このページのまとめ

  • 辞めそうな人の前兆には、私用電話の増加や挨拶をしなくなるなどがある
  • 辞めそうな人に対しては、まずは悩みや不満を聞くことが大切
  • 辞めそうな人を止めるためには、普段からのコミュニケーションが重要

企業にとって、従業員の退職を防ぐことは重要です。退職者を減らすために、さまざまな取り組みを行っていることでしょう。退職を減らすためには、辞めそうな人の前兆を知り、引き止めなど対策をとることが重要です。このコラムでは、辞めそうな人が見せる退職の前兆を紹介します。辞めそうな前兆を知ることは、従業員の退職を防ぐことにつながるため、参考にしてください。

辞めそうな人の前兆

辞めそうな人が見せる前兆を知っておきましょう。「普段と違うな」「何かおかしいな」と感じることがあれば、退職を考えているかもしれません。特に、真面目な人の勤務態度が悪くなったり、コミュニケーションが減った場合は、注意しましょう。

愚痴や不満が多い

急に愚痴や不満が増えた場合は、退職を考えていないか注意してみましょう。辞める意思が高まると、職場の欠点ばかりが目に入り、思わず周りに本音をこぼすことが多くなります。すでに転職活動を進めている可能性もあるので、まずは探りを入れてみましょう。引き止める場合には、何を問題に感じているのかをヒアリングし、不満を解決することが大切です。

挨拶をしなくなる

いつも挨拶をしてくれていた人が挨拶をしなくなると要注意です。職場への愛着が薄れ、退職を考えている可能性が高いでしょう。たとえば、笑顔で挨拶してくれていた人が、顔も見ず、挨拶をしなくなるケースがあります。コミュニケーションが減る場合、転職活動を進めているほかに、悩みを抱えているケースもあります。早めにフォローに入るなど、状況を確かめておきましょう。

一人で行動することが増えた

「休憩時間を一人で過ごしている」「ランチを誰ともとらなくなった」。このようなケースも、辞めそうな人の前兆です。コミュニケーションをとることが面倒になり、一人の方が楽だと感じてしまうためです。また、同僚にバレないように転職サイトをチェックしたり、面接対策をしたりしている場合もあります。「最近一人で行動することが多いな」と感じる機会が増えたら、職場を辞めようとしていないかを気に掛けると良いでしょう。

求人サイトを閲覧している

求人サイトを閲覧している場面を見たら、退職を考えている可能性が高いです。就業時間に堂々と転職活動を行う場合があるため、注意しましょう。話ができそうであれば、転職意思があるのか確認してみることも大切です。辞めずに残る選択肢はないのか、相談してみましょう。

業務に関係ない資格の勉強をしている

業務に関係のない資格の勉強を始めた場合、転職の意思が強まっています。引き止める場合には、従業員が希望する業務ができないか、部署異動ができないかなどを社内で話し合ってみましょう。転職をせずに、従業員の希望する働き方を叶えられるかもしれません。

モチベーションが下がっている

仕事や勤務態度をチェックした際に、モチベーションが下がっている従業員は要注意です。辞める意思が決まっている、すでに転職先が決まっているなどの可能性があります。たとえば、遅刻や欠勤が増えた、業務のミスが増えたなどの場合は注意しましょう。

私用電話が多い

私用電話が多い場合、転職先の企業や就職エージェントと連絡をとっている可能性があります。すでに転職活動が進んでいると考えましょう。業務中に電話をしている場合、最終面接や内定など、重要な連絡である可能性も高いでしょう。内定承諾をした場合、辞めることが決定的になるため、それまでに引き止めましょう。

従業員が退職を考える理由 

従業員が退職を考える理由には、次のようなものがあります。

業務に不満がある

携わっている業務に不満がある場合、働くモチベーションが下がってしまいます。たとえば、自分が希望しない業務をやらされていたり、不適正な業務を行っていたりする場合です。また、業務量が多く、自分だけが大変な思いをしていると感じている場合もあります。現状の業務に不満がないかをヒアリングし、従業員が希望する働き方を叶えられないかを検討してみましょう。

評価に不満がある

実績を上げているにもかかわらず、正当な評価を受けていないと感じている場合も、退職の検討につながります。優秀な従業員は、他社でも評価されるため、転職に抵抗がありません。十分な評価がされていないと感じる従業員は、辞めてしまうため注意しましょう。

キャリアアップを求めて

自身のキャリアに満足できず、退職する従業員もいます。現在の会社ではキャリアアップが見込めない、できることはすべて達成したと考えるためです。向上心がある従業員は、自身のキャリアを考え、成長できる機会を探しています。もし、現在の会社で成長できる機会がなければ、別の会社を探すでしょう。他社に評価される実績を残した時点で辞めてしまうため、注意が必要です。

企業理念に共感できなくなった

企業理念に共感できなくなり、辞めたいと考えるケースもあります。入社時は理念に共感していたものの、実際に働いてみたらミスマッチを感じた、という場合もあるでしょう。また、企業が方針転換したり、経営陣が変わったりすると、企業風土も変わり共感できなくなる従業員もいます。このように、企業と考える方向性が違うと感じた場合、従業員は退職してしまいます。

辞めそうな従業員がいた場合の対応 

辞めそうな人の前兆に気づいたら、適切な対応を行いましょう。退職を防ぐことができるかもしれません。辞めそうな人への対応には、次のような方法が考えられます。

悩みや不満を聞く

辞めそうな人に対しては、まずは悩みや不満を聞きましょう。注意点としては、従業員の話を聞くことなく、一方的に説得しようとしてはいけません。辞めないように説得したくなる気持ちはありますが、まずは相手の話を聞くことから始めましょう。

キャリアプランを考える

業務や役割、役職に不満がある従業員に対しては、キャリアプランを考えましょう。従業員のやりたいことを考え、話し合うことが大切です。たとえば、スキルアップを望む従業員であれば、昇進に必要な条件をすり合わせます。業務が辛いと感じている場合は、配置転換を検討するのも良いでしょう。従業員が辞める理由に、業務や役職などのキャリアプランは密接に関わっています。将来の不安を解消するためにも、従業員のキャリアに関して話し合いましょう。

業務量を調整する

業務量に不安を抱え、退職を希望するケースもあります。負担が多い場合には、業務量を調整しましょう。たとえば、上司の仕事を押し付けられていたり、そもそもの業務量が多過ぎたりするケースが考えられます。業務量が割に合わないと感じている従業員は、退職を考えてしまうでしょう。業務量は適切か、または業務内容に見合った評価ができているかを改めて見直しましょう。

辞めそうな人の引き止め方

辞めそうな人であっても、引き止められる場合があります。一緒に働きたい人物であれば、急いで引き止めましょう。

一緒に働きたいと伝える

辞めてほしくない場合、一緒に働きたいと正直に伝えることが重要です。必要とされていると実感した従業員は、退職を考え直すことでしょう。まずは、自分の気持ちを正直に伝えることが大切です。また、引き止める際には、辞めそうな人の話もしっかりと聞きましょう。自分の思いだけ伝えても、一方的なコミュニケーションになります。相手の辞めたい理由を聞いたうえで、一緒に働きたいという気持ちを伝えましょう。

業務内容や配属先を見直す

業務に不満を抱えている従業員には、業務や配属を見直すことを伝えましょう。環境が変われば、退職を止められる場合もあります。辞めそうな人のなかには、会社や人は好きだけど、業務だけ苦手なケースがあります。その場合、本当は辞めたくないと考えているでしょう。業務だけが問題なのであれば、環境を変えてあげることが一番です。辞めたい理由をしっかりと受け止め、自社でできることがないか探しましょう。

評価や待遇を見直す

辞めそうな人に対する評価や待遇が適切か見直しましょう。評価されていないと感じ、退職を考える従業員が多いためです。たとえば、成果を上げたのに給与に反映されない、という不満を抱えている場合があります。評価や待遇に問題がある場合は、評価基準が正しいか、従業員の成果をきちんと把握できているか見直しましょう。適切な評価によって退職を防げる場合もあります。

離職防止への対策

従業員が辞めようと考える前の段階で、対策を整えておきましょう。日頃からできる対策には、以下のようなものがあります。

退職理由を聞いて改善する

今後の退職防止対策に活かすために、まずは従業員の退職理由を聞きましょう。自社の何が問題だったのか、把握する必要があります。業務内容に問題があったのか、人間関係でトラブルがあったのかなど、理由によって今後の対策は変わります。退職が決まったあとなので、本音を話してくれる可能性が高まります。

マネジメントスキルを向上させる

上司や管理職のマネジメントスキルを向上させましょう。マネジメント能力が低いことで、従業員が辞めてしまうケースがあるためです。たとえば、上司の言動が悪く、不適切な言動で退職を考える事例もあります。マネジメントスキルが高ければ防げた事例であり、改善が必要です。近年では、さまざまなハラスメントも問題になっています。部下が辞める理由を作らないためにも、マネジメントスキルを向上させましょう。

定期面談の実施

定期面談を実施し、従業員の考えを素直に話してもらいましょう。同時に、企業側からの評価を伝えるきっかけにもなります。従業員が適切な評価をされていないと感じる理由に、企業側から評価が伝えられていないことが挙げられます。定期面談を実施し、評価を伝えることで、改善が可能です。また、今後のキャリアプランを話すことで、従業員への期待も伝わります。定期面談を実施し、十分に話し合う機会を設けましょう。

まとめ

辞めそうな人への対応次第で、そのまま退職されてしまうか、自社にとどまってもらえるかが変わります。「仕事のモチベーションが下がっている」「私用の電話で席を外すことが増えた」など、辞めそうな人の前兆を察知することが大切です。従業員から退職について相談を受けた場合は、なぜ辞めたいと思っているのかをじっくり聞いてあげることが重要です。その際、強引に引き留めようとするのは逆効果です。日頃からのコミュニケーションを大切に、話しにくいことでも気兼ねなく相談してもらえる関係性を築いておきましょう。