人材の多様化が進む現代において、従業員が仕事や組織にどのように向き合うかは、企業にとって重要なテーマです。株式会社レバレジーズが実施した本調査では、年収別に働き方の意識や組織への関わり方を分析しました。
その結果、年収1,001万円以上の層は人材育成や業務改善に積極的に関与し、責任ある役職を志向する傾向が強い一方で、600万円以下の層は「無理せず働きたい」「人間関係や福利厚生を重視したい」といった安定志向が目立ちました。
本記事では、年収によって異なる働き方の価値観やキャリア志向を深掘りし、離職防止や人材活用のために企業が得るべき示唆を探ります。
本調査の要約
- 年収1,001万円以上の層は、人材育成やマネジメント、業務改善などに積極的に関与し、責任あるポジションを望む傾向が強い。仕事内容への納得感や自己成長への意識も高い。
- 年収601~1,000万円の層は全体的にバランス志向が見られ、組織の中での貢献や安定性を重視する傾向がある。
- 年収0~600万円の層は「無理せず働きたい」「人間関係や福利厚生が大事」といった環境重視の志向が強く、責任を伴う役職や業務への関与は避ける傾向が見られる。
今回の調査からは、収入が単なる結果ではなく、「仕事への関わり方」や「職場に求める価値」に密接に関係していることが浮かび上がった。高年収層は「責任を担うこと」や「裁量権のある仕事」に価値を置き、キャリア形成への積極性が際立つ。一方、低年収層は「安心して働ける環境」「人間関係の良さ」「余裕のある働き方」を重視し、仕事を生活の一部として位置づける傾向が見られる。
調査の結果:年収別の仕事に対する意識
年収による人材育成への関与度の違い
Q. 現在のお勤め先で、人材育成においてどのような業務を担当していますか。

人材育成業務への関与は、年収が高いほど深く関わる傾向が見られます。特に年収1,001万円以上は担当者・責任者としての関与が多く、年収0〜600万円は関与しない層が多数です。
年収によるチームマネジメントへの関与度の違い
Q.現在のお勤め先で、直轄チームのマネジメントにおいてどのような業務を担当していますか。

チームマネジメントへの関与は、年収が高くなるほどで多くなる一方、0~600万円の層では「関わっていない」割合が高くなっています。マネジメント業務の担い手が収入に直結している実態が浮き彫りとなっています。
年収による業務効率化への関与度の違い
Q.現在のお勤め先で、部署全体の業務効率の改善においてどのような業務を担当していますか。

年収が高い層ほど部署全体の業務効率改善に積極的に関与している傾向が読み取れます。特に年収1,001万円以上の層では「責任者」や「担当者」としての関与が多く、年収が下がるほど「関わっていない」割合が高まる構造が明確です。
年収による職場の雰囲気に対する価値観の違い
Q.和気あいあいとした雰囲気の職場で働きたいですか?

年収600万円以下の層で和気あいあいとした雰囲気の職場で働きたいと考える傾向が強く、逆に年収1,001万円以上の層は「どちらともいえない」と回答する割合が他の層より高い傾向があります。給与水準が比較的低い層は精神的な満足度や安定が職場選びの重要な要素となっている可能性を示唆しています。
年収による働き方に対する価値観の違い
Q.無理せずのんびりと仕事をしたいとお考えですか?

年収600万円以下の層は「無理せずのんびりと仕事をしたい」と考える傾向が強いことが読み取れます。一方で年収600万円以上では「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の割合がやや多く、仕事に対するスタンスの違いが浮き彫りとなっています。収入によって働き方への価値観に差があることが示唆されます。
年収によるワークライフバランスに対する価値観の違い
Q.ワークライフバランスのとりやすさは重視したいとお考えですか?

すべての年収層において「ワークライフバランスのとりやすさ」を重視する傾向が強いことがわかります。一方で「どちらともいえない」は年収が高い層にやや高く、仕事への優先度が状況によって異なる可能性も示唆されます。
年収による役職に対する価値観の違い
Q.責任のある役職・ポジションに就きたいとお考えですか?

年収600万円以上の層は「責任のある役職・ポジションに就きたい」という意向が強い傾向があり、キャリア志向が強いことがうかがえます。一方で、年収600万円以下の層では「あてはまらない」「あまりあてはまらない」の割合が高く、責任を伴う役職を避けたい意識が見られ、収入とキャリア志向の関連性が明確になっています。
年収による仕事の満足点に対する価値観の違い
Q.あなたが現在のお勤め先で働く上で、満足している点は何ですか。

年収が高い層ほど「年収が高い」「仕事内容に納得している」「経験やスキルを活かせている」といった点に満足していることがわかります。一方で、低年収層では「ワークライフバランスが取れている」「残業時間が短い」といった環境面への満足が目立ちます。収入層によって重視する満足ポイントが異なり、高年収層はキャリア・自己実現、低年収層は働きやすさや人間関係を重視する傾向が見られます。
年収による転職に対する価値観の違い
Q.転職について、あなたはどのような印象をお持ちですか。

年収1,001万円以上の層が「ややポジティブ」に転職を捉えている割合が非常に高く、転職に対する柔軟性やキャリアアップ志向の強さが伺えます。一方、年収が低くなるほど「どちらでもない」や「ややネガティブ」と答える割合が増え、安定志向や慎重な姿勢が見て取れます。
調査概要
- 調査目的 : 本調査では、年収別の意識の違いを把握し、組織が抱える課題の可視化を通じて、離職防止や職場環境の改善に向けた具体的な示唆を得ることを目的とする。
- 調査対象 : マクロミルモニタ 22~49歳の男女
- 調査地域 : 全国
- 調査方法 : インターネットリサーチ
- 調査時期 :
【事前調査】 2025年2月20日(木)~2月28日(金)
【本調査(一般社員向け) 】 2025年2月28日(金)~3月2日(日)
【本調査(人事・管理職向け) 】 2025年2月28日(金)~3月3日(月) - 有効回答数 : 【事前調査】 31,010サンプル
本調査の対象者
全体 | 2060名 |
年収1,001万円以上 | 34名 |
年収601~1,000万円 | 331名 |
年収0~600万円 | 1,695名 |