近年、AIの急速な発展に伴い、中途採用の現場でもAIを導入する企業が増えています。
近い将来、AI面接が一般的な採用手法となる可能性も十分考えられるため、企業側はこうした変化に柔軟に対応できるよう、今のうちからAI面接に関する知見を深め、対策を講じておくことが必要不可欠です。
本記事では、中途採用でAI面接を活用する利点や、AI面接の運用に成功した事例を紹介します。
AI面接をうまく活用することで、採用活動の効率化および獲得人材の質向上を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
中途採用でAI面接を活用している企業は多い?

以下は、株式会社マイナビが転職者を対象に実施した調査の中で、「AI面接を経験したことがある」と回答した割合の年別推移をまとめたものです(各年N=1,500)。
| 調査年 | 「AI面接を経験したことがある」割合 |
|---|---|
| 2019年 | 6.7% |
| 2020年 | 10.3% |
| 2021年 | 19.2% |
| 2022年 | 19.3% |
| 2023年 | 17.7% |
上記の結果から、現時点では中途採用においてAI面接を導入している企業はまだまだ少ないことがわかります。
しかし、AI面接経験者は2019年の6.7%から、わずか2年後の2021年には19.2%と約3倍に増加しており、近年AI面接が急速に普及している様子が見て取れます。
このような増加傾向は今後も続くと予想され、近い将来、国内の多くの企業でAI面接が一般的な採用手法となるかもしれません。
企業側としては、こうした変化に柔軟に対応できるよう、今のうちからAI面接に関する知見を深め、対策を講じておくことが必要不可欠です。
参考:
株式会社マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」
中途採用でAI面接を活用する利点

中途採用の現場でAI面接を活用する利点について解説します。
面接担当者の負担を軽減できる
中途採用でAI面接を活用する最大のメリットとして、面接担当者の負担を大幅に軽減できる点が挙げられます。
一般的に、中途採用の面接担当者は、
- 応募書類の精査
- 面接の日程調整
- 面接の実施
- 応募者の評価・合否判断
などといった、多岐にわたる業務を担っています。
これらの業務の中でも、とくに以下の3点については、AI面接が大きな負担軽減効果を発揮するはずです。
| 従来 | AI面接による軽減効果 | |
|---|---|---|
| 応募書類の精査 | 応募者の履歴書や職務経歴書を読み、必要なスキルや経験の有無を初期段階で見極めるのに手間がかかる | 応募者の能力を自動でスコアリング・可視化できるため、次の選考に進めるか否かの判断を迅速に行うことができる |
| 面接の日程調整 | 応募者の多くが在職中のため日程調整が難しく、メールや電話でのやり取りに手間がかかる | 24時間365日応募者の好きなタイミングで面接を受けられるため、日程調整をする必要がなくなる |
| 面接の実施 | 経歴や志望動機など、定型的な基礎情報の確認に貴重な時間が割かれてしまう | 面接官が直接対面するのは、AI面接を通過した応募者のみ。基礎情報はAI面接で確認済みなため、担当者は組織文化との適合性や貢献意欲など、人との対話が不可欠なテーマに時間を割くことができる |
AI面接によって削減された時間は、人材育成戦略の立案や定着率向上に向けた施策など、「人にしかできない」付加価値の高い業務に集中させることで、企業の競争力強化にもつながるでしょう。
優秀な人材を集めやすい
AI面接を活用することで、より優秀な人材を集めやすくなる点も、企業にとっての大きな利点です。
AI面接であれば、応募者は自分の都合のいい時間(深夜や早朝を含む)に、好きな場所で面接を受けることができます。
そのため、在職中で多忙な人や遠方・海外に住んでいる人なども、気軽に選考へ応募できるようになります。
従来の面接方式ではアプローチが難しかった優秀な潜在層にも接触が可能となり、応募者層の拡大と、それに伴う人材の質の向上につながるのです。
また、AI面接では事前に設定された評価基準に基づき、応募者の回答内容や音声・視覚情報などから客観的に評価が行われます。
その結果、従来の面接で生じがちだった「面接官の主観やバイアス」を抑制し、企業にとって本当に必要な人材を見極めやすくなります。
ただし、AI面接を導入しても主観やバイアスが完全に排除されるわけではないため、最終的な合否判断は必ず人が行う必要がある点には注意が必要です。
選考期間を短縮できる
AI面接を用いることで、選考期間を大幅に短縮できる点も大きなメリットの一つです。
従来の人による面接は、企業と応募者の双方の都合がつくタイミングでしか面接を実施できません。そのため、日程が合わない場合には選考が長期化しやすい点が大きな課題となっていました。
一方で、AI面接は24時間365日いつでも受験可能なため、日程調整が一切不要になります。その結果、企業は従来よりもはるかに短い期間で内定を出すことが可能になるのです。
選考の短期化は応募者のストレスを軽減し、企業に対する信頼感や満足度を高める効果が期待できます。
また、優秀な応募者は複数の企業から内定を得る可能性が高いため、AI面接によって選考プロセス全体を短縮できれば、他社に先駆けて迅速に内定を出し、優秀な人材を確保できる確率が高まるでしょう。
AI面接に対する応募者の印象

中途採用にAI面接を導入することで、応募者の企業に対する印象が悪化しないかという懸念を持つ方もいるでしょう。
先ほど紹介した株式会社マイナビの調査では、転職者の62.8%が「(企業からAI面接を提示された場合)受験意欲が下がる」と回答しています。
以下は、「受験意欲が下がる」と回答した割合を性別・年代別にまとめたものです。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 20代 | 50.7% | 69.2% |
| 30代 | 57.1% | 65.4% |
| 40代 | 60.5% | 76.0% |
| 50代 | 78.6% | 82.2% |
また、「受験意欲が下がる」理由として挙げられた主な意見は以下の通りです。
- AI(機械)に判断されたくないから(34.0%)
- 人に評価してほしいから(32.7%)
- 会社の雰囲気がわからないから(31.3%)
- 意思疎通が難しそうだから(28.9%)
- AIの精度が信用できないから(26.9%)
- 感情や空気を汲み取ってもらえないから(20.8%)
これらの結果から、応募者の多くが人同士の対話による面接に価値を見出しており、AI面接という新しい技術に対して心理的なハードルを抱えている現状が見て取れます。
一方で、若い世代を中心に、AI面接に好意的な印象を持つ層が一定数いることも事実です。
したがって、従来の人による面接を完全に排除せず、AI面接の強みを効果的に組み合わせたハイブリッドな選考手法こそが、応募者に寄り添った採用プロセスだといえます。
中途採用でAI面接の活用に成功した事例

中途採用の現場でAI面接を活用し成功した企業の事例を紹介します。
株式会社名鉄スマイルプラス
学童保育事業を展開する株式会社名鉄スマイルプラスでは、新規オープンが続く中で、保育士の確保が急務となっていました。
しかし、多数の応募者に対し、採用担当者が各事業1名という体制だったため、面接に関わる膨大な時間と労力が大きな負担になっていたといいます。
また、社内の評価基準の統一化にも課題があり、採用の公平性や正確性を高める必要がありました。
これらの課題を解決するため、同社は2019年3月よりAI面接サービスを導入し、採用活動は大きく改善されました。
AI面接の活用によって最も顕著に見られた効果が、採用業務の大幅な効率化です。
- 面接記録の削減:応募者の回答がすべて文字起こしされるため、面接記録の作成労力が大幅に削減された
- 二次面接の廃止:AIの評価レポートを活用することで二次面接を廃止することが可能となり、採用担当者と応募者の双方の負担軽減に成功した
加えて、評価基準の明確化により、採用の公平性と面接の質も向上したとのことです。
- 公平な評価:評価基準が明確に可視化されたことで、より客観的かつ公平な評価が可能になった
- 面接の質の向上:AI面接の内容に基づき、役員面接の質問を応募者一人ひとりに合わせて設定できるようになり、人による面接の質が向上した
さらに、通常の面接では緊張などから魅力をアピールできなかった応募者が、周囲を気にせず時間をかけて回答できるAI面接で能力を発揮し、採用後に主力として活躍している事例も生まれたといいます。
このように、同社の事例はAI面接が単なる効率化ツールにとどまらず、採用の公平性と質を高め、潜在的に優秀な人材の獲得にも貢献することを示しています。
株式会社アキタフーズ
鶏卵業界大手の株式会社アキタフーズでは、従来の採用プロセスにおいて、生産現場への大きな問題となっていたといいます。
また、一次面接を農場長が担当していたため、農場長が現場を離れる必要があり、生き物を扱う生産現場で責任者が不在というリスクが生じていました。これに加え、移動時間や交通費などのコストも無視できない課題でした。
同社ではこれらの課題を解決するため、2019年よりAI面接を導入したことで、以下のような多岐にわたる効果が得られたとのことです。
- 現場の負担軽減:従来の農場長による一次面接とエントリーシートをすべて廃止することが可能となり、現場の負担とコストを大きく削減することに成功している
- 採用地域の拡大:遠方の応募者でも交通費や移動時間の負担なく選考にチャレンジできるようになり、採用地域の拡大につながっている(例:地方企業であるにもかかわらず、北海道在住の応募者を2年連続で採用)
- 二次面接の質向上:AIによるレポートは、ESだけでは得られない候補者の詳細な能力や経験を提供してくれる。二次面接ではこのレポートをもとに質問を深掘りできるため、効率的かつ質の高い面接を実現できる
このように、同社の事例はAI面接が採用現場の負担やコストを削減しつつ、優秀な人材の獲得チャネルを拡大し、最終的には面接の質までも向上させることを示しています。
参考:
まとめ
中途採用でAI面接を活用する利点や、AI面接の運用に成功した事例を紹介しました。
中途採用の現場でAI面接を導入している企業は約20%と、現時点ではまだまだ少ないのが現状です。
しかし、AI面接の導入企業はここ数年で急増しており、今後も増え続ければ近い将来、国内の多くの企業でAI面接が一般的な採用手法となるかもしれません。
企業側としては、こうした変化に柔軟に対応できるよう、今のうちからAI面接に関する知見を深め、対策を講じておくことが必要不可欠です。
本記事の内容をもとに、AI面接をうまく活用することで、採用活動の効率化および獲得人材の質向上を目指してください。

