「仕事ができない部下の扱いに困っている…」
「部下の能力が低いのは上司にも問題がある?」
このような悩みや疑問を持つ管理職も多いでしょう。仕事ができない部下がいる場合、その原因は彼らの能力や人間性にあるとは限りません。会社や上司の教育・指導方法に問題があり、部下が十分に能力を発揮できていない可能性も考えられるからです。
本記事では、仕事ができない部下によくある特徴や、彼らの適切な育成方法について解説します。部下の成長を促進させる職場づくりを目指す方は、ぜひ参考にしてください。
仕事ができない部下の7つの特徴
仕事ができない部下によくある特徴を7つ紹介します。
1.固定マインドセットを持っている
仕事ができない部下は「固定マインドセット」を持っている傾向にあります。
固定マインドセットとは、「自分の能力や才能は生まれつき決まっており、変えることができない」という考え方です。いくら能力開発の機会を与えても、このような思考ではスキルが向上せず、なかなか成果も上げられないのでしょう。
一方、固定マインドセットの対義語として、「成長マインドセット」という言葉も存在します。成長マインドセットとは、「人間の能力は努力によって成長する」という考え方です。
成長マインドセットを持っていれば、自ら積極的に能力開発の機会を作り出すため、その分成長スピードも促進されるでしょう。
以上のことから、固定マインドセットを持っている部下の成長を促すためには、まず成長マインドセットを身につけさせることが重要です(詳細は後述)。
▼固定マインドセットと成長マインドの違い(ハーバード・ビジネス・スクールより)
固定マインドセット | ・挑戦を避ける・失敗や間違いを受け入れない・才能は生まれつきのものだと思い込む・慣れないことを敬遠する |
成長マインドセット | ・挑戦をチャンスと捉える・建設的なフィードバックを受け入れる・失敗から学び成長する・能力は成長するものだと信じている |
2.自分の能力を正しく評価できていない
仕事ができない部下は、自分の能力を正しく評価できていない可能性が高いです。
心理学の世界では、「能力が低い人ほど、自分のことを過大評価する」傾向にあるといわれています(これを「ダニングクルーガー効果」という)。たとえば、新入社員が仕事の一部を覚えただけですべてを知った気になり、根拠のない自信を持ち出すのがこれに該当します。能力が低い分経験も浅いため、自分の能力を評価するための基準や知識が不足しているのでしょう。このようなタイプは、周囲のアドバイスを受け入れなかったり、自らの非を認めなかったりすることが多く、せっかくの成長する機会を逃しがちです。
なお、自分の能力を正しく評価できていないのは、自分自身を過大評価している人間だけではありません。十分な能力が備わっているにも関わらず、自分のことを過小評価してしまう者にもあてはまります(これを「インポスター症候群」という)。インポスター症候群に陥っている部下は、自信のなさから行動力や決断力が阻害され、「仕事ができない人」という印象を与えてしまうかもしれません。
以上のことから、部下の自己評価は高すぎても低すぎても好ましくなく、自身の能力を正しく理解させることが重要です。
3.感情のコントロールが苦手
「EQ(こころの知能指数)」が低い部下は、仕事ができない傾向にあります。EQとは、自分自身や他人の感情を理解し、適切にコントロールする能力を示す指標です。
業種や職種に関わらず、社会人として働くうえでは他者との協力が必要不可欠です。EQが高い人は他人の感情やニーズを理解し、共感できるため、良好な対人関係が築きやすいといえます。また、何かしら問題が起こった際や意志決定が必要な場合でも、感情的にならず冷静で客観的な判断を下せる可能性が高いです。
実際にウィルソン大学が実施した研究でも、EQの高い従業員は生産性やモチベーションも高い傾向にあることがわかっています。一方、EQが低い従業員は、他者との衝突によりストレスを抱えやすく、成績も優れないケースが多いといいます。
なお、同学によるとEQは生まれつきで決まるものではなく、以下のような訓練によって鍛えることが可能とされています。
▼EQを高めるトレーニング
- アクティブリスニングを心がける:他人の感情やニーズをより深く理解でき、共感能力が向上する
- ストレスの引き金となるものを特定する:自分がどのような状況でストレスを感じるのかを理解することで、ストレス管理がしやすくなる
- 非言語コミュニケーションに注意を払う:表情や態度などを読み取ることで、他人の感情をより正確に理解でき、適切に対応しやすくなる
4.誠実性・協調性が低い
仕事ができない部下は、誠実性や協調性に欠けている可能性が高いです。
心理学の世界では、人間の性格特性を5つに分類した「ビッグファイブ理論」がしばしば用いられます。
▼ビッグファイブ理論の5つの性格特性
- 開放性(Openness to Experience):新しい経験・アイデアに対する好奇心や受容性、探究心の高さ
- 誠実性(Conscientiousness):自己管理力や責任感、目標志向の高さ
- 外向性(Extraversion):社交性や積極性、活発さ
- 協調性(Agreeableness):他者に対する共感や信頼、思いやりの強さ
- 神経症傾向(Neuroticism):感情の不安定さやストレスへの敏感さ
サンディエゴ州立大学の経営学名誉教授スティーブン・P・ロビンス氏の著書「組織行動の基本」によると、上記の5つの性格特性は仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えるとされています。中でも、「誠実性」および「協調性」はとくにパフォーマンスが高く、また仕事への満足度も高いといいます。誠実性は安定して成果を上げるため、協調性は良好な人間関係を築くために必要不可欠だからです。
逆に誠実性・協調性が低い者は、仕事の質が低く、また周囲との人間関係に難を抱えている傾向にあるとされています。
5.仕事に対するモチベーションが低い
モチベーションが低く、ただ仕事をこなすだけになっている部下は、パフォーマンスも低い傾向にあります。
ジョンソン&ウェールズ大学によると、これまでの数々の研究により、「従業員のモチベーションと仕事のパフォーマンスには大きな相関関係がある」ことがわかっているといいます。具体的に、モチベーションが高い従業員には以下のような傾向が見られます。
- 仕事の質や生産性が高い
- 仕事への満足度やエンゲージメントが高い
- 離職率が低い
- 創造性や独創性に優れている
なお同学によると、従業員のモチベーションは「内発的動機」と「外発的動機」の2種類に分けられるとのことです。内発的動機とは、仕事に対する興味や満足感など、人の内面的な要因によって行動が駆り立てられている状態を指します。一方、外発的動機とは、賞罰や評価など、外部からの刺激によって行動が促されている状態です。
内発的動機は仕事をすること自体が報酬となるため、効果が持続しやすいといわれています。それに対して、外発的動機は即効性があるものの、外的な報酬がないと効果を発揮しないため、持続もしにくいとされています。したがって、部下の仕事に対するモチベーションが低いと感じられる場合は、内発的動機を高めるよう働きかけることが重要です。
▼具体例:部下の内発的動機を高める方法
- 自主性を持たせる(目標設定やスケジュール管理を部下自身に任せる、など)
- 能力開発の機会を積極的に提供する(定期的に研修を実施する、など)
- 良好な人間関係を築く(コミュニケーションを意識的に取る、など)
6.周囲のアドバイスを受け入れない
アライドビジネスアカデミー(ビジネス関連のジャーナルを発行・配布する団体)に掲載されている論文によると、「自らフィードバックを求める従業員ほど、仕事のパフォーマンスが高い」傾向にあるとされています。逆に、周囲のアドバイスを受け入れない部下は、仕事ができない可能性が高いといいます。
どんなに優れた人間でも、克服すべき課題や短所はあるはずです。他者の客観的な意見を拒否してしまうと、自らの能力向上につながるヒントが得られる機会を逃すことになるでしょう。
上司や同僚のアドバイスを聞き入れない部下は、プライドが高く、「自分と異なる考え=攻撃」と考えている傾向にあります。このようなタイプには、プライドを傷つけないように工夫してフィードバックを行うことが大切です(詳細は後述)。
7.自分の非を認めない
自分の非を認めることができない部下は、仕事ができない可能性が高いです。
どんなに優秀な人間でも、間違いやミスを犯すことはあるはずです。そんなときに、なぜ失敗したのか原因を特定し、対策を講じることで人は成長していきます。たとえば、売上ノルマを達成できなかった営業職の場合、「自分には何が足りないのか」「来月はどのようなスケジュールで動くべきか」などを自分なりに考え、行動に移すことが営業スキルの向上につながるでしょう。
しかし、自分の非を認められない人間は失敗から学ぼうとする姿勢がないため、いつまでも能力が成長しません。また、自分のミスによって周囲に迷惑をかけたとしても、謝罪もせず言い訳を並べたり責任転嫁したりするため、人間関係を構築するのも苦手な傾向にあります。
ウェルデン大学によると、自分の非を認められない人間は自尊心が非常に脆弱であり、自尊心を守るために自らの過ちから目を背けるのだといいます。したがって、このようなタイプに対して注意や指導をする際は、自尊心を傷つけないように伝え方を工夫することが大切です(詳細は後述)。
参考:
Harvard Business School “Growth Mindset vs. Fixed Mindset: What’s the Difference?”
Wilson College “Why Emotional Intelligence Is Important in the Workplace”
Florida Tech “How the Big Five Personality Traits Influence Work Behavior”
Johnson & Wales University “Why is Employee Motivation Important in the Workplace?”
Walden University “Why Some People Always Have to Be Right”
仕事ができない部下の育て方
仕事ができない部下を教育・指導する際に、上司が心がけるべきポイントについて解説します。
期待を明確に示す
仕事ができない部下の中には、思うような成果が出せず、自信を失くしている者もいるはずです。このようなタイプは、上司から期待を明確に示すことが、パフォーマンスの向上につながるかもしれません。
教育心理学の分野では、「他者から期待をかけられた者は、その期待に沿った成果を残す傾向が見られる」といわれています(これを「ピグマリオン効果」と呼ぶ)。期待を受けることでモチベーションが高まり、その結果パフォーマンスの向上につながると考えられます。
ピグマリオン効果は教育現場でよく見られる現象ですが、職場での人材育成にも当てはまります。たとえば、とあるプロジェクトのリーダーがメンバーに向けて、「あなたたちにはこのプロジェクトを成功させる能力がある」と伝えたとします。すると、チームメンバーはリーダーの期待に応えようと、それぞれが積極的に協力しあうようになり、結果的にプロジェクトが成功する可能性が高まるのです。
ブレシア大学によると、従業員に対して期待を示すには、以下のポイントを押さえることが重要といいます。
- 期待を具体的にかつ定期的に伝える
- 従業員の能力を継続的に評価する
- 社歴の浅い従業員には経験豊富なメンターを割り当てる
- レベルが高くやりがいのある仕事を任せる
- フィードバックはポジティブな雰囲気で実施し、解決策を強調する
- 従業員の成長と成功に心から関心を示す
責任ある仕事を任せる
仕事ができない部下に対しても、何かしらの責任ある業務を任せることが重要です。
責任ある仕事を任せることで、その部下に対する信頼や期待を示すことができ、彼らのモチベーションや能力の向上につながる可能性があります。逆に、いくら能力が低いからといって誰でもできる仕事ばかりさせていたら、その部下が成長しないだけでなく、他の社員の負担を増やすことにもなるでしょう。
フェニックス大学によると、従業員にタスクを委任する際には、以下のポイントを押さえると効果的です。
ポイント | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
能力やレベルに応じたタスクを任せる | 従業員の適性や興味を探り、彼らに合った業務を任せる | データ分析が得意な社員に、売上データの月次レポートを作成してもらう |
コミュニケーションを密に取る | いつまでに何をしてほしいのか、なぜその業務を依頼するのかを理解させる。SMART目標*を設定するとより効果的 | 「スマートフォンの新製品の開発に先立ち、市場調査を実施してください。2週間後までに競合5社の分析を行い、各社の強み・弱みを資料にまとめてください」と伝える |
フォローアップ計画を作成する | 定期的に進捗を確認し、必要に応じてフィードバックを実施する。管理が細かくなりすぎないように注意 | 毎週金曜日の午後に30分間のミーティングを実施し、進捗状況を確認する。スケジュールに問題がある場合は柔軟に対応する |
*SMART目標:「Specific(具体的な)」「Measurable(測定可能な)」「Achievable(実現可能な)」「Relevant(関連性がある)」「Time-Bound(期限がある)」を満たす目標
成長マインドセットを育てる
先ほども述べたように、仕事ができない部下の中には「固定マインドセット」を持っており、「努力をしても能力は向上しない」と考えている者もいます。このようなタイプには「成長マインドセット」を身につけさせ、能力開発の重要性を理解させることが重要です。
ハーバード・ビジネス・レビューに掲載されている論文によると、従業員の成長マインドセットを引き出すためには、「よりよい」を連想させる言葉を積極的に用いると効果的とされています。具体的には、「成長する」「改善する」「次第に」などが該当します(例:「売上1億円を達成する」→「見込み顧客の幅を広げ、売上を10%改善する」)。これらの言葉を使うことで、人の思考は明示的かつ暗示的に「方向づけ」がなされ、成長マインドセットが育まれていくとのことです。
フィードバックの仕方を工夫する
部下の仕事の取り組み方や能力に改善すべき点がある場合は、上司が遠慮せずに伝えることが重要です。
ハーバード・ビジネス・レビューに掲載されている論文によると、72%の従業員は「ネガティブなフィードバックを受けること」は自分の成長に必要だと考えている一方で、そのようなフィードバックを上司からもらえていると感じる人はわずか5%しかいないとのことです。また、上司から率直なフィードバックがもらえていないと感じた従業員は、エンゲージメントが低下する傾向にあるといいます。この結果から見ても、ときにはネガティブなフィードバックを行うことが、部下の成長を促進するためには必要不可欠だといえます。
とはいえ、プライドが高い部下の場合、闇雲に批判してしまうと反感を買う恐れもあるため、フィードバックの仕方は工夫する必要があるでしょう。同論文では、部下にネガティブなフィードバックを行う際のポイントとして、以下の4点を挙げています。
ポイント | 概要 |
---|---|
起こりうる最悪の事態を想定する | 最悪のケースを想定しておくことで、万一の場合も冷静に対処できる(例:相手が泣き出したら中断する) |
あらかじめ会話の流れを決めておく | おおまかな流れを決めておけば会話の主導権を握ることができ、率直な内容を伝えられる |
行動に焦点を当てる | 人格は否定せず、相手の具体的な行動に対して意見を述べる(例:遅刻が多い部下に対し、「だらしない」ではなく「遅刻しないように気をつけてください」と伝える) |
フィードバックはこまめに行う | 相手に改善すべき点がある場合は、その都度こまめに伝える。ためこんでしまうと批判が爆発し、攻撃的になる恐れがある |
成長を認めて評価する
部下の仕事に対する姿勢や能力に成長が見られた場合は、素直に評価することが大切です。他者から評価されることでモチベーションが高まり、成長スピードも促進されると期待できるからです。
とはいえ、適当に「すごいね」「頑張ったね」と伝えるだけでは、見せかけの賞賛だと見破られてしまうため、あまり意味がありません。メアリー・ワシントン大学によると、従業員を称える際は以下のポイントを意識すると効果的とされています。
- タイムリーに称える:時間が経つにつれて効果が薄まる
- 具体的な行動に焦点を当てる:具体的な内容を伝えることで、今後取るべき行動がわかりやすくなる
- 正直に伝える:見せかけではない、相手を本当に称えている気持ちを伝える
- 伝え方を工夫する:人前で褒めるべきか、それとも1対1で褒めるべきか、人によって好みが異なる
- 小さなことで褒めすぎない:「何か裏があるのでは?」と動機を疑われてしまう
▼具体例:部下の成長を称える言葉
昨日の会議でのあなたのプレゼンテーションは素晴らしかったです。資料はわかりやすく整理されており、データの裏付けもしっかりしていましたね。特に、顧客の要望に対する迅速な対応と分析結果の明確な提示が、チーム全体の理解を深める助けとなりました。これからもその調子で頑張ってください。 |
参考:
Brescia University “Business Psychology: Golem Effect vs. Pygmalion Effect”
University of Phoenix “5 tips for delegating tasks effectively”
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「成長マインドセットに基づく目標設定がチームのモチベーションを高める」
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「部下への厳しいフィードバックを恐れてはならない」
University of Mary Washington “When and How to Give Recognition”
仕事ができない部下に対する上司のNG行動
仕事ができない部下に対して、上司が取るべきではないNG行動を紹介します。
仕事ができないと決めつける
部下が思うような成果が出せていないからといって、「仕事ができない」と決めつけるべきではありません。
教育心理学の分野では、他者からの期待度が低い者は、実際のパフォーマンスもその通りに低下してしまう傾向にあるとされています(これを「ゴーレム効果」と呼ぶ)。たとえば、営業職の部下Aに対して「Aにノルマ達成は無理だ」と考えていれば、Aは本当にノルマが達成できなくなるのです。
そもそも部下がうまく結果を残せていない場合、「十分な指導や教育を受けていない」「仕事のミスマッチが起きている」など、本人の能力や人間性以外に原因がある可能性も考えられます。そのため、部下に対して「仕事ができない」というレッテルを貼る前に、コミュニケーションを密に取ることで、うまくいかない原因や対処法を一緒に考えることが重要です。
ぞんざいに扱う
どんなに仕事ができない部下であっても、ぞんざいに扱うべきではありません。
ハーバード・ビジネス・レビューに掲載されている論文によると、職場で無礼な扱いを受けた従業員は、その後に以下のような行動を取る傾向にあるといいます(括弧内は該当する人の割合)。
- 嫌な出来事を思い返して、勤務時間を無駄にする(80%)
- 仕事に傾ける労力を意図的に減らす(48%)
- 仕事のパフォーマンスが低下する(66%)
- 組織に献身する気持ちが薄れる(78%)
逆に、「大切にされている」と感じている従業員は仕事に対する満足度が高く、自社への忠誠心が強く、パフォーマンスも優れている可能性が高いとのことです。
なお、従業員が求める敬意には「生得的敬意」と「獲得的敬意」の2種類があるとされています。生得的敬意とは、すべての人に対して無条件に持つべき基本的な敬意を指します(丁寧な言葉遣いや挨拶などが該当)。一方、獲得的敬意とは、特定の行動や能力、業績などに対する敬意です(すぐれた成績を収めた社員への感謝などが該当)。
生得的敬意が不十分な職場では、従業員の過度な競争が煽られる結果、互いの足を引っ張り合うことになりかねません。これに対し、獲得的敬意が不十分な職場では、従業員が個人的に成果を上げることを重視せず、モチベーションが低下する恐れがあります。したがって、生得的敬意と獲得的敬意はバランスよく育むことが大切です。
暴言を吐く
仕事ができない部下に対して、いかなる理由があっても暴言を吐くべきではありません。どんなに問題がある部下も1人の人間であり、上司から暴言を吐かれ続ければ傷つくし、最悪の場合は精神を病んでしまうかもしれないからです。また、部下に吐いた暴言がハラスメントと認定されれば、会社にとって大きな損失となり得ます。
厚生労働省によると、以下の3つの要素を満たす言動はパワーハラスメントに該当するとされています。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
- 労働者の就業環境が害される言動
たとえば、仕事でなかなか成果が上げられない部下に対し、上司が「給料泥棒」「お前の代わりなんていくらでもいる」など、人格否定とも取れる言葉を浴びせるのは、ハラスメントとみなされる可能性が高いです。
もちろん、部下が抱える問題点について、業務上必要な範囲内で注意・指導することは問題ありません。上司がいくら暴言を吐いても部下の能力が改善するわけではないため、感情的になって不適切な言葉を発しないよう注意が必要です。
参考:
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「「無礼」が利益を蝕む」
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「互いの敬意が組織を成長させる」
厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」
まとめ
仕事ができない部下によくある特徴や、彼らの適切な育成方法について解説しました。
一口に「仕事ができない」といっても、部下の人間性に問題がある場合もあれば、職場環境に問題があり、部下が十分に能力を発揮できていないケースも考えられます。後者の場合は、会社や上司からの働きかけによって、能力が向上する可能性も十分にあるでしょう。
本記事で紹介したポイントをふまえ、部下の成長を促進させる職場づくりを目指してください。