このページのまとめ
- ホワイト企業とは、従業員が働きやすく、労働環境の良い企業
- ホワイト企業の特徴としては、残業時間の少なさや福利厚生の充実がある
- ホワイト企業として認定されると、企業のイメージアップにつながる
国が働き方改革を推進する動きに合わせて、ホワイト企業への関心が高まっています。ホワイト企業は、労働環境が良く、従業員を大切にする企業だからです。ホワイト企業を目指すために、施策を行う担当者も多いことでしょう。今回は、ホワイト企業として認められる特徴や、国などが実施するホワイト企業認定制度を紹介します。自社のイメージを高めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
ホワイト企業とは
ホワイト企業とは、従業員の離職率が低く、働きやすい環境が整った企業のことです。福利厚生が充実していたり、残業時間が少なかったりする特徴があります。また、制度面の充実だけではなく、従業員との関係性も重要です。従業員が企業に愛着を持ち、企業も従業員に期待する状態が、ホワイト企業です。
ホワイト企業という言葉が生まれた理由
ホワイト企業という言葉が生まれた理由は、ブラック企業の反対語として使うためです。ブラック企業は、2013年に流行語大賞にノミネートされたことを機に、世間的に有名となりました。労働環境が悪い企業だけではなく、働きやすい企業もあるという意味を込めて、ホワイト企業が使用されています。
ホワイト企業が注目される背景
ホワイト企業が注目される背景として、働き方改革の推進があります。ブラック企業という言葉が広まるに伴い、国は労働環境の改革を進めました。たとえば、有給休暇の取得義務や、労働時間の制限などが施行されています。また、求職者もブラック企業を避け、福利厚生が充実した、働きやすい企業を求めるようになりました。このような背景から、ホワイト企業が注目を集めており、ホワイト企業で働きたい求職者が増えています。
ホワイト企業の特徴
ホワイト企業と呼ばれる企業には、次のような特徴があります。
離職率が低い
ホワイト企業は離職率が低く、従業員が長く働く傾向にあります。働きやすい環境であり、ストレスも少ないためです。現代では新入社員の離職率が高く、入社後3年以内に約4割が離職すると言われています。新入社員の定着率が高く、従業員が中・長期的に成長できる環境があるのは、ホワイト企業の特徴の一つです。
参照元:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」
残業時間が少ない
ホワイト企業は残業時間が少ない傾向にあります。仕事量が適切であり、業務時間内に仕事を終わらせることができるためです。働き方改革関連法の施行に伴い、残業時間に「月45時間・年360日以内」という上限が設けられました。残業時間の上限を超えていないことはもちろん、残業時間が少なければ少ないほどホワイト企業の傾向が強いとみなされます。
参照元:厚生労働省「時間外労働の上限規制」
給与が高い
給与が高い企業は、ホワイト企業とみなされる傾向にあります。賞与の有無も重要と言えるでしょう。ブラック企業の特徴に「低賃金で賞与がないこと」が挙げられます。反対に、給与が高く、賞与支給が行われる企業はホワイト企業とみなされます。
人事評価が公正
ホワイト企業として認められるには、公正な人事評価も必要です。評価方法に偏りがあり、実績が正当に評価されない場合は、働きやすい企業とは言えません。実績に応じてどれくらいの賞与や昇給が見込めるのかを明確にすることで、従業員の業務に対するモチベーションも上がります。
人材育成の環境が整っている
人材を育成する体制が整っている企業もホワイト企業といえます。なぜなら、従業員の育成にはコストが必要であり、十分なコストと時間をもっている企業だからです。また、人手不足で上司の余裕がない企業は、人材育成まで手が回らず育成環境が整いません。人材育成の環境がある企業は、企業が人材育成の支援をする姿勢があり、上司も余裕をもって指導が行えます。「業務量に対して従業員数が見合っている」という観点からも、ホワイト企業といえるでしょう。
成長できる環境がある
企業としての育成支援だけではなく、従業員が自ら成長できる環境も重要です。成長できる環境がある企業は、従業員のモチベーションをアップさせ、離職率の低下にもつながります。研修制度の充実や明確なキャリアパスなど、従業員の成長を叶えられる制度を設けましょう。
女性が活躍している
女性が多く活躍する企業は、性別に関わらず、すべての従業員を公平に評価する環境があると考えられます。また、女性が長く働ける職場は、結婚・出産後も育児や家事と両立しながら働きやすいでしょう。能力や成果に基づいて従業員を公平に評価する風土があり、結婚・出産後も子育てや育児と両立しながら働ける環境がある企業は、ホワイト企業といえそうです。
参照元:厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
コンプライアンスが守られている
ホワイト企業では、社会規範や倫理観などのコンプライアンスが守られていることが重要です。コンプライアンスが守られている企業では、従業員が問題を起こしにくいからです。パワハラやセクハラが常態化している企業は、従業員が安心して働ける環境とはいえません。コンプライアンスを遵守し、従業員が気持ち良く業務に取り組める環境を整えることが重要です。
ホワイト企業として認知されるメリット
ホワイト企業として認知されることで、以下のようなメリットを受けられます。
人材が集まりやすい
ホワイト企業として認知されることで、人材が集まりやすくなります。求職者はインターネットを活用しながら、少しでも環境の良い職場を探しています。ホワイト企業として認知されるようになれば、転職の口コミサイトをはじめ、第三者からの企業情報を見た求職者が集まります。このように、ホワイト企業として認知されることは社内の従業員だけではなく、これから働く従業員に対しても良い印象を与えます。
企業のイメージアップ
ホワイト企業であることは、企業のイメージアップにつながります。従業員を大切にしている会社だと認知されるためです。労働時間の問題やパワハラなど、問題を起こす企業は数多くあります。そのなかで、従業員がモチベーション高く働けるように努力している企業は、好印象を与えられるでしょう。
ホワイト企業に関する制度
政府主導で行われる制度を含めて、ホワイト企業に関する制度をご紹介します。
安全衛生優良企業認定ホワイトマーク
安全衛生優良企業認定ホワイトマークとは、厚生労働省が認定する、安全衛生優良企業として認められた証です。安全衛生優良企業とは、「労働安全衛生法に沿って労働者の安全や健康を確保する対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業」を指します。認定を受けると、認定マークが利用でき、ホワイト企業であることを求職者や取引先にアピールすることが可能です。
また、認定を受けるためには、次のような取り組みが求められます。
- 過去3年間、労働安全衛生関連の重大な法違反がない
- 労働者の健康保持推進対策の実施
- メンタルヘルス対策の実施
- 過重労働防止対策の実施
- 安全管理対策の実施
引用元:厚生労働省「安全衛生優良企業公表制度について」
ホワイト企業認定
ホワイト企業認定は、ホワイト企業の認定基準を7つに分け、総合的に評価を行う認定制度です。「家族に入社を勧めたい、次世代に残していきたい企業」をコンセプトに評価を行っています。
ホワイト企業認定で評価される項目としては、次の7項目が挙げられます。
- ビジネスモデル&生産性
- ダイバーシティ&インクルージョン
- ワークライフバランス
- 健康経営
- 人材育成&働きがい
- リスクマネジメント
- 労働法遵守
まとめ
ホワイト企業として認定されることは、企業のイメージアップにつながります。従業員だけではなく、取引先や求職者など、さまざまな方面に良い影響を与えるでしょう。ワークライフバランスを保てる環境を整えるのはもちろん、従業員との信頼関係を築くことも重要です。従業員が「この企業で成長していきたい」と思えるように、明確な評価制度もあわせて整えましょう。