「新入社員のビジネスマナーが悪く、対処に困っている…」
「新入社員にビジネスマナーを効率よく教える方法はある?」

このような悩みや疑問を持つ管理職も多いでしょう。どの業界や職種であっても、仕事を円滑に進めるためには、ビジネスマナーが欠かせません。

しかし、入社直後の新入社員の場合、最低限のビジネスマナーすら身についていないことも珍しくありません。

本記事では、ビジネスマナーが身についていない新入社員の特徴や、マナーを教える際のポイントを紹介します。新入社員にビジネスマナーを効果的に習得させたい方は、ぜひ参考にしてください。

仕事を円滑に進めるためにはビジネスマナーが必要不可欠

業界や職種に関わらず、会社は多くの人が協力し合いながら働く場所です。そのため、仕事を円滑に進めるためには、相手に不快感を与えない最低限のビジネスマナーを身につけることが不可欠です。

一般社団法人日本能率協会が企業で働く社会人を対象に実施した調査によると、「相手(社内外含む)のビジネスマナーについて、不快な思いをしたことがありますか」との問いに、48.3%が「ある」と回答しています。

この結果から、ビジネスマナーが会社で働く上で重要であることがわかります。とくに社会人経験が浅く、ビジネスマナーに関する知識が不足している可能性が高い新入社員には、その重要性を教える必要があるといえます。

参考:

PR TIMES「「ビジネスパーソン1000人調査」【ビジネスマナー編】」

ビジネスマナーが悪い新入社員の特徴

ビジネスマナーが悪い新入社員によく見られる特徴を紹介します。

言葉遣いが不適切

ビジネスマナーが悪い新入社員にありがちな特徴として、「言葉遣いが不適切」という点が挙げられます。ここでいう不適切な言葉遣いとは、以下のようなやり取りを指します。

  • タメ口をきく
  • 語尾を「~っす」で締める
  • 「ぶっちゃけ」などの砕けた言葉を使う

マーケティング事業を展開する株式会社ディーアンドエムが実施した調査でも、「あなたが驚いた・呆れた新入社員の行動をお答えください」との問いに、29.2%が「言葉遣い」と回答しています。

新入社員の言葉遣いが不適切である要因の1つとして、学生時代に部活動やアルバイトなどを通じて、上下関係を経験していない可能性が考えられます。このような新入社員を放置すると、社内のみならず社外の関係者に対しても同様の言葉遣いで接してしまうかもしれません。

社内外の関係者に不快感を与えないためにも、新入社員の言葉遣いに違和感を覚えた場合は、適宜指摘することが重要です。

挨拶をしない

挨拶は仕事上で良好な人間関係を築くために必要不可欠なものです。

しかし、先ほど紹介した株式会社ディーアンドエムの調査によると、「驚いた・呆れた新入社員の行動」について、22.2%が「挨拶をしない」と回答しています。この結果から、職場で挨拶をしない新入社員に対し、不快に感じる社員は多いことがわかります。

そもそも、小さな子どもでも簡単にできる挨拶について、「新入社員だからできない」という言い訳は通用しません。とはいえ、新入社員といえどもいい歳をした大人に対して、「挨拶をしなさい」と注意することに躊躇してしまう人も多いでしょう。

そんなときは無理に注意するよりも、上司や先輩社員が自ら積極的に挨拶することが大切です。新入社員は「上司(先輩)から挨拶させるのは失礼だ」と気付き、自分から挨拶するようになるかもしれません。

無断で遅刻・欠勤する

株式会社ディーアンドエムの同調査によると、「驚いた・呆れた新入社員の行動」として、21.1%が「無断欠勤・遅刻」を挙げています。

真面目な社員であっても、病気や家庭の事情などにより、どうしても遅刻や欠勤をしなければならないことはあるでしょう。しかし、いくらやむを得ない理由があったとしても、何の連絡もなく勝手に遅刻・欠勤するのはマナー違反と言わざるを得ません。

社員が欠勤や遅刻の連絡をしないのは、「説明するのが面倒」「上司と話したくない」など、さまざまな理由が考えられます。しかし、どんな理由であれ無断遅刻・欠勤は周囲に多大な迷惑をかけるため、未然に防ぐべき行為です(「意識がない」などの特殊な状況は除く)。

そのため、遅刻・欠勤に関する規則や罰則を明確にし、新入社員にも周知することが重要です。

▼【具体例】遅刻・欠勤に関する規則

1. 従業員は、業務開始時刻までに勤務場所に到着し、業務を開始するものとする2. やむを得ず遅刻もしくは欠勤する場合は、事前に上司または管理者に連絡し、その理由を報告しなければならない3. 正当な理由なく、また事前の届出や当日の適宜連絡をせずに遅刻・欠勤した場合、無断遅刻・欠勤として懲戒対象とする

身だしなみが乱れている

身だしなみが乱れている新入社員は、社会人としてのマナーが欠如していると言わざるを得ません。

美容系事業を展開するリゼクリニックが、10代~40代の男女を対象に実施した調査によると、「あなたが初対面の方と会った際、好意的な印象を受けるポイントは何ですか」との問いに対し、男女問わず最も多く挙げられた意見が「身だしなみ」だったといいます(男性68.5%/女性83.4%)。

この結果から、身だしなみが乱れている社員は、周囲に不快感を与える傾向にあることがわかります。

学生時代に自分の見た目や服装に気をかけてこなかった新入社員の場合は、ついついだらしない身だしなみになることもあるでしょう。もし、新入社員の身だしなみが乱れていることに気付いた場合は、周囲の人が言える範囲でその都度指摘してあげることが大切です。

  • 男性が気遣うべき身だしなみ:髪型、ひげ、靴の汚れ、服のシワ
  • 女性が気遣うべき身だしなみ:服装、香水、メイク、髪色

電話応対をしない

初めのうちは仕事に関する知識やスキルがほとんどない新入社員が、職場でできることはどうしても限られています。そのため、「電話応対=新入社員の役割」が暗黙の了解となっている企業も多いでしょう。

しかし、ビジネスマナーが悪い新入社員の場合、自ら積極的に電話を取ろうとしない可能性があります。新入社員が電話応対を嫌がる主な理由としては、単純に苦手意識を持っていることが考えられます。

近年の若者は特に電話応対を苦手とする傾向があります。スマホアプリ事業を展開するベースメントアップス株式会社の調査でも、「電話対応に苦手意識はありますか?」との問いに、81%が「苦手である」と回答しています。

近年ではメールやチャットツールなどの普及により、電話をする機会が減っているため、新入社員が電話応対に苦手意識を持つのは仕方がないことです。とはいえ、仕事上で社内外のさまざまな関係者と連絡を取るために、今でも電話応対は必要不可欠なスキルです。

新入社員が電話応対に慣れることが、上達への近道です。したがって、新入社員には最初に電話応対のやり方を一通り教えた上で、あとは何度も実践経験を積ませるとよいでしょう。

報告・連絡・相談をしない

仕事を円滑に進めるためには、関係者間の報告・連絡・相談(以下、報連相)が必要不可欠です。報連相ができていれば、問題やトラブルが起きた場合でも、上司や周囲の社員が適切にサポートがしやすいからです。

経験が浅く、仕事上で困る場面が多い新入社員にとって、報連相は特に重要です。

一方で、転職系メディア「ミライのお仕事」が、部下を持つ上司を対象に実施した調査によると、「困った部下の特徴」として、29.5%が「報連相がない」と回答しています。新入社員に限った話ではないものの、報連相ができていない部下に悩む上司が多いことが見て取れます。

なお、就職支援事業を展開する株式会社ジェイックが実施した調査によると、「入社前に学べてよかったもの」について、もっとも多く挙げられた意見が「報連相(27.5%)」でした。

この結果から、新入社員には早い段階で報連相の重要性や方法を教えることが、その後のキャリアに役立つと考えられます。

参考:

PR TIMES「新入社員の驚き行動!! 1位は言葉使い。2位は……」

PR TIMES「SNSネイティブ世代の若者は電話対応が苦手!?社会人の56%が電話対応に苦手意識を持っていると回答!」

ミライのお仕事「166人の上司が選んだ「こんな部下は困る!ランキング」発表」

PR TIMES「【入社前研修オンライン化アンケート】新人が最も評価した研修内容は『報連相』 コロナ禍でのコミュニケーションの重要性を再認識か」

新入社員のビジネスマナーが悪い原因

新入社員のビジネスマナーが悪い場合に、考えられる原因について解説します。

ビジネスマナーを学ぶ機会がなかった

学生時代にビジネスマナーを学ぶことなく、そのまま入社してきた新入社員の場合は、マナーが欠如している可能性があります。

学生時代にビジネスマナーを学べる主な機会として、アルバイトが挙げられます。しかし、学生の中には勉学や課外活動で忙しく、アルバイトをする余裕がない者も少なくありません。

全国大学生活協同組合連合会が大学生を対象に実施した調査でも、約25%はアルバイトに従事していないことがわかっています。

なお、上記のような学生は単にビジネスマナーを知らないだけであり、必ずしも人間性に問題があるとは限りません。

そのため、「ビジネスマナーが悪い=ダメな新入社員」と決めつけず、マナーに関して気になる点があれば、上司や先輩社員が一つずつ丁寧に教えることが大切です。

ビジネスマナーを軽視している

新入社員のビジネスマナーが悪い原因として、ビジネスマナーの重要性を理解できていない点も考えられます。

以下は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した、「社会人のマナーに関する調査」の結果の一部です(社会人歴1~2年目および3年以上の人それぞれに、「ビジネスマナーに対するイメージ」を質問)。

この結果を見ると、ある程度の社会人経験を積んだ人はビジネスマナーの重要性を理解しているのに対し、社会人歴が浅い者はビジネスマナーを軽視する傾向にあることがわかります。

▼Q. 「ビジネスマナー」に対して、どんなイメージを持っていますか?

社会人歴:新卒1~2年目社会人歴:3年以上
堅苦しい・古い(26.0%)必要不可欠(21.3%)
複雑・難しい(18.4%)基本常識(17.0%)
面倒くさい(13.5%)社会人として必要・基本(12.5%)

上記の結果を見る限り、若いうちはビジネスマナーを軽視している人でも、仕事上でさまざまな関係者と接するうちに、ビジネスマナーの大切さに自然と気づくのかもしれません。

しかし、ビジネスマナーは社会人歴を問わず必要なものであり、新入社員の間にその重要性を理解させるに越したことはないでしょう。

参考:

全国大学生活協同組合連合会「第59回学生生活実態調査 概要報告」

PR TIMES「「社会人のマナーに関する調査」の結果を発表。新入社員は「堅苦しい・古い」、先輩・上司は「必要不可欠」と、マナーのイメージにギャップか」

新入社員にビジネスマナーを習得させるコツ

新入社員にビジネスマナーを効果的に習得させるためのコツを紹介します。

研修を受講させる

新入社員にビジネスマナーを効率よく習得させるためには、研修を受講させるのが有効かもしれません。

研修を受講することで、ビジネスマナーの体系的な知識を短期間で学ぶことができるからです。また、自身の業務で忙しい上司や先輩社員が、新入社員に対してビジネスマナーを一つひとつ教える手間も省けるでしょう。

▼【具体例】ビジネスマナー研修のカリキュラム

  • 社会人としての心構え
  • 挨拶や身だしなみ
  • 敬語や言葉遣い
  • 電話応対のやり方

もちろん、研修だけでビジネスマナーのすべてを学べるわけではありませんが、新入社員として最低限必要な知識は効率的に身に着けられるはずです。

なお、ビジネスマナー研修の効果を最大限に高めるためには、ただ研修を受けさせるだけでなく、

  • なぜビジネスマナーが大事なのか
  • 研修を通じてどうなって欲しいか

などの情報を事前に新入社員と共有し、研修に対して目的意識を持たせるとよいでしょう。

実践経験を積ませる

いくら研修でビジネスマナーの知識を仕入れたとしても、それを実際の仕事で活用できなければ意味がありません。

したがって、研修で学んだ内容を発揮できる機会を、新入社員に対して積極的に提供することが大切です。

たとえば、研修で電話応対のやり方を学んだ社員には、職場で実際に電話応対をさせてみましょう。初めのうちはぎこちない応対になってしまうかもしれませんが、研修で基本的な知識を学んでいる分、上達スピードも速いはずです。

ビジネスマナーに限った話ではありませんが、知識やスキルはインプットだけでなくアウトプットもくり返し行うことで、初めて身につくものだといえます。

こまめにフィードバックを行う

新入社員のビジネスマナーについて、気になる点があればこまめにフィードバックを行うことが重要です。上司からフィードバックを受けることで、新入社員は自分の「できていること」「できていないこと」が理解でき、今後の方向性が定めやすくなるからです。

また、職場でのフィードバックには、従業員のパフォーマンスやモチベーションを高める効果があるといわれています。

カリフォルニア大学バークレー校の研究によると、質の高いフィードバックを頻繁に受けている従業員はそうでない者と比べて、

  • 仕事の満足度が79%高い
  • エンゲージメント(会社への愛着)が63% 高い
  • 定着率が1.2 倍高い

ことがわかっているといいます。

同学では、より効果的なフィードバックを従業員に提供するためのポイントとして、以下の点を提唱しています。

ポイント概要
気づいたらすぐにフィードバックを行う相手はあなたが説明している状況を覚えていない可能性があるため、早ければ早いほど良いでしょう。
周囲の目がない場所でフィードバックを行う人前でフィードバックされることを恥ずかしがったり、不快に感じたりする人もいる。ネガティブなフィードバックをする場合は、とくに注意が必要
SBIモデル*を用いてフィードバックを行う
具体的な状況における特定の行動と、その影響を説明するためのフィードバック手法。フィードバックを受ける側が具体的な行動とその影響を理解しやすくなり、改善点や成功点を明確に把握できる
やわらかい表情や口調でフィードバックを行うどのように伝えるかは、何を言うかと同程度に重要(否定的な表情・口調でフィードバックすると、相手は不快に感じやすいという研究データあり)

*SBIモデル:Situation(状況)-Behavior(行動)-Impact(影響)の略

▼【具体例】新入社員のビジネスマナーに対するフィードバック

「昨日A社からかかってきた電話で、あなたは相手の質問に答えられず、相手を10分近く待たせてしまいました。わからないときは、遠慮せず私や先輩社員に確認してくださいね」

参考:

Greater Good “Nine Tips for Giving Better Feedback at Work”

まとめ

ビジネスマナーが悪い新入社員に見られる特徴や、マナーを教える際のポイントなどを解説しました。

業界や職種に関わらず、仕事上で円滑な人間関係を築くためには、ビジネスマナーが必要不可欠です。もし、最低限のビジネスマナーすら身についていない新入社員が職場にいる場合は、関係者に迷惑をかける前に、上司が速やかに対処する必要があります。

本記事で紹介したポイントを参考にして、新入社員にビジネスマナーを効果的に習得させ、優秀な若手人材の育成を目指してください。