社員のコミュニケーションが少なく感じたり、部下のモチベーションが低いなど、組織崩壊への不安を抱えている管理職の方もいるでしょう。組織崩壊は、燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)や組織の衰退が原因で起こることがあります。
組織崩壊の原因と、それに応じた立て直し方法について詳しく解説します。組織の現状に不安を抱えている管理職の方は、本記事を参考に組織崩壊を防ぎ、成長する組織を築きましょう。
組織崩壊のサイン

組織崩壊について、学術出版社ラウトレッジ(Routledge)が公開する、バーミンガム大学・バーミンガムビジネススクールの教授ポーラ・ハイド氏らの論文を参考に解説します。
組織崩壊は、一般的には著しい業績の悪化とされていますが、実際には明確な定義がありません。組織崩壊は、原因が特定しにくく、主観的な判断になりがちで、関係者間でも意見が分かれることが多いです。
たとえ業績の悪化が原因であったとしても、どの程度の業績の悪化が崩壊と言えるのか、明確な基準がありません。
また、組織崩壊は突然起こるのではなく、さまざまな要因が重なり合い、徐々に組織を蝕む現象といえます。組織崩壊が起こる前には、主に以下のような崩壊へのサインが現れると考えられています。
- コミュニケーションが活発でない
- 責任を回避する
- 社員同士のリスペクトがない
- 向上心が低下する
上記のようなサインが見られた場合には、早急に改善することが大切です。
組織崩壊やその兆候について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
組織崩壊とは?兆候や立て直す方法について解説
組織崩壊が起こる原因

組織崩壊が起こる原因について、アカデミー・オブ・マネジメントが公開するジュネーブ大学の教授であるギルバート・プロブスト氏らによる論文を参考に解説します。
燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)
組織崩壊が起こる原因の1つとして、燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)が考えられます。燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)は、組織としての成功の要因が過剰になり、組織が疲弊して崩壊する現象です。以下、燃え尽き症候群として表記します。
燃え尽き症候群の主な原因は、以下のとおりです。
- 急激な成長…買収の多用や過剰な資金調達
- 制御不能な変化…買収とリストラを繰り返したことによる多角化
- 独裁的リーダーシップ…部下が意見を言えない状況
- 成功志向の文化…社員同士の過剰な競争によるストレス過多
上記は、短期的な成功をもたらす要因である一方で、長期的に見ると組織に悪影響を及ぼす可能性があります。
組織の過剰な成長は企業の財務基盤を揺るがし、度重なる買収は組織の複雑さを増大させます。絶え間ない変化は、社員に混乱を巻き起こし、組織のアイデンティティの喪失を招きます。
また、独裁的なリーダーシップは、部下を支配し、発言しにくい雰囲気を生み出します。さらに、過剰な成功文化は、社員間の過度な競争と不信感を生み、組織内のコミュニケーションを阻害する可能性があります。
これらの要因が見られる場合、組織は燃え尽き症候群に陥る可能性があります。
組織の衰退
組織が成功するための取り組みを怠ると、市場の変化に対応できなくなり、衰退して組織崩壊につながる可能性があります。組織が衰退する要因として、主に以下の理由が考えられます。
- 成長が停滞する…市場シェアを失い、競争力が低下する
- 変化を躊躇する…時代遅れの製品や高コストな構造を維持する
- リーダーシップが弱い…必要な改革を躊躇したり、リーダーが頻繁に交代する
- 成功文化が欠如している…年功序列が根強く、社員間の競争心が低い
これらの要因が組み合わさることで、組織は徐々に衰退し、最終的には、競争激化や技術革新といった外部環境の変化に対応できず、組織崩壊に至る可能性が高くなります。
参考:
組織崩壊の立て直し方法

組織崩壊の立て直し方法について、同論文を参考に解説します。
燃え尽き症候群への対策
燃え尽き症候群に陥った場合、すぐに対策を講じることが大切です。燃え尽き症候群への対策は、組織全体が対応すべきものですが、管理職の立場から実行できる対策もあります
燃え尽き症候群に陥った場合、管理職は以下の対策についての対応を検討しましょう。
- 現場の声に耳を傾ける
- 過剰な業務量を減らす
- 休暇取得を奨励する
- メンタルヘルスサポート
管理職は部下とコミュニケーションを取り、現場の状況を正確に把握し、意見や提案に耳を傾けましょう。部下の話を聞くことで、現場で起きている問題について、早期に対策を講じることができます。
燃え尽き症候群は、過剰な業務量により起こることも少なくありません。業務プロセスの改善や非効率な作業の削減により、社員の負担を軽減しましょう。
また、社員が休暇を取得しやすい環境を整え、定期的な1on1などを通じてメンタルヘルスの状況を把握することが必要です。燃え尽き症候群による組織崩壊を防ぐには、問題の早期解決と社員一人ひとりの燃え尽き症候群を防ぐことが重要です。
組織の衰退への対策
組織が衰退している場合は、新しい人材を採用し、成功志向の組織文化を取り入れることが効果的です。
組織が衰退している理由は、業務プロセスを改善していなかったり、高コストな構造を維持していたり、変化や改善を怠っていることが少なくありません。
組織が衰退している際に、効果的な対策は主に以下になります。
- システムの開放
- 成長と変化への投資
- 組織文化の変革
新しい人材や技術を積極的に導入し、組織に刺激を与えたり、外部の知見を取り入れることで、組織の硬直化を防ぎましょう。また、成長分野へ投資し、イノベーションを促進することも効果的です。
さらに、挑戦と革新を奨励する組織文化を醸成し、新しいアイデアを生み出す環境を作りましょう。これらの対策は、効果を検証し、必要に応じて改善することが大切です。
組織の持続的な発展のために、これらの対策を積極的に実行しましょう。
まとめ
組織崩壊は、業績悪化やモチベーション低下といった様々な兆候が現れ、最終的には企業の存続を脅かす深刻な事態です。本記事では、組織崩壊のサインや原因、そして立て直し方について解説しました。
組織崩壊の立て直しには、原因に応じた適切な対策が必要です。燃え尽き症候群には、現場の声に耳を傾け、過剰な業務量を減らし、休暇取得を奨励するなど、組織の安定化を図ることが重要です。
組織の衰退には、新しい人材や技術の導入、成長分野への投資、組織文化の変革など、組織の活性化が必要です。組織の状態を常に把握し、早期に対応することで、組織崩壊の危機を回避し、持続的な成長を実現できるでしょう。