部下が指示待ちしてしまい、主体的に行動してくれず悩んでいる管理職の方もいらっしゃるでしょう。
部下の積極性や自律性を育むためには、職場の心理的安全性を促進したり、部下の長所に焦点を当ててフィードバックしたりすることが大切です。
この記事では、上記のような管理職が行うべき対処法や、部下が指示待ちになる原因について解説します。
仕事を進める際に指示待ちする人は多い

仕事を進める際に指示待ちする人は多くいます。
マイナビ転職が行った調査によると、仕事の進め方について自分が「指示待ちタイプ」「どちらかといえば指示待ちタイプ」に近いと回答した20代は54.7%でした。
一方、「主体性があるタイプ」「どちらかといえば主体性があるタイプ」と回答したのは45.3%と、指示待ちする人のほうが多い結果となりました。
30代以降は指示待ちする人のほうが少ないものの、20代では半分以上の回答者が指示待ちすることから、悩んでいる管理職の方は部下の積極性を育む努力が必要でしょう。
参考:
マイナビ転職「【仕事の進め方】指示待ちタイプor主体性があるタイプ、あなたはどっち?」
部下が指示待ちになる原因

部下が指示待ちになる原因は主に以下の2点が考えられます。
- マイクロマネジメントを行っている
- 部下が失敗を恐れている
それぞれについて詳しく解説します。
マイクロマネジメントを行っている
マイクロマネジメントを行ってしまうと、従業員の自発性を失わせる場合があるため、部下の指示待ちにつながると考えられます。
マイクロマネジメントとは、部下の仕事に過度に介入し、細かく管理することです。たとえば、部下の業務の進捗状況を頻繁に確認することなどが挙げられます。
アメリカ行政学会の記事によると、マイクロマネジメントは依存的な環境を生む可能性があり、従業員の自発性を失わせることがあります。管理職の方は自分のマネジメントスタイルが該当していないか、改めて見直しておきましょう。
マイクロマネジメントについては、以下の記事もご覧ください。
「マイクロマネジメントとは?どのような影響をあたえるのか?」
部下が失敗を恐れている
部下が失敗を恐れている場合も、指示を待つようになる原因と考えられます。
プロジェクトマネジメント協会の記事によると、心理的に不安を感じている人は意見や質問をすることを恐れます。また、失敗して非難を受けることを恐れ、大胆な行動を嫌がるとしています。
このような状況であれば、部下が主体的に行動を起こさず、指示待ちの姿勢で仕事を進めるようになることもあるでしょう。
参考:
ASPA “Damaging Effects of Micromanagement”
Project Management Institute “How Leaders Can Foster Psychological Safety in a Remote Work Environment”
部下の積極性や自律性を育むために管理職がすべきこと

部下の積極性や自律性を育むために、管理職が取るべき主な対応は以下の4点です。
- 職場の心理的安全性を促進する
- 長所に焦点を当ててフィードバックを行う
- 部下の成長をサポートする
- チーム内で個人の役割や業務の方向性を明確にする
それぞれについて詳しく解説します。
職場の心理的安全性を促進する
職場の心理的安全性を促進すれば、部下の積極性や自発性が高まることが期待できます。心理的安全性とは、自分の意見を安心して発言できる状態を指します。
雇用主協会の記事によると、従業員が意見や考えを安心して伝えられると、業務への積極的な関与が期待できます。また、ミシガン州立大学の記事によると、心理的安全性があれば従業員の自発性が高まります。
これらのことから、部下の積極性や自発性を向上させるには、職場の心理的安全性を促進することが大切だといえます。
ハーバードビジネスレビューの記事によると、心理的安全性を高めるには、部下の発言をただ待つだけではなく、「このアイデアについてどう思うか」などと意見を求めるのが大切です。部下が発言した際は、「伝えてくれてありがとう」などと感謝すると良いでしょう。
心理的安全性を高める方法については、以下の記事もご覧ください。
「職場の心理的安全性を高める方法とは?」
長所に焦点を当ててフィードバックを行う
従業員にフィードバックを行う際は、長所に焦点を当てると良いでしょう。
ハーバードビジネススクールオンラインの記事によると、弱みに焦点を当ててフィードバックされた従業員よりも、強みに焦点を当ててフィードバックされた従業員のほうが積極的に業務に取り組む割合が高いという調査があります。
フィードバックは具体的に行い、従業員の長所を強調しましょう。たとえば、「図やデータを取り入れて、顧客が理解しやすいように資料を作成していたため、商品説明がしやすかった」などと伝えるとよいでしょう。
部下の成長をサポートする
ホスピタリティやビジネスに関する情報を発信するEHL Insightsの記事によると、エンパワーメントによって部下の率先した行動が可能になります。
エンパワーメントとは、部下に業務をコントロールする権利を与えることです。つまり、部下の裁量で業務に関する意思決定を行える状態を指します。
たとえば、接客業務にマニュアルを設けず、部下自身が相手の目線に立って考えることを推奨することが挙げられます。
同記事によると、エンパワーメントを行うには部下への研修が重要です。具体的には、権限を与えた際の仕事の流れや、部下の役割が企業の成功にどう影響を与えるかなどについて理解してもらいましょう。また、部下が役割を全うできるよう、その業務に必要なスキル研修などを行うことも重要です。
同記事によると、研修を十分に行えば、部下が自発的に行動する意欲が高まるとしています。
チーム内で個人の役割や業務の方向性を明確にする
ペンシルベニア大学ウォートン校のビジネスジャーナルによると、従業員の自律性を高めるにはチーム内で個人の役割や業務の方向性について、認識を合わせることが大切です。
たとえば、「プロジェクトの成功とは何か」や「業務の優先事項」などについて定期的に話し合い、認識を共有して役割を明確にしましょう。
そうすれば、従業員は自分たちの行動を管理し、オーナーシップ(主体性や当事者意識を持って取り組む姿勢)を感じられるとしています。
関連記事:
参考:
The Employers’ Association “The Importance of Psychological Safety in the Workplace”
Michigan State University “Psychological Safety and DEI”
Harvard Business Review「心理的安全性とは何か、生みの親エイミー C. エドモンドソンに聞く」
Harvard Business School Online “7 Ways to Empower Your Employees”
EHL Insights “Employee Empowerment: Create an engaged and productive workforce”
Knowledge at Wharton “Why Employees Need Autonomy”
まとめ
仕事を進める際に指示待ちする人は少なくありません。管理職がマイクロマネジメントを行っていたり、本人が失敗を恐れていたりすることが原因と考えられます。
部下の積極性や自律性を育むために、管理職の方は職場の心理的安全性の促進や、長所に焦点を当てたフィードバックなどを行うと良いでしょう。