「部下同士の仲が悪すぎて仕事に支障が出ている…」
「仲が悪い部下の関係性を修復するにはどうすればいい?」

このような悩みや疑問を持つ管理職も多いでしょう。

性格や価値観が異なる人々が集まる職場では、メンバー間で多少相性の良し悪しがあるのは自然なことです。しかし、その関係性が業務に支障をきたすほど悪化している場合は、管理職が適切に対応しなければなりません。

本記事では、部下同士の仲が悪い原因や、関係を修復するために管理職がとるべき対処法について解説します。部下同士の関係性を良好に保ち、職場の士気や生産性の向上につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。

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職場での人間関係に問題を抱える人は多い

厚生労働省が実施した「令和5年 雇用動向調査」によると、転職入職者の約11%(男性9.1%、女性13.0%)が「職場の人間関係が好ましくなかった」ことを理由に前職を辞めています。

この結果は、多くの人が職場での人間関係に問題を抱えている現状を示しています。

職場での人間関係を考える際には、「個人的な相性」と「仕事上の関係性」の2つの側面を分けて考えることが重要です。

  • 個人的な相性:「プライベートな時間を誰と一緒に過ごしたいか」といった、仕事とは直接関係のない個人的な好き嫌いを指す
  • 仕事上の関係性:業務を円滑に進めるための最低限の協力関係を指す。意見が対立することはあっても、建設的な議論を通じて業務を遂行できるような関係性が理想

さまざまな人が集まる職場において、全員の性格や価値観が合うことは稀です。そのため、多少部下同士の仲が悪くても、仕事に支障をきたしていないのであれば、それは「個人的な相性」の問題といえます。

しかし、部下同士の仲が悪すぎるあまり、「仕事上の関係性」にも悪影響がある場合は、管理職が適切に対処する必要があるでしょう。

情報共有の滞りや非協力的な態度が業務の円滑な進行を妨げ、チーム全体の生産性を低下させる原因となり得るからです。

参考:

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」

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部下同士の仲が悪い原因

ドレクセル大学の記事を参考に、部下同士の仲が悪い場合に考えられる主な原因を紹介します。

コミュニケーションが不足している

部下同士の仲が悪い大きな要因の一つとして、コミュニケーションが不足していることが挙げられます。

職場で良好な人間関係を築き、仕事を円滑に進めるために、コミュニケーションは必要不可欠なものです。

もし、コミュニケーションが不足してしまうと、以下のような問題が起こりやすくなるとされています。

  • 誤解が生じやすくなる:相手の考えや意図を間違って捉えてしまう(例:チャットやメールなど、文字だけのやり取りが多いと相手の真意がわからなくなり、「怒っているのかな?」「不満があるのかな?」といった余計な勘ぐりを生む)
  • 情報共有が進まなくなる:業務に必要な情報がスムーズに共有されず、お互いが相手に不満を持つ原因になる(例:特定の担当者しか知らないノウハウやコツがあり、他のメンバーが同じ業務を効率的に進められない)
  • 信頼関係が築けない:相手のことを知る機会が少ないため、心理的な距離が縮まらず、協力して仕事を進めるための信頼関係が築きにくい(例:相手の人柄がわからず、話しかけるのに勇気が必要)

職場のコミュニケーションは「血流」のようなものであり、滞ってしまうと組織全体が弱ってしまいます。

このような状況を避けるためには、管理職が意図的に部下同士のコミュニケーションを増やす機会を設け、「血流」を促進することが重要です。

管理職の振る舞いに問題がある

管理職自身の振る舞いが火種となり、部下同士の仲が悪くなるケースもあります。

とくに注意したいのは、管理職が知らず知らずのうちに行ってしまいがちな、以下の2つの行動です。

  • 役割や期待を明確にしない:メンバー一人ひとりの役割や期待される成果がはっきりしないと、責任のなすりつけ合いが起きやすくなる(例:管理職がタスクの担当者を明確にしなかった結果、「これはAの仕事だ」「いや、Bの仕事だ」といった押し付け合いが始まる)
  • 特定の部下をえこひいきする:特定のメンバーだけを優遇すると、チーム内に分断が生じやすい。優遇されなかったメンバーは嫉妬心から優遇された側を敵視するようになり、協力関係やコミュニケーションが阻害される(例:管理職がCさんだけを頻繁に褒め、重要な仕事を任せた結果、Dさんが不満を募らせ、Cさんの足を引っ張るような行動をとるようになる)

もし、部下同士の人間関係に問題があると感じた場合は、まず管理職である自分自身の振る舞いに原因がないか、振り返ることが大切です。

性格が合わない

仕事以前に、そもそもの性格が合わないために部下同士の仲が悪いこともあります。

たとえば、「几帳面で質を重視する」タイプの部下は、「おおざっぱで効率を重視する」タイプとは合わないかもしれません。

先ほども述べたように、人間関係において性格の不一致が起こるのはごく自然なことであり、それ自体を無理に解決する必要はありません。

大切なのは、個人的な感情を仕事に持ち込まないようにすることです。好き嫌いによって仕事の質が下がったり、周囲に迷惑をかけたりすることは避けなければなりません。

したがって、管理職は部下の好き嫌いを否定するのではなく、「嫌いな相手とも仕事では協力する」という意識を持つよう促すことが大切です。

また、あらかじめ相性が悪い可能性が高いとわかっているメンバー同士は、できるだけ業務上の関わりが少なくなるように配置する、といった配慮も有効な対策の一つです。

参考:

Drexel University “How to handle conflict in the workplace”

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「部下同士の仲が悪い」と感じたときの対処法

部下同士の対立は、管理職が直面する避けられない問題の一つです。これを放置すると、チームの雰囲気が悪化し、仕事の成果にも悪影響を及ぼす可能性があります。

しかし、部下同士の対立は必ずしも悪いことばかりではありません。管理職が適切に対応することで、チームが成長するための良い機会にもなり得ます。

ここでは、ハーバード・ビジネス・レビューの記事の情報をもとに、部下同士の対立に管理職がどう対処すべきか、4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:対立の原因と状況を見極める

まずは部下同士で対立が起きている原因や状況について、冷静に見極めることが重要です。

やるべきこと詳細・具体例
【対立の内容を理解する】対立の原因を「事実」「目標」「方法」「価値観」の4つの観点から見極めることで、対立の本質を整理し、解決の糸口を見つける・事実の違い:「Aというデータは正しい」「いや、Bというデータが正しい」のように、事実に対する認識が食い違っている・目標の違い:「コスト削減を最優先すべきだ」「いや、顧客満足度を上げるべきだ」のように、目指すべき方向性が違う・方法の違い:「このプロジェクトは社内ツールを使うべきだ」「いや、新しい外部サービスを導入しよう」のように、業務の進め方で意見が分かれている・価値観:「仕事は残業してでも完璧にやるべきだ」「いや、定時で終えてプライベートを大切にすべきだ」のように、仕事への根本的な考え方が違う
【対立の根本原因を見つける】意見の食い違いの背景にある、より深い原因を探る。「情報のズレ」「認識のズレ」「役割のズレ」といった要因を理解することで、表面的な問題ではなく、根本的な解決策を導き出すことができる・情報のズレ:全員が同じ情報を持っていない、あるいは一部の情報しか知らないために意見が食い違う・認識のズレ:同じ情報を見ていても、これまでの経験や考え方によって解釈が異なる・役割のズレ:組織内での自分の立場や役割が、意見に影響を与えている
【対立の進行段階を把握する】対立は突然発生するものではなく、「予想」「意識」「議論」「公然化した論争」「公然化した対立」の5段階に分けられる。対立が初期段階であるほど、管理職の介入は効果的で、大きな問題になる前に解決しやすくなる。逆に、最終段階まで進んでしまうと、解決は非常に難しくなる・「予想」の段階:まだ対立は起きていないが、今後起こりそうだと予測できる段階・「意識」の段階:周囲が漠然と不安や緊張を感じ始め、いつ論争やトラブルが起きてもおかしくない段階・「議論」の段階:具体的な話し合いが始まり、意見の食い違いが見えてくる段階・「公然化した論争」の段階:意見の食い違いが明確になり、対立する当事者が交渉を始める段階・「公然化した対立」の段階:それぞれが自分の主張を譲らず、勝敗をつけようとする段階

ステップ2:状況に合ったアプローチを選ぶ

ここでは、対立の原因や状況、部下の性格などに応じて、とるべき行動を判断します。具体的なアプローチとしては、以下の4つが挙げられます。

アプローチメリット・デメリット
【対立を「避ける」】最初から意見がぶつかりそうな者同士を離すことで、問題を未然に防ぐ
例:犬猿の仲の2人を、それぞれ別のチームやフロアに配置する
●メリット:衝突が起きないため、チーム内の平和が保たれる。特に、メンバーの気が弱かったり、協調性が重視される組織では有効
●デメリット:誰もが似たような意見を持つことになり、新しいアイデアや創造性が生まれにくくなる
【対立を「抑え込む」】すでに起きている対立が表面化しないように管理する。チームワークや協調性を強く意識させることで、不満を心の中に留めさせる
例:チームの協調性を重視し、「今はチームワークを乱すようなことは言わないでほしい」と伝えて、議論を一時的に収める
●メリット:業務への直接的な影響を防ぐことができる。短期間で目標を達成したいときには有効
●デメリット:根本的な問題が解決されないため、不満や敵意が水面下でたまり続ける。生産性の低下や、予期せぬタイミングでの爆発的な対立につながるリスクがある
【対立を「明確にする」】あえてオープンな場で議論させることで、お互いの立場をはっきりさせ、学びや気づきを得ようとする
例:両者に「どうしてそのように考えるのか?」と問いかけ、お互いの意見を冷静にぶつけさせる場を設ける
●メリット:意見の違いが明確になることで、お互いの立場や組織内の力関係を理解するきっかけになる。また、議論にかかるコストを経験することで、「もう二度とこんなことはしたくない」という共通認識が生まれ、同じような対立を防ぐ効果も期待できる
●デメリット:議論が激しくなりすぎると、人間関係が決定的に壊れてしまう危険がある。議論のルールを事前に決めて、制御不能にならないように管理する必要がある
【対立を「創造的に解決する」】対立を「問題」としてではなく、「新しいアイデアを生むための材料」として捉える。お互いの異なる視点を共有し、協力してより良い解決策を見つけ出そうとする
例:「お互いの意見の良い部分を組み合わせて、もっといい解決策を見つけよう」と提案し、協力してアイデアを出すよう促す
●メリット:対立から生まれるエネルギーを、チームにとってプラスになる方向に変えることができる。お互いの意見を尊重し合うことで、より質の高い、革新的な解決策が生まれる可能性が高まる
●デメリット:お互いが納得するまで話し合いを進めるには、手間と労力が必要。また、やり方を間違えると、単なる感情的な対立に終わってしまう危険性もある

ステップ3:議論の場をファシリテートする

ステップ2で「対立を明確にする」「対立を創造的に解決する」などといったアプローチを選ぶ場合、管理職は話し合いの場をリードする役割を担います。


このとき、管理職は単に当事者の仲裁に入るだけでなく、対立を「学び」に変えるための「ファシリテーター(進行役)」 の役割を果たすことが求められます。

▼ファシリテーターとして意識すべきポイント

  • 感情を尊重する:「怒りを感じるのは当然だ」と受け止め、感情を否定しない
  • 公平に話を聞く:どちらかの味方にならず、すべての情報を得るまで判断を保留する
  • 議論の焦点を明確にする:話が脱線しそうになった場合は「今、何について話していますか?」と問いかけ、議論の軸を修正する
  • ルールを設ける:「アイデアと人を切り離す(アイデアそのものを評価する)」「最終的な決定権を持つ人を明確にする」など、話し合いのルールを決め、守らせる

ステップ4:人間関係の維持に配慮する

部下同士の対立を解決するだけでなく、今後も良好な人間関係を維持できるよう配慮することも、管理職の重要な役割です。

具体的には、以下の2点を意識します。

  • 対立を乗り越えたことを称賛する:お互いに協力し合って解決策を見つけ出したことを評価し、次へとつなげる
  • 関係修復をサポートする:対立によって生じたわだかまりが残らないように、日頃からコミュニケーションを促し、良好な関係を維持できるよう努める

参考:

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「組織内の「対立」をマネジメントする方法」

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まとめ

部下同士の仲が悪い原因や、関係を修復するために管理職がとるべき対処法について解説しました。

性格や価値観が異なる人々が集まる職場では、メンバー間で多少相性の良し悪しがあるのは自然なことです。しかし、その関係性が業務に支障をきたすほど悪化している場合は、管理職が適切に対応しなければなりません。

本記事で紹介した内容を実践し、部下同士の関係性を良好に保ち、職場の士気や生産性の向上につなげてください。

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