若手社員が会社に何を求めているのかを理解したいと思っている管理職の方もいるでしょう。若手社員の高い離職率やパフォーマンス低下は企業の大きな課題となっています。若手社員が会社に求めるものについて理解し、適切な対応を実施することは若手社員の定着率を高めることにつながります。

本記事では、ハーバードビジネスレビューの記事などを参考に、若手社員が会社に求めるものやサポート方法について解説します。若手社員が求めるものやサポート方法について理解を深めてください。

若手社員が会社に求めるものとは

若手社員が会社に求めるものについて、リクルートエージェンシーによる2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査を参考に解説します。同調査によると、若手社員が仕事に対する価値観について特に重要だと思うものは、以下とされています。

仕事に求めること割合
安定43.3%
貢献34.1%
成長34.1%

上記の若手社員が仕事に対する価値観について特に重要だと思うものは、2017年以降大きな変化がなく、これらのニーズが若手社員の間で確固たるものとなっていることがわかります。

安定した職場は、経済的な安心感を提供し、長期的なキャリアを築く土台となります。その上で、仕事を通じて社会や組織に対して貢献したいと考える若手社員は多く、これらがモチベーションの一因となっています。さらに、若手社員はスキルアップや成長を通じてキャリアアップを実現させたいという強い意欲を持っています。

企業は若手社員に対して「安定」「貢献」「成長」を提供する環境を整えることが重要です。これにより、若手社員は安心して長期的なキャリアを築くことができ、企業もまた、高いモチベーションを持つ従業員を確保することができます。

若手社員へのサポートの必要性

若手社員のサポートが必要な理由として、若手社員の離職率の高さと若手社員のパフォーマンスとエンゲージメントの低下が関係しています。

厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%、新規大学卒就職者が32.3%となっています。

引用:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)|厚生労働省

若手社員の離職は、中途採用に比べて採用コストや教育コストが高くなります。また、若手社員は以前の世代と比較して、仕事への満足度が低く、孤独を感じやすく、燃え尽き症候群のリスクが高い傾向にあります。

若手社員が最大限の能力を発揮できる環境を作るためには、企業による積極的なサポートが不可欠といえるでしょう。

若手社員をサポートする4つの方法

若手社員をサポートする4つの方法について、若手社員へのサポートの必要性について、ハーバードビジネスレビューが公開する、職場の帰属意識に関する基調講演者であるアダム・スマイリー・ポスウォルスキー氏による記事を参考に解説します。

社内でコミュニティを構築する

若手社員の職場内でのコミュニティ構築のサポートを行いましょう。若手社員の多くが職場での関係構築が難しいと感じています。企業はさまざまなコミュニティを構築し、若手社員が職場で繋がりを感じられるようにすることが重要です。

具体的な施策として、オンボーディングをコミュニティ構築の機会とすることが挙げられます。新入社員同士が親しくなる機会をつくり、相互支援の文化を育む以下のようなプログラムを導入することが効果的です。

  • シャドーイング……先輩社員の業務を一日付き添って仕事内容を理解する
  • スピードフレンズ:……組織全体の様々な先輩社員と短時間の中で数名と会って交流する
  • パーソナルパーパスエクササイズ:……個人的な目標を理解するためのワークショップ

コミュニティを構築することにより、若手社員は職場で孤立することなく、心身ともに健康な状態で仕事に取り組むことができます。コミュニティの力を活用して、若手社員が安心して働ける環境を提供しましょう。

目的意識を与える

若手社員をサポートするためには、目的意識を与えることが有効です。目的意識を持つことで、若手社員は自分の役割や仕事の意義を理解しやすくなり、モチベーションが向上します。

これにより、職場でのエンゲージメントが高まり、離職率の低減や生産性の向上に繋がります。具体的な方法として、上司が若手社員の目的や役割について、話す機会を設けたり、社員同士が互いに目的意識を共有するなどがあげられます。

目的意識を持つことで、若手社員は自分の役割を理解し、仕事に対する情熱を持って取り組むことができるでしょう。

成長の機会を提供する

若手社員の定着率を高め、成長を促進するためには、成長の機会を提供し、サポートすることが大切です。

例えば、若手社員にとって少し難易度の高い仕事を任せ、状況に応じて上司がフォローすることで、若手社員は経験やフィードバックを通じて成長を実感することができるでしょう。

若手社員にとってキャリアはまだスタートしたばかりの段階であり、、成長やスキルアップに対する意欲が非常に高い時期ともいえます。

成長の機会を提供することで、自身のキャリアパスを明確にし、職場へのロイヤリティも高まるでしょう。また、成長を支援する環境は、メンタルヘルスにも良い影響を与えます。

フィードバックと評価を重視する

若手社員へのフィードバックと評価も重要です。若手社員は、自身の成長や業務の進捗を確認するための明確なフィードバックと評価を求めています。上司からのフィードバックや評価は、自分の強みと改善点を理解し、モチベーションを高める良い機会となります。

フィードバックと評価を重視することは、若手社員の成長を促進し、メンタルヘルスの改善にも役立ちます。企業は定期的なフィードバックの機会や明確な評価基準を設けることで、若手社員が自身の目標に向かって進む道筋を明確にし、組織全体のパフォーマンス向上にもつなげることができるでしょう。

参考:

Adam Smiley Poswolsky.Gen Z Employees Are Feeling Disconnected. Here’s How Employers Can Help.Harvard Business Review.https://hbr.org/2022/06/gen-z-employees-are-feeling-disconnected-heres-how-employers-can-help

まとめ

若手社員が会社に求めるものについて解説しました。若手社員が、会社に求めるものとして「安定」「貢献」「成長」が上位3つを占めています。このことから、若手社員は、ワークライフバランスを重視していることが分かります。

若手社員を長期的な戦力として育てるためには、コミュニティの構築や定期的なフィードバックや適切な評価などのサポートが必要です。若手社員が求めるものを理解し、職場環境を整えたり社内のコミュニケーションを活性化したりすることで、若手社員が長く働く会社へと成長出来るでしょう。