エンゲージメントサーベイとは、「従業員が自分の仕事や組織に対してどれだけ熱意を持ち、自発的に貢献したいと感じているかを定量的に把握する」ことを目的とした調査です。

エンゲージメントサーベイを実施するうえで、まず確認すべきなのは「回答者がバレるリスクがないか」という点です。

サーベイの匿名性が担保できていなければ、いくら多大なコストをかけても、有意義なデータが得られない恐れがあります。

本記事では、エンゲージメントサーベイの回答者がバレるリスクや、バレないための対策などについて解説します。

エンゲージメントサーベイで従業員の本音を効果的に引き出し、職場環境の改善に役立てたい方は、ぜひ参考にしてください。

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エンゲージメントサーベイの回答者がバレるケース

エンゲージメントサーベイの回答者がバレてしまう主なケースを4つ紹介します。

実名による回答でバレる

おそらく最も多いのが、エンゲージメントサーベイを無記名ではなく、氏名や社員番号を明記する形式で実施し、回答内容が回答者個人と直接的に紐づいてバレるケースです。

回答結果と個人が紐づいているため、回答者の「本音」が人事や特定の上司に筒抜けになってしまうリスクがあります。

たとえば、ある従業員(Aさん)がサーベイ内で自身の上司に対する不満や批判を具体的に述べた場合、その結果を確認した上司は「Aさんは自分に対してこんなことを思っているんだな」というのがすぐに分かってしまうのです。

回答属性の絞り込みでバレる

エンゲージメントサーベイが無記名で実施されていても、調査内で収集する属性情報(性別や部署、役職、勤続年数など)の組み合わせによって、回答者がバレるパターンもあります。

調査結果は通常、組織全体だけでなく、「部署」「支店」といった特定のセグメント(集団)ごとに集計・分析されます。

回答人数が5人未満など、特定のセグメントの回答人数が極めて少ない場合は、そのグループ内の誰の意見なのかが容易に推測・特定できるでしょう。

また、仮にセグメント内の回答者が十分にいたとしても、複数の属性情報を組み合わせることによって、特定の個人まで絞り込みが可能になるケースも少なくありません。

たとえば、「大阪支社・経理部・課長・勤続20年以上」というすべての条件に合致する人物が社内にたった一人だった場合、そのセグメントの回答は「その一人の課長」の回答であると分かるのです。

自由記述の内容でバレる

エンゲージメントサーベイ内で回答者が記入した自由記述欄の内容や表現によって、その回答者が誰であるかがバレてしまうケースも考えられます。

自由記述欄で特定につながりやすい要素は、主に以下の3点です。

  • 具体的なエピソードや状況の記述:特定の時期や場所、人物などに関する詳細すぎる事実を書くと、その出来事を知っている関係者であれば、誰が記述したのかが容易に推測できる(例:「先週の火曜日に営業部の会議室で、上司から受けた指示は理解しがたいものでした」)
  • 独自の表現や専門用語の使用:回答者が日頃からよく用いる独特の言い回しや専門用語、略語などが含まれている場合、その人物をよく知る人であれば、「この文章は〇〇さんのものだ」と推測できる(例: 「現在のタスクフォースのメンバーのアジリティに懸念があります。特にナレッジトランスファーのプロセスを再定義すべきと考えます」)
  • 個人的な不満や要求の表現:特定の人物に対する個人的な不満や、具体的な個人的要求を記述した場合、回答者の特定が容易になる(例: 「私のチームは現在、産休代替のスタッフが不足しており、早急に増員が必要です」)

システム管理者からの漏洩でバレる

たとえ匿名式のエンゲージメントサーベイツールを使用したとしても、システム上では回答者のデータ(特定のログインIDなど)が保持されている場合があります。

サーベイのシステム管理者や、データにアクセスできる権限を持つ人事・IT担当者がデータを不適切に取り扱うことで、本来隠されるべき回答者の情報がバレてしまうケースもあるでしょう。

たとえば、ある従業員がサーベイ内で上司への強い不満を記述したとします。仮に回答内容や属性による特定が難しくても、その上司がシステム管理者に問い合わせれば、回答者を容易に特定できることもあるのです。

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エンゲージメントサーベイの回答者がバレるとどうなる?

エンゲージメントサーベイの回答者がバレるリスクがある状態では、調査の効果が大幅に低下すると考えられます。

具体的には、主に以下の3点で調査の有効性が損なわれます。

問題点結果
【1. 回答内容の歪み(本音が引き出せない)】従業員が正直に回答することで、自身の評価や人間関係、キャリアに悪影響が出ることを恐れ、組織や上司に対する批判的なフィードバックを避けるようになる現状に対して、「満足」「どちらとも言えない」といった無難な回答ばかりが集まる。組織の真の課題や隠れた不満がデータに反映されなくなり、サーベイを実施した意味がなくなる
【2. 回答率の低下】自分の回答がバレるリスクがあると知った従業員は、サーベイへの参加自体を拒否したり、積極的に回答しなくなったりするデータに偏り(バイアス)が生じ、組織全体や特定の部署の実態を正確に反映していない、信頼性に欠けるデータとなってしまう
【3. 会社への不信感の増大】「無記名だと言われたのにバレた」という事例が発生した場合、会社に対する信頼が損なわれる以後、どのような調査や施策を行っても従業員が協力的にならず、組織改善に向けたコミュニケーションが困難になる

上記のような状態では、エンゲージメントサーベイが単なる形式的な活動になり、多大なコストをかけたにもかかわらず、組織改善という目的は達成できなくなるでしょう。

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エンゲージメントサーベイの回答者がバレないための対策

株式会社識学が社会人男女を対象に行った調査によると、「社員満足度調査の回答に本音以外を書いたことがあるか」との問いに、77.6%もの人が「ある」と回答しています。

その理由として、最も多かった意見が「人に見られていそう(45.9%)」でした。

この結果から、エンゲージメントサーベイは回答者がバレないよう、無記名形式で実施することが望ましいといえます。

もちろん、記名形式であれば回答者が自身の回答に責任を持ちやすいため、いい加減な回答や過度な個人批判・中傷が減るというメリットはあります。

しかし、仮に「回答内容は評価とは無関係」と約束されたとしても、名前を明記した状態の従業員から本音を引き出すのは極めて難しいのが現実です。

一方、無記名形式であれば、従業員が本音で回答しやすくなるため、組織改善に役立つ貴重な情報や意見を得やすくなるでしょう。

ただし、先ほども述べた通り、無記名形式のサーベイであっても、回答者がバレてしまうリスクはゼロではありません。

そのため、

  • 匿名性の高いサーベイツールを用いる
  • 回答者の情報が流出しない厳重な仕組みを作る
  • 個人特定リスクを低減する集計ルールを適用する(例:5人未満のセグメントは集計しない)

などの対策によって、回答者特定のリスクを最大限に減らす努力は必要不可欠です。

参考:

PR TIMES「「社員満足度調査」へのホンネ。7割以上の人が「本音以外を書いたことがある」と回答」

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エンゲージメントサーベイで本音を引き出すコツ

ハーバード・ビジネス・レビューの記事(以下、同記事)をもとに、エンゲージメントサーベイで従業員の本音を引き出すコツを紹介します。

回答者の特定が行われないことを明確に示す

エンゲージメントサーベイで従業員の本音を引き出すためには、回答者の特定が決して行われないことを事前にはっきりと示すことが重要です。

米国のデューク・エナジー社が実施した調査によれば、とある社内調査で従業員の意見を「メール」と「紙」の2パターンで収集したところ、以下のような傾向が見られたといいます。

  • メール方式:全体的なスコアが高く偏り、バラつきが小さく、空欄が多い(本音を控える傾向)
  • 紙方式:データが正規分布曲線を描き、信頼性と有効性が高い(本音が出やすい傾向)

おそらく、メール方式だとシステム上で回答者の識別が容易であるのに対し、紙方式では特定が難しいことを従業員は理解しているのでしょう。

同社の事例からも、従業員は自分の回答が会社や上司にバレることを恐れており、匿名性の高い調査方法を強く求めている事実が見て取れます。

したがって、従業員に「回答者が特定されないこと」を確実に保証するため、以下の2方向での対策とアピールが必要になるのです。

【1. 従業員への事前説明(言葉による約束)】

  • 調査目的と約束の明確化:調査の目的を明確にし、「調査結果が特定の個人に結びつくことは絶対にない」ことを明確に説明し、約束する
  • 懸念の払拭:回答が人事評価や処遇に不当に利用されないことを強調し、従業員が抱くであろう不安や懸念を事前に解消する

【2. 特定が難しいことの実証(仕組みによる証明)】

  • 外部サービスの活用:外部企業が運用するサーベイサービスを利用するなど、社内の人がデータに直接アクセスして個人を特定することが困難であることを示す
  • 複数の回答方法の提供:「Web上での回答」と「紙での回答」など複数の回答方法を用意し、従業員がより安心できる方法を自由に選択できるようにする

職場の心理的安全性を高める

エンゲージメントサーベイで従業員から本音を引き出すためには、職場の「心理的安全性」が高い状態であることが必要不可欠です。

心理的安全性とは、「組織内で自分の意見や懸念、失敗などを率直に表明しても、拒絶されたり罰せられたりする心配がない状態」を指します。

心理的安全性が確保されていれば、そもそも従業員は自分の回答だとバレるのを恐れることなく、率直な意見や批判も表明できるようになるでしょう。

同記事では、職場の心理的安全性を高めるアプローチとして、以下の4つを提唱しています。

アプローチ具体例
【1. なぜ従業員の意見が必要かを伝える】従業員に対し、「なぜあなたの意見が必要なのか」「あなたの視点や懸念が仕事の成果にどう役立つのか」を、具体的かつ明確に説明し、意見を求める理由を理解させる「成約率を高めるためには、現場で毎日お客様と接しているあなたの意見が不可欠です」
【2. 上司が率先して自分の非を認める】上司が自身の失敗や間違いを積極的に共有し、そこから何を学んだかを率直に話すことで、「失敗しても大丈夫」「弱みを隠さなくてもいい」というメッセージを組織全体に伝える「このツールの選定は私が主導しましたが、操作性が悪く、皆さんに負担をかけてしまいました。次からはまず皆さんに試用してもらってから、採用するかを判断します」
【3. 「待つ」のではなく「尋ねる」】従業員が自発的に意見を述べるのを待つのではなく、上司の方からオープンな質問を投げかけ、積極的に意見を引き出す(従業員に「自分の意見は求められている」という認識を与える)「Aさん、この変更案について、あなたの立場からはどのような懸念点がありますか?」
【4. 厳しい意見も受け入れる】批判的な意見をもらった際も、すぐに否定せず、「言ってくれてありがとう」と謙虚に、そして前向きに受け止める(厳しい意見に対して感情的に対応すると、従業員はそれ以降、意見を言わなくなってしまう)「貴重なご意見ありがとうございます。その懸念点を解消するために、どのようなアプローチが有効だと思いますか?」

参考:

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「従業員の真の姿を見極める調査技法」

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「心理的安全性とは何か、生みの親エイミー C. エドモンドソンに聞く」

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まとめ

エンゲージメントサーベイの回答者がバレるリスクや、バレないための対策などについて解説しました。

エンゲージメントサーベイの回答者がバレるリスクがある状態では、サーベイが単なる形式的な活動になり、多大なコストをかけたにもかかわらず、有意義なデータが得られない恐れがあります。

回答者が特定される可能性を完全にゼロにするのは難しいものの、そのリスクを最大限に減らす努力は必要不可欠です。

本記事の内容を実施することで、エンゲージメントサーベイで従業員の本音を効果的に引き出し、職場環境の改善に役立ててください。

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