このページのまとめ

  • ヒューマンスキルとは、良好な人間関係を築くために必要なスキルのこと
  • ヒューマンスキルには、コミュニケーション力やリーダーシップが含まれる
  • ヒューマンスキルは主観的な判断になりやすいため、客観的な評価を伝える

ビジネスの場面で求められるスキルのひとつが、ヒューマンスキルです。良好な人間関係を築き、業務をスムーズに進めるために必要とされます。従業員の育成の一環として、ヒューマンスキルの向上に取り組んでいる企業担当者も多いことでしょう。そこで今回は、ヒューマンスキルを鍛える方法や、採用面接でヒューマンスキルの高さを判断するコツについて解説します。

ヒューマンスキルとは

ヒューマンスキルとは、良好な人間関係を築くために必要なスキルのことです。
リーダーやマネージャーに必要とされるスキルのひとつです。
ロバート・カッツは、優れた人物に必要なスキルとして「ヒューマンスキル(対人関係のスキル)」「テクニカルスキル(技術面のスキル)」「コンセプチュアルスキル(物事の本質を理解するスキル)」の3つを挙げています。
ヒューマンスキルには、コミュニケーション力・交渉力・ヒアリング力などが含まれます。

ヒューマンスキルが注目される理由 

ヒューマンスキルが注目される背景には、主に以下の2つの理由があります。

デジタルに代替されにくいスキルのため

ヒューマンスキルが重要視される理由の一つが、デジタルに代替されにくいスキルを身に付けるためです。
デジタル技術の進化によって、これまでは人間が行っていた業務を自動化できるようになりました。それにともない、デジタル技術に代替されにくいスキルを身に付ける必要性が増しています。
コミュニケーション力やプレゼン力などのヒューマンスキルは、デジタル技術が進化しても必要なスキルとして注目されています。

多様な価値観を持つ人材をマネジメントする力が必要なため

グローバル化やダイバーシティなどの言葉が普及したことも大きな理由です。
人種・性別・年齢などの垣根を越え、さまざまな価値観を持つ人物と働く機会が増えています。
多様な価値観を持つ従業員と良好な関係性を築くためには、相手の意見に耳を傾けたり、積極的にコミュニケーションをとったりすることが非常に重要です。
従業員のマネジメントを行う場合は、とりわけこのようなヒューマンスキルが求められるでしょう。

ヒューマンスキルを構成する要素

ヒューマンスキルを構成する要素には、次のようなものがあります。

コミュニケーション力

1つ目の要素が、コミュニケーション力です。
コミュニケーション力には、「話す能力」と「聞く能力」の両方が求められます。
商談を行う際、自分の主張を伝えるだけでなく、相手の本音を引き出せなければ成約につなげることは難しいでしょう。自分の伝えたいことを伝えるスキルはもちろん、相手の考えを理解するためのヒアリング力も必要です。

交渉力

2つ目の要素が、交渉力です。
ビジネスの場面では、自分の主張をすべて受け入れてもらえるとは限りません。
「自分の意見を受け入れてもらうためにどのような伝え方をするべきか」「相手の意見をどの程度受け入れるべきか」を考え、双方が納得できる結論を提案する力が求められます。

プレゼン能力

自分の言葉で相手を動かすプレゼン能力も、ヒューマンスキルの一つです。
資料を使ってプレゼンを行う場合は、図表などで視覚的に情報を伝える力も必要になります。
相手に説得力を与えて心を動かすことができれば、商談や社内プレゼンの成功率が高くなるでしょう。

リーダーシップ

組織のリーダーとして活躍するためには、目標達成のためにメンバーを率いるリーダーシップが必要です。目標達成のために必要に応じてメンバーに改善点を伝えつつ、モチベーションが下がらないようにマネジメントするスキルが求められます。
ときには、対話を通して部下に気づきを与え、自発的な行動を促すためのコーチングスキルが必要になることもあります。

向上心

向上心があることも、ヒューマンスキルに含まれます。
「去年よりも高い成果を残したい」「昨日の自分よりも成長したい」という気持ちでスキルアップを続けることで、周囲に良い影響を与えることができるでしょう。
向上心をもって前向きに努力する姿勢を見せることは、ビジネスの成功に非常に大切です。

ヒューマンスキルを向上させる方法 

ここでは、従業員のヒューマンスキルを向上させる方法を4つ紹介します。

ヒューマンスキル研修を実施する

ヒューマンスキルを向上させるための研修を実施しましょう。
「どうしてヒューマンスキルが必要なのか」「ヒューマンスキルを構成する要素は何か」を説明し、必要なスキルを向上させるための研修を行うことが大切です。
必要なスキルは個人によって異なるため、従業員の役職や経験年数に応じて研修内容を組み立てると良いでしょう。

フィードバックを行う

ヒューマンスキルを育てるためには、第三者からのフィードバックが有効です。
社内プレゼンを行った従業員には、「聞き手に質問しながら理解度を確認していたのが良かった」「結論から伝えることを徹底すれば、内容がさらに伝わりやすくなると思う」のように良かった点と改善すべき点をフィードバックします。

「フィードバックを受ける」→「フィードバックをもとに行動する」→「行動の結果を振り返る」→「振り返りの結果をもとに行動する」というPDCAサイクルを従業員が自発的に回せるようになれば、ヒューマンスキルが向上していくでしょう。

1on1

1on1を実施し、部下の悩みに対してアドバイスを行うことも一つの方法です。
「新人教育が上手くいかない」「商談で契約に至らない」などの悩みが把握できれば、部下のヒューマンスキルを向上させるための具体的なアドバイスができるでしょう。
一方的なアドバイスにならないように、傾聴を意識したコミュニケーションをとることが大切です。

採用面接ヒューマンスキルを判断する方法

従業員のヒューマンスキルの育成とあわせて、ヒューマンスキルの高い従業員を面接で判断することも重要です。ヒューマンスキルの高さを面接で見抜くためのポイントは、以下のとおりです。

質問の意図が正しく理解できているかを確認する

面接や面談では、質問の意図を正しく理解できているかを確認しましょう。
たとえば、質問に対して適切な回答ができていれば、質問の内容を適切に理解する力が備わっていると判断できます。質問の意図が理解できなかった場合でも、「もう一度お願いできますか」「それは●●という意味でしょうか」のように確認する姿勢が見られれば、誤った解釈で話を進めないように配慮できる人物と判断できるでしょう。
質問に沿った回答ができるかどうかはコミュニケーションの基本となるため、面接の際に判断することをおすすめします。

論理的に話を組み立てられているかを確認する

話の構成力についても確認すると良いでしょう。
「結論の回答」→「結論に至った理由や背景の説明」→「回答のまとめ」のように、相手が話を理解できるように論理立てて話せているかに着目します。
「話の結論が分かりにくい」「話が長すぎて要領を得ない」などの違和感がある場合は、論理的な思考力や話の構成力が不足していると判断できます。

話を聞いているときの態度を確認する

話を聞いているときの態度にも注目してみましょう。
「面接官の目を見て話を聞いている」「姿勢を正して適度に相槌を打っている」など、細かい所作にまで気を配れている人は、コミュニケーション能力が高いといえるでしょう。
相手とスムーズにコミュニケーションをとるためには、話の内容だけでなく、表情や声色、姿勢などにも配慮することが非常に大切です。
面接の際には、話の内容とセットで話を聞くときの態度にも着目してみると良いでしょう。

過去の実績や経験を確認する

ヒューマンスキルを発揮したエピソードを確認してみるのもおすすめです。
リーダー経験がある人物の場合は「リーダーシップを発揮したエピソード」「新人教育のエピソード」、リーダー経験がない人物であれば「上司や先輩と円滑にコミュニケーションをとるために行った工夫」「取引先との信頼関係を築けたエピソード」などを話してもらうと良いでしょう。
具体的なエピソードを確認することで、ヒューマンスキルの高さを判別しやすくなるはずです。

まとめ

ビジネスで成果を出すためには、コミュニケーション力・プレゼン力・リーダーシップなどのヒューマンスキルが欠かせません。ヒューマンスキルの育成には、研修や1on1の実施が効果的です。また、日々の業務を通して従業員にフィードバックを行うことで、従業員自身が自らの改善点に気づきやすくなります。従業員のヒューマンスキルを向上させ、自社の業績向上につなげていきましょう。