このページのまとめ
- クレドカードは企業の信条を記したカードのこと
- クレドカードの導入により、企業イメージやコンプライアンス意識の向上が期待できる
- クレドカードを従業員に配布したあとも、定期的に内容の周知を行うことが重要
従業員に企業の考え方を浸透させるために、クレドカードを導入する企業が増加しています。クレドカードの導入により、従業員はクレドをいつでも確認でき、企業の指針に沿って行動できます。自社のクレドを浸透させるために、クレドカードを導入しようと考えている企業も多いことでしょう。今回は、クレドカードを導入するメリットや導入方法について解説します。
クレドカードとは
クレドカードとは、企業の行動指針や理念を示した言葉を記載したカードのことです。クレドは「信条」を表す言葉であり、従業員の行動基準や企業方針を決める際に参考にします。クレドカードを作成することで従業員がクレドをいつでも確認できるというメリットがあります。
クレドと経営理念の違い
クレドと似た言葉に、経営理念があります。経営理念とは、「経営者自身が大切に思う考え」です。そのため、「企業の行動指針、信条」を掲げるクレドとは異なります。クレドは経営者が変わっても残りますが、経営理念は経営者が変わると新しくなるケースもあります。クレドをもとに、経営理念が作られると覚えておきましょう。
クレドカード導入のメリット
クレドカードを導入する前に、どのようなメリットがあるか知っておきましょう。主なメリットは次のとおりです。
従業員がいつでも行動指針を確認できる
クレドカードは名刺のように小さいため、持ち運びに便利です。不意に判断を強いられる場面でも、その都度クレドカードを確認することで自信をもって業務を進められるでしょう。
企業イメージ向上が期待できる
従業員がクレドに沿って行動できていると、企業イメージの向上が期待できます。現代では、自社のクレドをホームページなどに掲げ、アピールしている企業も増加しています。クレドどおりに従業員が行動できていれば、取引先や消費者から、信頼できる企業として認識されるでしょう。
コンプライアンスへの意識が向上する
クレドカードの導入により、従業員のコンプライアンスに対する意識が向上します。もともと、クレドはデータ改ざんや産地偽装といった従業員の不祥事を防ぐ目的で導入されました。従業員がクレドカードを所持して都度チェックすることで、コンプライアンスに対する意識を高めることができるでしょう。
従業員の主体性を高める
クレドカードの導入は、従業員の主体性向上につながります。業務中は、上司からの指示ではなく、自分自身で判断を行う場面も訪れます。クレドカードを確認すると判断の手助けになり、自分で決断する能力が育つでしょう。
従業員のモチベーション向上
クレドの実現によって、顧客から行動を評価されたり、社内で認められるケースもあるでしょう。他社から評価されることで、従業員のモチベーション向上につながります。
クレドカードの作成方法
クレドカードをまだ導入していない企業は、以下の手順に沿って作成してみましょう。
クレドの作成チームを作る
クレドカード作成時には、専用の作成チームを作りましょう。メンバーの選定には、偏りがないように注意します。部署も役職もバラバラなメンバーを集めましょう。
メンバーがそろったら、以下の内容について具体的に決めていきます。
- 企業の存在意義
- 企業の行動指針
- 企業の方向性
- 企業が大事にすべき考え
クレドカード作成のスケジュールを決める
クレドカードを作成するスケジュールを決めましょう。作成期限だけではなく、クレドを浸透させる期限も定めます。いつまでに、どのようにクレドカードを浸透させるかを明確にしましょう。
経営陣へのヒアリング
クレドを決める際には、従業員だけでなく経営陣の意見も反映します。経営陣の考え方とズレてしまうと、クレドとして機能しなくなってしまうためです。経営陣に話を聞き、従業員が考えるクレドと意見が一致しているかを確かめましょう。
経営陣にヒアリングすべき項目は次のとおりです。
- 将来のビジョン
- 企業の存在意義
- 自社の改善点
- 自社が誇れるサービス
- 顧客や取引先へのメッセージ
クレドを文章化する
ヒアリングや議論内容をもとに、クレドを文章化しましょう。抽象的になりすぎないように注意するとともに、自社の特徴が伝わるキーワードを盛り込むことがポイントです。
クレドカードを作成する
クレドを文章化できたら、クレドカードの作成に取りかかりましょう。従業員が持ち運びたくなるように、デザインにもこだわって作成することがポイントです。
クレドカードが完成したあとの対応
クレドカードが完成したあとの対応についても説明します。
従業員に配布する
クレドカードが完成したら、従業員に配布しましょう。ただ配るのではなく、経営陣が従業員一人ひとりに手渡しすると効果的です。また、クレドカード配布時に活用方法を伝えることも重要です。
クレドを掲示する
クレドカードとは別に、クレドを見える場所に提示しましょう。従業員の目につく、確認しやすい場所に設置します。クレドやクレドカードはすぐに浸透するものではなく、徐々に広めていく必要があります。毎日目にする場所に掲示し、従業員の意識を高めましょう。
従業員に周知を行う
クレドカードの実装を従業員に周知しましょう。クレドカードを配布して終わりにするのではなく、朝礼でクレドを読み上げたり、社内メールで全員に周知したりすることが大切です。クレドカードの内容をくり返し伝えることで、クレドの重要性が伝わります。
クレドカードの導入事例
クレドカードを実際に導入した企業の事例を見てみましょう。自社でクレドカードを行う際の参考にしてください。
IT企業の導入事例
あるIT企業では、従業員が一丸となって進むための指針として、クレドカードを導入しました。オフィス内にもクレドを掲示し、従業員がいつでも確認できるようにしています。このIT企業では、クレドカードの導入により、従業員のクレドに対する意識が高まりました。通勤途中の電車でクレドカードを読む従業員も多く、クレドが身近なものとして浸透しています。
ホテルの導入事例
あるホテルでは、クレドを従業員に繰り返し伝えるように工夫しています。その一環として、クレドカードが導入されました。たとえば、クレドカードを胸元のポケットにしまうことで、判断基準としていつでも見返せるようにしています。また、クレドを浸透させるために、始業時間にクレドの読み合わせを行ったり、入社後のオリエンテーションでクレドの説明をしたりしました。
クレドの内容を何度も周知して従業員の意識を高めた結果、同ホテルはクレド導入のロールモデルとなり、ホテル業界でも素晴らしいサービスを誇る企業として知られるようになりました。
まとめ
従業員のコンプライアンスへの意識を高める方法の一つに、クレドカードの導入があります。クレドカードは作成するだけでは効果がなく、従業員に何度も周知することで徐々に浸透していきます。クレドカードの作成は、従業員がカードを定期的に読み返す習慣を作ることまでがセットであることを押さえておきましょう。