このページのまとめ

  • ナラティブとは、話し手主体で語られる物語のこと
  • ビジネスではナラティブアプローチやナラティブマーケティングが利用される
  • ナラティブマーケティングでは、消費者の物語に注目して製品をアピールすることが大切

コミュニケーションやマーケティングの場面で、ナラティブを活用する企業が増加しています。ナラティブとは、話し手の「語り」や「物語」を指す言葉です。ナラティブという言葉は聞いたことがあっても、ビジネスにどのように取り入れればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。今回は、ナラティブの概要や、ビジネスで活用するメリットを解説します。

ナラティブとは 

ナラティブとは、話し手自身の物語や語りを意味する言葉です。現代では、医療現場でのカウンセリングやビジネスにおけるマーケティングなどに活用されています。

カウンセリングの場面では、ナラティブを活用したナラティブアプローチが実践されています。
ナラティブアプローチとは、話し手が語る物語を通して問題解決を図るアプローチ方法です。
ナラティブアプローチの活用によって話し手の本心を引き出し、悩みを深く理解することができます。カウンセリングの場面だけでなく、部下や同僚とコミュニケーションをとる場面や、消費者へのマーケティングにも活用が進んでいます。

ナラティブがビジネス場面で普及し始めている理由

ナラティブがビジネスの場面で普及し始めている理由には、次のようなものがあります。

企業の持つストーリーが重視されるようになった

ナラティブがビジネスで普及し始めている理由の一つが、企業のもつストーリーが重視されるようになってきたことです。
現代では、商品の性能だけでなく企業の思いを重視する消費者が増えています。たとえば、生産者の写真やコメントを添えて野菜を販売することで、購買意欲を高める施策があります。
「●●県産」とだけ記載するのではなく、生産者の人柄や思いも伝えることで消費者に親近感をもたせることができます。

コミュニケーションの重要性が増している

SNSの普及で対面でのコミュニケーションが減少し、コミュニケーションの重要性が増していることも理由の一つです。SNSを通して誰でも容易に製品やサービスの比較検討ができるようになったからこそ、企業の思いに注目したマーケティングコミュニケーションが重要になっています。

ナラティブを活用するメリット 

ナラティブの活用により、どのような効果が期待できるかを知っておきましょう。
ビジネスの場面でナラティブを活用するメリットには、次のようなものがあります。

相手の考えていることを深く理解できる

ナラティブの活用により、相手の考えていることを深く理解できるようになります。
ナラティブでは質問者の考えを伝えるのではなく、相手の話を聞くことに重きを置きます。
話し手の本心を探るためのコミュニケーションとして、ナラティブの活用が注目されています。

現状の課題が明確になる

ナラティブによって、現状の課題が明確になるメリットがあります。
聞き手が相手の回答を誘導することを防ぎ、話し手自身の言葉で話してもらうことで、これまでは見えてこなかった問題の本質が明らかになるかもしれません。

アプローチに知識を必要としない

ナラティブアプローチを行う際に、聞き手に特別な知識が必要ないこともメリットです。
たとえば、質問者が知識を持ってしまうと、語り手の発言を否定したり、話している内容がおかしいと決めつけたりしてしまう可能性があります。ナラティブは語り手自身のストーリーを聞くため、質問者に知識は不要です。手順さえ知っていれば、誰でもアプローチできるのが大きなメリットです。

ナラティブマーケティングとは 

ナラティブを活用したナラティブマーケティングを扱う企業が増加しています。
ナラティブマーケティングとは、消費者自身が持つ物語に対してアプローチするマーケティング手法のことです。
ナラティブマーケティングでは、商品購入によってどのような未来が生まれるかを消費者に想像させます。たとえば、「高級な木材を使った椅子」として売るのではなく、「座り心地抜群で腰痛や肩こりを軽減する」のように、消費者の未来を売り出します。このような未来を語るには、消費者の本心を引き出してマーケティングに活かす手法が重要です。

ナラティブマーケティングのメリット

ナラティブマーケティングを活用することで、次のようなメリットが得られます。

消費者が親近感を持ちやすい

ナラティブマーケティングでは消費者の本心を引き出して商品をアピールするため、消費者が商品に親近感を持ちやすいというメリットがあります。あわせて、企業に対する好感度の上昇も期待できるかもしれません。

消費者がサービスを利用した未来を想像しやすい

消費者目線に立つと、サービスを利用した未来が想像しやすいメリットがあります。サービスの利用で得られる未来が想像できれば、購入意欲も高まるでしょう。たとえば、素晴らしい商品を開発しても、消費者に「この商品を通してどのような未来が得られるか」が伝わらなければ購入にはつながりません。消費者に商品購入後の未来を想像させられるかどうかが、マーケティングにおいて非常に重要です。

商品やサービスのポジションが明確になる

ナラティブマーケティングにはストーリーがあるため、商品やサービスのポジションが明確になります。たとえば、同じ車であっても一人暮らしの人と子どもがいる人とでは利用シーンが異なるでしょう。家族がいる人に向けて「家族でのお出かけが楽しくなる車」というナラティブマーケティングを行うことで、製品を身近に感じてもらえる確率が高くなります。

まとめ

ビジネスの場面で、注目を集めているのがナラティブです。語り手自身のストーリーに着目してビジネスを行うことは、今後さらに普及していくでしょう。ナラティブは、同僚とのコミュニケーションだけではなく、マーケティングにも活用できます。現在のアプローチ手法を変えるために、ナラティブを活用してみるのも良いでしょう。ナラティブでは、自分が伝えたいことを重視するのではなく、相手が話したいことを重視するように意識してみましょう。