このページのまとめ
- 裁量権とは、従業員が自分の判断で業務を進められる権利
- 裁量権のある職場では、従業員の主体性やモチベーションが向上しやすい
- 裁量権を与えることで、損失リスクやプレッシャーが発生する点に注意する
裁量権とは、従業員が自分の意志で物事を判断できる範囲のことを指します。従業員の主体性を育てるために、裁量の大きな仕事を任せようと考えている企業も多いのではないでしょうか。そこで今回は、従業員に裁量権を与えるメリットや、その際に注意すべきポイントについて解説します。従業員一人ひとりに適切な裁量権を与え、成長を促進させるための参考にしてみてください。
裁量権とは
裁量権とは、従業員が自分の判断で業務を行える権利のことです。
「既存顧客の対応は自分の裁量で進めてOK」「新規顧客の対応は、予算●●万円以内なら自分の判断で進めてOK」のように、自分で意思決定できる範囲が決まっていることが多いでしょう。
裁量の範囲は、その企業の考え方や従業員の能力などによって異なります。
従業員に裁量権を与えるメリット
企業が従業員に裁量権を与えるメリットには、次のようなものがあります。
責任感が生まれる
従業員に裁量権を与えることで、責任感が生まれます。
判断に迷って上司や先輩にアドバイスをもらっても、最終的な意思決定は自分で行わなければなりません。意思決定の責任を自身が背負うことになるため、いくつかの選択肢のメリット・デメリットを比較したうえで慎重に判断するようになるでしょう。
意思決定のスピードが上がる
従業員に裁量権を与えることで、意思決定のスピードを向上させることができます。
これまでに上司や先輩の指示を細かく受けてきた従業員は、自分の判断が正しいのか自信がもてず、意思決定に時間がかかる傾向があります。そのような場合でも、場数を踏むことで意思決定のコツが掴め、スピードが上がってくるでしょう。
意思決定のスピードが上がると、その分だけ業務をスムーズに進められるようになります。
モチベーションが向上する
自分の判断で進められる業務が増えると、モチベーションの向上につながります。
自分で試行錯誤しながら進めた業務で結果が出ると、「自分の力で成果を出せた」と実感しやすくなります。一つの成功体験を得ることで、より大きな成果を出すためにもっと頑張ろうという意欲がわいてくるでしょう。
従業員に裁量権を与える際の注意点
従業員に裁量権を与える際には、以下の注意点を押さえておくことが大切です。
従業員の体調面に気を配る
従業員に裁量権を与える場合、従業員が強いストレスを抱えていないかに気を配りましょう。
たとえば、プレッシャーを感じやすい従業員に大きな裁量権を与えたことで、メンタルに不調をきたしてしまうことがあるかもしれません。また、責任感の強さから長時間労働が続き、体調を崩してしまうことも考えられます。
必要に応じてスケジュールの状況を確認したり、健康状態を気にかけたりすることが必要です。
必要に応じて給与の改定を行う
裁量権を与えたことで従業員の業務量が大幅に増加する場合は、給与の改定を検討してみましょう。
業務量が増えたのに給与が変わらない場合、従業員のモチベーションが下がってしまう可能性があります。従業員の業務範囲に対して給与がともなっていない場合は、給与の見直しを行ってみましょう。
損失が出るリスクを想定しておく
従業員に裁量権を与えることで、損失が発生する可能性があることを押さえておきましょう。
たとえば、取引先の対応を従業員の裁量に任せた結果、思わぬトラブルが発生するケースがあります。場合によっては、先方から取引を白紙にされることがあるかもしれません。
どの範囲まで裁量を与えるかを明確にし、ある程度のリスクを覚悟したうえで裁量を与える必要があります。また、発生し得るトラブルを想定し、トラブルを未然に防ぐ対策を考えておくことも大切です。
まとめ
今回は裁量権について解説しました。
従業員に裁量権を与える際には、従業員がプレッシャーを感じてストレスを抱えないように注意しましょう。ときには従業員のスケジュール状況を確認し、業務量が多すぎる場合は必要に応じて調整することが大切です。また、どこまでの裁量を与えるかを明確にし、トラブルを未然に防ぐための対策も考えておきましょう。