「部下が無気力で業務が滞る」そのような悩みを抱える管理職も少なくありません。人間関係・過重業務・不公平評価などの主な要因を分析し、支援制度の活用と対話でやる気を高める具体策を解説します。データと事例を交え、今日から使えるチェックリストも紹介。今すぐチームの離職を防ぎ、生産性を高めたいなら一読ください。

部下の無気力に悩む上司は多い

部下にやる気や熱意を感じない上司は多くいます。ベンナビ労働問題(株式会社アシロ)が行った調査によると、部下がいたことがある男女を対象に「部下に不満があるか」を質問した結果、程度の差はあるものの、79.9%の人が不満を感じていることが分かりました。

不満を感じる内容については、「やる気や熱意がない」と回答した人が560人と最も多い結果となっています。このことから、部下の無気力に悩む上司は多いといえるでしょう。

参考:
ベンナビ労働問題(株式会社アシロ)「8割の上司が部下に不満があると判明!2,432人の上司にアンケート調査を実施」

部下が仕事に対して無気力になってしまう要因

部下が仕事に対して無気力になってしまう要因は主に以下の3点が挙げられます。

  • 人間関係が良くない
  • 仕事が忙しい
  • 評価されない

それぞれについて詳しく解説します。

人間関係が良くない

部下の中には人間関係が良くないと、仕事にやる気が出なくなる部下もいるでしょう。

株式会社ビズヒッツが働く20代の男女を対象に行った調査によると、仕事のやる気が出ないときについて「人間関係に問題がある」と回答した人は5番目に多い結果となりました。

相手に信頼感を持てない場合や人間関係で嫌な出来事が起こったときなどに、やる気が出ないと感じるようです。

仕事が忙しい

業務が忙しすぎると、仕事に意欲が湧かなくなる場合もあります。

同調査によると、仕事のやる気が出ないときについて「忙しすぎる」という回答が6番目に多い結果となりました。

具体的には、残業が続いたり、スケジュールに追われながら多くの業務を終わらせなければならなかったりするときに、やる気が出ないと感じるようです。

評価されない

仕事で評価されないと感じることも、部下の意欲が湧かない理由の一つです。

同調査によると、仕事にやる気が出ないときについて「評価されない」という回答が7番目に多い結果となりました。

「努力しているのに評価されない」「給与が仕事に見合っていない」場合などに、やる気が出ないと感じるようです。

モチベーションが低下する要因については、以下の記事もご覧ください。

参考:
株式会社ビズヒッツ「【20代に聞いた!仕事のやる気が出ないときランキング】男女500人アンケート調査」

管理職が避けるべき部下の無気力につながる行動

管理職が避けるべき部下の無気力につながる行動は主に以下の3点が挙げられます。

  • 無関心でいる
  • 成果を認めない
  • マイクロマネジメントを行う

それぞれについて詳しく解説します。

無関心でいる

世界経済フォーラムの記事によると、部下がやる気をなくす原因として管理職がやめるべき行動の一つが「無関心でいること」です。部下を気にかけられないと、高い離職率を招くとしています。

管理職が部下と個人的に関わろうとせず、生産性にしか興味がない場合、部下はその上司のために長時間働くことは難しいでしょう。

人間味ある思いやりと業務を遂行することのバランスを取り、つらくても挑戦してもらうだけでなく、部下が成果を挙げた際は肯定的な声掛けをしたり、悩みを抱える相手に共感を示したりするよう心掛けましょう。

管理職が実施すべきチームの士気を高める方法については、以下の記事もご覧ください。

成果を認めない

同記事によると、「成果を認めない」ことも部下がやる気をなくす原因の一つです。

部下の功績には、相手の性格を把握したうえで、報酬を用意するようにしましょう。公の場で称賛されることに喜びを感じる人もいれば、昇給してほしいと感じる人もいます。

また、部下の功績を評価することで、相手を気にかけているというメッセージを伝えられます。先述したように、評価されないことは仕事にやる気が出ない原因の一つであるため、成果を認めるようにしましょう。

マイクロマネジメントを行う

中部大西洋岸雇用者協会の記事によると、管理職が部下のモチベーションを下げる要因として「マイクロマネジメント」が挙げられています。

マイクロマネジメントとは、上司が部下の仕事に過度に細かく干渉し、管理しようとすることです。たとえば、業務の進捗報告を頻繁に求めたり、部下の業務を常に詳細まで把握しようとしたりすることなどが挙げられるでしょう。

同記事によると、マイクロマネジメントは部下に対する不信感の表れであり、反発を招くことがあります。また、従業員の仕事への意欲を失わせたり、従業員が退職したりするリスクもあります。

マイクロマネジメントについて、詳しくは以下の記事もご覧ください。

参考:
WORLD ECONOMIC FORUM “70% of employees say they are disengaged at work. Here’s how to motivate them”
mea “Common ways bad managers kill employee motivation (and what to do about it!)”

管理職が取るべき無気力な部下への対処法

管理職が取るべき無気力な部下への対処法は主に以下の4点が挙げられます。

  • 部下の問題を明確にする
  • 利用可能な支援制度を調べる
  • 思いやりのある話し方をする
  • 部下と一緒に解決策を見つける

それぞれについて詳しく解説します。

部下の問題を明確にする

ハーバードビジネスレビューの記事によると、部下がやる気を失った原因や対処法を見つけるための指針として、まずは部下が満たしていない職務要件を明確にし、どんな悪影響が企業に生じているかを考えることが大切です。

部下の業績が求められる基準からどの程度下回っているかだけでなく、その事実を把握した経緯(直接見たのか、クレームがあったのか)やいつから生じている問題なのか、部下が無気力になった原因なども考えましょう。

利用可能な支援制度を調べる

同記事によると、部下と直接話をする前に、利用可能な社内の支援制度を調べておくことが大切です。

解決策を部下と考えるための準備として、心身の健康をサポートする従業員支援プログラムや、スキル不足を解消できる研修の有無、在宅勤務や時短勤務が可能かどうかなどを把握しておくと良いでしょう。

思いやりのある話し方をする

部下と話をする際は、相手に思いやりがあることを示すようにしましょう。

同記事によると、「部下のことを心から心配しており、関心を持っている」と示すほか、「部下を支えたいと思っている」と伝えることが大切です。

部下に起きている問題を理解するために話をするのであって、相手を責めるのが目的ではありません。部下の話を傾聴し、共感を示すようにしましょう。

部下と一緒に解決策を見つける

同記事によると、無気力になっている原因について理解を深めたあとは、部下に必要なサポートを尋ね、一緒に解決策を見つけましょう。無気力になった原因によって解決策が変わるため、相手にあわせてサポートを提供することが大切です。

たとえば、部下が仕事に飽きを感じ、やる気を失っている場合は、部下の目標や達成感を得られない理由を理解しましょう。そして、どんなサポートが必要か部下に尋ねます。スキル開発や新しいプロジェクトへのアサインなど、部下のモチベーションを上げて成長につなげられる方法を探しましょう。

参考:
Harvard Business Review “部下が完全にやる気を失っている時、どう対処すべきか”

まとめ

部下の無気力に悩む管理職の方は多いでしょう。管理職の方が避けるべき行動として、部下に無関心でいたり、マイクロマネジメントを行ったりすることが挙げられます。

無気力な部下には、一緒に解決策を見つけられるよう、利用可能な支援制度を事前に調べておきましょう。