「部下との面談で何を質問すればよいかわからない」
「部下の今後の成長が見込める質問がわからない」
こういった悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。本記事では、部下との面談で質問すべき内容を具体例と合わせて紹介します。また、面談が失敗する理由や成功させるポイントについても解説しています。
部下との面談での質問例を知り、部下との関係構築や部下の成長のサポートに役立てましょう。
部下との面談で質問をする意味とは
部下との面談で質問をする意味について、人間の潜在能力と組織の成果との関係について研究を行っているジム・ハーター氏らによる記事を参考に解説します。
部下を理解するため
部下との面談で質問をすると、部下を深く理解することができます。それぞれの部下の個性や強み、弱み、目標などを質問をとおして知ることで、より効果的な指導やサポートが可能になります。
定期的な面談は、一方的な指示や評価の場ではなく、上司と部下が互いに理解を深めるための貴重な機会といえます。
部下の成長をサポートするため
面談で部下に質問することで、上司は部下の成長を適切にサポートできます。部下との面談では、現状の課題やキャリア目標について話し合い、具体的な行動計画を立てることで、上司は部下への適切なサポートが可能になるでしょう。
必要なリソースや機会を提供し、部下が自身の強みを活かして成長できるように導くことが、上司の重要な役割といえます。
参考:
部下との面談で使える質問例
部下との面談で使える質問例を、調査や市場分析レポートを提供するガートナー社が公開する記事を参考に紹介します。
ここで紹介する質問をとおして、従業員の意見を聞き取り改善策を与えることで、従業員のエンゲージメントを高め、会社全体の成功につなげることができます。
それぞれの質問の具体例も合わせて紹介します。
仕事へのやりがい
部下が仕事にやりがいを感じ、会社への貢献を実感できているかを知ることは重要です。仕事への意義や、自身の仕事が会社の成功にどうつながっているかを理解している部下は、モチベーションが高い傾向があります。
逆に、仕事への意義を見出せない部下は、組織への愛着や忠誠心が弱く、生産性も低い傾向が見られます。
質問の例: 「○○さんにとって、今の仕事のやりがいは何ですか?どんな時に、自分の仕事が役立っていると感じますか?」 「○○さんは今後どのように成長したいと思っていますか?そのために、今の仕事でどんな経験を積んでいきたいですか?」 |
上記のような質問をとおして、部下の仕事に対する意義や価値観を理解することができます。上司は、部下を理解した上で、モチベーションを高め、前向きに仕事に取り組めるようにサポートしていく必要があります。
目標が明確であるか
部下の目標が明確かどうかについても質問をしましょう。目標が明確かどうかの質問をすることで、部下は自分の仕事が組織全体の目標にどのように貢献しているのかを理解することができます。
また、仕事の目的が明確であることは、従業員のモチベーションを高め、仕事に対する満足度を向上させることができます。
質問例: 「あなたの仕事の目的は何だと思いますか?」 「あなたの日々の業務が会社の目標達成にどのように貢献していると感じますか?」 |
上記のような質問をすることで、部下は自分の役割を再確認し、仕事に対する意義を見出すことができます。上司が部下に目標が明確かどうかを質問することは、部下の会社に対する貢献意欲を高めるために有効な手段といえます。
上司からのサポート
上司からのサポートについてどう感じているのかを質問することは、部下のモチベーションを向上させる上で重要です。部下が上司から十分なサポートを受けていると感じると、仕事への満足感が高まり、生産性の向上が期待できます。
また、上司から十分なサポートを受けていないと感じている場合には、早期に対処することが可能になります。
質問例: 「あなたは上司から必要なサポートを得られていますか?」 「上司からのフィードバックは仕事の役に立っていますか?」 |
上司からのサポートに関する質問をすることで、従業員は自分の感じているサポートのレベルを共有し、上司はそれに基づいて改善策を講じることができます。
したがって、上司からのサポートについて質問することは、部下と上司のコミュニケーションを活性化し、信頼関係の構築にも役立ちます。
同僚との関係
上司が部下に同僚との関係について質問することは、職場の環境改善に役立ちます。同僚との良好な関係は、職場の満足度と生産性を高める重要な要素です。
部下が同僚と協力して仕事をする際に、信頼関係を築くことができれば、チームワークが向上し、より効果的にタスクを完了できます。
また、同僚との関係に問題がある場合、職場環境を改善するきっかけとなるでしょう。
質問例: 「職場での協力やチームワークに問題はありますか?」 「同僚とのコミュニケーションはよく取っていますか?」 |
部下は職場の人間関係について共有でき、上司は改善のためのフィードバックを提供することができます。
したがって、同僚との関係について質問することは、職場のコミュニケーションと協力を促進し、全体的な職場の雰囲気を改善するために有効な手段といえます。
キャリア形成のサポート
上司が部下にキャリア形成のサポートについての質問をすることは、部下のモチベーションの向上に役立ちます。研修などのキャリア形成のサポートは、部下が新しいスキルを学び、キャリアを形成するために不可欠です。
部下が自分の能力を向上させ、より良い成果を出せるようになると、仕事へのやりがいを感じ、責任感が強くなります。また、会社が自身のキャリア形成のサポートをしてくれていると感じることで、会社への忠誠心も強化されるでしょう。
質問例: 「最近、仕事に役立つ研修やスキルアップの機会はありましたか?」 「会社が提供する研修プログラムは、あなたのキャリアの目標に合っていますか?」 |
キャリア形成のサポートについての質問をすることで、従業員は自分のキャリアの進行に関する意見を伝え、必要なサポートを要求することができます。
部下のキャリアの成長を支援し、部下が職場でよりモチベーションを高め、業務に取り組むために必要な質問です。
福利厚生
福利厚生は、従業員が仕事とプライベートのバランスを取るためのサポートを提供することで、職場での快適さと幸福感を向上させます。
ワーク・ライフ・バランスを実現できる職場環境を提供することは、部下が長期間にわたってその会社で働き続ける理由になります。
質問例: 「今の福利厚生に満足していますか?」 「今の福利厚生は、○○さんのワーク・ライフ・バランスを実現できる内容になっていると思いますか?」 |
上記のような質問をすることで、部下は自分たちのニーズに合った福利厚生が提供されているかを評価し、改善のための提案を行うことができます。
福利厚生について質問することは、従業員が会社に対してより満足し、長期間会社で働く戦力になってもらうために必要な質問といえます。
会社への満足度
上司が部下に会社への満足度について質問することは、部下の意欲と忠誠心を図るために重要です。部下が会社に満足しているかどうかは、部下の仕事への取り組みや責任感に大きく影響します。
満足度が高い部下は、積極的に職務を遂行し、会社の目標達成に貢献する傾向があります。反対に満足度が低い従業員は、仕事の質が低下したり、退職を考えたりする可能性が高くなるといえるでしょう。
質問例: 「現在の仕事にどの程度満足していますか?」 「会社が提供している機会や環境について、どのような改善が必要だと感じますか?」 |
上記のような質問をすることで、部下は自分たちの感じている満足度や不満を伝えることができ、上司はそれに基づいて改善策を講じることができます。
上司が部下へ会社の満足度について質問することは、彼らの意欲と忠誠心を高めるための有効な手段といえます。
参考:
面談が失敗する理由と成功のポイント
部下との面談が失敗する理由と成功するポイントについて、ハーバードビジネスレビューによる、ノースカロライナ大学シャーロット校の教授であるスティーブン・ロゲルバーグ氏の記事を参考に解説します。
面談が失敗する理由
部下と定期的に面談をしているのに「部下の成長が見られない」「部下との関係が構築できない」といった場合は、面談が失敗している可能性が高いといえます。
面談が失敗する理由について解説します。
目的を明確にしていない
面談の目的が曖昧な場合、部下は何のための面談なのか理解できず、議論が迷走する可能性が高くなります。面談の目的が共有されていないと、上司と部下で異なる目的を想定し、発言内容にズレが生じます。
面談の前に明確な目的を共有し、上司と部下が共通の認識を持っておくことが重要です。
準備をしていない
事前の準備不足は、面談の質を低下させ、時間効率の悪化につながります。面談の準備が不足していると、その場で情報収集をしたり、面談の目的を共有したりといったことになり、肝心の議論が深まりません。
事前に目的や関連資料を共有し、参加者各自が準備しておくことが重要です。
頻繁に議題から脱線する
頻繁に議論から脱線すると、本来の目的を達成できない可能性が高くなります。雑談が長引いたり、関連性の低い話題に逸れたりすると議論について話し合いをする時間が無くなり、本来の目的を達成できなくなります。
たとえば、部下の業務進捗を確認する面談で、近況報告に時間を使いすぎると、具体的な課題や解決策を話し合う時間が不足してしまいます。
目的を達成するためには、事前に議題を共有し、時間配分を意識しながら、話を本筋に戻すように心がけましょう。
結論や決定事項を明確にしていない
面談の最後には、話し合った内容をまとめて結論や決定事項を明確にする必要があります。曖昧なまま終わると、上司と部下で認識のズレが生じ、後々の行動の足並みがそろわなくなってしまいます。
面談の内容のまとめや決定事項は記録し、最後に参加者全員で共有しましょう。
面談後のフォローをしていない
面談で決まったことを行動に移しているかをフォローすることが大切です。面談後のフォローがないと、部下は面談での決定事項を実行しない可能性があります。
たとえば、業務改善の面談後に進捗状況を確認しない場合、部下は改善策を実行せずに、現状維持に留まってしまう可能性があります。
面談後は定期的に進捗状況を確認したり、必要に応じてサポートを行うなど、継続的なフォローが必要です。
面談を成功させるポイント
面談を成功させるポイントについて解説します。
目的を明確にする
面談は目的が明確でなければ、時間だけが過ぎ、成果に繋がりません。目的が共有されていないと、部下は何を求められているのか分からず、議論が迷走してしまいます。
部下の育成が目的の面談なのに、現状報告に終始してしまうと、具体的な改善策や目標設定ができず、成長に繋がりません。面談前に目的を明確に伝え、共通認識を持って臨みましょう。
参加者を厳選する
面談にはチーム全員が参加する必要はなく、本当に必要なメンバーで構成することが重要です。必要以上の人が参加すると、議論が拡散したり、意思決定が遅れたりする可能性があります。
誰の意見が不可欠で、誰が決定権を持つのかを考慮して参加者を決定しましょう。また、部下との信頼関係を築きたい場合には、上司と部下の1対1で行う1on1ミーティングがおすすめです。1on1ミーティングについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
事前に決めたテーマのみを話す
事前にテーマを決定し、それ以外の話題は扱わないようにすることで、議論の脱線を防ぎます。雑談や関連性の低い話題に時間をかけると、重要なテーマに集中できず、時間内に結論が出せない場合があります。
議題を事前に共有し、時間配分を意識しながらテーマに沿った議論を心がけましょう。
双方向のコミュニケーションを意識する
一方的な情報伝達ではなく、部下が発言しやすい環境作りが大切です。意見交換が活発に行なわれることで、多角的な視点からの議論が生まれ、より良い結論につながる可能性が高まります。
上司が一方的に指示を出すのではなく、部下の意見やアイデアを引き出すことで、モチベーション向上や主体性を育むことにもつながります。
部下の意見に耳を傾け、質問を交えながら、双方向のコミュニケーションを心がけましょう。
決定事項と次のステップを明確にする
面談の最後には、話し合った内容をまとめて、結論や決定事項を明確にする必要があります。曖昧なまま終わると、上司と部下の間で面談の内容についてズレが生じ、後々の行動が異なってしまいます。
決定事項は記録に残し、誰が、いつまでに、何をするのかを具体的に共有しましょう。
議事録を作成し共有する
面談の内容を記録し共有することで、上司と部下の認識を一致させたり、後から振り返る資料としても役立ちます。議事録がないと、重要な情報が抜け落ちていたり、解釈の違いが生じたりする可能性があります。
面談の議事録は簡潔にまとめ、決定事項や今後のアクションプランを明確に記載しましょう。
フォローアップを行う
面談で決まったことが実行に移されなければ意味がありません。フォローがないと、部下は面談の内容を忘れ、決定事項が実行されないまま時間だけが過ぎてしまいます。
面談後には、定期的に進捗状況を確認したり、必要に応じてサポートを行うなど、継続的なフォローが重要です。
参考:
まとめ
部下との面談の質問例や面談を成功させるためのポイントについて解説しました。部下との面談で質問をすることは、部下を深く理解したり、部下の成長のサポートに役立ちます。
質問すべき内容としては、部下のキャリアや福利厚生、仕事へのやりがいなどが挙げられます。面談前には、部下と議題を共有し、面談後には、面談のまとめと次のステップを明確にし共有しましょう。
面談で部下に適切な質問をして部下との関係を構築し、部下の成長をサポートしましょう。