1on1でプライベートを話したくない部下について、どのように対応すればよいか悩んでいる管理職の方もいるでしょう。1on1では、上司と部下の信頼関係を構築するためにプライベートの話をすると良いとされています。

しかし、中にはプライベートを話したくない部下もいるでしょう。その場合、他の話題を提供することで、部下からの信頼を崩さずに1on1を実施することができます。

本記事では、プライベートを話したくない部下への対応方法や上司が1on1で避けるべき行動について解説します。

1on1でプライベートを話したくない部下への対応

1on1でプライベートについて話したくない部下への対応はどのようにすればよいのでしょうか。ハーバードビジネスレビューに公開されている、組織パフォーマンスに詳しいマット・メイベリー氏による記事を参考に解説します。

プライベートの話題の効果

1on1でプライベートの会話を取り入れることで、上司と部下の信頼関係を深めることができます。1on1は部下との個別面談であり、業務の進捗確認や課題解決だけでなく、良好な関係構築も重要な目的です。

その中で、プライベートな話題は、単なる雑談ではなく、信頼関係を深める手段として活用できます。具体的には、ミーティング冒頭に数分間、趣味や週末の過ごし方など、仕事以外の話題に触れることで、堅苦しい雰囲気を和らげ、相手との距離を縮めることができます。

「週末はキャンプに行くと言っていましたが、どうでしたか?」といった何気ない質問が、相手への関心を示し、心を開かせるきっかけとなります。

プライベートの話題を通じて、部下は安心して業務上の課題や悩みを上司に打ち明けやすくなり、より深いコミュニケーションへと繋がるでしょう。また、プライベートな会話を通じて得られる情報は、相手の個性や価値観を理解する上で貴重な手がかりとなり、適切な指導やサポートに役立ちます。

ただし、プライベートな話題はあくまでも信頼関係構築のための手段であり、過度な詮索やプライベートへの踏み込みは逆効果です。相手の反応を見ながら、適切な範囲で会話を進めることが重要です。

1on1でプライベートな話題を効果的に取り入れることは、上司と部下の信頼関係を深め、結果的にチーム全体の成果向上に貢献することができます。

プライベートの話題は必須ではない

1on1において、プライベートの話題は、堅苦しくなりがちな上司との面談の雰囲気を和らげたり、相互理解を深めるために行います。

しかし、部下によって最適なコミュニケーション方法は異なるため、プライベートな話を避けたい部下に対しては、無理にプライベートの話をする必要はありません。

そのような部下には、趣味や最近のニュースなど、プライベートに深く踏み込まない話題を選ぶと良いでしょう。重要なのは、無理にプライベートな話を聞き出そうとせず、部下の意思を尊重することです。

部下の意思を尊重することで、信頼関係を損なうことなく、1on1の目的を達成できる可能性が高まります。

参考:

Matt Mayberry.(2024).How to Lead Your First One-on-One Meeting.Harvard Business Review.https://hbr.org/2024/04/how-to-lead-your-first-one-on-one-meeting

1on1の効果を感じている企業は多い

株式会社リクルートマネジメントソリューションズの1on1ミーティング導入の実態調査によると「上司と部下の関係性が良くなった」と回答した企業が40.9%、「部下のモチベーションが上がった」が36.4%とされています。

引用:1on1ミーティング導入の実態調査|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

1on1は上司と部下が話せる貴重な機会です。上司と部下の信頼関係を構築するためにもプライベートについて話したくない部下への対応が重要となります。

そのためには、上司が1on1の正しい進め方や話すテーマについて理解しておくことで、上司と部下の関係構築に役立ったり、部下のモチベーションを向上させることができます。

1on1の正しい進め方や話すテーマについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

上司が部下との1on1で避けるべき行動

1on1で避けるべき行動について、ハーバードビジネスレビューが公開するノースカロライナ大学シャーロット校の学長教授であるスティーブン・ローゲルバーグ氏らによる記事を参考に解説します。

準備不足のまま実施する

1on1ミーティングには、しっかりと準備をして臨むべきです。準備不足で臨むと、何を話したいか分からず、時間だけが過ぎてしまい、せっかくの機会を無駄にしてしまいます。

たとえば、事前に議題を考えずにミーティングに臨むと、業務連絡や進捗確認だけで終わってしまう可能性があります。1on1ミーティングを準備不足で実施すると、上司との関係構築や自身の成長促進の機会を逃してしまう可能性があります。

一方的に話す

1on1ミーティングでは、上司と部下が双方向のコミュニケーションを取ることが重要です。1on1ミーティングは、上司の話を一方的に聞くのではなく、双方向のコミュニケーションを通じて、相互理解を深め、信頼関係を築くための場です。

たとえば、上司の話をただ聞いているだけで、部下が質問や意見を述べないと、本当に理解しているのか、何か困っていることはないのか、などを把握することができません。

部下が上司に、積極的に質問をしたり自分のキャリアや価値観を話すためには、日頃から上司に質問したり話しやすい雰囲気を作ることが大切です。双方向のコミュニケーションを意識することで、部下との関係性を深め、部下の成長を促進することができます。

些細なタスクの確認に時間を費やす

1on1ミーティングでは、些細なタスクの確認ではなく、事前に設定したテーマについて話すことに集中するべきです。1on1ミーティングは、日々の業務報告やタスク管理に時間を割くのではなく、部下の成長や目標達成、そして個人的な課題解決に焦点を当てるべきです。

たとえば「今週は何をしましたか?」「来週は何をしますか?」といった、日々の業務報告ばかりに終始してしまうと、1on1ミーティング本来の目的である、長期的な成長やキャリア開発、そして個人的なサポートといった重要な議題について話し合う時間がなくなってしまいます。

目的を達成するためには、1on1ミーティングで話すテーマを事前に設定し、部下にも共有しておくことも効果的でしょう。

他のコミュニケーションで代替する

1on1ミーティングは、他のコミュニケーション手段では代替できない上司と部下の信頼関係を築くための大切な時間です。1on1ミーティングは、上司が部下へサポートや成長支援を提供するための貴重な機会であり、他のコミュニケーション手段では、このような深い関係性を築くことは難しいでしょう。

たとえば、メールやチャットで業務連絡を頻繁に行っていたとしても、1on1ミーティングの時間を設けることで、より個人的なレベルでコミュニケーションを取り、上司との信頼関係を深めることができます。

1on1ミーティングを他のコミュニケーションで代替してしまうと、部下との信頼関係構築や成長促進の機会を失ってしまう可能性があります。

参考:Steven G. Rogelberg. Jon Gray.and Cydnei Meredith.(2024).Make the Most of One-on-One Meetings with Your Manager.Harvard Business Review.https://hbr.org/2024/04/how-to-get-the-most-out-of-a-one-on-one-with-your-boss

まとめ

1on1でプライベートを話したくない部下の対応方法について解説しました。1on1でプライベートの話をすると、部下の価値観を理解できたり堅苦しくなりがちなミーティングの雰囲気を和らげることができます。

しかし、プライベートを話したくないと思っている部下に対しては趣味や最近のニュースなどに変えて対応しましょう。1on1では、プライベートを話したくない部下の気持ちを尊重し、信頼関係の構築に努めましょう。