「ゆとり世代の部下はプライドが高く、扱いづらい…」
「プライドが高いゆとり世代の指導方法がわからない…」

このような悩みを抱える管理職も多いでしょう。プライドが高い人間を育成するためには、その特性を理解し、効果的な指導方法を習得する必要があります。

本記事では、プライドが高いゆとり世代を指導するコツや、感情的になってしまったときの対処法などについて解説します。プライドが高い社員を適切に指導し、すべての部下にとって働きやすい職場づくりを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

ゆとり世代とは?

ゆとり世代とは、2002~2011年に実施された「ゆとり教育」を義務教育で受けてきた世代、すなわち1987~2004年に生まれた世代を指します。

ゆとり教育の主な目的は、指導内容や授業時間を削減することで、子どもにゆとりある学びの時間を提供し、自主性や創造性を重視する教育を行うことでした。しかし、学習量が減ったことによる学力低下などが問題視され、ゆとり教育は2011年に廃止となりました。

▼ゆとり教育を象徴する事例

  • 「学校週5日制(週休2日制)」:学校の1週の授業日を5日とする制度
  • 「総合的な学習の時間」:生徒が興味を持つテーマについて、自発的に横断的・総合的な課題学習を行う時間

2024年現在、ゆとり世代に該当するのは20~30代の、会社の将来を担う若手・中堅社員です。そのため、ゆとり世代の社員を効果的に育成することが、会社を持続的に成長させるためには必要不可欠だといえます。

参考:
中村学園大学短期大学部「ゆとり教育について」

「ゆとり世代はプライドが高い」は本当?

ゆとり世代について、「仕事ができないくせにプライドだけは高い」という批判を聞いたことがあるかもしれません。はたして、ゆとり世代は本当にプライドが高いのでしょうか。

結論からいうと、ゆとり世代の全員がプライドが高いわけではありません。以下は、公益社団法人東京広告協会が実施した、「ゆとり教育に関する意識調査」の結果の一部です。同調査によると、ゆとり世代は「ゆとりの自覚の有無」および「ゆとりと言われることへの抵抗感の有無」で分類することで、4つのタイプに分けられるとされています。

  • 真性ゆとり層(36%):「ゆとり自覚あり」×「ゆとり抵抗なし」
  • あせり層(33%):「ゆとり自覚あり」×「ゆとり抵抗あり」
  • きっちり層(20%):「ゆとり自覚なし」×「ゆとり抵抗あり」
  • つっぱしり層(11%):「ゆとり自覚なし」×「ゆとり抵抗なし」

上記のうち、「あせり層」は「ゆとり世代であることにコンプレックスを抱えている」傾向が強いといいます。プライドが高いゆとり世代は、主にあせり層に該当すると考えられ、その割合は33%と全体の一部に過ぎないことがわかります。

そもそも、ゆとり以外の世代にも、プライドが高い人間はたくさんいるはずです。社員の特性を「ゆとり世代だから」と最初から決めつけることは、相手を不快にさせる恐れがあるため注意が必要です。

参考:

公益社団法人 東京広告協会「大学生が「ゆとり世代」に大規模調査!「“ゆとり”の現実、“さとり”の真実」」

プライドが高いゆとり世代の特徴

米国人材マネジメント協会(SHRM)の情報をもとに、プライドが高いゆとり世代の主な特徴について解説します。

承認欲求が強い

プライドが高いゆとり世代の中には、承認欲求が強く、常に賞賛されることを求めている人が多いとされています。このようなタイプは、自己肯定感が低く、自分の価値を他者からの評価に依存する傾向が強いです。

心理学者のマズローによると、人間の承認欲求は以下の「低次の承認欲求」と「高次の承認欲求」の2種類に分けられるとされています。

  • 低次の承認欲求:他者から評価されたいという欲求
  • 高次の承認欲求:自分自身を高く評価したいという欲求

上記を見ると、自己肯定感が低い人間は「高次の承認欲求」が満たされておらず、代わりに他者からの評価を得て「低次の承認欲求」を満たそうとすることがわかります。

承認欲求自体は人間誰しもがもつものであり、多少強い分には問題ありません。しかし、承認欲求が過度に強いと、周囲は常に賞賛することを強いられ、煩わしく感じる可能性があります。このような状態を防ぐには、適切に褒めることで、自己肯定感を満たしてあげることが重要です。

自分の非を認めない

プライドが高いゆとり世代は、仕事で失敗したり問題を起こしたりしても、自分の非を認めない傾向があります。

具体的な例として、部下が遅刻してきたと仮定します。この場合、まずは上司や関係者に謝罪し、それから遅れた原因や今後の対策を述べるのが最適解でしょう。しかしプライドの高い社員の場合は、「電車が遅れていた」「道が混んでいた」などの言い訳ばかり並べて、一向に謝罪しないと考えられます。

先ほども述べたように、プライドが高い人間は他者からの評価を人一倍気にする傾向が強いです。自分の評価が下がるのを恐れるあまり、自分の非が認められず、結果的に言い訳したり他人に責任を押し付けたりするのでしょう。

人間誰しも間違いやミスを犯すことはあるでしょうが、その際に自分の非を認め、謝罪できない社員は周囲とトラブルを起こす恐れがあります。このようなタイプに指導やアドバイスを行う際には、プライドを傷つけないよう、伝え方を工夫することが重要です。

実力が伴っていない

プライドが高いゆとり世代は、自己評価が高い割に実力が伴っていない可能性が高いです。

ワシントン大学によると、従業員が成長するには「内省」が不可欠とされています。ときには周囲のアドバイスやフィードバックを受けながら、自分の仕事ぶりを振り返ることで自身の強みや課題が認識でき、次に取るべき行動も明確になるからです。しかし、プライドが高い人間は自分の弱みに目を向けるのを恐れ、内省することもないため成長しないことが多いといいます。

「自分の能力や知識が低い人ほど、自分の能力を過大評価しがち」という現象を、心理学の世界では「ダニング・クルーガー効果」と呼びます。ダニング・クルーガー効果に陥っている社員には、自分の実力がはっきりと理解できるよう、明確な目標や評価基準を設定することが重要です。

完璧主義で失敗を恐れる

プライドが高いゆとり世代の中には、完璧主義で失敗することを恐れている者も多いといわれています。

ハーバード・サマースクールによると、完璧主義の人間は「周囲が自分に完璧であることを求めており、その期待に応えられなければ批判を受ける」と考える傾向にあるとされています。「他者からの評価を気にしている」という点では、プライドが高い人間の特徴にも合致しています。

仕事をする上で完璧主義であることは、一見とくに問題がないと思われるかもしれません。しかし、同学によると完璧主義の社員には、以下のようなネガティブな側面があるといいます。

  • ミスを恐れるあまり、仕事に時間がかかりすぎる
  • 自己批判が強く、不安やストレスを抱えやすい
  • 周囲の人間にも完璧さを求める

上記のような状況を防ぐため、「失敗に寛容な文化」を職場内で醸成し、部下が気持ちよく働ける環境をつくることが重要です。

競争心が強すぎる

繰り返し述べているように、プライドの高いゆとり世代は、周囲からの評価を重視する傾向にあります。そのため、常に自分が賞賛を受け続けるために、「同僚よりも優位に立ちたい」という競争心が強すぎる場合も多いといわれています。

もちろん、部下が競争心をもつこと自体は決して悪いことではありません。「ライバルに負けたくない」という気持ちで努力することで、成長のスピードが促進される場合もあるからです。

しかし、競争心があまりにも強すぎる場合、チームの生産性や人間関係に悪影響をおよぼす可能性があります。例として、部下が業務を効率化するノウハウを発見したと仮定します。競争心が強すぎる社員の場合、そのノウハウを誰にも共有せず、独り占めし、自分の評価を上げることだけを考えるでしょう。その結果、せっかく効率的なノウハウを見つけたにも関わらず、チームとしては何の恩恵も受けられないのです。

このような状況を防ぐために、上司は部下に対してチームワークの重要性、すなわちチームで成果を上げることで会社が成長し、結果的に部下自身の評価も上がることを教える必要があります。

周囲を見下す

プライドが高いゆとり世代の中には、自分が優れた存在だと思い込み、周囲を見下す人間もいるでしょう。このようなタイプは自己評価が高いだけで、実力は伴っていないケースが多いとされています。

仮に能力が高い社員だとしても、他者を見下すような存在は職場に悪影響を及ぼす可能性が高いです。ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究によると、自分が軽視されていると感じた従業員は、やがて他の社員のことも同様に軽視し始めることがわかっています。そして、最終的に従業員がお互いに軽視し合う職場文化が形成され、以下のような弊害が起こるといいます。

  • メンタルヘルスの悪化
  • 生産性の低下
  • 離職率の上昇

上記のような状態になるのを防ぐため、同僚に対して敬意のない言動を取る社員が1人でもいる場合は、それが周囲に伝染しないよう早急に対処することが大切です。

参考:

SHRM “The Damage Done: Dealing with Narcissists in the Workplace”

Stanford Graduate School of Business “When Personal Honor Prevents Us from Saying Sorry”

Washington University “The importance of self-reflection and self-awareness in the workplace”

Harvard Summer School “Perfectionism Might Be Hurting You. Here’s How to Change Your Relationship to Achievement”

Knowledge Management Institute “Why Employees Don’t Share Knowledge with Each Other”

University at Buffalo “Toxic behavior recycled in the workplace, study finds”

プライドが高いゆとり世代を効果的に指導するコツ

プライドが高いゆとり世代の社員を効果的に指導するコツを紹介します。

積極的に褒める

プライドの高いゆとり世代が仕事で成果を上げた際や、何かしらの成長が見られたときは、積極的に褒めることが重要です。彼らの能力を認めて評価することで、自己肯定感が高まり、「高次の承認欲求」も満たされる可能性が高いからです。株式会社サーベイリサーチセンターが実施した調査でも、ゆとり世代に該当する20~30代のうち、約8割が「褒められるとやる気が高まるか」との問いに「はい」と回答しています。

ただし、褒めることが大事だからといって、適当に「すごいね」「頑張ったね」と伝えても効果が薄いといわれています。メアリー・ワシントン大学によると、従業員を褒める際は以下のポイントを押さえると効果的とされています。

  • タイムリーに褒める:成果を上げてから褒めるまでの時間が長くなるにつれて、効果も薄れていく傾向にある
  • 具体的に褒める:具体的に伝えることで、相手にとって今後どのような行動をくり返すべきかがわかりやすい
  • 本心で褒める:本心でないうわべだけの賞賛は、かえって逆効果になりかねない
  • 各社員に合ったやり方で褒める:人前で褒められるのが好きなタイプもいれば、個別で伝えられるのを好む人もいる
  • 個人を褒める:グループではなく個人に焦点を当てる
  • 達成度に応じて褒める:小さな成果を大げさに褒めすぎると、「何か裏があるのでは?」と疑われかねない

具体例:▼(例)プライドが高いゆとり世代への褒め言葉

先月、あなたが獲得した新規契約の件数や契約額の伸びは、本当に素晴らしいものです。とくにA社とのプロジェクトにおいて、細かく丁寧にフォローしている様子を間近で見ていて、非常に感心していました。あなたの努力が結果として現れたことは、チーム全体にとっても大きな励みとなります。これからもその取り組み方を続けて、さらなる飛躍を期待しています。

注意の仕方を工夫する

プライドの高いゆとり世代がルールを破ったり、問題行動を起こしたりしたときは、プライドを傷つけないよう、工夫して注意することが大切です。先ほども述べたとおり、プライドが高い人間は自分の非を認めない傾向が強いです。そのため、不適切な方法で注意しても意図が伝わらないだけでなく、反発されて関係性が悪化する恐れもあります。

以下はノースカロライナ大学が提唱する、従業員を建設的に注意するための6ステップです。

ステップ概要具体例
1. 注意する目的を説明する何を話し合いたいのか、なぜそれが重要なのかを簡潔に伝える。こうすることで、相手は何について話すのかを推測する必要がなくなる。「最近のあなたの勤務態度について話し合いたいです。」
2. 観察した行動を具体的に説明する特定の行動について、それがいつ・どこで起こったのか、誰が関与したのか、結果はどうだったのかを説明する。自分が観察したことだけを伝え、主観や推測は含めない。「先週の火曜日は15分、昨日は5分ほど、定時に遅れて出社しましたよね?」
3. 自分の反応を伝える相手の行動に対し、自分がどう感じたかを説明する。こうすることで、相手は自分の行動が周囲に与える影響をより理解しやすい。「遅刻は就業規則違反であり、私は上司として見過ごせません。」
4. 相手に意見を述べる機会を与える沈黙を保ち、相手の目を見つめ、自分が回答を待っている様子を示します。「あなたの考えを教えてください。」「何か反論はありますか?」
5. 具体的な改善策を提案する実用的かつ実現可能な改善策を提案する。こうすることで、注意を終えて、話題が現状を改善する方法に移行していることを示す。「明日の朝から起床時間を20分ほど早めてみてはどうでしょうか?」
6. 内容を要約する話し合った主要なポイントを要約する。このとき、相手の行動の否定的な点は強調しない。最後にポジティブな言葉で締める。「それでは、本日より規則正しい生活を意識し、定時出社を心がけてください。最近あなたの成績が日に日に向上していることが見てとれるので、引き続き頑張っていきましょう!」

失敗に寛容な文化を育む

先ほども述べたように、プライドが高いゆとり世代の中には、完璧主義で失敗することを極度に恐れている者もいます。彼らがのびのびと働けるよう、失敗に寛容な文化を職場内で育むことが重要です。

そのためにはまず、組織における「失敗は避けるべきもの」という考え方を変える必要があるでしょう。以下はテキサス大学オースティン校が提唱する、失敗を好転させる4つの方法をまとめたものです。

方法概要具体例
1. 失敗を前向きに受け入れる「失敗は悪いことだ」という考えを改め、「失敗はいいことであり、役に立つことであり、価値のあることだ」と捉えるよう日頃から伝えておく事前に最悪のケースを想定しておき、失敗がそれほど悪くないことを示す
2. 失敗を称える成果を上げたときと同様に、「意味のある失敗」をしたときも評価する。失敗をプラスとして評価すると、部下はリスクを取りやすくなり、より創造的で型破りなアイデアが思いつくようになる部下の業績評価指標の1つに、「効果的な失敗ができたか」を組み込む
3. 失敗から教訓を得る失敗そのものよりも、失敗から得られる教訓に焦点を当てる。「何が効果的で、何が効果的でなかったか」という新たな知識・経験を得て、もう一度挑戦することが重要失敗の内容や原因を報告する「失敗会議」を開催する
4. 失敗を共有するリスクの軽減方法や失敗から得た教訓を共有し、失敗が成功へのステップであることを示す自分の過去の失敗をオープンに語る

測定可能な目標を設定する

プライドが高いだけで実力が伴っていないゆとり世代には、評価基準が明確な、「測定可能な」目標を示しましょう。評価基準がはっきりとしていれば、自分の能力も客観的に把握しやすいからです。

たとえば、営業職の社員に対して「月に15件以上の新規契約を獲得する」という目標を設定したと仮定します。この場合、評価基準は非常に明確であり、「1ヶ月に15件以上」の新規契約を獲得できていなければ、自分の能力がまだまだ未熟だと理解してもらえる可能性が高いです。

また先ほども述べたとおり、部下が目標を達成したときは、素直に称えることが重要です。その場合は、より難易度が高い新たな目標を設定すれば、さらに成長意欲を高められるでしょう。

部下の効果的な目標設定方法について、詳細を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

チームワークの重要性を教える

上司として、チームワークの重要性を職場内で浸透させることも大切です。ここでいうチームワークとは、「会社と従業員が同じ方向を向いて努力している」状態を指します。

先ほども述べたように、プライドが高いゆとり世代の中には、競争心が極端に強く、「周囲を蹴落としてでも優位に立ちたい」と考える者がいます。チームワークの重要性が浸透していれば、このような独りよがりな考え方は自然と排除され、組織全体の生産性も大きく向上するでしょう。

また、チームワークの強さは、社員のモチベーションや離職率にも大きく影響するといわれています。ギャラップ社の調査によると、従業員が強いチームワークを感じる場合には、仕事に熱心に取り組む可能性が3.7 倍高くなり、転職を検討する可能性は55%低くなることがわかっています。

従業員のチームワークを強化する方法の1つとして、「会社のビジョンや目標に沿って、各個人の目標を設定する」ことが挙げられます。会社と個人の目標の関連性を理解することで、自分に求められている役割や期待が明確になり、「自社を成長させたい」という意欲が高まる可能性が高いからです。経営支援サービスを提供する株式会社YKプランニングの調査でも、「(会社の目標と自分の目標が)どのように紐づいているかを理解できればモチベーションが上がりますか?」との問いに、75.7%が「はい」と回答しています。

▼(例)会社の目標と関連づけられた個人目標

「問い合わせ業務を効率化させ、回答にかかる時間を20%削減する」(「営業利益を1%アップさせる」という会社の目標に対して、問い合わせ業務にかかる人件費を削減させるための個人目標を設定する)

社内表彰を実施する

全社員がお互いを認め合う文化を醸成するために、社内表彰を実施するのも有効かもしれません。

先ほども述べたとおり、プライドが高いゆとり世代の中には自分の能力を過信し、周囲を見下すタイプもいます。社内表彰を行えば、他の社員がいかに努力し、優秀な成績を収めているかが明確になるため、このようなタイプを改心させられる可能性が高いです。また、社内表彰にはモチベーションアップの効果も期待でき、表彰を受けた社員はもちろん、受けられなかった社員にも「次は自分も表彰されたい」という意欲がわくと考えられます。

また、社内表彰の効果をより高めるためには、表彰と一緒に景品を与えることが重要といわれています。株式会社NEXERの調査によると、「(社内表彰を受けた際にもらった)記念品や贈与品はモチベーションに繋がりましたか?」との問いに、67.8%が「繋がった」と回答しています。

以下は、株式会社ディースタイルが実施した調査結果の一部です。社内表彰の景品選びに悩んでいる方は参考にしてください。

▼Q. 会社のインセンティブとして、以下のインセンティブがもらえたら、あなたは嬉しいと思いますか?

回答「嬉しい」と回答した割合
時間(休みたいときに休める/ストレスなく休暇が取れる環境)84.4%
数ある中から自分で選べるもの(好みのモノや内容を選べる)74.8%
美味しい食事やグルメギフト69.7%

参考:

アットプレス「職場における「ほめる効果」に関するアンケート 調査結果の詳細」

University of Mary Washington “When and How to Give Recognition”

The University of North Carolina at Greensboro “GIVING CONSTRUCTIVE FEEDBACK”

The University of Texas at Austin “Failing Forward: How to Encourage Failure”

Gallup “Organizational Culture”

PR TIMES「従業員の75%が会社目標と個人KPIの関連性を理解できるとモチベーションアップに!アンケート調査から見える経営者と従業員の意識ギャップとは!?」

PR TIMES「【社内表彰を受けたことはありますか?】経験のある67.8%がモチベーションに「繋がった」」

株式会社ディースタイル「社内表彰制度成功の方法」

プライドが高いゆとり世代にムカついたときの対処法

プライドが高いゆとり世代の行動や態度に対して、上司として感情的になることもあるでしょう。カリフォルニア大学バークレー校の研究機関GGSCでは、ネガティブな感情をコントロールする対処法として、以下の3つを推奨しています。

  • アクセプタンス
  • セルフディスタンシング
  • リフレーミング

上記それぞれについて、詳しく解説します。

アクセプタンス

アクセプタンスとは、「ネガティブな感情を否定せず、そのまま受け入れる」ことを意味する心理学用語です。負の感情をあえて受け入れ、感情の波が過ぎ去るのを待つことで、長期的に否定的な感情に囚われるのを防ぐ効果が期待できます。

ネガティブな感情は誰もが抱くものであり、それを押しのけたり無視したりすることは、かえって負の感情を強めることになりかねません。たとえば、他人の不快な発言を無理に忘れようとした結果、余計に意識してしまい、イライラが強まった経験はないでしょうか。このような悪循環を防ぐ対処法の1つが、アクセプタンスだといわれています。

アクセプタンスを実践するには、まず自分が感情を「コントロールできること」と「コントロールできないこと」をリスト化します。続いて、「コントロールできないこと」に意識を集中させ、湧き上がる感情を表面化させます。そして、これらの感情および自分自身をそのまま受け入れる練習をしましょう(例:「部下がしょっちゅう遅刻することがムカつくけれど、それでいいんだ。怒ることは許されるんだ」)。こうして、負の感情を自ら積極的に経験し、原因を深く考えず、その感情が自然に消えていくのを待つことで、アクセプタンスが習得できるといいます。

セルフディスタンシング

セルフディスタンシングとは、「自分自身を第三者の視点で客観的に観察する」手法を指します。

職場でしばしば抱くネガティブな感情は、うまく解消できなければどんどん積み重なってしまいます。GGSCの研究によると、第三者の視点から現状の問題を観察することは、このような否定的な感情の強度を減少させる効果があるといわれています。

セルフディスタンシングのやり方の1つとして、「自分の名前」を使って状況を捉えることが挙げられます。例として、「遅刻が多い部下に対してムカついている」ケースを想定しましょう。このとき、自身の名前を第三者に置き換え、「タカシは遅刻が多い部下にムカついているようだ」などと、ネガティブな感情から精神的な距離を取ります。こうすることで、自分の感情に左右されずに問題を分析できるため、より効果的な解決策を見つけやすくなるといいます。

▼(例)ネガティブな感情のセルフディスタンシング

「タカシは遅刻が多い部下にムカついているようだ。部下と話し合いの場を設け、遅刻の根本的な原因を探り、一緒に解決策を考えるといいだろう。」

リフレーミング

リフレーミングとは、「状況や出来事を異なる視点から捉え直し、新たな解釈を見つける」ことを意味する言葉です。リフレーミングを行うことで、職場でのネガティブな感情からポジティブな側面を発見できるため、感情をコントロールする方法として有効といわれています。

例として、「最近部下が文句ばかり言ってきてムカつく」と感じていると仮定します。このとき、リフレーミングによって以下のような、ポジティブな側面を見出すことが可能です。

  • 文句が多いのは、それだけ意見が言いやすい関係性が築けている証だ
  • 不満の一部を解消することで、部下にとってより働きやすい職場になるかもしれない

リフレーミングを習得するには、ネガティブな状況に直面するたびに冷静になり、少なくとも1つ以上ポジティブな側面を考える習慣をつけることが重要です。こうすることで、感情のコントロールがしやすくなるだけでなく、問題の解決能力も向上すると期待できるといいます。

参考:

Greater Good Science Center “How to Deal with Negative Emotions at Work”

まとめ

プライドが高いゆとり世代を指導するコツや、ムカついたときの対処法などについて解説しました。

ゆとり世代の中にはプライドが高く、仕事の能力や周囲との人間関係で問題を抱えている社員も少なくないでしょう。プライドが高い人間を育成するためには、その特性を理解し、効果的な指導方法を習得する必要があります。

本記事で紹介したポイントをふまえ、プライドが高い社員を適切に指導し、すべての部下にとって働きやすい職場環境づくりを心がけてください。