かつては人材が潤沢にいた日本でも、人口の減少と働き手の多様化が進み、採用の難易度は急激に上がっています。これまで人事部任せにされがちだった面接の場に、多忙な管理職が参加しなければならないのは珍しいことではありません。

しかし、十分な準備やトレーニングを受けないまま「なんとなく良さそう」「直感的に合いそう」といった感覚で合否を決めてしまえば、入社後のミスマッチや早期退職が続出します。

実際、マンパワーグループの調査では、新卒採用後にミスマッチを感じた人事担当者が8割以上にのぼり、早期退職を経験した企業は約6割に達しました。こうした失敗が重なれば、採用にかけたコストと時間が無駄になるだけでなく、現場の疲弊や事業成長の停滞を招きかねません。

本記事では、面接官トレーニングがなぜ必要なのか、どのようなスキルを強化すべきか、そして忙しい管理職が明日から実践できる方法について解説します。

参考:

マンパワーグループ「新卒採用におけるミスマッチは8割超! ミスマッチによる悪影響の1位は採用した社員の早期退職

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面接官トレーニングの目的はバイアスを減らすこと

面接官トレーニングの最大の目的は、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を自覚し、それを排除することにあります。人間の脳は膨大な情報を短時間で処理するために近道を使います。

その結果、採用面接では「第一印象に基づくスナップ判断」「一つの強みや弱みに引きずられるハロー効果/ホーン効果」「自分と似た人を無意識に高く評価してしまう類似性効果」など、数多くのバイアスが発生します。

さらに、評価が前の候補者との比較に左右されてしまうコントラスト効果も深刻です。

ペンシルベニア大学の研究によると、履歴書を連続して評価する実験で、白人男性の履歴書の後に評価された候補者は4%も低く評価され、GPA換算で0.1ポイント下がるのと同じ影響を受けたことが報告されています。

こうしたバイアスは面接官本人には自覚しにくく、「直感」や「相性」という言葉で正当化されがちです。

バイアスに陥らないためには、面接を芸術(アート)ではなく科学(サイエンス)として捉え、組織全体で共通の「ものさし」を持つことが不可欠です。

トレーニングを通じて、自分の判断に潜む偏りを理解し、職務関連の情報に集中する姿勢を身につけることで、個々の経験則に依存しない客観的な採用が実現します。

参考:

Cornell University “Interviewer Biases” 

Judd Kessler et al. “Lowering the Playing Field: Discrimination through Contrast Effects” 

面接官トレーニングの最大のメリットはコストを抑えチームを強くする

面接官のスキルを磨くことは単なる人事施策ではなく、企業にとって大きな効果を生む投資です。面接官トレーニングの主な効果は、ミスマッチを減らしてコストを抑え、組織を強くすることです。

ケント州立大学の研究者らが行ったレビューでは、あらかじめ質問と評価基準を定めた面接が、自由な対話中心の非構造化面接に比べて信頼性と妥当性が高く、将来の職務パフォーマンスをより正確に予測できることが示されています。

この研究では、構造化面接には性別や人種などの属性に対する偏りを減らす効果もあり、面接の公平性を高める役割を果たすと報告されています。

構造化面接を生かすには面接官のトレーニングが欠かせません。人材評価の研究を専門とする米国の非営利機関HumRROの記事でも、構造化面接の成功は「面接官がプロセスと評価尺度を正しく理解し、共通のフレームワークで運用しているかどうか」にかかっていると指摘されています。

トレーニングによって面接官が共通の基準を身につければ、選考会議の時間を短縮し、早く内定を出せるようになります。偏りの少ない評価は候補者の納得を得やすく、企業の評判や法的リスクの低減にもつながります。

参考

Personnel Psychology “The Structured Employment Interview: Narrative and Quantitative Review of the Research Literature”

HumRRO “Critical Role of Interviewer Training in Ensuring Effective Structured Interviews and Benefits of Video-Based Learning” 

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面接官トレーニングで伸ばすべき面接スキルとは

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面接官が候補者を公平に評価するためには、相対評価の癖から抜け出し、明確な基準に基づいた「絶対評価」に切り替えることが重要です。

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以下では、その実践に欠かせない具体的なスキルやツールについて解説します。

相対評価の課題

日本の人事評価では、グループ内で順位を付ける相対評価が主流ですが、採用面接に持ち込むと致命的な非効率を生みます。直前に面接した候補者との比較で評価が上下するコントラスト効果はその典型であり、採用基準がぶれてしまいます。

これに対し、絶対評価は事前に定めた要件を満たしているかどうかだけを判断する方法です。面接では求める人物像と必要条件を明確にし、それを満たした候補者にはすぐに次のステップに進んでもらうことが大切です。

BARSを使った評価尺度

絶対評価を実践するには、あいまいな基準ではなく、行動レベルで定義された評価尺度が必要です。

米国の大学であるRITが公開している評価基準では、候補者の回答を1〜5の5段階で評価し、それぞれに具体的な行動アンカーを設定しています。

例えば、「Far Exceeds Requirements」は完璧な回答、「Meets Requirements」は既知の手順で安定した成果を出している状態と定義されており、評価者のばらつきを抑える工夫があります。こうした尺度を使うことで、面接官同士で評価を比べやすくなり、評価の甘さや厳しさの差を共有できます。

STARメソッドによる質問術

候補者の過去の行動は、将来の行動を予測する最良の指標です。MITのキャリアアドバイジングによると、STARメソッドは、状況(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果(Result)の4要素で回答を構造化することで、面接官が具体的な行動事実を引き出すために有効なフレームワークとされています。

例えば、「リーダーシップを発揮した経験はありますか?」と聞く代わりに、「そのときはどんな状況で、あなたにはどんな役割や課題がありましたか?」「その課題に対して、実際にどんな行動を取りましたか?」「その結果、周囲や成果はどう変わりましたか?」と順番に掘り下げていくことで、本人の評価や感想ではなく、実際の行動と結果を具体的に把握できます。

質問設計やロールプレイを通じて、抽象的な自己評価ではなく、実際にどのような行動を取り、どんな結果を出したのかを掘り下げる質問力を身につけましょう。

メモをとる際は事実と解釈を分ける

面接中の記録は後で評価を行うための重要な材料です。良いメモは、候補者の発言や行動といった「事実」と、それに対する評価者の「解釈」を明確に分けて記録します。

例えば、「積極性がある」という評価ではなく、「誰も手を挙げない場面で自らリーダー役に立候補した」といった具体的な行動を書き留めることで、評価会議で客観的な議論が可能になります。

こうした事実に基づいたメモは面接中に評価をしないためのツールでもあり、確証バイアスを避けるうえでも有効です。

参考:

Rochester Institute of Technology “Candidate Evaluation Rating”

MIT Career Advising & Professional Development “Using the STAR method for your next behavioral interview” 

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面接官トレーニングの進め方

面接官トレーニングは、一度学べば終わりではなく、組織全体で評価基準をそろえるための継続的な取り組みです。以下では、効果的なトレーニングプログラムを設計するための具体的なステップをご紹介します。

Frame of Reference トレーニング

Frame of Reference(FOR)トレーニングとは、面接官全員が「同じルール」で人を評価できるようにするための練習です。

例えば、同じテストの答えを見ても、先生ごとに点数がバラバラだと不公平になります。FORトレーニングは、こうした点数のズレをなくすためのものです。

このトレーニングでは、「どんな行動ができていれば高い評価なのか」「どこまでできていれば合格なのか」といった基準を、みんなで確認します。さらに、動画や事例を見ながら実際に点数をつけ、「なぜこの点数にしたのか」を話し合います。そうすることで、「自分は少し甘かった」「ここは厳しく見すぎていた」といった気づきが生まれます。

この練習をくり返すことで、面接官ごとの判断の違いが小さくなり、会社として同じ基準で人を選べるようになります

ワークショップの例

忙しい採用担当者には、2〜3時間で終わる短い研修が効果的です。

最初に、「なぜ採用の失敗が起こるのか」や「思い込みが判断をゆがめることがある」という話を聞き、自分がどんな思い込みを持っているかをチェックします。

次に、STARメソッドやBARSといった質問や評価のやり方を、実際に使いながら練習します。最後に、面接の練習を行い、良かった点や改善点をその場でフィードバックします。

研修が終わった後も、先輩の面接を見学したり、次は自分が面接を担当してアドバイスをもらったりすることで、学んだことを少しずつ身につけていきます。

継続的な評価会議

トレーニングは一度で終わりではありません。採用期間中には定期的に評価検討会を開き、面接官同士で実際の評価結果を持ち寄って議論することが重要です。これにより、評価基準のズレを早期に発見し、絶対評価の基準を組織全体で共有し続けることができます。

参考:

Gunther Weitz et al. “Effects of a rater training on rating accuracy in a physical examination skills assessment” 

HumRRO “Critical Role of Interviewer Training in Ensuring Effective Structured Interviews and Benefits of Video-Based Learning”

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面接官不足を支えるAIツールとは

面接官が不足している場合は、AIを使った面接ツールの導入も有効です。世界経済フォーラムのレポートによると、雇用者の90%以上が自動システムで応募書類をふるい分け、約88%の企業が候補者の初期スクリーニングにAIを利用していると報告されています。

AI面接ツールは大量の応募者を短時間で評価し、質問の構造化や一貫した評価を実現します。

AI導入のメリット

  • 効率化 : AIは履歴書の解析や一次面接を数分で終わらせ、面接官が「会うべき候補者」の選定に集中できるようにします。これにより採用プロセスのスピードが大幅に向上します。
  • 公平性の向上 : AIは疲労や感情に左右されず、すべての候補者を同じ基準で評価します。これはコントラスト効果や類似性効果など、人間が陥りやすいバイアスを排除するうえで役立ちます。
  • 候補者体験の改善 : 24時間いつでも面接を受けられる環境は、現職中で時間の取れない優秀層にとって魅力的です。AIが初期対応を担うことで、面接官は深い対話に時間を割くことができます。

こうした考え方を実装したサービスの一例が、Nalysys(ナリシス)が提供するAI面接サービスです。このサービスでは、一次面接をAIが担当し、質問の進行や評価を一定のルールに基づいて行います。応募者は好きな時間に面接を受けることができ、企業側は短時間で候補者の比較・検討が可能になります。

面接官不足という現実的な課題に対して、AIを「代替」ではなく「支援役」として活用することで、採用のスピードと質の両立を図ることができます。

参考:

世界経済フォーラム “Hiring with AI doesn’t have to be so inhumane. Here’s how”

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まとめ

採用ミスマッチと早期退職は、組織の成長を阻む大きな障壁です。その根本原因の多くは、面接官が無意識のうちに犯すバイアスや相対評価にあります。

管理職の面接力を高めることは、単に人材を採る手段ではなく、組織文化と経営の持続性を守るための戦略的な投資です。まずは自分のバイアスを理解し、共通の評価基準に基づいて候補者を絶対評価するマインドセットに切り替えましょう。

次に、構造化面接やSTARメソッド、BARSといった科学的な手法を学び、トレーニングやOJTを通じてスキルを定着させます。最後に、人手不足の解消と公正な評価の両立を図るため、AIツールの導入も検討すべきです。

テクノロジーと人間の力を組み合わせることで、採用プロセスの効率と質を高め、数年後の組織の強さを確かなものにしていきましょう。

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