このページのまとめ
- KSFとは目標達成に影響を与えた重要成功要因のこと
- KSFには、「内部要因」と「外部要因」の2種類がある
- KSFを決める際には、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用する
目標を達成させるためには、KSFを考えることが大切です。KSFは「キー・サクセス・ファクター」のアルファベットの頭文字をとった言葉で、目標達成に重要な要因を指します。目標達成のための成功要因を設定することで、目標達成から大きく外れた行動を取ることが防げるでしょう。そこで今回は、KSFの設定例や、KSFを設定する際の注意点について詳しく解説します。
KSF(キー・サクセス・ファクター)とは
KSF(キー・サクセス・ファクター)とは、「重要成功要因」を意味する言葉です。
目標を達成させるために必要な成功要因のことを指します。
KSFには「内部要因」と「外部要因」の2種類があります。
内部要因とは、優秀な人材の獲得や技術力の向上など、自社で成功要因を高められるものを指します。一方、外部要因は社会の状況や消費者のニーズなど、自社で成功要因を高められないものが該当します。
内部要因と外部要因は常に変化するため、状況に応じてKSFの見直しを行うことが重要です。
KSFの目的
KSFを設定する目的は、目まぐるしく変わる市場の状況や消費者のニーズに対応するためです。
KSFを設定することで消費者のニーズに迅速に対応できるようになり、成功要因から逸脱した行動を取りにくくなります。
時代の変化に対応しながら企業が発展を続けていくために、KSFを設定して戦略的に行動することが求められています。
KSFと混同されやすい言葉
KSFと混同されやすい言葉に「KGI」と「KPI」があります。それぞれの言葉の意味について解説します。
KGI
KGIとは、企業が掲げる最終的な目標を数値で示したものです。重要目標達成指数とも呼ばれます。「新規事業で1000万円売り上げる」「既存顧客で売上を20%伸ばす」などのような、具体的な数値目標がKGIに該当します。
「新規事業で1000万円売り上げる」というKGIに対して、「営業担当者の増員」「新商品の開発」などがKSFに当たります。
KPI
KPIとは、KGIを達成するために必要な数値目標のことです。
KGIは最終目標であり、そのKGIを達成するために設定する小さな目標がKPIです。
たとえば、KGIが「新規事業で1000万円売り上げる」、KSFが「営業の増員」だとしましょう。
この場合、KPIは「3ヶ月で5名以上の営業担当者を採用する」のように、KGIの達成に必要な行動目標を数値で設定します。
KGIは最終的な数値目標・KPIは最終目標の達成に必要な個別の数値目標、KSFは目標達成に必要な成功要因と覚えておくと良いでしょう。
KSFの設定例
ここでは、KSFの設定例を紹介します。
今回は、飲料品メーカーを例にしてKSFを設定してみます。
飲料メーカーが「半年で売上10%アップ」という最終目標(KGI)を掲げたとします。
この場合、目標達成に必要な成功要因(KSF)には、「商品の認知度を上げる」「競合他社との違いをアピールする」「店舗への売り込みを強化する」などが考えられます。
成功要因は一つではないため、内部要因と外部要因を踏まえてさまざまな要因を考えることが大切です。
KSFの注意点
KSFを設定する際に押さえておくべき注意点を5つ紹介します。
定期的に見直しを行う
設定した成功要因は状況によって変化する可能性があるため、KSFを設定する際は定期的に見直しを行いましょう。
たとえば、KSFに「競合他社との差別化」を設定したとします。
設定当初は競合他社と差別化できていると思っていたポイントでも、2ヶ月後に競合他社から新商品が発売されたことで成功要因とは呼べなくなってしまうケースもあるでしょう。
その場合、別の成功要因を設定し、行動目標を見直す必要が出てきます。
このように、KSFは外部要因によって変わる可能性があるため、状況に応じて定期的に見直しを図ることが重要です。
設定項目は絞る
設定項目を選別することも大切なポイントです。
設定したKSFの数が多すぎると、何から手をつけるべきかの優先度が分かりにくくなります。
目標を達成させるためには、100個のKSFを設定するよりも、5個のKSFに力を入れることが重要です。
内的要因と外的要因の両方を設定する
KSFでは、内部要因と外部要因の両方を設定しましょう。
内部要因のKSFがうまく進んでいても、外部要因で崩れてしまう可能性があります。
内部要因のみを設定していた場合、外部要因に変化があったときに対応が遅れてしまうかもしれません。
さまざまな状況の変化に対応できるように、内部要因と外部要因の両方をKSFに設定することが大切です。
KGI・KPIと関連付ける
KSFを設定する際には、KGI・KPIと紐づけることが重要です。
具体的には、KGIで最終的な目標を設定し、KSFで成功要因を洗い出し、KPIで目標達成に必要な行動目標を数値化して設定します。
KGI・KSF・KPIの3つを関連付けて設定することで、目標達成までの道筋が明確になります。
KSF設定に役立つフレームワーク
KSFを設定する際には、フレームワークを活用しましょう。
フレームワークとは、考える内容をパターンとして落とし込み、テンプレートとして活用できるようにしたものです。フレームワークを使うことで、KSFの設定がスムーズになります。
ここでは、代表的なフレームワークを4つ紹介します。
3C分析
3C分析とは、自社が属する業界を分析する際に使用する方法です。
次の3つを分析し、自社の戦略を決めます。
- Customer(市場)
- Company(自社)
- Competitor(競合他社)
KSFを設定する際には、内部要因と外部要因の両方を設定することが大切です。
3C分析では自社が内部要因、市場や競合他社が外部要因に該当するため、KSFに即した分析が行えます。
SWOT分析
内部要因を分析したいときに有効なフレームワークが、SWOT分析です。
SWOT分析では、次の4項目に対して分析を行います。
- Strength(自社の強み)
- Weakness(自社の弱み)
- Opporyunity(機会)
- Threat(脅威)
5F分析
外部要因を詳しく分析したい場合は、5F分析が有効です。
5F分析では、以下のように脅威(フォース)となる5項目を分析できます。
- 新規参入企業
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
- 代替品
- 競合他社
KSFで外部要因を定める際には、市場や競合の詳しい分析が必要です。
5F分析を用いて、自社に影響を与える外部要因を深掘りしておきましょう。
PEST分析
外部要因の中でも市場を中心に分析したいという場合は、PEST分析が有効です。
PEST分析では、次の4項目を調べることができます。
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
まとめ
目標設定を行う際には、目標達成の成功要因となるKSFを設定することが大切です。
KSFを設定する際には、内部要因と外部要因の両方を設定する必要があります。
「成功要因を広く分析したい」「外部要因を深く分析したい」「外部要因のなかでも、競合他社に特化した分析をしたい」などの自社のニーズに合わせて、適切なフレームワークを活用して分析してみてください。