面接官の質問は、応募者を見極める精度を左右します。質問が場当たりになると評価がぶれ、採用のミスマッチにつながりかねません。
この記事では、面接官が聞くべき質問を見極め観点別に50問紹介します。各質問に「見極めのポイント」を添えたほか、新卒・中途での質問の変え方や回答の深掘りの型、避けるべきNG質問についても解説しますので、面接準備に役立ててください。
面接官が質問設計時に知っておくべきこと
面接の質問は、思いつきで並べるのではなく、何を見極めたいかから逆算して設計することが大切です。
まず、50問の質問例を使いこなすための前提として、質問設計の基本を3つ押さえておきましょう。
質問で見極めるのは「能力」と「カルチャー」
面接官が聞くべきことは、大きく「能力に関する質問」と「カルチャー・価値観に関する質問」の2種類に分かれます。
能力の質問では、スキルや経験、入社後に成果を再現できるかを見ます。カルチャーの質問で確認するのは、価値観や働き方が自社と合うかどうかです。この記事の質問例も、この2つの軸で整理しています。
どちらか一方に偏ると、スキルは高いが定着しない、価値観は合うが成果が出ない、といったミスマッチが起きやすくなります。
良い質問は事実を引き出す
良い質問は、応募者の意見や考えではなく、具体的な行動という事実を引き出します。
採用支援を行うレバレジーズ株式会社と、株式会社人材研究所代表の曽和利光氏は、面接を「事実を集めるインタビュー」と「基準に照らして判断するアセスメント」に分けて考えることを勧めています。「主体性はありますか」と聞いても、返ってくるのは自己評価だけです。「自分から動いた経験を教えてください」と、行動の事実を質問する形にしましょう。
この記事の質問一覧に添えた「見極めのポイント」も、この考え方にもとづいて、回答のどこを事実として確認するかを示しています。
質問は評価基準とセットで設計する
質問は、あらかじめ決めた評価基準から逆算して用意します。
見たい項目が決まっていないと、集めた回答をどう評価してよいかわからなくなるためです。評価基準や評価シートの作り方は、面接評価シートの記事で解説します。
質問設計のずれは、採用のミスマッチに直結します。ミスマッチが起こる要因と対策を先に押さえておきたい方は、次の記事も参考にしてください。
レバレジーズ株式会社では、AIを活用して一次面接の質問と評価を標準化する「NALYSYS AI面接」を提供しています。「NALYSYS AI面接」ではAIがプロの面接を再現し、ばらつきやバイアスを抑えた公正な評価を行います。
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【基本編】面接官の質問例:導入・経歴・志望動機
まずは、どの面接でも使う基本の質問を、導入・経歴・志望動機の3場面で紹介します。
面接の前半で応募者の緊張をほぐし、経歴と志望度を把握するための質問です。なお、この記事の50問は、どの面接でも使える基本・観点別の40問(Q1〜40)と、新卒・中途で使い分ける10問(Q41〜50)で構成しています。
導入・アイスブレイクの質問
冒頭は、応募者が答えやすい質問で緊張をほぐします。
評価そのものより、話しやすい状態をつくることが目的です。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 1 | 本日はお越しいただきありがとうございます。緊張されていますか | 受け答えの自然さ(評価より場をほぐす目的) |
| 2 | 弊社までの道のりはわかりやすかったですか | アイスブレイク(評価対象外) |
| 3 | まず、簡単に自己紹介をお願いできますか | 要点を整理して話せるか |
| 4 | 弊社をどのように知りましたか | 関心のきっかけ・情報接点 |
経歴・実績を確認する質問
経歴は、事実と、その成果を出した行動まで掘り下げて確認します。実績だけでなく、再現性を見るようにしましょう。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 5 | これまでの職務経歴を簡単に教えてください | 経験を構造立てて説明できるか |
| 6 | 現在(前職)の仕事内容と役割を教えてください | 担った責任の範囲 |
| 7 | これまでで最も成果を出した経験を教えてください | 成果の大きさより、再現できる要因 |
| 8 | その成果は、具体的にどのような行動で実現しましたか | 成果を生んだ具体的な行動(事実) |
| 9 | 仕事で直面した困難と、その乗り越え方を教えてください | 課題への向き合い方と打ち手 |
| 10 | 転職(退職)を考えた理由を教えてください | 価値観、他責になっていないか |
| 11 | これまでの経験で身についた強みは何ですか | 自己認識と、根拠となる事実の一致 |
| 12 | これまでのキャリアで、転機になった出来事を教えてください | 意思決定の基準・価値観 |
志望動機・入社意欲を確認する質問
志望動機は、入社後の定着や活躍につながる本音を確認します。
用意された答えの奥にある動機を掘り下げます。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 13 | 弊社を志望した理由を教えてください | 自社理解にもとづく具体性 |
| 14 | 数ある企業のなかで、なぜ弊社なのですか | 他社ではない理由を語れるか |
| 15 | 入社したら、どのような仕事に取り組みたいですか | 入社後の解像度 |
| 16 | 5年後、どのような働き方をしていたいですか | キャリア観と自社での実現性 |
| 17 | 仕事を選ぶうえで大切にしている軸は何ですか | 価値観と自社との相性 |
| 18 | 弊社の事業やサービスにどのような印象を持っていますか | 事前理解の深さ |
| 19 | 現在の他社の選考状況を教えていただけますか | 志望度と意思決定の段階(他社状況を聞くこと自体は適法) |
【見極め観点別】面接官の質問例:主体性・協調性・ストレス耐性
ここからは、見極めたい資質ごとに深掘りする質問を紹介します。求める人物像に合わせて、必要な観点の質問を選んで使いましょう。
主体性・課題解決力を見る質問
主体性は、「自分から動いた事実」があるかを確認します。
指示された仕事の成果ではなく、自ら課題を見つけて動いた経験を確認します。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 20 | 自分から課題を見つけて動いた経験を教えてください | 指示ではなく自発だったか |
| 21 | その課題に、なぜ取り組もうと思ったのですか | 当事者意識・動機の内発性 |
| 22 | 周囲を巻き込んで進めた経験はありますか | 周囲を動かした具体的な働きかけ |
| 23 | 前例のない仕事に取り組んだ経験を教えてください | 不確実な状況での踏み出し方 |
| 24 | 業務を改善した経験と、その進め方を教えてください | 課題設定から実行までの筋道 |
| 25 | うまくいかなかったとき、どう立て直しましたか | 失敗後の具体的な立て直し行動 |
| 26 | 目標を達成するために工夫したことを教えてください | 工夫の中身と再現性 |
協調性・対人を見る質問
協調性は、チームでの役割と、対立への対応で見ます。
「仲が良い」ではなく、成果に向けて他者とどう協働したかを確認します。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 27 | チームで成果を出した経験を教えてください | 個人でなくチームへの貢献 |
| 28 | そのなかで、あなたはどのような役割でしたか | チーム内での立ち位置の自覚 |
| 29 | 意見が対立したとき、どのように対応しましたか | 感情でなく事実で調整できるか |
| 30 | 苦手なタイプの人と、どう協働してきましたか | 相手に合わせた関わり方 |
| 31 | 後輩や部下を指導した経験はありますか | 相手の成長を促す関わり |
| 32 | 周囲から、どのような人だと言われますか | 自己認識と他者評価の一致 |
| 33 | チームの成果と個人の成果、どちらを重視しますか | 価値観・組織との相性 |
ストレス耐性・価値観を見る質問
ストレス耐性は、プレッシャー下での具体的な対処で見ます。
「ストレスに強いか」ではなく、負荷がかかった場面での行動を確認します。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 34 | 最もプレッシャーがかかった場面を教えてください | 負荷の実際と受け止め方 |
| 35 | そのとき、どのように気持ちを整えましたか | 具体的なセルフコントロール |
| 36 | 仕事で強くストレスを感じるのはどのようなときですか | 自分の負荷要因の理解 |
| 37 | 失敗から学んだことを教えてください | 内省と、次への反映 |
| 38 | 仕事のやりがいは、どのような瞬間に感じますか | モチベーションの源泉 |
| 39 | どのような環境だと力を発揮しやすいですか | 自社環境との相性 |
| 40 | 気分転換やセルフケアで実践していることはありますか | ストレスへの備え |
見極めの観点を質問に落とし込んでも、面接官ごとに基準の解釈がぶれると評価は安定しません。見極めの精度を高め、入社後のミスマッチを防ぐ考え方は、資料「採用時の人材を見極める方法と早期離職を防ぐための対策とは」に記載しています。無料でダウンロード可能ですので、ぜひご活用ください。
【深掘り編】面接官が追加で聞くべきこと
質問例をそろえても、回答が抽象的なままでは見極められません。
一つの経験を、事実まで掘り下げる型を押さえます。これは、前述した「事実を集めるインタビュー」の考え方を、追加質問の形にしたものです。
事実を掘る際の質問
「状況→行動→結果→理由」の順に掘ると、事実が具体的に見えてきます。
応募者が挙げた経験に対して、次のように質問してみましょう。
- 具体的には、どの部分をどう変えたのですか(行動)
- なぜ、その判断をしたのですか(理由)
- その結果、数字や状態はどう変わりましたか(結果)
- もう一度同じ状況になったら、どうしますか(再現性)
抽象的な回答の解像度を上げる質問
「頑張りました」「工夫しました」で止まったら、一段掘り下げます。
抽象的な自己評価は、そのままでは評価材料になりません。「具体的には何をしたのか」「ほかの人と違った点はどこか」と、行動と独自性を深堀りましょう。
【候補者別】新卒・中途採用で面接官が聞くべきこと
同じ観点でも、新卒と中途では聞き方と見るポイントが変わります。
経験の量が違うため、新卒への質問の焦点は価値観やポテンシャル、中途への質問の焦点は再現性を問う傾向にあります。
新卒:ポテンシャル・価値観を確認する質問
新卒は、実績よりも学ぶ姿勢や価値観といったポテンシャルを見ます。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 41 | 学生時代に力を注いだことを教えてください | 熱量と主体性の源 |
| 42 | その活動で、あなたが担った役割は何ですか | 集団での貢献の仕方 |
| 43 | 学業やゼミで取り組んだテーマを教えてください | 関心と、考える力 |
| 44 | 社会人として、どのように成長したいですか | 学ぶ姿勢・伸びしろ |
| 45 | 学生時代に最も困難だったことと、その乗り越え方を教えてください | 課題への粘り強さ(新卒は経験の深さより過程を見る) |
中途:経験の再現性を確認する質問
中途は、これまでの経験を自社で再現できるかを見ます。
| # | 質問 | 見極めのポイント |
| 46 | これまでの経験を、弊社でどう活かせると考えますか | 経験と自社課題の接続 |
| 47 | 入社後、最初に取り組みたいことは何ですか | 立ち上がりの現実性 |
| 48 | マネジメントの経験があれば教えてください | 育成・管理の具体 |
| 49 | 前職で得た知見を、具体的に教えてください | 専門性の具体度 |
| 50 | 前職の進め方と弊社の進め方で、違いそうな点はどこだと思いますか | 環境変化への適応と、再現性の見極め |
面接官が避けるべきNG質問
採用は応募者の適性と能力で判断するもので、それ以外を選考理由にする質問は避けます。
厚生労働省は、公正な採用選考の観点から、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を質問しないよう求めています。
就職差別につながる質問
厚生労働省の「採用選考時に配慮すべき事項」では、就職差別につながるおそれがある14事項がまとめられています。
特に注意したいのは、雑談のつもりの一言が差別につながる場合がある点です。「ご実家はどちら」「結婚のご予定は」といった質問は、場をなごませる意図でも避ける必要があります。
<採用選考時に配慮すべき事項>
適性・能力に関係のない事項「本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)」を、エントリーシート・応募用紙・面接・作文などによって把握すること
身元調査、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断を実施すること
判断に迷う質問は、「応募者の適性・能力に関係するか」を基準に考えましょう。
参考:厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」
< 避けるべき質問例 >
- 本籍地・出生地
- 家族の職業や収入、住宅状況
- 支持政党、宗教、思想信条
- 生活信条、尊敬する人物
採用選考で質問してよいのは、応募者の適性・能力に関する事項です。
< 質問してよい質問例 >
- 職務経験・保有資格
- 志望動機・自己PR
- 入社後に挑戦したいこと
- 勤務条件(勤務地・転勤の可否など)
圧迫質問
事実を掘り下げる質問は必要ですが、応募者を追い詰める圧迫質問は避けます。
同じ「なぜ」でも、事実を確認する問いかけと相手を責める問いかけでは、受け取られ方が変わります。たとえば「なぜそんなこともできなかったのですか」と責めるのは圧迫ですが、「そのとき、うまくいかなかった原因はどこにあったと思いますか」と事実を質問するのは深掘りです。
圧迫的な態度は、内定辞退や企業の評判低下につながります。質問と評価の型を組織でそろえる仕組みについては、構造化面接の記事で解説します。また、AI面接を活用して面接を標準化する方法について知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
まとめ
面接官の質問は、評価基準から逆算し、応募者の事実を引き出す形に設計することで、見極めの精度が高まります。質問で見るのは、スキルや経験といった能力面と、価値観や自社との相性というカルチャー面の2つです。
当日は、用意した質問への回答を「状況→行動→結果→理由」の順で掘り下げ、抽象的な自己評価ではなく具体的な事実を集めましょう。新卒にはポテンシャルと価値観を、中途には経験の再現性を確認するなど、候補者に合わせて質問の焦点を調整することも大切です。
あわせて、本籍地や家族に関する質問など、就職差別につながるNG質問は避ける必要があります。質問の設計と評価の基準を組織でそろえることが、面接の質の安定と採用のミスマッチ防止につながります。
面接官の質問に関するよくある質問
面接の質問について、迷いやすい点を質問形式でまとめます。
Q.質問は何問が目安で、時間配分はどうするか
A.30〜60分の面接では、深掘りの質問に時間を割きます。
主要な質問を5〜7問ほどに絞り、それぞれを事実まで掘り下げる形が目安です。質問の数よりも、少数の質問を掘り下げることが見極めにつながります。
会社説明や逆質問の時間も見込み、あらかじめ「これだけは聞く」という必須の質問を決めておくと、時間が限られていても評価に必要な情報を聞き出せます。
Q.1次面接と2次・最終面接で質問をどう変えるか
A.一次では能力・適性の見極めを、最終に近づくほど価値観の確認と入社意欲の動機づけを重視します。
同じ応募者に同じ質問を繰り返さないよう、面接官の間で「誰がどの観点を聞くか」を事前に共有しておきましょう。
