解が得やすいメリットがあります。ただし、プレイヤーとしては優秀でも、マネジメント能力が不足している場合は部下を上手くまとめられない可能性があります。
将来的にマネージャーとしてのキャリアを希望するスペシャリストには、マネジメントのスキルを身に付けてもらうことが重要です。

まとめ

専門性を高め、事業を拡大していくためには、スペシャリストの活躍が必要です。
スペシャリストを新たに採用するのはもちろん、自社の人材をスペシャリストとして育成するのも有効です。自社の技術力を高めるために、スペシャリストの採用や育成を検討してみましょう。