人材の流動性が高まる現代において、従業員の定着は企業にとって重要な経営課題です。レバレジーズ株式会社が実施した調査では、現在の職場に「満足している層」と「不満足な層」を対象に、転職に対する意識の違いを分析しました。

その結果、現状に満足している層でさえ約4割が転職を他人事ではないと考えていることが判明しました。最大の転職理由は両層ともに「年収の低さ」ですが、不満足層は「正当な評価」を、満足層は「尊敬できるロールモデルの不在」を挙げるなど、職場に求める価値観に明確な違いが見られます。

本記事では、調査結果から両者の本音を深掘りし、離職防止とエンゲージメント向上のための具体的なヒントを探ります。

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エグゼクティブサマリ

満⾜層と不満⾜層の転職に対する意識

• 「転職は自分に関係ないと思うか?」という問いに対し、満⾜層の約4割、不満⾜層の約6割弱が「あてはまらない」「あまりあてはまらない」と回答
• 最⼤の転職理由は両層ともに「年収が低い」こと
• 不満⾜層では「適切に評価されていない」という報酬・評価への不満が、満⾜層に比べてより強い傾向にある
• 満⾜層では「尊敬できるロールモデルがいない」ことが不満⾜層よりも高い割合で挙げられており、求める職場環境やキャリア観の違いがうかがえる

現在の職場に対して満⾜している点、不満に感じている点

・満足層は「仕事内容への納得」「業務のプレッシャーが適度」「適切に評価されている」点に満足している

・不満足層では「福利厚生」「勤め先の安定」に満足している

・両層が共通して感じている職場への最大の不満点は「年収の低さ」

・満足層はそれに加えて「昇進・昇給が遅い」「残業時間が長い」といった待遇への不満をより強く感じている

・不満足層は「適切に評価されていない」「仕事にやりがいを感じていない」など、評価制度や仕事そのものへの不満を感じている

事業責任者よりコメント

レバレジーズ株式会社HRテック事業部
事業責任者 大滝圭修

前回の「【2025年版】データで読むZ世代の転職志向 ― 世代・役職比較から見えたギャップとは」をさらに深掘りした今回のレポートでは、社員の「働きがい」と「定着」という、企業にとって喫緊の課題に対し、新たな視点を提供するために作成しました。
特に、現状に満足している「満足層」の約4割が転職を意識しているという事実は、多くの企業が気づかないうちに優秀な人材を失うリスクを抱えていることを示唆しています。

私たちは、離職防止策が「不満を持つ社員」への対応に偏りがちである現状に対し、「企業文化にフィットしている社員」、つまり「満足層」の定着も組織力強化に繋がると考えています。彼らが本当に求めているものは何かを深く理解し、その期待に応え続けることが、企業の持続的な成長には不可欠です。

このレポートが、人事担当者の方々はもちろんのこと、経営層や現場のマネージャーの方々にも広く活用され、手放したくない人材の定着施策を具体的に検討するための一助となれば幸いです。

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調査の結果:世代間比較

転職に対する考え方

 Q.転職は自分に関係ないと思うか?


満足層は不満足層と比較し、「転職は自分に関係ない」と考える割合が高い。しかし、満足層においても約4割が転職を無関係とは捉えておらず、現状に満足しながらもキャリアの選択肢を意識する層が一定数存在することを示唆している。

転職時の動機と障害


Q.あなたが転職した(しようと思った)理由は何ですか。


満足層・不満足層が過去に転職を考えた最大の理由は「年収が低い」であるが、「適切に評価されていない」といった報酬・評価への不満は、不満足層においてより強い傾向が見られる。対照的に「尊敬できるロールモデルがいない」は満足層の方が高く、求める職場環境やキャリアに対する価値観の違いがある。

職場からのサポートとその評価

 Q.あなたが転職した(検討した)際、お勤め先から実際にあった働きかけは何ですか。


転職(検討)時の職場からの働きかけにおいて、満足層は「自分に寄り添う姿勢を示された」「定期面談の実施」「労働時間短縮の提案」といった対応を不満足層よりも高い割合で経験している。

職場からのサポートとその評価


Q.転職の際にお勤め先(部署)からあれば良かったと思う働きかけは?


転職時にあれば良かった働きかけとして、両層ともに「給与アップの提案」が最も多く挙がった。満足層は「労働条件の変更」の回答が不満足層よりも多かった。一方、不満足層では「自分に寄り添う姿勢」の回答が多く、精神的なサポートを重視する傾向がうかがえる。

転職先に求める条件の違い

 Q.あなたが転職した(検討した)際、お勤め先からあれば良いと思う働きかけは何か?


転職(検討)時に転職先からあれば良いと思う働きかけでは、「給与アップの提案」が満足層・不満足層ともに突出して多い。しかし、満足層においては「昇進・昇格の提案」「異動の提案」「労働時間短縮の提案」「ハラスメント対策」など、待遇や労働環境の改善を求める傾向にある。

働き方に対する満足度の要因分析


Q.あなたが現在のお勤め先で働く上で、満足している点は何ですか。


満足層は「仕事内容への納得」「適切な評価」「仕事のやりがい」といった点で不満足層の満足度を大きく上回る。一方、不満足層では「残業時間」「福利厚生」「勤め先の安定」などが満足層を大きく上回り、仕事に対する考え方の違いが浮き彫りになっている。

働き方に対する満足度の要因分析


Q.あなたが現在のお勤め先で働く上で、満足していない点は何ですか。


「年収の低さ」は満足層・不満足層ともに最大の不満点である。満足層は年収以外に「昇進・昇給が遅い」「残業時間が長い」「リモートワークができない」といった点に不満足層よりも強い不満を感じている。不満足層は「適切な評価」「仕事へのやりがい」といった点に不満を感じている。

職場に対して重視する働き方の違い


Q.あなたが希望している(していた)働き方として、重視点は何ですか。


希望する働き方として、不満足層は「年収の高さ」が突出している。一方、満足層は「ワークライフバランスの良さ」「仕事内容の納得度」「仕事のやりがい」など、「どう働くか」についても重視する傾向にある。

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調査概要

調査目的:本調査では、満足層・不満足層の両者の意識の違いを把握し、組織が抱える課題の可視化を通じて、離職防止や職場環境の改善に向けた具体的な示唆を得ることを目的とする。

調査対象:マクロミルモニタ 22~49歳の男女

調査地域:全国

調査方法:インターネットリサーチ

調査時期:【事前調査】 2025年2月20日(木)~2月28日(金)

有効回答数:【事前調査】 31,010サンプル​

対象者の定義:
【満足層】現在の職場環境に対して「非常に満足」「満足」「やや満足」 と回答した方を「満足層」と定義します。
【不満足層】現在の職場環境に対して「非常に不満足」「不満足」「やや不満足」 と回答した方を「不満足層」と定義します。

満足層全体974名
非常に満足50名
満足311名
やや満足613名
不満足層全体613名
あまり満足してない288名
満足していない165名
まったく満足していない160名

回答者属性(満足層)

回答者属性(不満層)

レポート資料は、PDFでもご覧いただけます。