「実力がないのに自己評価だけは高い部下の扱いに困っている…」

「言うことを聞かず、問題行動ばかり起こす部下は解雇できる?」

このような悩みや疑問を持つ管理職も多いでしょう。自己評価が異常に高く、問題行動の多い「自信過剰型モンスター社員」は、他の社員のモチベーションや生産性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、早めの対処が必要です。

本記事では、自信過剰型モンスター社員の特徴や、効果的な対処方法などについて解説します。部下を自信過剰型モンスター社員から守り、働きやすい職場づくりを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

モンスター社員とは?

「モンスター社員」とは、職場で頻繁に問題を起こし関係者に迷惑をかけ続ける、文字通りモンスターのような社員を意味する言葉です。

モンスター社員に悩む企業や担当者は多いといわれています。女性向けの転職サイト「女の転職Type」の調査によると、「あなたの職場にモンスター社員はいますか?」との問いに、75%が「はい」と回答しています。

一口にモンスター社員といっても、その特性は人によってさまざまです。同調査の結果をもとにモンスター社員を分類すると、主に以下の6つのタイプに分けられます。

  • 情緒不安定型:感情が不安定で、イライラをまき散らしたり急に泣き出したりする
  • 自信過剰型:自己評価が高く、自分の非を認めなかったり周囲を見下したりする
  • パワハラ型:周囲に高圧的な態度を取りがちで、怒鳴ったり大声を出したりする
  • 無気力型:やる気がまったくなく、最低限の仕事もやらない
  • 能力不足型:やる気はあるものの能力が著しく低く、同じミスを何度も繰り返す
  • 素行不良型:職場のルールに違反したり、犯罪行為を行ったりする

上記のうち、本記事では「自信過剰型」のモンスター社員について、その特徴や対処法などを解説します。

参考:
女の転職Type「モンスター社員がいる職場は7割以上! 働く女性100人に聞く迷惑社員の衝撃エピソード&対応法」

自信過剰型モンスター社員の特徴

自信過剰型モンスター社員の特徴や弊害について解説します。

自尊心が低い

一見自信満々にふるまっている自信過剰型モンスター社員でも、潜在的に自尊心が低い可能性があります。

ジョージア大学の研究によると、自尊心の高い人間は以下の2種類に分類できるといいます。

  • 安定的高自尊心者:自身の価値を潜在的に確信し、他者の評価や外的状況に影響されにくい
  • 不安定的高自尊心者:自身の価値を潜在的には低く感じており、外部からの承認や評価に大きく依存している

詳細は後述しますが、自信過剰型モンスター社員は周囲の意見を聞き入れなかったり、他者を見下したりする傾向が強いです。これは言い換えると、他者に攻撃的な行動や態度を取ることで、自分の価値を相対的に高めようとしていることを意味します。つまり自信過剰型モンスター社員は、自身の価値を潜在的には低く感じている「不安定的高自尊心者」であると考えられるのです。

以上のことから、自信過剰型モンスター社員の攻撃的な言動を抑えるには、彼らの仕事ぶりを適切に評価し、顕在的にも潜在的にも自尊心を高めることが重要といえます。

常に自分が正しいと思っている

自信過剰型モンスター社員は、自分の行動や意見が常に正しいと考える傾向があります。

例として、部下が会議に遅刻してきたケースを想定します。このとき、常識のある社員であれば、まずはその場で上司や出席者に謝罪するはずです。しかし自信過剰型モンスター社員の場合、自分が悪いとは思っていないため、謝罪することもないでしょう。上司からそのことを指摘されても、「他の仕事が忙しかった」「Aさんから話しかけられた」など、言い訳ばかり並べる可能性が高いです。

ウェルデン大学によると、常に自分が正しいと考えている人間は、「自分と異なる意見=攻撃」と捉える傾向が強いとされています。そして、自身の自尊心を攻撃から守るために、他者からのアドバイスや批判を拒絶するといいます。

常に自分が正しいと考え、他者の意見を受け入れたり自分の非を認めたりできない社員は、職場の人間関係に悪影響をおよぼす可能性が高いです。このような状態を防ぐため、自信過剰型モンスター社員を注意・指導する際は、適切なやり方で行うことが重要といえます。

他人を見下している

先ほども述べたように、自信過剰型モンスター社員は潜在的な自尊心が低いとされています。そのため、他者を見下すことで、自分の価値を相対的に高めようとする傾向が強いです。

例として、仕事でミスをした社員がいたと仮定します。人間誰しも間違いを犯すことはあるため、多少のミスであれば、許容もしくは見逃す人が多いはずです。しかし自信過剰型モンスター社員の場合、「こんな簡単なこともできないのか」などと、ミスした社員を見下す発言をしがちです。そのくせ、自分がミスしたときは言い訳ばかり並べて謝罪もしないため、周囲は多大なストレスを感じるでしょう。

ニューヨーク州立大学バッファロー校によると、「自分は軽視されている」と感じた従業員は、やがて他の社員のことも同様に軽視するようになるとされています。そして、最終的にはお互いに見下し合う職場文化が形成され、メンタルヘルスや離職率、生産性などに悪影響をおよぼすといいます。

このような悪循環を防ぐため、他者を見下す言動をする社員を1人でも見かけた場合は、早急に対処することが重要です。

嘘が多い

サウスカロライナ大学によると、自信過剰な人間は、自尊心を守ることを最優先に行動する傾向が強いとされています。そして自尊心を守るためであれば、平気で嘘をつく場合も多いといいます。

収入を盛るなど、少々見栄を張る程度の嘘であれば大きな問題にはなりません。しかし、自信過剰型モンスター社員の場合、仕事の成果の捏造や手柄の横取り、責任の押しつけなど、周囲が損害を被る大きな嘘をつく可能性があります(例:チームの複数メンバーで成し遂げた仕事を、すべて自分の手柄として報告する)。

このような嘘の被害を受け、正当な評価が得られなかった社員は当然モチベーションが低下し、生産性や離職率にも悪影響をおよぼすでしょう。部下の仕事ぶりを正しく評価するため、上司は仕事の進捗を適切に管理することが重要といえます。

実力が伴っていない

自信過剰型のモンスター社員は自己評価が非常に高い割に、実力が伴っていない場合が多いといわれています。

社会心理学者のデイビッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの研究によると、「能力が低い者ほど自分の能力を過大評価し、能力が高い者ほど過小評価する」傾向にあるとされています(これをダニング・クルーガー効果という)。

ダニング・クルーガー効果は会社員にもあてはまる現象です。たとえば入社して間もない頃は、少し仕事のやり方を覚えただけですべてを知った気になり、「自分は優秀だ」と勘違いする者も少なくないでしょう。しかし多くの場合、周囲から日々アドバイスやフィードバックを受けながら仕事に取り組む中で、徐々に成長しつつも「自分はまだまだ未熟だ」と認識していくはずです。

一方、自信過剰型モンスター社員は自分と異なる意見を聞き入れないため、自分の能力を適正に評価できません。その結果、実力がないにも関わらず、自己評価はいつまでも高いままなのでしょう。また、能力が低いために上司や会社からの評価が得られず、自己評価とのギャップに不満を抱えている可能性も高いです。

リージェンツ大学の研究によると、自己評価と会社からの評価に乖離を感じる従業員は、上司のことを軽視もしくは無視する傾向にあるとされています。こうなると、上司がどれだけ適切に指導やフィードバックを行っても、まったく聞き入れてもらえない恐れがあります。

このような事態を防ぐため、部下には明確な評価基準をあらかじめ提示しておき、自分の能力を客観的に理解させることが重要です。

参考:

UGA Today “Research shows high self-esteem is not always what it’s cracked up to be”

Walden University “Why Some People Always Have to Be Right”

University at Buffalo “Toxic behavior recycled in the workplace, study finds”

University of South Carolina “PR Prose: The 3 types of liars — How to spot and deal with them before they ruin your team”

University of Michigan “The Dunning-Kruger Effect Shows that People Don’t Know What They Don’t Know”

Regent University “Why Employees Dislike Performance Appraisals”

自信過剰型モンスター社員の効果的な対処法

自信過剰型モンスター社員の特性をふまえた上で、上司が取るべき効果的な対処方法について解説します。

褒めるべき点は褒める

先ほども述べたように、自信過剰型モンスター社員は潜在的な自尊心が低い傾向にあります。そのため、彼らに褒めるべき点がある場合は適切に褒めることで、潜在的な自尊心が高まり、他者への攻撃的な態度も改善されることが期待できます。

ただし、適当に「すごいね」「頑張ったね」と褒めるだけでは、あまり意味がありません。以下は、米国の非営利教育団体アンダーストゥッド社が提唱する、効果的な褒め方をまとめたものです。

ポイント概要
具体的に褒める(褒める基準を明確にする)褒められる基準を明確にすることで、今後どのような行動を期待されているのか理解しやすい
結果だけでなくプロセスも褒める仮に結果が出なくても、今後も努力を継続するモチベーションになる
嘘偽りなく褒めるうわべだけ適当に褒めていることが相手に伝わると、不信感がつのる恐れがある
他人と比較せずに褒める他人と比較してしまうと、自身の価値を相対的に評価するようになる
過度に褒めない小さなことで逐一褒めていると、自分への期待が小さいことが伝わってしまう

▼(例)自信過剰型モンスター社員への誉め言葉

「今回のプロジェクトの報告書は非常に分かりやすかったですね。特にデータの整理とグラフの使い方が素晴らしかったです。報告書を作成する過程で、何度も関係者にヒアリングをして情報を集め、丁寧に分析したおかげでしょう。あなたの努力と工夫のおかげで、プロジェクトがスムーズに進んでいると思います。今後もこの調子でがんばっていただけると嬉しいです。」

問題行動が見られる場合は注意する

自信過剰型モンスター社員に問題行動が見られる場合は、上司として注意することが重要です。問題行動によって周囲に迷惑がかかれば、職場全体の士気や生産性の低下につながりかねません。

ただし、このようなタイプは他者から意見されることを嫌いがちなため、適当に注意すると反発を受け、逆効果になる可能性が高いです。以下はマーシャル大学が提唱する、従業員を注意する際の適切な「タイミング」「内容」「方法」をまとめたものです。

タイミング問題行動を見かけたら、できるだけ早く注意する。ただし、感情的に落ち着いていない場合は、一旦冷静になる時間を設ける
内容自分が実際に見て感じたことだけを伝え、注意する。また、注意内容が周囲の総意ではなく、あくまで「私」個人の意見であることを強調する
方法メールや電話ではなく、対面で注意する。また、回りくどい表現は用いず、具体的かつ簡潔に注意する

▼(例)自信過剰型モンスター社員への注意

「今日のミーティングで、あなたが佐藤さんに対して『何が言いたいのかわからないよ』と言った場面を見ました。私はその言葉を攻撃的に感じ、佐藤さんも少し傷ついたように見えました。こういった場合、相手に対してもう少し配慮した表現を使うことが重要です。例えば、『この点について、もう少し詳しく説明していただけますか?』と言う方が、より協力的な印象を与えますよ。」

部下全員に敬意を払う

年齢や能力に関係なく、すべての部下に対して敬意をもって接することが大切です。

ミズーリ大学の研究によると、リーダーが従業員に敬意を払っている職場では、お互いに尊敬し認め合う文化が醸成され、全体のモチベーションや生産性の向上につながるといいます。つまり、上司が自ら部下に敬意を示すことで、他者を見下しがちな自信過剰型モンスター社員も改心する可能性が高いのです。

以下はテキサス大学医学部が提唱する、リーダーが部下に対して簡単に敬意を示すことができる施策の具体例です。

  • 自ら積極的にあいさつする
  • チームに貢献している社員には、感謝の気持ちを言葉で伝える
  • オフィスでの通話は声量を抑えるなど、周囲の従業員に配慮する
  • 部下の意見を最後まで聞く
  • メールはすぐに返信するなど、部下の質問や相談に迅速に対応する
  • 職場での無礼な言動を見かけたら注意する
  • 間違いやミスを犯したときは素直に謝罪する

仕事の進捗を適切に管理する

先ほども述べたとおり、自信過剰型モンスター社員は自尊心を守るために、仕事の成果を捏造したり、責任を他者に押し付けたりする場合があります。部下の仕事の進捗を適切に管理することで、これらの悪質な嘘を見抜ける可能性が高いです。

ただし、仕事の進捗管理が細かすぎるのも好ましくありません。ハーバード・ビジネス・スクールによると、上司が従業員を細かく管理する「マイクロマネジメント」は、全体のモチベーションや生産性に悪影響を与えるとされています。実際にマイクロマネジメントを経験した従業員のうち、 68%は士気が低下し、55%が生産性が低下したといいます。

部下に負担をかけずに進捗を管理する方法として、報告書の作成・提出が挙げられます。部下の間で責任の押し付け合いなどのトラブルが発生した場合でも、日報や週報などの形で仕事の記録が残っていれば、簡単に問題が解決するかもしれません。また、作業内容や関係者との打合せ内容など、仕事に関する情報を報告書に細かく記録させておけば、証拠としての信頼度をさらに高めることができます。

明確な評価基準を提示する

すでに述べたとおり、自信過剰型モンスター社員は仕事ができない割に自己評価は高く、会社からの評価に不満を抱えている可能性が高いです。そのため、明確な評価基準をあらかじめ提示しておくことで、評価が妥当であることを示す必要があるといえます。

明確な評価基準を設定するためには、まずはどのような成果や努力が求められているか、具体的な目標を立てることが重要です。カリフォルニア大学によると、従業員の目標は「SMARTの法則」にもとづき、作成するのが効果的とされています。SMARTの法則とは、以下の5つの基準を満たすように目標を設定する手法です。

  • Specific(具体的な)
  • Measurable(測定可能な)
  • Achievable(実現可能な)
  • Relevant(関連性がある)
  • Time-Bound(期限がある)

例として、「毎月15件以上の新規契約を獲得する」という目標を課したと仮定します。この場合、「1ヶ月で15件以上契約を獲得できれば合格」という明確な評価基準が設けられ、基準をクリアできなければ自分の能力が足りないことを自覚できる可能性が高いです。

部下の目標設定の方法について、詳細を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

参考:

Understood “The power of effective praise”

Marshall University “Giving Constructive Feedback”

University of Missouri “How leaders communicate with employees sets the tone for a respectful workplace culture”

University of Texas Medical Branch “Top 10 ways to show respect in the workplace”

Harvard Business School “How to Stop Micromanaging Your Employees”

University of California “SMART Goals: A How to Guide”

態度が改善されない自信過剰型モンスター社員は解雇できる?

職場に問題ばかり起こす自信過剰型モンスター社員がいたとしても、すぐに解雇するのは難しいでしょう。労働契約法で規定されているとおり、従業員をいきなり解雇することは「解雇権の濫用」とみなされる可能性が高いからです。

▼労働契約法第16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

ベリーベスト法律事務所の見解によると、職場の問題社員にはまず口頭で注意・指導を行い、それでも改善されない場合は軽い処分から課していくのが適切といいます。

▼自信過剰型モンスター社員の対処フロー

  1. 注意・指導を行う:はじめは口頭で、それでも改善されない場合は書面で行う(「会社として該当社員に注意・指導した」という事実を証拠で残す)
  2. 始末書や誓約書を提出させる:問題行動を該当社員が自ら認めた証拠になる
  3. 異動や配置転換を行う:「該当社員に適した部署や業務を、会社として提供する努力をした」という証拠になる
  4. 懲戒処分を行う:けん責や減給、出勤停止などの処分を課す(後々裁判などのトラブルに発展した場合に備え、処分が妥当であることを示す証拠を準備しておく)
  5. 退職勧奨を行う:該当社員の自主的な退職を促す(退職を強いるとハラスメントとみなされる恐れがあるため注意する)
  6. 解雇する:上記の処分を課しても改善が見られない場合は、最終手段として解雇を言い渡す

自信過剰型モンスター社員は自分の非を認めない傾向が強いため、いくら適切に注意・指導しても効果がない場合もあるでしょう。後々裁判などのトラブルに発展するのを防ぐため、対処法に迷った場合は上長や専門家に相談するのも一つの手です。

参考:

ベリーベスト法律事務所「人事・上長必見! モンスター社員の特徴や対処法」

自信過剰型モンスター社員の発生を防ぐには

自信過剰型モンスター社員が発生するのを防ぐために、上司が心がけるべきポイントについて解説します。

採用面接でモンスター社員を見極める

自信過剰型モンスター社員を発生させないためには、採用活動の時点でその特性を見極め、そもそも入社させないことが重要です。

応募者に問題があるかを見極めるために、職歴を重点的に確認するのも一つの手です。たとえば、直近で短期離職を何度もくり返している応募者の場合、仕事の能力や人間関係の構築力が著しく低いと考えられ、入社後にモンスター社員になる恐れがあります。そのため、採用面接で前職の離職理由を尋ね、納得のいく回答が得られない限りは採用しない方が無難かもしれません。

ほかにも、採用面接でモンスター社員を見極める方法として、逆質問を活用するのも有効です。たとえば、逆質問で給料や福利厚生のことだけを尋ねてくる応募者は、注意が必要でしょう。もちろん、応募者が待遇面について質問すること自体はまったく問題ありません。しかし、仕事の内容や働き方についてはそっちのけで、待遇面ばかり気にしている応募者は、入社後に労働者としての義務を果たさず、権利ばかり主張する問題社員になるかもしれません。

就業規則や雇用契約書を整備する

自信過剰型モンスター社員の問題行動に適切に対応するため、事前に就業規則や雇用契約書を整備しておくことも重要です。

たとえば、同僚への攻撃的な言動をくり返す問題社員への対策として、従業員同士のいじめや嫌がらせに関する規定を設けると有効かもしれません。厚生労働省の見解では、職場でのいじめ・嫌がらせには以下のような要素が含まれているとされています。

  • 関係性:地位や人間関係で弱い立場の人たちに対して
  • 行為・影響:精神的・身体的苦痛を与える、人格・尊厳を侵害する、職場環境を悪化させるなど
  • 態 様:業務の適正な範囲を超えている、継続的であるなど

上記を参考に、職場でのいじめ・嫌がらせの基準を設け、その対処法や罰則なども明確にすることで、モンスター社員の攻撃的な言動を予防する効果も期待できます。

試用期間を設ける

万が一自信過剰型モンスター社員を採用してしまった場合に備え、入社後に一定の試用期間を設けると有効かもしれません。試用期間とは、新しく採用された従業員を正式に雇用する前に、その適性や能力を評価するための期間です。試用期間の長さは会社によって異なり、3~6ヶ月程度が一般的といわれています。この間、会社側は従業員との労働契約を解除する権限を有するとされています。

ただし、試用期間中であっても、従業員を自由に解雇できるわけではありません。ベンナビ労働問題によると、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」場合に限り、試用期間中の解雇は可能といいます。つまり、試用期間中に多少問題を起こしただけで従業員を解雇してしまうと、通常の解雇と同様に「解雇権の濫用」とみなされる可能性が高いのです。

以上のことから、採用した従業員に自信過剰型モンスター社員の兆候が見られる場合は、試用期間中でも注意・指導を行い、改善する機会を与える必要があるといえます。そして、後々裁判などのトラブルに発展した場合に備え、試用期間中の解雇が妥当であることを示す証拠を準備しておくことも重要です。

参考:

厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせに関する定義の例」

ベンナビ労働問題「試用期間中の従業員を解雇したい|解雇が認められる理由と解雇手順」

まとめ

自信過剰型モンスター社員の効果的な対処方法や予防策などについて解説しました。

自信過剰型モンスター社員の大きな特徴として、「実力の割に自己評価が高い」「他者に対して攻撃的な言動を取る」などが挙げられます。このようなタイプの社員は周囲のモチベーションを低下させ、生産性や離職率に悪影響を及ぼす恐れがあるため、早急な対処が必要です。

本記事で紹介したポイントをふまえ、部下を自信過剰型モンスター社員の攻撃から守り、働きやすい職場づくりを心がけてください。