このページのまとめ

  • 男女雇用機会均等法とは職場での男女差別を禁止した法律
  • 性別を理由として雇用や採用、昇進を禁じている
  • 身長や体重を基準に採用する、間接差別にも注意

女性の社会進出も背景にあり、企業は男女差別をなくすことが急務です。男女差別に関して定めた男女雇用機会均等法によって、採用や昇進などは能力で判断するように定められています。しかし、性別によって採用や昇進条件が変わる企業も多く、気づかずに男女差別を行っている場合もあります。このコラムでは、男女雇用機会均等法の概要や禁止されている内容を解説。性別に関わらず平等な運営ができるように、内容を確認しましょう。

男女雇用機会均等法とは

男女雇用機会均等法とは、雇用や職場における男女差別を禁止し、性別を問わず平等に扱うことを定めたものです。たとえば、従業員を性別によって雇用を行うことや、性別によって昇進の有無を定めることを禁止しています。また、セクシャルハラスメントを防止する目的もあり、企業が男女平等を推進できるようにしています。

これまでの法改正

男女雇用機会均等法は、1986年に施行されました。前身は1972年の勤労婦人福祉法であり、女性の社会進出に伴い、職場内での差別を防ぐ目的で制定されました。1999年の法改正では、男女差別が努力義務から禁止項目になり、2007年には出産と育児による差別を禁止する内容となりました。現在では、セクシャルハラスメントの防止とあわせて、パワハラの防止も強化されています。

参照元:厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし

男女雇用機会均等法で禁止されている差別

男女雇用機会均等法では、求人募集や職場内で、性別を理由とした差別を禁止しています。具体的にどのような内容の差別が禁止されているかを解説します。

求人

求人募集を行う際に、性別を理由に募集を決めることを禁止しています。男性向け募集、女性歓迎のように、性別を記載した募集も差別の対象になるので注意。求人募集を行う際には、性別によって採用可否や募集内容、募集人数に差をつけないようにしましょう。

面接採用

面接採用の場面で、性別を理由にした不当な扱いは禁止されています。面接の場面で該当する質問例として、結婚や出産があっても仕事を続けるか、などの質問があります。企業にとっては、採用した人材が結婚や出産後も勤務を行ってくれるかは重要です。しかし、男女差別につながるとの意見も多いため質問は控えておきましょう。

解雇

従業員を解雇する際、性別を理由とした解雇が禁止されています。解雇の基準を性差で決める、特定の性別を優先して解雇対象にするのも禁止です。

職種や雇用形態

性別を理由に、職種や雇用形態を変えることも禁止されています。たとえば、男性は一般職ではなく総合職限定のような場合です。また、有期契約労働者の雇用形態が正社員になる場合、正社員の基準を性別ごとに分けることも不当な扱いに該当します。

人員配置

人員配置を性別を理由に行うことも禁止されています。たとえば、男性だから管理職になる、女性は事務職限定のように、性別を基準にしてはいけません。

昇進

男性を優先して昇進させる、女性は管理職になれないなど、性別によって昇進を決めることは禁止されています。また、昇進の条件を性別で変えることも差別に該当します。そのため、昇進の条件は明確にし、公正に審査されるようにしましょう。

教育

教育や指導を行う場合も、性別を理由に内容を定めることは禁止されています。男女別に教育を行う、男性または女性だけ研修から除外する行為は、差別に該当します。あわせて、結婚した、出産したなどを理由に、教育対象から外すことも禁止です。性別に関わらず同じ基準で教育を行いましょう。

間接差別

間接差別とは、厚生労働省によると、次の3要件を満たす場合の差別です。

  • 性別以外の事由を要件とする措置
  • 他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるもの
  • 合理的な理由がない時に講ずる

たとえば、身長や体重、体力は性別だけでなく個人によって異なります。そのため、募集や選考にあたって、身長や体重、体力を理由に含むことが禁じられています。また、採用基準として転居を伴う転勤ができる労働者のみの採用も間接差別に該当します。

参照元:厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし
参照元:厚生労働省「均等法Q&A

事業主と従業員で紛争が発生した場合の措置 

男女雇用機会均等法では、事業主と従業員で紛争が発生してしまった場合の措置も定められています。次の3つの措置に従って、適切な対処を行いましょう。

  • 苦情の自主解決
  • 機会均等調停会議による調停
  • 労働局長による紛争解決の支援

苦情の自主解決

事業主は従業員から苦情があった場合、まずは苦情処理機関を設立し、自主的な解決を目指す必要があります。苦情処理機関の設置には、事業主を代表する者および、事業所の従業員代表を構成員として選びましょう。基本的には、企業で苦情を受け入れ、処理を行います。

機会均等調停会議による調停

第三者による解決が必要な場合には、機会均等調停会議が開かれます。この会議では、調停委員が3名指定され、事業主が従業員に対する事情聴取を行ないます。開催方法に関しては、事業主と労働者のどちらか一方、あるいは両方から要請があった場合に開かれます。

労働局長による紛争解決の支援

募集や採用、セクハラなどに関する紛争の場合、事業主が自主解決する対象にはなりません。そのため、労働局長による支援が行われます。この場合、各都道府県の労働局長が事情聴取を行い、助言や勧告を行うことで、事態の解決を図ります。

参照元:厚生労働省「労働者と事業主の間に紛争が生じた場合の救済措置

まとめ

性別による差別を防ぐために、男女雇用機会均等法が施行されています。女性の社会進出は進んできていますが、未だ性別による差別が行われたり、昇進が妨げられている事例も発生しています。また、ハラスメントに関する注目も集まっており、企業はより厳しく対策を行う必要があります。男女雇用機会均等法を基準とし、性別による差別を起こさない企業作りを行いましょう。