「エンゲージメントサーベイは匿名で実施可能?」

「匿名で実施して、個人が特定されることはない?」

このような悩みをお持ちの管理職の方もいるでしょう。エンゲージメントサーベイの匿名性は、従業員の率直な意見を得やすくなる、参加率の向上が期待できるといったメリットがあります。しかし、匿名であっても個人が特定されてしまうケースがあるため、注意が必要です。

本記事では、エンゲージメントサーベイの匿名性について、回答者が特定される原因やメリット・デメリットについて解説します。

従業員の離職に悩む管理職の方へ

「ただの可視化」で終わらないAI搭載のエンゲージメントサーベイで
離職防止につなげませんか?

NALYSYSモチベーション
管理を詳しく知る >

エンゲージメントサーベイは匿名で実施可能

業績が高い組織に関する研究を行うHPOセンターの学術ディレクターを務めるアンドレ・デ・ヴァール氏による論文を参考に解説します。エンゲージメントサーベイは、従業員の率直な意見を収集するために、匿名での実施が可能です。

匿名での実施は、従業員が自身の回答が特定されることを恐れることなく、安心して本音を伝えられます。匿名性を確保するためには、以下に注意しましょう。

  • 個人を特定できる情報を紐づけずに集計する機能を活用する
  • 少人数チームでは、回答の選択肢を事前に設定する
  • 自由記述欄を設ける場合は、個人が特定されるような内容を記述しないよう、従業員へ事前に周知する

オンラインツールを活用してエンゲージメントサーベイを実施する場合、個人を特定できる情報を紐づけずに集計する機能が必須です。

また、少人数で実施する場合には、個人が特定されやすくなるため、選択式の回答を用意しておくと良いでしょう。

さらに、自由記述式を活用する際は、事前に個人が特定されうる具体的な事例や表現は避けるよう周知しておくべきです。

エンゲージメントサーベイを匿名で実施することで、従業員の率直な意見を収集し、職場環境の改善につなげることができます。

参考:

André de Waal.(2014).The employee survey: benefits, problems in practice, and the relation with the high performance organization.Emerald Group Publishing Limited.https://www.emerald.com/insight/content/doi/10.1108/shr-07-2014-0041/full/html

従業員の離職に悩む管理職の方へ

「ただの可視化」で終わらないAI搭載のエンゲージメントサーベイで
離職防止につなげませんか?

NALYSYSモチベーション
管理を詳しく知る >

エンゲージメントサーベイで回答者がバレる原因

エンゲージメントサーベイで回答者が特定される原因について、同論文を参考に解説します。エンゲージメントサーベイで回答者がバレる原因は、主に以下の3つが考えられます。

  • 記名式で実施される
  • 自由記述欄が設定されている
  • 特定の属性と回答内容の組み合わせにより絞り込まれる

記名しなければいけない場合、当然ながら誰が何を回答したか特定できます。エンゲージメントサーベイの実施者は、氏名だけでなく、社員番号や部署名など、個人を特定できる情報を収集しないように注意が必要です。

無記名で実施しても、自由記述欄に具体的なエピソードや表現、特定の人物に関する記述があれば、内容から個人が推測される可能性があります。先述した通り、事前に、個人情報や特定の人物に言及しないよう注意喚起することが重要です。

選択式の回答と部署や役職、入社年次などの特定の属性と回答内容の組み合わせから、個人が絞り込まれる場合があります。特に少人数の組織では、このリスクが高まります。属性情報の収集範囲を最小限にしたり、質問内容を幅広く設定したりするなど、対策が必要です。

回答者が特定されることで、正直な意見が得にくくなり、サーベイの精度が低下する可能性があります。サーベイを設計する段階で、これらのリスクを考慮し、匿名性を高める工夫をすることが重要です。

従業員の離職に悩む管理職の方へ

「ただの可視化」で終わらないAI搭載のエンゲージメントサーベイで
離職防止につなげませんか?

NALYSYSモチベーション
管理を詳しく知る >

匿名のメリット・デメリット

エンゲージメントサーベイを匿名で行うメリット・デメリットについて、リーダーシップと組織開発の専門家であるクリス・カンチャロシ氏がForbesに寄稿した記事を参考に解説します。

メリット

まずは、エンゲージメントサーベイを匿名で実施するメリットについて解説します。

率直な意見が得られる

匿名性によって、従業員は評価への影響や批判を恐れることなく、より正直な意見を回答しやすくなります。特に、組織文化として上司や経営層への批判を言いづらい雰囲気がある場合、匿名のサーベイは本音を引き出す貴重なツールとなるでしょう。

参加率が向上する

匿名性を保証することで、サーベイへの参加率の向上が期待できます。普段は意見を言わない従業員も、匿名で意見を伝えられるため、安心して参加しやすくなるでしょう。参加率の向上は、より多くの従業員の意見を反映した分析結果を得ることにつながります。

デメリット

次に、エンゲージメントサーベイを匿名で実施するデメリットについて解説します。

ネガティブな意見が増える

不満を抱えた従業員が、匿名という立場を利用して極端な批判や感情的な意見を述べ、結果を歪めてしまう可能性があります。匿名での実施は、建設的な意見よりもネガティブな意見が目立ちやすくなるリスクも考慮すべきでしょう。

意見の解釈を誤る

匿名のエンゲージメントサーベイでは、回答の背景や文脈の理解が難しく、意見の解釈を誤る可能性があります。たとえば、特定の部署にのみ関係する問題が提起された場合、匿名であるがゆえに、該当部署での事実確認ができないといった事態が起こりえます。

そのため、該当する部署だけでなく、組織全体の問題と誤解したり、反対に、個人的な不満を組織全体の問題と捉えてしまう恐れがあります。

上司の責任感の低下

上司が、匿名の批判に対して責任を感じにくくなり、改善へのモチベーションが低下する可能性が考えられます。また、誰がどのような意見を述べたのかわからないため、フィードバックへの対応が曖昧になりがちです。

個別の問題点を把握し、具体的な改善策を講じるというよりも、全体的な傾向を捉えるにとどまり、根本的な解決に至らない可能性も考えられます。

参考:

Chris Cancialosi.(2015).Is Your Anonymous Employee Survey Doing More Harm Than Good?.Forbes.https://www.forbes.com/sites/chriscancialosi/2015/01/12/is-your-anonymous-employee-survey-doing-more-harm-than-good/?ctpv=searchpage

従業員の離職に悩む管理職の方へ

「ただの可視化」で終わらないAI搭載のエンゲージメントサーベイで
離職防止につなげませんか?

NALYSYSモチベーション
管理を詳しく知る >

信頼を保ちながら匿名性を高める方法

エンゲージメントサーベイを実施するにあたり、信頼を保ちながら匿名性を高める方法について、解説します。

匿名性を保証する

従業員が安心して回答できるように、匿名性を保証することが重要です。従業員に、サーベイの実施方法を具体的に説明し、回答内容と個人を結びつけることはしないと明示します。誰が、どの回答をしたか特定できない仕組みを採用し、集計結果も個人が特定できない形式で開示しましょう。

たとえば、回答をオンラインで収集する場合、IPアドレス等の個人情報につながるログは残さないように設定する必要があります。サーベイツールによっては、匿名性を確保するための機能が備わっているものもあります。

個人を特定しない匿名性を徹底すると、率直な意見を得られると同時に組織への信頼も保つことができるでしょう。

選択肢と自由記述欄を併用する

選択式と自由記述欄を併用することで、匿名性を高めつつ、より深い情報を収集できます。具体的には、質問に対して複数の選択肢を用意し、さらに自由記述欄を設けて、選択肢でカバーしきれない意見や詳細な状況を記述できるようにします。

たとえば、職場環境の満足度を問う質問で、選択肢に加えて、具体的な改善点などを自由に記述できるようにします。選択肢だけでは個人の状況や考えを十分に反映できないため、より具体的な背景を知るには、自由記述欄で従業員自身の言葉で伝えてもらうことが有効です。

つまり、両者を組み合わせることで、匿名性を維持しながらも、多様な意見を収集し、より具体的な状況を踏まえて分析が可能になります。

秘密保持の意向を伝える

エンゲージメントサーベイの実施前に、秘密保持の意向について伝えることが大切です。具体的には、サーベイの目的や回答データの取り扱い方法、誰が結果にアクセスできるかなどを具体的に説明します。

たとえば、集計結果のみを公表し、個別の回答内容は人事部のみが閲覧する、などのルールを明示します。回答者が安心して意見を表明できる環境を作るためには、情報管理の透明性が必要不可欠といえます。

秘密保持に対する組織の姿勢を明確に示すことで、サーベイへの信頼感を高め、参加率の向上や率直な意見の収集につながります。

外部の専門家に任せる

エンゲージメントサーベイを外部の専門家に委託することで、匿名性と信頼性を同時に高めることができます。具体的には、サーベイの実施やデータの集計・分析、結果報告までを外部機関に依頼します。

専門のコンサルティング会社などに依頼することで、社内関係者に回答内容が漏洩するリスクを低減できます。外部機関は守秘義務を負っているため、客観的かつ公正な立場でサーベイを実施できるといったメリットがあります。

外部委託によって、従業員は安心して本音を回答でき、経営陣はより信頼性の高い結果を得ることができます。

少数意見はまとめる

少人数の部署やチームでエンゲージメントサーベイを実施し、その結果を公表する際には、少数意見は個人が特定されないよう、まとめて提示することが重要です。

具体的には、特定の部署や属性に偏った意見や極端な意見などは、個別の回答としてではなく、類似の意見をまとめて傾向として示します。

たとえば、残業時間が多いという意見が少数あった場合、個別の状況ではなく、長時間労働に対する懸念といった形で集約します。少数意見をそのまま公表すると、回答者が特定されるリスクが高まるため、注意しましょう。

参考:

Forbes Human Resources Council.(2021).Searching For An Employee Survey Tool? 14 Key Factors To Consider.Forbes.https://www.forbes.com/councils/forbeshumanresourcescouncil/2021/04/02/searching-for-an-employee-survey-tool-14-key-factors-to-consider/

Dana Wilkie.(2018).Employee Engagement Surveys: Why Do Workers Distrust Them?.SHRM.https://www.shrm.org/topics-tools/news/employee-relations/employee-engagement-surveys-workers-distrust

従業員の離職に悩む管理職の方へ

「ただの可視化」で終わらないAI搭載のエンゲージメントサーベイで
離職防止につなげませんか?

NALYSYSモチベーション
管理を詳しく知る >

まとめ

エンゲージメントサーベイの匿名について解説しました。エンゲージメントサーベイを匿名で実施する際には、匿名性の徹底はもちろん、従業員へ秘密保持の意向を伝えることや、少数で行う場合の結果公表の方法について配慮することが大切です。

エンゲージメントサーベイの匿名性を徹底することは、組織の問題点を発見できる機会

を作るだけでなく、従業員が組織への信頼を保つことにつながります。