このページのまとめ

  • 経費精算書とは、従業員が一時的に立て替えた経費を会社が精算するための書類
  • 消耗品費・旅費交通費・通信費・会議費・接待交際費などが主な経費
  • 経費精算書や領収書に不備があった場合には経費精算ができないため注意が必要

会社での経費精算を正しく行うために、経費精算書について理解しておく必要があります。経費精算書の種類や書き方、注意点、さらには添付する領収書の項目など、把握しておかなければいけない項目は多岐にわたります。そこで本記事では、経理担当の方が経費精算書の理解を深められるよう丁寧に解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

経費精算書とは

​​経費精算書とは、従業員が一時的に立て替えた経費を会社が精算するための書類のことです。

たとえば、従業員が打ち合わせに使ったカフェでの飲食代や移動のための飛行機代・電車代などは、事業主の経費として計上できます。上記のような経費を精算するための書類が、経費精算書と呼ばれます。

経費精算書の処理に必要な領収書の項目

経費精算書の処理に必要な領収書の項目は、消費税法第30条にて明確に記載されています。それは「日付・宛名・金額・但し書き・発行者の住所、氏名」の5項目です。これらが正しく記載された領収書を従業員から提出されることで、経費精算が行えます。

参照元:e-GOV法令検索「消費税法 第30条

経費精算書の種類

経費精算書にはいくつか種類があります。主なものとして仮払経費申請書・仮払経費精算書・出張旅費精算書・旅費精算書などがあります。それぞれの清算書について以下で詳しく説明します。

仮払経費申請書

仮払経費申請書とは、経費の金額を事前に概算で申請し、会社が従業員に仮払いするための書類です。出張交通費や宿泊費のように、従業員が負担する金額が大きい場合に利用されることがあります。金額が大きいこともあり、出張先までの交通手段・交通費・滞在予定のホテル名・宿泊代などをできるかぎり詳細に記入して提出する必要があります。

仮払経費精算書

仮払経費精算書は、仮払経費申請書とセットとなる書類です。仮払経費申請書で仮払いした経費を精算するため、仮払いされた現金がどのように使われたのか、また、金額に過不足がないかなども含めて正確な金額を清算し直すために使われます。余剰があれば仮払いした現金を従業員から返金してもらい、不足があれば立替をした従業員に支払う必要があります。

仮払経費申請書では、支払い予定の金額となる資料を提出し事前に概算費用を会社が従業員に仮払いするものでした。しかし、仮払経費精算書では仮払いされた経費を精算するため、実際に使った金額の証拠となる書類として領収書などを添付してもらわなければなりません。仮払経費申請書が提出されたあとは、仮払経費精算書が必要となることを押さえておきましょう。

出張旅費精算書と旅費精算書

出張旅費精算書と旅費精算書は、会社の規定によっては「旅費精算書」としてひとまとめにしている場合もあります。これらの経費精算書は、社員旅行でかかった費用や出張でかかった費用を精算するための書類です。

経費精算書で経費として認められるもの

従業員が経費精算書を提出する際、経費として認められるものは以下の項目です。

消耗品費

消耗品費とは、会社で使用する備品のうち購入金額が10万円未満のもの、もしくは使用可能期間が1年未満のものを指します。

たとえば、事務作業で使用する文房具代や印刷用紙代、名刺代、プリンターのインク代などが消耗品費に該当します。パソコンのように1年以上使用するもの、10万円未満であれば消耗品費として計上可能です。

旅費・交通費

旅費・交通費は、会社の業務で普段とは違う場所に勤務した際の交通費と、その業務に必要な経費のことを指します。移動のための交通費、宿泊費、日当(出張手当)なども旅費・交通費に含まれます。

通信費

通信費は、電話料金や郵便代金などの通信のために必要とした費用を指します。 通信費の中には、携帯電話代金や宅急便の配達代金、ハガキ代や郵便切手代、ファックス代やインターネット関連の費用、有料放送の視聴料などが含まれます。

会議費

会議費とは、簡単に言うと会議を行うためにかかった費用のことです。具体的には、商談のために借りた会場費はもちろんのこと、その際の飲料費や茶菓子代、弁当代なども含まれます。食事を提供する場合は、昼食を超えない程度の飲食物が該当するため注意が必要です。原則、場所や時間などに厳密な規定はないため、会議に関係した費用であれば会議費として計上できます。

接待交際費

接待交際費とは、取引先や仕入先など仕事上関係のある人との、接待や謝礼などによって発生した費用を指します。接待だけでなく、供応、慰安、贈答、これらに類する行為にかかる費用も含まれます。

会議で提供される食事代と接待交際費を明確に区別するのは難しい場合もありますが、原則として、商談や会議を行う場所で提供される昼食程度の金額であれば会議費として扱われます。

経費精算の流れ

ここまで経費精算書の概要や種類を解説してきました。続いて、実際の経費精算の流れを解説します。

従業員が経費を立て替える

まず、従業員が経費を立て替えます。たとえば、取引先との食事代や、打ち合わせをカフェで行った際の飲食代、通勤時の電車代などの経費が発生した際、従業員が立て替えて支払いを行う必要があります。経費を立て替えてもらう際は、必ず領収書やレシートを受け取ってくるよう、従業員に指示しておきましょう。

経費精算書の作成をする

続いて、従業員に経費精算書の作成を促しましょう。経費を立て替えて支払っただけでは、どのような用途にいくら使ったのかが把握できないため、経費精算所を作成してもらう必要があります。

経費精算書を経理担当者に提出する

従業員に対して、経費精算書を経理担当者に提出するように促しましょう。また、立替払いの際に受け取った領収書やレシートも合わせて提出する必要があります。ただし、ほとんどの場合、経費精算書が作成できたら直属の上司に一度確認を取り、問題がなければ経理担当者に提出する流れになるでしょう。

経理担当者が経費精算書を承認する

提出された経費精算書および領収書やレシートを経理担当者が確認します。内容に不備があった場合は、提出した従業員に差し戻して修正してもらう必要があります。書類の内容に問題がなければ承認し、経理上の処理を行う流れです。

経費精算を受ける

経費精算書の承認が完了したら、従業員に対して経費の払い戻しを行う必要があります。経費精算の方法や時期は会社の規定に従って行いましょう。一般的には給料日に給料と合わせて振り込む会社が多いです。ただし、会社によっては現金を手渡す場合もあれば、銀行振込で給料とは別のタイミングで払い戻す場合もあります。

経費精算書の書き方

経費精算書を正しく書けなければ経費精算を受けることはできません。そのため、ここからは経費精算書の書き方を紹介していきます。

経費精算書に記載すべき項目

経費精算書には、記載しなければいけない項目が複数存在します。会社によっても多少項目は異なりますが、ほとんどの会社で以下の項目の記載を求められます。

  • 社員番号
  • 氏名
  • 所属部署
  • 申請日
  • 経費を支払った日
  • 経費の金額
  • 支払先
  • 支払理由
  • 備考

上記以外にも会社によっては記載を求められますが、基本的には指定された情報を正しく記載しましょう。記載漏れなど内容に不備があれば差し戻しとなり、修正の手間が発生してしまいます。

勘定科目ごとに記入

経費を精算する際は、勘定科目ごとに分けて記入します。領収書やレシートも勘定項目ごとに分類しましょう。たとえば、営業活動で電車に乗った際にかかった運賃は、交通費に該当します。事務用品を購入した場合の費用は消耗品費です。同じ内容を同じ勘定科目に分類できるよう、社内での統一が必要です。

経費精算書作成時の注意点

経費精算書を作成する際は次の点に注意しましょう。

領収書またはレシートが必須

領収書またはレシートがなければ、立て替えの証明ができません。そのため、支払い時には領収書またはレシートを必ず受け取り、経費精算書と合わせて確実に会社に提出するように促しましょう。

支払った内容によっては、領収書やレシートを受け取れない場合もあります。

たとえば、電車やバスを利用した際の運賃や、取引先へのご祝儀や香典を渡した場合などは領収書やレシートの発行ができません。取引先との会食で会計を別にした場合や割り勘にした場合も、領収書の分割ができないケースがあるでしょう。このようなケースでは、現金支払いの内容を記録する書類の「出金伝票」で代用できます。出金伝票には日付・支払先・金額・品名・用途などを記載しましょう。

また、領収書を紛失した場合には再発行を依頼しなければなりません。また、領収書はレシートやクレジットカードの利用明細でも代用可能なため、万が一を考えてクレジットカードで決済しておくのも一つの方法です。

経費精算書は早めに申請する

経費精算書の申請は早めに行いましょう。会社としては決算期中に経費精算を済ませる必要があり、精算までの期限を設けているケースも多いです。さらに、従業員側も経費精算書を提出するまでに領収書を管理しておく必要があるため、申請を遅らせてもメリットはありません。忘れないうちに経費精算書を作成し、申請を済ませるように従業員に促しましょう。

必要な項目を満たした領収書をもらう

経費精算時に提出する領収書には、必要な項目が正しく記載されている必要があります。たとえば、日付・宛名・金額・但し書き・発行者の住所氏名などの情報です。領収書を受け取る際には、これらの項目が正しく記載されているか目を通すように従業員に伝えておきましょう。たとえば、日付が書かれていなかったり、但書きが明確でない場合、いつ何に利用された経費なのか会社側で判断ができず、経費精算を行うことができなくなります。

また、領収書の金額が50,000円以上の場合には収入印紙の貼付も必要になります。宛名は、「上様」の表記でも税法上特に問題はありませんが、会社の規定で認められない場合もあります。万が一税務調査の対象になった場合に、不正な経費だと疑われてしまう可能性がゼロではないからです。また、当然ですが宛名が空欄の領収書では認められません。

領収書に必要な項目を正しく把握し、会社の規定に従って正しく記載してもらうようにしましょう。

事業に関係ない費用は経費に計上しない

当然ですが、事業に関係のない経費計上は違法です。経費として認められるのは、会社が行う事業活動に関係する費用のみとなります。事業活動に関係のない場合は経費として認められないため、公私の区別をしっかりつけて経費を計上するようにしましょう。たとえば、友人との会食費用や旅行代金、個人的な物品購入の代金なども経費として計上できません。従業員が不正な経費申請を行わないよう、徹底して周知しておく必要があります。

まとめ

本記事では、経費精算書の書き方や注意点をご紹介しました。経費精算は会社の決算には重要な業務であり、正しい知識が求められます。本来経費として認められないものを計上してしまえば法律的なトラブルにまで発展しかねません。何が経費として認められるのか、領収書にはどのような項目が必要なのか、従業員に正しく理解してもらった上で経費精算書を作成・提出してもらうようにしましょう。