「部下同士のトラブルが絶えない…」
「部下同士のトラブルはどうやって解決すればいい?」

このような悩みや疑問を持つ管理職も多いでしょう。

部下同士のトラブルは、当事者の人間関係はもちろん、職場全体にもさまざまな悪影響をおよぼす恐れがあります。そのため、トラブルは極力未然に防ぎ、万が一起こってしまった場合も放置せず、適切に対処することが管理職には求められます。

本記事では、部下同士のトラブルが起こる原因や、トラブルを予防・解決するためのポイントを解説します。

部下同士が良好な関係を築くのをサポートし、職場の士気と生産性の向上につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。

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部下同士のトラブルを放置すると離職につながる恐れあり

性格や価値観が異なる人々が集まる職場において、部下同士のトラブルは避けては通れないものです。

もし、部下同士のトラブルが発生した際に、管理職が何も対処せずに放置してしまうと、両者の人間関係は大きく悪化する恐れがあります。

日本労働調査組合が社会人男女を対象に行った調査によれば、職場の人間関係について「疲れている、悩んでいる」「ストレスを感じている」と回答した人は合わせて29.2%いたとのことです。

また、「職場の人間関係を理由に退職・転職を考えたことがありますか?」との問いには、58.5%が「はい」と答えています。

この結果から、部下同士のトラブルによって人間関係がこじれると、最悪の場合は離職につながる可能性があるといえます。

業界を問わず人手不足が叫ばれている昨今、どの企業も人材の流出は極力防ぎたいはずです。

こうした背景から、管理職は部下同士のトラブルが発生した際の適切な対処法を理解し、実践することが重要です。

参考:
PR TIMES「職場の人間関係が「良好」と感じているのは約3割「職場の人間関係に関するアンケート」結果発表」

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部下同士のトラブルが起こる原因

ドレクセル大学の記事によれば、職場で部下同士のトラブルが起こる原因は、大きく以下の3つに分けられるといいます。

  • コミュニケーション不足
  • 不適切なマネジメント
  • 性格の不一致

それぞれについて詳しく解説します。

コミュニケーション不足

部下同士のトラブルは、多くの場合、コミュニケーション不足が原因で起こります。

ここでいう「コミュニケーション不足」とは、単に会話が少ないことだけではありません。「相手の話をきちんと聞かない」「自分の意見ばかり主張する」といった、コミュニケーションの質の低さも含まれます。

コミュニケーション不足は、以下のようなトラブルを引き起こします。

  • 誤解:曖昧な表現や伝達情報の不足が原因で、相手の行動や発言を間違って捉えてしまう。誤った情報に基づいて業務が進められるため、無駄な作業や手戻りが発生しやすい
  • 不信感:説明が不十分なために相手の言動の意図がわからず、「嫌われているのかな」「信用されていないのかも」といった不信感が生じる。不信感が強まると、仕事上の協力やサポートの意欲が低下し、チームの機能に支障をきたす
  • 情報共有の漏れ:必要な情報が適切に伝達されないことで、業務に支障をきたすだけでなく、「自分だけ仲間はずれにされているのでは?」という疑念を抱かせることがある。これが孤独感や相手への不信感につながる場合もある

これらのトラブルを避けるためには、

  • 曖昧な表現を避けて明確に伝えること
  • 積極的に相手の話を聞くこと
  • 些細なことでも情報共有を徹底すること

など、コミュニケーションの量だけでなく質を高める意識が必要不可欠です。

不適切なマネジメント

管理職がチームを適切に統率できていない場合、メンバー間に不満や不信感が生まれ、トラブルが起こる原因となります。

部下同士のトラブルにつながりやすい不適切なマネジメント行動は、主に以下の2つです。

  • 役割分担の不明確さ:誰がどの業務を担当し、どこまで責任を持つのかがはっきり決まっていない状態。仕事の押し付け合いや、誰も手を出さないといった問題が発生しやすい(例: 顧客からの問い合わせに対し、AさんとBさんが「それはあなたの仕事だ」と責任をなすりつけ合う)
  • 不公平な評価:評価の基準が明確でなく、部下が「なぜあの人が評価されて、自分は評価されないのか」と不満を持つ状態。こうした不公平感は、他のメンバーへの嫉妬や敵対心につながりうる(例: 高い成果を出しているEさんよりも、上司と仲が良いFさんの方が評価が高い)

もし、部下同士のトラブルが頻繁に起こっている場合は、管理職である自分自身が、知らず知らずのうちに上記のような行動をとっていないか、注意深く見直す必要があります。

性格の不一致

職場には多様な個性を持つ人々が集まります。それぞれの仕事に対する考え方や働き方、価値観が異なるため、ときに意見がぶつかり合い、トラブルに発展することもあります。

▼個性の違いによるトラブルの例

  • 直感型 vs. 分析型:Rさんは過去の経験から直感でプロジェクトの方向性を決めるが、Sさんはデータに基づいた確実な根拠を求めている。このため、RさんはSさんを「優柔不断だ」と感じ、SさんはRさんを「無責任だ」と感じて対立する
  • チーム志向型 vs. 単独行動型:チームワークを重んじるNさんは、一人で黙々と仕事を進めたいOさんに対し、「もっと協調性を大切にしてほしい」と不満を持つ
  • 完璧主義者 vs. 楽観主義者:Pさんは些細なミスも許せない完璧主義者だが、Qさんは「多少の間違いは気にしない」と楽観的に考えている。このため、PさんはQさんの仕事ぶりを見てイライラし、衝突が絶えない

上記のようなトラブルは、生まれ持った性格の違いによって起こるものであり、どちらか一方だけが悪いということはほとんどありません。

このようなトラブルを仲裁する際は、管理職は中立的な立場をとり、当事者双方が納得できる解決策を見つけられるようサポートすることが大切です。

また、性格の不一致が原因でトラブルが起こりそうなメンバー同士は、最初から業務上の関わりが少なくなるように配置することも、有効な対策の一つといえます。

参考:

Drexel University “How to handle conflict in the workplace”

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【ステップ別】部下同士のトラブルを予防・解決するためのポイント

米国企業を対象に実施された調査結果によると、職場における従業員同士のトラブルは生産性や士気の低下を引き起こし、それによる損失額は年間で3,590億ドル(約53兆円)にものぼるといいます。

したがって、部下同士のトラブルは極力未然に防ぎ、万が一起きた場合も放置することなく、適切に対処することが重要です。

ここでは、ウェスタン・ガバナーズ大学の記事の情報をもとに、部下同士のトラブルを予防・解決するために管理職が意識すべきポイントを、以下の4ステップに分けて解説します。

  • ステップ1. トラブル予防と早期発見
  • ステップ2. 初期対応
  • ステップ3. 本格的な解決
  • ステップ4. 解決後のフォローアップ

ステップ1. トラブル予防と早期発見

部下同士のトラブルは、問題が起きてから対処するのではなく、普段から予防策を講じ、トラブルの兆候を早めに察知することが重要です。

トラブルを未然に防ぐための有効な方法の一つが「オープン・ドア・ポリシー」です。

オープン・ドア・ポリシーとは、役職に関係なく、従業員が上司や経営陣と気軽にコミュニケーションを取れるようにする方針や考え方を指します。

▼オープン・ドア・ポリシーの施策例

  • 定期的に1on1ミーティングを実施する
  • オフィスで部下と雑談する時間を設ける

このような施策を通じて、管理職が部下の意見や悩みに積極的に耳を傾ける姿勢を示すと、部下は何か問題が起きた際に相談しやすくなります。その結果、トラブルの発生を未然に防いだり、問題が大きくなる前に解決したりできるようになるのです。

ステップ2. 初期対応

部下同士にトラブルの兆候が見られたら、すぐに状況を把握し、冷静に対応することが求められます。

その際、トラブルがどの程度深刻なものなのかを見極めることが重要です。

▼トラブルの深刻度を見極めるポイント

  • 軽微な対立:業務上の意見の相違や、些細なコミュニケーションの行き違いから起こる一時的な衝突。(例:「A案で進めるべきだ」「いや、B案の方が効率的だ」といった言い争い)
  • 深刻な対立:個人の尊厳を傷つけたり、職場の秩序を乱したりする言動を伴う対立(例:「お前は本当に使えないな」といった人格を否定するような暴言)

些細な意見の食い違いなど、対立が軽微な場合はすぐに介入せず、まずは当事者同士で話し合う機会を与えましょう。こうすることで、部下が自律的に問題を解決する力を身につけることができます。

ただし、単なる意見の相違を超えた深刻な対立の場合は、人間関係の破綻や法的な問題に発展するリスクをはらんでいるため、管理職が早急に介入する必要があります。

ステップ3. 本格的な解決

トラブルが深刻である、または当事者同士での解決が難しいと判断した場合は、管理職が主導して解決にあたります。

まずは当事者双方から、それぞれの言い分を公平に、遮ることなく聞きましょう。

このとき、管理職は中立的な立場を保ち、「なぜそのように感じたのか」「どうしてその行動をとったのか」といった背景を深く理解するよう努めます。どちらか一方の肩を持つことは絶対に避けてください。

話を聞き終えたら、双方の意見を取り入れた「誰もが納得できる解決策」を一緒に探します。上司が一方的に解決策を押し付けるのではなく、当事者同士で話し合えるようファシリテーター(進行役)の役割を担いましょう。

なお、トラブルの内容や話し合いの経緯、合意した解決策は、書面やメールなどで記録に残しておくことが重要です。今後の再発防止策を検討する際の参考になるだけでなく、万が一法的な問題に発展した場合に備えるためです。

ステップ4. 解決後のフォローアップ

ステップ3の解決策を実行に移したからといって、すべてが完了したわけではありません。その後も状況を注意深く見守ることが大切です。

  • 解決策が計画通りに進んでいるか
  • 当事者同士の関係性に改善は見られるか

を定期的に確認しましょう。

たとえば、解決策の実行から数週間後に当事者と個別に面談し、「その後、何か困っていることはないか」と尋ねてみることが有効かもしれません。

また、同様のトラブルが再発しないよう、根本的な原因を特定し、チーム全体のルールや文化を見直すことも必要不可欠です。

例として、コミュニケーション不足によって情報伝達がなされていなかったことがトラブルの原因だった場合は、会議の進め方や社内チャットツールの使い方を見直すとよいでしょう。

これらのステップを踏むことで、上司としてトラブルに適切に対処し、チームの健全な成長を促すことができます。

参考:

Western Governors University “8 Ways to Resolve Employee Conflict at Work”

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まとめ

部下同士のトラブルが起こる原因や、トラブルを予防・解決するためのポイントを解説しました。

部下同士のトラブルは人間関係の悪化を招き、最悪の場合、離職につながる恐れがあります。そのため、トラブルは極力未然に防ぎ、万が一起こってしまった場合も放置せず、適切に対処することが管理職には求められます。

本記事で紹介した内容を実践し、部下同士が良好な関係を築くのをサポートし、職場の士気と生産性の向上につなげてください。

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