「職場にどうしても合わない部下がおり、接し方がわからず困っている…」

このような悩みを持つ管理職も多いでしょう。

人それぞれ性格や価値観が異なる以上、職場に相性が良くない相手がいるのは仕方がないことといえます。

大切なのは、苦手な部下に対し、上司がどう向き合っていくのかを考え、行動に移すことです。

本記事では、「合わない」と感じる部下と接する際に、上司が意識すべきポイントについて解説します。

部下と良好な関係を築くことで、職場の士気や生産性の向上に役立てたい方は、ぜひ参考にしてください。

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合わない部下がいるのは自然なこと

職場には、さまざまな性格や価値観を持つ人々が集まります。

たとえば、仕事を人生におけるもっとも重要なものと位置づける人もいれば、プライベートを優先し、仕事は単なるお金を稼ぐ手段だと考える人もいるでしょう。

また、積極的にコミュニケーションをとるのが得意な人もいれば、黙々と作業を進めることを好む人もいるはずです。

このように、性格や価値観は人それぞれ異なるため、職場に上司が「合わない」と感じる部下がいるのはごく自然なことです。

実際に、株式会社R&Gが実施した「苦手な部下に関する意識調査」でも、管理職の83.3%が「職場に苦手な部下がいる」と回答しているほどです。

ただし、部下に対する「合わない」という感情をそのままにしておくと、お互いにとってストレスがたまるだけでなく、チーム全体の雰囲気や成果にも悪影響をおよぼしかねません。

重要なのは、「合わない」と感じる部下に対して、上司がどう接していくかを考えることです。

“合わない”の正体は、価値観や役割期待のズレであることが多いです。エンゲージメントサーベイでズレを特定し、対話の出発点を揃えましょう。

参考:

PR TIMES「【苦手な部下の特徴ランキング】上司418人にアンケート調査」

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合わない部下に対してやってはいけないこと

ハーバード・ビジネス・レビューの記事をもとに、「合わない」と感じる部下がいる際に、上司がやってはいけないことを解説します。

「自分が正しい」と思い込む

性格や価値観の不一致は、一部のケースを除き、どちらか一方にだけ原因があることは稀です。

そのため、部下と「合わない」と感じたときに、「自分が正しい」と思い込むのは避けるべきです。

自分のものの見方や意見が客観的で唯一の真実だと信じ、自分と異なる考えをすべて間違いだと決めつけるのは、心理学でいう「ナイーブ・リアリズム」にあたります。

ナイーブ・リアリズムが問題なのは、職場における人間関係のトラブルを引き起こす大きな原因となる点です。

先ほども述べたように、人はそれぞれ異なる価値観や視点を持っているため、考えや意見の食い違いは当然のように起こります。

その際に、「自分が正しい」と決めつけてしまうと、相手の意見をまともに聞かなくなったり、対話を拒否したりしてしまい、建設的な議論ができなくなります。その結果、相手との関係が改善しないどころか、さらに悪化することになりかねません。

一方で、上司が自分と異なる考え方を尊重する姿勢を示せば、お互いにより良い解決策を探しやすくなり、関係も改善されやすくなるでしょう。

「自分 対 相手」という構図を作る

考え方や意見が対立したとき、人はつい「自分 対 相手」という構図をつくりがちです。

この構図は、自分と相手を敵同士とみなし、「どちらが勝つか負けるか」という戦いの心理状態を生み出します。その結果、お互いに協力や歩み寄りがなくなり、関係のさらなる悪化につながってしまいます。

この状態を避けるためには、「第3の存在」を意識することが重要です。

「第3の存在」を意識するとは、「自分」と「相手」という対立関係にある2人の間に、「共通の目標」や「課題」といった3つ目の要素を持ち込む考え方です。

「第3の存在」によって、我々は個人的な感情の衝突から焦点をずらし、建設的な問題解決に集中できます。

たとえば、業務の進め方で意見が食い違った場合は、「あなたのやり方を変えてほしい」と言うのではなく、共通の課題である「業務の効率化」に焦点を当て、「どうすれば、私たちの業務プロセスを改善できるか、一緒に考えてもらえませんか?」と提案するのです。

このように、「あなた」や「私」を主語にするのではなく、「私たち」「チーム」「プロジェクト」など、共通の目標や課題を主語にすることで、個人的な対立を避け、建設的な話し合いを進めることができるでしょう。

相手の陰口を言う

いくら部下が気に入らないからといって、その部下の陰口を周囲に言うのは絶対に避けるべきです。

陰口を叩くことで、多少気持ちがスッキリすることはあるかもしれませんが、たいていは不満を共有するだけで終わってしまうため、問題の根本的な解決には至りません。

また、陰口を言う本人のストレスが解消されることはあっても、それを聞かされる周囲の人は不快に感じている可能性が高いです。

実際に、株式会社ネクストレベルが社会人男女を対象に実施した調査でも、「嫌いな上司の特徴ランキング」の5位に「他人の悪口を言う」が挙げられており、多くの人が上司の陰口を嫌っていることがわかります。

さらに、職場での陰口は度が過ぎると、組織全体の士気を下げ、ストレスを増大させるという研究結果もあります。

このような悪影響が大きい陰口を、上司自らが率先して発信するのは、職場を破壊する行為にほかなりません。

上司は、たとえ「合わない」と感じる部下がいたとしても、その不満を周囲にぶつけるのではなく、どうすれば関係を改善できるかを考え、行動することが重要です。

参考:

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「やっかいな同僚と向き合うための7つの原則」

PR TIMES「280人に聞いた嫌いな上司ランキング!1位は「ひいきする・好き嫌いが激しい」。重視しているのは仕事のできよりも人間性」

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合わない部下との接し方

ハーバード・ビジネス・レビューの記事をもとに、「合わない」と感じる部下と接する際に、上司が心がけるべきポイントを解説します。

なぜ相手が苦手なのかを分析する

「合わない」と感じる部下がいる場合、なぜ自分がその部下を苦手だと感じるのかを分析することが重要です。

分析を行うことで、その原因が部下自身の言動にあるのか、それとも自分自身の反応や偏見にあるのかを明らかにできるためです。

たとえば、ある部下の話し方や態度に日頃からイライラしているとします。このとき、イライラの原因を掘り下げてみると、自分が過去に苦手だった人にその部下が似ているだけで、実は自分の受け取り方に問題がある、というケースも考えられます。

他人である部下の性格や考え方を変えることは簡単ではありませんが、部下に対する自分の見方や接し方を変えることは可能です。

自分の言動や考え方をどう改善すべきかを明確にするためにも、このような自己分析は不可欠だといえます。

相手に興味を持つ

「合わない」と感じる部下との関係を改善するには、相手に興味関心を持つことが必要不可欠です。

人は、自分の話を聞いてくれる相手に心を開きやすいものです。

上司が部下の置かれた状況や個人的な事情を理解しようと努力することで、部下は「この上司は自分を気にかけてくれている」と感じ、コミュニケーションが円滑になると期待できます。

コミュニケーション不足が解消されれば、部下との関係性も自然と改善されていくでしょう。

とはいえ、これまであまり関係が良くなかった部下と、いきなり深く関わるのは難しいかもしれません。

そのため、まずは以下の点を意識して、少しずつ会話の機会を増やしていくことが大切です。

  • 共通の話題を探す:仕事とは直接関係のない、共通の接点や興味を見つけ、会話のきっかけにする(例:出身地や趣味、好きなスポーツチームなど)。個人的な会話をすることで、これまで気づけなかった相手の側面を知ることができる。ただし、プライベートに踏み込みすぎるのは、相手を不快にさせるリスクがあるためNG
  • 協力する姿勢を見せる:1on1ミーティングなど、部下と個別で話せる機会を設けて、相手の状況を尋ねてみる。まずは仕事の進捗や役割への悩みなど、仕事に関連する話題から始め、相手が話してくれる範囲で耳を傾ける。こうすることで、相手が抱えるストレスや不安を理解できるかもしれない

親切な行動をとる

「合わない」と感じる部下に対しては、あえて親切な行動をとることも有効かもしれません。

親切な行動は、相手に対する自分のネガティブな感情をポジティブなものに変えるきっかけになり得るためです。

また、こちらが親切に接すると、相手もそれに応えようとする可能性が高まります。

▼【具体例】部下に対する親切な行動

  • 積極的に褒める(例:部下が会議で挙げた提案を「素晴らしいアイデアだ」と評価する)
  • サポートを申し出る(例:プロジェクトで苦戦している部下に対し、「何か手伝えることはないか?」と自ら尋ねる)
  • 温かい言葉をかける(例:時間通りに会議に出席できなかった部下に対し、皮肉や嫌味を言う代わりに、「お疲れ様。これまでの経緯をざっと説明するよ」といった言葉をかける)

なお、これらの親切な行動はうわべではなく、本心から行うことが大切です。そうすることで、自分の誠意が相手に伝わり、信頼関係を築く第一歩となるはずです。

必要なら直接話し合う

ここまでに紹介した方法を試しても部下との関係が改善しない場合は、直接話し合うことが必要不可欠です。

上司が「合わない」と感じているときは、部下も同じように上司に対して苦手意識を持っている可能性があります。話し合いは、お互いの考えを率直に伝え合える貴重な機会です。

また、「話し合って解決しよう」という上司の姿勢は、「この上司は自分との関係を真剣に考えてくれている」という信頼感を部下に与えるでしょう。

部下との話し合いを成功させるためには、以下の2点を意識することが重要とされています。

  • 責めるのではなく、協力を求める:「あなたの態度が気に入らない」といった批判的な言い方ではなく、「私たち二人で、どうすれば一緒にうまく働けるか考えたい」というように、共通の目標に向かって協力する姿勢を示す
  • 感情的にならない:話し合いの間は感情的にならず、落ち着いて相手の話を聞き、自分の考えを伝えることで、建設的な対話ができる。もし気持ちが高ぶっていると感じたら、冷静になる時間をもらい、深呼吸をして落ち着く

このように、必要に応じて部下と話し合うことは、苦手な部下との関係を根本的に改善するために、上司が取るべき最後の、そして最も重要な手段といえます。

参考:

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「嫌いな人と仕事をうまくやる6つのアドバイス」

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「苦手な同僚への共感を育む方法」

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まとめ

「合わない」と感じる部下と接する際に、上司が意識すべきポイントについて解説しました。

性格や価値観は人それぞれ異なるため、職場に相性が良くない相手がいるのはごく自然なことです。

しかし、部下に対する「合わない」という感情を放置すると、お互いのストレスが増えるだけでなく、チーム全体の雰囲気や成果にも悪影響をおよぼしかねません。

だからこそ重要なのは、苦手な部下に対して、上司がどう向き合っていくかです。

本記事で紹介した内容を実践し、部下と良好な関係を築くことで、職場の士気や生産性の向上に役立ててください。

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