「もう辞めたい…」と感じることは、中間管理職にとって珍しいことではありません。実際、多くの管理職が同じ悩みを抱えています。本記事では、辞めたくなる主な理由を整理し、状況を改善するための具体的な解決策を紹介します。
中間管理職が「辞めたい」と思うのは珍しくない

中間管理職として働く中で、「もう辞めたい…」と感じることは決して特別なことではありません。
実際、マイナビが2025年に実施した調査では、次長・課長・係長クラスの管理職の約20%が「管理職を辞めたい」と感じていることが明らかになっています。こうした背景には、業務負荷の大きさや精神的な負担の増加があると指摘されています。
この傾向は日本だけに限りません。企業向けソフトウェアの比較サイトを提供するCapteraの調査によると、中間管理職の71%が「常に」または「時々」ストレスや燃え尽き(バーンアウト)を感じていると報告されています。
また、2年未満のマネージャー経験がある新任管理職の40%以上が「現在、新しい職を探している」とも伝えられています。
さらに、SHRMの調査では、「中間管理職は社員の中で最も幸福度が低い層」であると報告されており、仕事の負担やストレスによって満足度が下がりやすいことが分かっています。
このように、「辞めたい」と思う気持ちは決して珍しいものではなく、世界中の中間管理職が共通して抱える悩みです。重要なのは、この状況をどのように捉え、改善していくかということです。
参考:
SHRM“The Miserable Middle Managers”
中間管理職が辞めたくなる主な理由、きっかけ

では、なぜ多くの中間管理職が辞めたいと感じてしまうのでしょうか。主な理由やきっかけとして、以下のようなポイントが挙げられます。
責任のプレッシャーが重すぎる
中間管理職になると、チームや部署の成果に対して大きな責任を負うことになります。万が一トラブルや失敗が起これば、最終的に管理職が責任を取らなければならないケースも多く、「部下のミスやトラブルの尻拭いばかりしている」と感じることもあります。
実際、求人情報サイトを運営する株式会社ビズヒッツが中間管理職を対象に行った調査では、「責任の重さが負担になっている」と回答した人が多く、管理職特有のストレスが浮き彫りになっています。
また、自分ではコントロールしきれない要因(部下のミスや顧客の都合など)で責められることもあり、「なぜ自分ばかりが責任を問われるのか」と不満を感じるケースも少なくありません。こうしたプレッシャーは心身の健康にも影響を及ぼします。
コロンビア大学の研究によると、管理職の18%がうつ症状を報告しているのに対し、一般社員では12%、経営層では11%と、中間管理職のストレスの高さが際立っていることがわかります。
努力が見えにくく正当に評価されない
中間管理職は、現場の最前線で成果を出す部下とは異なり、その貢献が見えにくいことが特徴です。上司からは成果を出して当たり前と思われ、部下からは感謝される機会が少なく、「縁の下の力持ち」としての苦労が報われにくいと感じる人も少なくありません。
努力しても正当に評価されないことが、モチベーションの低下につながることは、さまざまな調査でも指摘されています。特に、上層部からの評価が得られにくいことで、「いくら頑張っても昇進や待遇改善につながらない」と感じる中間管理職が多いのが現状です。
仕事量が増えすぎて生活とのバランスが取れない
中間管理職になると、自分の担当業務に加えてマネジメント業務や各種調整が増え、仕事量が急増します。
エンゲージメント経営プラットフォームを提供する株式会社スタメンの調査によると、働き方改革の実施後に74.0%の中間管理職が「自分の負担が増えた」と回答しており、業務のシワ寄せが管理職に集中している現状が浮き彫りになっています。
また、マイナビの調査では、管理職になって心身の健康が損なわれたと感じている人が約7割にも上ることが明らかになっています。睡眠不足や慢性的な疲労、ストレスによる体調不良が続くと、「このまま続けるのは厳しい」と感じるのも無理はありません。
上司と部下の間で常に板挟みになってしまう
中間管理職の象徴ともいえるのが、上司と部下の板挟みによるストレスです。株式会社ビズヒッツが238人の中間管理職を対象に行ったアンケートでは、「上司と部下の間で板挟みになるときがつらい」と回答した人が最も多く、約半数にのぼりました。
上からは業績目標や無理な要求を求められ、下からは現場の不満や要望が寄せられる、そんな「サンドイッチ状態」が日常茶飯事です。仕事の進め方ひとつとっても、上司の指示と部下の意見が食い違い、その調整に頭を悩ませることも少なくありません。
特に近年はハラスメントへの意識が高まり、部下への指導に対しても「パワハラと言われるのではないか」と神経を使う場面が増えています。指導の難しさとプレッシャーが、中間管理職の負担をさらに増大させています。
参考:
SHRM“The Miserable Middle Managers”
Biz Hits「中間管理職がつらい瞬間と疲れた場合の対処法|男女238人へのアンケート調査から徹底解説」
Tunag「【1,300名に調査】中間管理職の負担に関する調査を公開」
「辞めたい」と感じる状況を改善するためにできること

仕事の負担が大きくなり、「もう辞めたい…」と感じることは珍しくありません。しかし、適切な対策を講じることで、状況を改善し、気持ちを楽にすることが可能です。
以下では、管理職としての負担を軽減し、働きやすくするための具体的な方法を紹介します。
すべてを抱え込まず、部下に仕事を任せて負担を減らす
仕事をすべて自分でやろうとすると、時間が足りず、気持ちにも余裕がなくなります。でも、実は「うまく時間を管理できる人ほど、仕事の成果が上がり、ストレスも減る」という研究結果があります。
また、従業員エンゲージメントの向上を支援するEngage for Successの調査によると、部下に適切に仕事を任せている企業は成長スピードが最大で17倍も速く、収益も33%増加したそうです。さらに、業務の委任によってチーム全体の生産性が向上し、離職率が18%も下がることも分かっています。
「自分でやったほうが早い」と感じることもあるかもしれませんが、長い目で見ると部下を育てることが自分の負担軽減にもつながります。仕事をうまく分担し、余裕を持てる環境をつくりましょう。
短時間の休憩を取り入れ、効率的に働く
「忙しくて休んでいる時間なんてない…」と思いがちですが、短い休憩を挟むことで仕事の効率がアップします。
PMC(米国国立医学図書館)の研究によると、数分間の小休憩を取るだけで活力が高まり、疲れを感じにくくなることが分かっています。また、頭を使う業務では、10分以上の休憩を取ることで集中力が回復しやすいとも言われています。
休むことでパフォーマンス向上が期待できるため、あえて意識的に休憩を取り入れることも検討してみましょう。短時間でも気持ちをリセットできれば、仕事の効率は大きく変わります。
上司や同僚と話せる環境をつくり、孤独を避ける
管理職になると、周りに相談しづらくなりがちですが、一人で抱え込むとストレスがどんどん溜まってしまいます。PMCの研究によると、上司や同僚のサポートがあると、仕事の満足度が上がり、メンタルの安定にもつながることが分かっています。
逆に、上司からの支援が得られない場合、燃え尽き症候群や離職のリスクが大きく上がることが指摘されています。
また、信頼できる相談相手がいないと、健康悪化や仕事のトラブルが増えるリスクが最大3.8倍にまで高まるそうです。困ったときに気軽に話せる人がいるだけで、気持ちが楽になることもあります。
信頼できる上司や同僚との関係を築き、必要なときに頼れる環境をつくっておきましょう。
参考
PMC“Does time management work? A meta-analysis”
Engage for Success“It’s time to stop feeling sorry about delegation”
企業が主体となって取り組む必要がある

中間管理職だけが個人の努力で職場環境を改善しようとしても、できることには限界があります。本質的な解決には、企業が主体となって職場の仕組みを見直し、働きやすい環境を整えることが不可欠です。
ハーバード大学の研究によると、管理職向けのサポート研修と従業員のスケジュール裁量を広げる施策を実施したところ、職場のストレス要因が軽減され、高リスク従業員の心疾患リスクが低下する結果が得られました。さらに、この取り組みによる生産性の低下などの悪影響は見られなかったと報告されています。
このように、組織全体でワークライフバランスを改善することで、管理職と部下のメンタルヘルス向上につながることが実証されています。企業側が柔軟な働き方を推進し、管理職の負担を減らすための施策を講じることで、より健全な職場環境をつくることが可能です。
企業が働き方改革を進め、現場の負担軽減に取り組むことが、管理職のストレスを和らげる大きな鍵になります。
参考:
中間管理職が「辞めたい」と感じるのは決して珍しくありません。その背景には、責任の重さ、評価の不透明さ、業務負荷の増大などがあります。企業側も、働きやすい環境を提供することで、管理職の負担を軽減することが重要です。本記事で紹介した対策を参考に、自分に合った方法でストレスを軽減し、より良い職場環境を目指しましょう。
まとめ
中間管理職が「辞めたい」と感じるのは決して珍しくありません。その背景には、責任の重さ、評価の不透明さ、業務負荷の増大などがあります。企業側も、働きやすい環境を提供することで、管理職の負担を軽減することが重要です。本記事で紹介した対策を参考に、自分に合った方法でストレスを軽減し、より良い職場環境を目指しましょう。