このページのまとめ

  • GビズIDとは企業が申請する行政サービスの書類を1つにまとめられる仕組み
  • e-Govとは違い無料で手続き可能
  • GビズIDでは、社会保険の電子申請やIT補助金の申請が可能

政府のクラウド化推進に伴い、行政サービスの手続きをオンライン化する仕組みが進んでいます。そのひとつがGビズIDで、2020年にサービスが施行されました。GビズIDのメリットは、時間がかかるアナログの手続きを効率化し、どこでも申請可能にできる点です。窓口に並ぶ必要なく、24時間365日、手続きが可能になります。ストカットの面でも重要な役割を持っているので、労務担当者は把握しておきましょう。

GビズIDとは

GビズIDとは、企業が国に申請する書類などを1つのアカウントにまとめて利用可能にする仕組みです。従来から使用可能であった保安ネットや補助金申請に加えて、社会保険手続きの申請も可能にしています。また、GビズIDの登場によって、電子証明書なしで電子証明が可能になります。今後も対象となる行政サービスは追加されていくので、企業が国に対して申請を行う場合に効率化できるメリットがあります。

e-Govとの違い

GビズIDのように、行政サービスの手続きを行うサイトが、e-Govです。e-Govは行政サービスのポータルサイトで、GビズIDは行政サービスの手続きを行うアカウントの事を指します。GビズIDは企業が所有するアカウント、e-Govは手続きに利用するサイトと理解しましょう。

GビズIDとe-Govのメリット・デメリット

GビズIDとe-Govの大きな違いは、手続きにかかる費用です。GビズIDは無料であり、社会保険や雇用保険の手続きなど、一部の行政サービスで利用できます。デメリットとしては、使用できる行政サービスがe-Govよりも少ない点です。
一方で、e-Govは行政サービスの手続きを数百種類以上行えるメリットがあります。デメリットとしては、電子証明書の取得や手続きに手数料が発生する点があげられます。

GビズIDで実現できる業務改善 

GビズIDの利用により、アナログで行っていた手続きをデジタル化できるため業務効率を改善できます。オンライン上で申請すれば、窓口に向かう時間や待ち時間がなくなります。また、過去の情報を反映できるため、記入の手間も省けるでしょう。

いつでもどこでも手続き可能

GビズIDはオンライン上での手続きのため、いつでも、どこでも申請ができます。従来の手続きでは、窓口に向かう必要がありました。そのため、申請時間が決まっていたり、待ち時間が長くなってしまうのが課題になっていたことも。GビズIDならオンライン申請が可能なため、待ち時間もなく、効率的に申請を行えるメリットがあります。

過去の情報を自動で反映できる

GビズIDにデータを蓄積しておくことで、過去の情報を自動で反映できます。そのため、申請が簡単になり、入力の手間を省くことができます。企業情報や財務情報を申請のたびに入力や記入していると大変ですが、GビズIDでは1つのアカウントで複数の行政サービスの申請が行えるため、過去の申請から必要項目を反映させることが可能です。手続きを簡単にできます。

書類の押印不要

GビズIDでは、書類の押印が不要です。ログイン時に認証機能があり、申請者を確認できるためです。書類の押印は面倒で、利用するサービスが増えるほど、時間がかかります。また、代表者や責任者が不在の場合、手続きできないこともあるでしょう。GビズIDはオンライン上で手続き可能で押印も不要なため、申請を効率的に行なえます。

GビズIDの取得方法

GビズIDアカウントには、gBizIDエントリーとgBizIDプライム、gBizIDメンバーの3種類があります。それぞれ取得方法や用途が違うので確認しましょう。

アカウント取得で準備するもの

GビズIDのアカウント取得で必要なものは、次のとおりです。メールアドレスとパソコンなどの端末は、すべてのGビスIDで必要になります。gBizIDプライムのように、印鑑証明が必要になるアカウントもあるので、準備に気を付けましょう。

メールアドレスパソコンスマートフォンプリンター印鑑証明
gBizIDエントリー
gBizIDプライム
gBizIDメンバー

gBizIDエントリーの場合

gBizIDエントリーは、Webからの申請だけで発行可能です。GビズIDのホームページから、gBizIDエントリー作成で行います。入力フォームに必要事項を入力するだけで、即日にアカウント発行が可能な特徴があります。

gBizIDプライムの場合

gBizIDプライム発行には、書類提出が必要です。まずは、GビズIDのホームページから、gBizIDプライム作成で申請書を作成します。次に、印鑑証明と登録印を押した申請書類を運用センターに提出。問題がなければ、登録に必要な情報が登録したメールアドレスに届きます。登録完了までには2週間前後を要するため、余裕を持って発行しましょう。

gBizIDメンバーの場合

gBizIDメンバーは、gBizIDプライムのアカウント所持者によってアカウントが作成されます。そのため、準備するものは不要です。gBizIDプライムのアカウント取得後、gBizIDメンバーの申請を行ないましょう。

参照元:経済産業省「ミラサポplus
参照元:デジタル庁「GビズID

GビズIDで利用できるサービス

GビズIDを所持すると、社会保険の電子申請や保安ネットなどの行政サービスを利用できるようになります。補助金関連の申請にも使用されるため、自社に必要な行政サービスはあるか、確認しておきましょう。

社会保険の電子申請

2020年4月から、社会保険の電子申請手続きが可能になっています。対象となるのは労務関連で必要なサービスのため、コスト削減の効果が期待できるでしょう。利用には、GビズIDを取得し、届書プログラムから申請を行います。また、対象となる手続きは、次の3つです。

  • 健康保険、厚生年金保険被保険者 賞与支払届
  • 健康保険、厚生年金保険被保険者 報酬月額変更届
  • 健康保険、厚生年金保険被保険者 報酬月額算定基礎届

参照元:日本年金機構「電子申請・電子媒体申請

jGrants

jGrantsとは、デジタル庁が運営する、補助金の電子申請システムです。インターネットで申請できるため、窓口を利用する時間を削減できます。また、申請は24時間365日可能なため、補助金の申請を効率化できる仕組みです。キーワードで必要な補助金を検索できるため探しやすく、申請後はマイページから申請した補助金の交付状況が分かるメリットもあります。

参照元:日本政府公式「jGrants

保安ネット

保安ネットとは、産業保安や製品安全関連法令の手続きをオンライン上で可能にするサービスです。記入から申請、審査状況の確認、通知文書の確認までを行えます。また、2020年6月に法改正があり、電子申請対象外の法令手続きに関しても、PDFファイルで提出できるようになっています。窓口を通さずに申請でき、最新性や変更手続きも簡単になるメリットがあります。

参照元:経済産業省「保安ネットポータル

農林水産省共通申請サービス

農林水産省共通申請サービスとは、農林水産省に関する手続きを電子化できるサービスです。これまでは、手続きごとに異なる関係機関に提出していましたが、オンライン上で一括して申請可能になります。また、自宅などのパソコンからでも申請が可能で、審査状況も即座に確認できます。セキュリティ体制にも問題なく、二段階認証を用いて不正アクセスを防ぐ仕組みを整えています。

参照元:eMAFF「農林水産省共通申請サービス

IT導入補助金

中小企業や小規模事業者などがITツールを導入する場合に給付される補助金です。申請には、GビズIDが必須となっています。申請から給付まで、オンライン上で行えるため、効率的に補助金申請が行なえます。

参照元:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金

GビズIDの今後の展望 

GビズIDは2020年にサービスが施行され、今後も規模が拡大していきます。電子申請のさらなる普及により、セキュリティや効率面の改善も期待できます。今後、GビズIDの普及によって業務がどのように変わっていくのか、把握しておきましょう。

社会保険の電子申請義務化に対応

2020年4月から、電子申請義務化が施行されており、労務関連のシステム化は各企業によって課題となっています。GビズIDを導入し、電子申請義務化に対応しましょう。GビズID以前は、電子申請手続きを行うために有料で電子申請証明書を発行していました。しかし、GビズIDは無料で電子申請手続きを行える仕組みです。そのため、コスト削減の面でも企業にとってメリットを与えます。

マイナポータルとの連携が可能

GビズIDは、マイナポータルとの連携も予定されています。マイナポータルとの連携は、1つのIDとパスワードで、申請手続きを実現します。企業側としては、申請の効率化やコスト削減を期待できます。

クラウド利用によるペーパーレス化の推進

現代では、ペーパーレス化の推進が進んでいます。紙の書類上での手続きを、電子上に移行する動きです。GビズIDもペーパーレス化の流れに沿ったもので、手続きを電子化し、効率的に改善できます。また、政府も行政システムのクラウド化を推進しています。そのため、GビズIDも利用サービスが広がり、行政サービスの申請手続きに欠かせないサービスになるでしょう。

まとめ

行政サービスの手続きを効率的に行うために、GビズIDの利用が必要です。これまでアナログで行っていた申請をインターネット上で行えるため、効率的に申請を行えるメリットがあります。また、これまでe-Govを使っていた場合、手続きに費用がかかっていました。一方で、GビズIDは無料で申請が行えるため、コストカットにもつながります。今後、クラウド化も進み、GビズIDでの申請はさらに普及していきます。GビズIDを正しく理解し、運用を行ないましょう。