職場の雰囲気が悪い、部下のモチベーションが低い、などといった状態が長引くと、組織崩壊の危機を感じて不安になるリーダーもいるのではないでしょうか。
組織の崩壊は、業績悪化だけでなく、社員間のコミュニケーション不足や不信感の蔓延などから始まるケースも少なくありません。
本記事では、組織を崩壊させるリーダーの特徴と、崩壊を防ぐためにリーダーがすべきこと、そして身につけるべきスキルを解説します。部下を持つ管理職の方は、ぜひ参考にしてください。
組織崩壊させる可能性のあるリーダーの特徴

組織崩壊を招くリーダーの特徴について、学術雑誌American Psychologist(アメリカン・サイコロジスト)が公開するリーダーシップアドバイザーのロブ・カイザー氏らによる論文を参考に解説します。
現状維持に固執している
変化の激しい時代において、組織が生き残るには、常に改善や革新が不可欠です。組織の問題から目を背け、現状を変えようとしないリーダーは、組織の長期的な成長や発展を妨げる恐れがあります。
リーダーは、組織の課題に正面から向き合い、変化を恐れず、積極的に改善に取り組むべきでしょう。
自身のキャリアを重視している
リーダーが自身のキャリアアップを優先し、組織や部下への貢献を軽視すると、組織全体の士気やパフォーマンスが低下する可能性があります。
リーダーは、組織全体の目標達成を第一に考え、部下の育成やモチベーション向上に積極的に取り組むべきです。リーダーは個人の成功よりも、組織全体の成功を重視する姿勢が求められるでしょう。
自身を過大評価している
過度に自信過剰なリーダーは、自分の判断が常に正しいと思い込み、周囲の意見に耳を傾けなくなる傾向があります。リーダーが自身を過大評価していると、誤った意思決定やリスクの高い行動につながり、組織に大きな損失をもたらす可能性が高まります。
たとえば、周囲の反対を押し切って、リスクの高いプロジェクトを強行したり、失敗の原因を他人のせいにしたりすることが考えられます。リーダー自身の過大評価は、組織が大きな損失を被ったり、重要な人材が流出したりするなど、組織の基盤が揺らぐ恐れがあります。
組織崩壊を防ぐリーダーシップ

組織崩壊を防ぐリーダーシップについて、同論文を参考に解説します。
組織の成長に貢献する
リーダーは、自身の昇進や評価ばかりに目を奪われず、組織の成長に貢献するべきです。リーダーは個人の成功ではなく、組織全体の成功を優先する視点が不可欠といえます。
組織目標を明確化し、部下のモチベーションを高め、持続的な成長を牽引していくことが、リーダーの役割といえます。
安心して働ける環境をつくる
リーダーは、部下が安心して働ける職場環境づくりをする必要があります。特に、部下に対して、不当な扱いや無礼な態度、孤立を生む職場環境は、部下のモチベーションを著しく低下させ、組織の崩壊を招きかねません。
リーダーは、すべての部下を尊重し、多様な意見を受け入れ、誰もが安心して能力を発揮できる環境を構築する必要があります。
謙虚さと粘り強さを持つ
リーダーは、組織を成功に導くために、謙虚さと粘り強さを持つことが重要です。謙虚なリーダーは、自身の限界を認識し、周囲の意見に耳を傾け、常に学び続けることができます。
そして、粘り強いリーダーは、困難な状況でも諦めず、組織の目標達成に向けて努力を継続することができるでしょう。リーダーの地道な努力と謙虚な姿勢は、組織の持続的な成長の鍵となります。
部下の模範となる行動をする
リーダーの行動は、部下に大きな影響を与えるため、模範となる行動を取りましょう。リーダーが倫理に反する行動をとったり、不公正な評価を行ったりすれば、組織文化は腐敗し、組織崩壊につながる可能性があります。
リーダーは、自らの行動や言動が組織文化を形成する上で重要な役割を果たしていることを自覚し、倫理観に基づいた行動を心がける必要があります。部下の模範となり、健全な組織文化を醸成していくことが、組織の持続的な成長には不可欠といえます。
参考:
リーダーが身につけるべきスキル

リーダーが身につけるべきスキルについて、ハーバード・ビジネス・レビューが公開するジャーナリストのレベッカ・ナイト氏による記事を参考に解説します。
部下の感情を認識する
リーダーが部下の感情を認識し、共感するスキルを身につけると、部下との信頼関係の強化や部下のモチベーションの向上に役立ちます。リーダーが、部下の感情を把握することで、部下の思考プロセスやリスクへの対応方法などについて、理解を深めることができます。
これにより、強い関係性を築き、離職率の低下や従業員のエンゲージメント向上につながります。部下の感情を認識するためには、1on1を活用したり、「モチベーションとなる3つのこと」や「不満に思っている3つのこと」といったアンケートを取ることも効果的です。
部下の感情を理解することは、リーダーシップにおいて不可欠な要素といえるでしょう。
コミュニケーション能力を身につける
リーダーは、チームのパフォーマンス向上のため、状況に応じて適切なコミュニケーション方法を選択する必要があります。部下の感情に共感することは、問題解決や人間関係の構築、目的達成など、業務をスムーズに進めるために効果的です。
たとえば、部下のモチベーションを向上させるためには、ポジティブで一貫した発言が大切です。一方、複雑なビジネス戦略に関する課題がある場合には、部下からの多様な意見を受け入れることで、様々なアイデアが生まれる可能性があります。
状況に応じた柔軟なコミュニケーションは、目的を達成するために不可欠と言えるでしょう。
広い視野を持つ
リーダーは、自分の意見に固執せず、他者の視点を理解し、意思決定に活かす必要があります。これは、交渉やリスク管理、戦略的思考などのタスクにおいて不可欠といえます。
広い視野を持つためには、組織内外で多様なバックグラウンドを持つ人々と関わり、積極的にフィードバックを求めることが効果的です。
リーダーが幅広い視野を持つことは、より良い意思決定と効果的なリーダーシップにつながります。
戦略思考を高める
リーダーは、既存の慣習にとらわれず、常に改善を追求する必要があります。特に、公平性を保ち、社員全員が能力を発揮できるようにするには、古い慣習を見直し、新たな方法を模索することが重要です。
たとえば、定例会議の最後に「改善できる点は何でしょうか?」と質問する時間を設けたり、部下のアイデアを積極的に取り入れ、革新的な文化を醸成したりすることも効果的です。
リーダーの戦略的思考は、継続的な改善と革新を促進するために不可欠といえるでしょう。
自己認識力を高める
リーダーは常にチームをサポートする必要がありますが、自身のストレス管理や境界線の設定も重要です。リーダーが自己認識を高めることで、健全な職場環境づくりに貢献できます。
自己認識をする方法として、仕事でよく知る6〜8人に、自分の強みと弱みについて定期的にフィードバックを求めることが効果的です。強みと弱み両方を尋ね、改善すべき点を明確にし、数ヶ月後に進捗状況を確認するなど、継続的な取り組みが重要となります。
自身の強みと弱みを理解し、限界を認識することで、必要な時にサポートを求め、より効果的なリーダーシップを発揮できるようになります。
参考:
まとめ
組織の崩壊は、リーダーの行動に大きく左右されることがあります。組織を守るためにリーダーは、組織の成長に貢献し、部下との信頼関係を築き、部下が安心して働ける環境を作ることが大切です。
また、リーダーは謙虚さと粘り強さを持ち、部下の模範となる行動をとることで、組織文化を健全に保つことも重要なポイントです。リーダーは自身の行動を振り返り、リーダーシップを身につけることで、持続的な組織の成長に貢献することができるでしょう。